2020/10/27 のログ
イグナス > ―――結局まあ、こんなものか。
そう簡単にたくさん面白いものなんて見つかるわけもなくて。
男は雑踏の中に、姿を消していくのだった。

ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からイグナスさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にロブームさんが現れました。
ロブーム > 路地裏に、二人の男がいる。
一人は、ローブを着た肥満体の男。
もう一人は、禿げて痩せた、中年の男だ。
太った男が、痩せた男に、金貨袋を渡している。

「これは、今日の分の対価だ。
これとは別に、誘拐に必要なものがあれば言え。
大体のものは用意できる――無論、それが必要ならば、だが」

『へえ、解ってますよ旦那。しかし、幾ら路地裏とはいえ、何も外で会う必要は』

「それはお前が気にする事ではない。何かあっても、私が対処する」

二人が話し合っているのは、所謂非合法な奴隷狩りの相談である。
観光客や孤児などを、裏で攫って魔族の国に奴隷として連れていく。
痩せた男は実行犯グループのリーダーで、肥えた男はその買い手と言う訳。

『それじゃあ、あっしはこれにて――』

と言って、痩せた男は表通りに歩いていく。
誰も止めなければ、このまま彼は『仕事』に取り掛かる事だろうが――

ロブーム > 去っていく男を無感動に見遣った後、男は椅子に座る。
先程は無かった、革張りの椅子は、まるで最初からあったかの様にそこにあった。

「……さて、私は帰ろうと思ったが……どうやら、覗き見している者がいるらしい」

そう言って、ぎょろりと辺りを見渡す。
誰かは解らない――冒険者が嗅ぎつけたか、それとも騎士か。
或いは、一般人がたまたま見かけたのかも知れない。
だが、何にせよ男はそれを見逃すつもりはなかった。

「出てきたまえ。言っておくが、この椅子に座りながらでも、十分に貴様に対し苦痛を与えられるのだぞ……?」