2020/10/22 のログ
■ゼロ > 暫し待っていれば、食事が届く、赤い血の滴るステーキに、パンに、スープ、サラダ、其れに追加の串焼き肉。
酒は要らないのか、という質問に対しては、首を横に振り、ミルクを注文する、お子様かよという囁きが聞こえるものの、少年は気にしない。
酒を飲んでも酔えないならば、それを飲む理由がないし、値段も高くつく。それなら、お子様とののしられるならその程度だ。
正直に気にしなければ良いだけの話、少年は、さて、と呟いて食事に取り掛かることにした。
先ずは、ステーキを適度な大きさに切り分ける。
そして、それを食べるために、仮面を少しばかり持ち上げてフォークで口に運ぶ。
こういう風にしないと仮面をずらしつつの食事が面倒なのだ、食事用の仮面など、持っているが―――持ってきてはいない。
家の中、とか駐屯地の中、とか、ある程度以上に安心できる場所でなければ、使う気がしないのだ。
何時、何があるかわからない、そして、この仮面もまた、少年の生命維持に関わる装備だから。
仮面を少し持ち上げ、パクリ、パクリ、と肉をかむ。
もぐ、もぐもぐもぐもぐ、ごくん、と飲み込んで、ミルクを少し。
その後に、パンをちぎり、スープをしみこませて一口。
少し前傾姿勢で、貪るように食べるのはもちろん、腹が減っているから。
■ゼロ > 食事は静かに進む。
理由は簡単で誰もしゃべりかけてきたりするものがいないし、誰も此方には来ない。噂話もあまり興味を引くものがないから。
それに、もう一つ、とても食事がおいしいからである。
もぐもぐ、もぐもぐ、静かに食事を済ませてしまえば少年は息を一つ吐き出し、ミルクの残りを飲み干した。
「――――。」
腹がくちくなれば、次にもたげ上げるのは性欲だ。
流石に仕事中、任務中は我慢するのだが、休みの日にまで我慢する理由がない。
と言っても相手が居れば、と思うのだけれど―――相手はいない。
家には嫁は帰ってなかったし。
娼婦でも、買うべきだろうか、と言っても金があまりあるわけではない。
基本的に恩給は、ほとんど家に贈るから、自分の手元にはあまり残らない。
趣味がないから、趣味に使う分などは持たないし、食事も普通程度の物で良いから特に。
自分の財布の中身を確認し、ウーム、と小さく唸る少年。
■ゼロ > 「―――歩きながら、考える。」
暫しの黙考の後、出てきた答えはそんなものだった。
体を動かすようなことがあれば、別に性的な事でなくても良いだろう。
ふと思うと、クレスのような、バトル系な友人とかも、一応はいる。
ダイラスの方にしかいないのが玉に瑕だとは思うが、そういった彼らと訓練代わりに手合わせもいいはずだ。
それに―――タナール方面まで戻るにはそれなりに時間が必要だ。
だから、休みは多くあるとは言っても緊急事態という事もある、家族に会えなかったのは残念だがまあ、仕方があるまい。
戻りながら、考えると言うのが一番だろう。
少年は代金を支払い、酒場から出て、去っていく。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2 酒場」からゼロさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区のとある酒場」にリコリスさんが現れました。
■リコリス > 「もう一本くれないか?店主」
平民地区にある酒場。その薄暗いカウンターで、一人の女性が酒を飲んでいる。
彼女の声に応えた店主は、カウンターに置いてある空の一升瓶を回収し、
シェンヤン焼酎で満たされた新しい瓶と取り換えた。
既にかなり飲んでいるはずだが、女に酔っている様子はまるで見られない。
その服装は、王国では珍しいタイプの、シェンヤンなどで着られているものに似たもの。
知識がある者なら、あからさまに忍者の服装をしていると気づくかもしれない。
そして、鼻が良い者なら、仕事帰りに一杯といった風のこの女性から、微かに新鮮な血の臭いがすることに気づくかもしれない。
新しく受け取った焼酎を早速注ぎ、女は何をするでもなく、酒を楽しんでいた。