2020/10/19 のログ
黒須 > 「…確かに…そいつはめんどうだな…」

(めんどうの意味を知らない様子をよそに、少女の考えを聞くもそのまま行動へ。
腕の力は抜き、揺らしやすいよう、少女の玩具になるようにしながらも裏路地を出て表へと歩き始める。)

「…街が同じように見えたりするからな…。
家は…まぁ、城から見て真っすぐ進んで右だ。覚えている…。」

(自分の家の場所を忘れるほど記憶力は衰えていない。
ただ単に、このぐらいの少女に正論をぶつけるのも大人げないと思い、話を合わせようとそれっぽいことを言っているに過ぎない。)

「それはそうと…そのニーナってやつ…どんなやつなんだよ?
外見をある程度固めねぇと、探しにくいしな…。」

(探すとは言ったものの探している人間がどんな人間なのかわからないと探しにくいと言う話だ。
そのためにも、少女から話しを聞き、ある程度の証拠を持たなければ)

リズ > めんどう、という言葉が、今度ははっきり聞き取れた。
意味は相変わらず行方不明だが、たぶん、困ってしまう、というような意味だろうと推測する。
ゆらゆら、ゆらゆら、大きな男の人の手を揺りかごみたいに揺らして、
上機嫌そのものの表情で歩きながら、隣を歩く相手の顔を覗き込むように見あげて。

「リズね、マグメールの街に出たのはハジメテなのよ。
 人もお家もいっぱいなのね、びっくりしちゃった。
 でも、……そう、それなら良かったわ。
 いちばん心配なのはニーナだけど、おにいちゃんが迷子になるのも、
 リズ、悲しくなっちゃうもの」

せっかく親切にしてくれた相手なのだ、つらい思いはして欲しくない。
その感覚はなるほど正しいのだが、残念ながら実情を理解していない、という、
致命的な欠点を抱えていた。
もう少し頭の中身が育っていたら、そもそも大人の男の人が迷子になって泣く、という発想は、
どこからも出てこないはずだったのだから。

―――――しかしそれはそれとして、今はニーナのことである。
タイミング良く相手が水を向けてくれたので、そうだった、と目を見開いて、

「ニーナはね、リズの侍女のひとなのよ!
 髪の毛は長くて、おひさまの色でね、目は明るい茶色で、
 それでね、えっと、えくぼがあってね……、」

彼女の顔を思い出しながら、懸命に言葉を繋いでいたところへ、
どこかから声がかかる。

『エ、―――――エリザベート様っ!』

声のしたほうへ振り返れば、そこには疲れ切った様子の若い女の姿。
金色の髪、茶色の瞳、えくぼは残念ながら疲労に損なわれていたけれど、
駆け寄ってくるその人が『ニーナ』であることは、彼にも察しがつくはずだ。

黒須 > 「初めて街に出て、ニーナが迷子か…随分と不運だったな?
…一つアドバイスだ。初めて見るんだったら、よく用心しながら歩きな。
こうやって面倒事が起きることもあるし、俺みたいな優しそうでも、本当は売り飛ばしちまうような悪人に出会うこともあるだろうからな…。
興味を持つことは良いが…持ちすぎるのも毒だぞ…。」

(現実を見るための手厳しいアドバイス。
かなり楽し気にしている様子でも、何かあれば最悪の事態を招くことになるため、必要なことであった。)

「…安心しとけ、俺が迷子になったら、またそこらのやつらに頼るさ…。」

(何をバカなことを言っているのだろうかと思わず自分が言ったことにため息を漏らしそうになる。
けれども、相手はまだまだ世間をわかりきっていないお嬢だ、合わせて話すのは面倒だが、たまにはいいだろうと思った。
そうして、少女から侍女のことを聞くと後ろから声がした。
振り向いて確認したその姿は、少女が話していた内容と当てはまっていた。)

「…あんたが、ニーナか?」

(立ち止まり、向き合うようにすればサングラスを外して素顔を明かす。
相変わらずのポーカーフェイスを表に出すが、少し疑問があった。
エリザベート…少女はリズと名乗ったはずが、どういうことか疑問が浮かび上がっていた。)

リズ > 真面目に注意をしてくれる相手の顔を、真剣に見あげていちいち頷き返すが、
たぶん、この小さな頭はそのアドバイスを、半分も理解していない。
言葉の聞き取りは出来たけれども、この幼い少女の世界に、
まだ、『悪人』という概念そのものがないからだ。
声をかけられれば応じる、笑いかけられれば笑顔を返す、そして、
手を差し伸べられればきゅっと握り返す。
―――――もしもそういう状態でなければ、きっと、この男に出会った途端、
その場から逃げ出していたはずだ。

「リズは迷子じゃないのよ、それに、もう10歳だし、強い子だし、
 ―――――ニーナ!ニーナだわ、おにいちゃん!」

声をかけられ、振り返って、探していたその人の姿を認めるや、
全開の笑顔で彼女の名を繰り返し、繋いでいた手をぶんぶん振る。
その間にも、任されていた公主を見失うという失態に押し潰されかけていた侍女は、
その場に跪かんばかりの勢いで、幼い公主の許へ駆け寄り。
公主と手を繋いでいる黒ずくめの男に、警戒と戸惑いを混ぜ込んだ眼差しを向けて、

『貴方は、一体……、』

これは事件なのだろうか、と、ひとり緊張する侍女に向けて、
幼い公主は男とつないだ手を解き、笑顔で抱きついて。

「ニーナ、心細かった?
 もう大丈夫よ、リズがちゃあんと見つけてあげたからね」

侍女の心に浮かんだかも知れない疑念を、払拭するに足る上機嫌ぶり。
けれども幼い公主はそこで、ふああ、と欠伸を洩らした。

公主たる少女が眠そうであると察して、侍女はその身体を抱きかかえながら、
改めて黒ずくめの男へ視線を向ける。

いわく、このたびは公主様が大変お世話になったようで、と。
今はとにかく、公主様を早く寝かせて差し上げなければなりませんから、
お礼はいずれ、また改めて、と―――――
そうして男に名を尋ね、慌しく礼を告げて立ち去ろうとするだろう。
もうほとんど眠りかけている少女を連れて、その足取りはなかなかに危なっかしかったかと―――――。

ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からリズさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」から黒須さんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2 酒場宿」にメイラ・ダンタリオさんが現れました。
メイラ・ダンタリオ > その日メイラはその日、王城で武器の素振りから始まった
更には鉛を厚く重ねた木偶人形や同僚との模擬試合を楽しんだ帰りである。
富裕地区の自宅ではなく、平民地区まで訪れては、周りからすれば身形が整った姿
装飾性や色の多様性はないものの、髪の質や生地は良い出だとはわかるだろう

しかし本人は気にすることも無い。
カウンターで得物である両剣を布に包んだまま足元に置き、テーブルに置かれた肉の塊を前に行儀よく座る

「これこれ、これですわ♡」

ギザ歯をかみ合わせた三日月形の笑みを浮かべ、上機嫌に空腹を刺激する肉厚なステーキ
一枚肉ではなく、肉の塊のようなそれの周囲は、タンだろうか 輪切りにされた列が目の前を飾るように並んでいる。
ナイフを透すと、カリッと焼けた表面と肉汁を閉じ込めた油と汁気がスープのように皿の上に零れる。

安物の肉であれ、その塊肉は焼いた後に弱火でじっくり閉じられた中で火を通したのだろう
手間暇と質量からゴルドもそれなりに取られる。しかし構うことはない。
メイラは良き運動を終えた後の空腹と、時間によって飢えた胃を満たそうと、二本歯に刺したものを頬張った。

「ん~……♪(もしゃ もしゃ ごく、んっ) はふ、いい仕事ですわ。マスター。」

時折肉を豪快に食す事の為に来るだけに、マスターからの貌覚えも好い。
金もツケ無し即払い 野菜も穀物もない肉だけを求めるそれだけが、唯一の我儘だろう
食事の邪魔さえしなければ、この貴族娘は安全だと、マスターは知っている。

メイラ・ダンタリオ > メイラにとって、王以外は須らく平等
肉を食べる店もメイラが気に入るか否かでしかない
格式も伝統も必要ない そのサイズや火の加減 安物でも満足できている味が気に入っている
元より、品のある小皿が幾重も届くような形式よりも、一つの肉塊に意識が向くメイラ

前菜要らずの主菜のみを頬張る結果ならば、無駄なものを省いた店選びがこれなのかもしれない
何処に収まるのか、体の内側程よくピンク色に染まる汁気たっぷりなそれらが収まると、カチリと並べ置いたナイフとフォーク
何人かが ぼけっ と見ているのも気にせず、口元を手持ちのハンケチで拭うのならば、片腕。

装甲の嵌められた五指を、人差し指から小指まで、順に握りしめる
最後に親指で畳んだ拳が、革を鳴らし、メイラの中の甚振られた筋肉が肉を食べて癒え、さらに強く繋がったと確信できる。
ニィッとその歯列を噛み締め、令嬢らしからぬ凶悪な笑みを浮かべなはら下げられたのなら、脂を洗い流すように。
目の前の樽ジョッキに注がれた葡萄酒を受け取り、喉を鳴らすこと3度。

満足気な吐息を漏らしてはマスターを見て、相も変わらず好戦的な印象の笑みを浮かべ。

「とてもおいしかったですわ。」

機嫌よく、満ちた表情を浮かべてみせた。
腕を組んで、黒髭を蓄えた太増しい腕の店主も、鼻息で応えてみせる。
今は肉で満たした余韻を楽しむように、メイラも大人しく葡萄酒を傾け続けるようだ。

メイラ・ダンタリオ > 食事と酒を終えると、足元の包を背中に背負う
弓 剣 はたまた槍か 布で隠れれば未知になり、周りに想像を抱かせる
店を出るのなら、まだ火照りが続いている気がする中で、富裕地区へと……。

ご案内:「王都マグメール 平民地区2 酒場宿」からメイラ・ダンタリオさんが去りました。