2020/12/04 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区の小道」にアストールさんが現れました。
アストール > 冬の寒さを感じさせる、冷えた空気が流れる深夜の平民地区の通りは、いつも以上に静けさが漂っている。
大通りでも通りを歩く人気は少なく。
夜更かしを楽しむ者たちは、皆寒さから逃れるように、店内で楽しんでいるのだろう。
そんな静まりかえり、酒場などが点在する程度の道を、寒さなど感じていない。
そう思えるほどに軽い服装で、ゆったりとした足取りで、女は一人歩みを進めていく。

「流石に静かなものね…」

一つ静かに吐息を多く吐き出せば、僅かに白い湯気を残して直ぐに消えていく。
そんな吐息へと少し赤い瞳を揺らめかせれば、辺りの様子を一つ見まわして、女はそんなことをポツリと零していく。
大通りでさえ静まり返っているのだ。
そこよりも規模の小さい通りとなれば、点在する酒場などから零れる声も少なく。
辺りの民家と思しき家からも、零れている明かりはわずかであり。
皆眠りへと落ち始めているのだから当然かもしれない。

「こういう場所にこそ…意外な楽しみでも転がってると思ったのですけど…」

人気のない場所、当然のように人でにぎわっていない場所。
ひっそりと存在するお店の奥に転がっている、埃をかぶった物にこそ掘り出し物がある。
そんな掘り出し物を見つけることを期待するように、ゆるゆると女はこの道へと足を運んでみたのだろう。
だが、掘り出し物は早々見つかるものではないのだから、掘り出し物なのだ。
時折吹き抜ける夜風に髪を揺らしつつ、裏路地へと続く小道などがあれば、静かに視線を向けるが。
かといって、僅かに人気が感じられる酒場などに踏み込むことはなく。
ゆっくりとした足取りで、女はまた足を進めていく。
女にとっては掘り出し物であるかもしれなくとも、出会った相手からすれば、女が掘り出し物かどうかは、また別であり。
幸か不幸かもまたわからないのだが。

アストール > 「ふふ…流石にこんな時間に出歩いている、良い悪い子はいないものね」

女にとっては、どの地区だとしても危険なんて程遠いのだ。
この街に住んでいる者で、良識があるものほど、腕に自信がなければ深夜に出歩くことは少なく。
女が笑み交じりにこぼしたような、夜更かしするような良い悪い子なんてものは早々いないもの当然だろう。
平民地区とはいえ、人気の少ない通りほど、その危険度は増していくのだ。
一見無防備に、得物を携えている様子もなく。
一人ゆったりとした足取りで歩いている女の方が、見る人が見れば異質に映っても間違いではないかもしれず。

「そろそろ道も終わりねぇ…」

やがてゆっくりと歩を進めていても、通りの終わりは見えてくる。
酒場といったお店もない、その先は静まり返った住宅街へとつながる道であり。
そちらへと踏み込めば、より掘り出し物度合いは、人気がなさすぎるという意味で上がるだろう。
だが、いくら掘り出し物といっても、見つけられなければ意味がないのだ。
探すこと自体も楽しいのは間違いない。
けれども、掘り出し物とであってこそと考える女は、しばしその足を止め。
少し身を細めた後に、静かにその瞳を来た道へと揺らめかせれば、少し前の横道を捉えたところで、静かにその動きを止めていく。
道から裏道へと続く道。
そこへと女はやがて少し道を戻り始めれば、踏み込んでいくように足を再び進め始めていくことにしたようだ。

アストール > 裏路地へと入ってしばらく女は足を進めていく。
けれども、吹き抜ける夜風の音が響くほどの静けさに、加わる音は女の足音のみであり。
特に何かしら面白いものを見つけることはできなかったようだ。
女はそのまましばらく、幻影によって人を迷い込ませる空間を生み出すか、考えを巡らせていたようだが。
やがてそのか―闇溶けるように姿を消していけば、そこにはただ静けさのみが残ることになったか―

ご案内:「王都マグメール 平民地区の小道」からアストールさんが去りました。