2020/10/15 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区2 冒険者ギルド」にティエラさんが現れました。
ティエラ > 冒険者ギルド……普段は踊り子として、酒場を渡り歩く女ではあるが、冒険者としての登録もある。
時折、冒険者ギルドに呼ばれたとか、自分が必要として依頼を受けに来ることがある。珍しい事だが、依頼を受けた報告の為に、ギルドに戻って来た。
受付で依頼の結果と、証拠品である納入品を渡して、依頼の完遂の確認と報酬を受け取った女。
戻りがてらに、一枚の依頼書を目に留める。

「……あら……?」

珍しいといって良い依頼だ、他の冒険者も気を引かれるのか、依頼を見るが、然して、直ぐに視線を逸らす。
ただ、魔術師系の冒険者たちは集まり、ああでもない、こうでもない、と話をしている、己の理論を基にした解とやらだ。
それが、正しいのかどうかは、判らないが、依頼は張り出されたばかりに見える。
しゃらん、とブレスレットが金属の音を響かせ顎に手を触れて思考に耽る。

読み取れるのは、焦りに、不安。
依頼人の事に関しては、縁もあり―――親しい、友人だ。
人の前では、元気でいて、快活で、其れこそ元気の塊のような彼女だ。
このような依頼を出しているという事は、矢張りそれだけ切羽詰まっているのだろう。

情況?それとも、精神?どちらもかもしれない。
成程、と蒼い口紅で彩られた女の唇は小さく動いて、まじまじ、とその依頼の書面を眺める。

ティエラ > 「でも。」

小さく、愁いを込めて呟く女は、視線を依頼書から外して、腕をそっと己の胸の前で組んで、近くのテーブル席へと移動する。
椅子を引いて、腰を下ろし、そして、溜息を一つ吐き出そう。

「どの、私で、言えばいいのかしら?」

―――友人として。
―――魔女として。
―――仲間として。

複雑な思いだ、報酬というものを見て、彼女に対し、どの自分で声を掛けるべきなのか、と。
優しさは時には残酷にもなろう、善意は、重しにもなろう。
だからこそ、己と、相手を満足させるための報酬というものがある。
対価としての報酬があるのだと。

友人だから、と報酬を安くすると、彼女に要らない借りを覚えさせてしまうだろう。
魔女として、報酬を求めてしまうと、恐らく彼女に対して適切な物ではないだろう。
仲間として、報酬というものを求めようにも、冒険者同士の報酬の適切が判らない。

「困ったもの、ね。」

はふ、と、女はため息を一つ零し、切れ目の瞳を少しだけ伏せて。
再度、思考に耽ることに。