2020/09/25 のログ
■タン・フィール > 平民地区の一角、広めの草原となった空き地に建つテントは、
王都を巡って薬を売り歩く小さな少年薬師の住居兼・店舗でもあって、
そのテントの前には野外キャンプ用の焚き火が組まれ、ぱちぱちと薪が火で爆ぜる音と、
そこにかけられた小鍋の中から、飴を煮詰めたような香りが漂っていた。
「ふふ、よしよーしっ!…いい感じに、とろとろ甘ぁいニオイになってきたっ!…あたらしいお薬…
げんきにもなれて、カゼもなおせて、えっちにもなれる…『ほしい効果』どおりになるおくすり、
これ、実現しちゃったら、ちょっとスゴイかもっ!」
このたび少年が着手した新薬は、心身に欠けている・心身が欲する効果を与え、高める促進薬。
栄養が失調しているものには、欠けた必須栄養素を満たし、
睡眠不足の人間には、良質の睡眠導入と安眠効果、
毒や病に苦しむものには症状緩和と回復促進、
性的欲求を望むものには催淫・回春、妊娠促進、避妊など、
本人が無意識に、あるいは意識的にほしいと思った効果を体にもたらす新薬。
その試作品となる、甘くトロみのついた煮汁をひと匙ぶんすくって、
スンスンと匂いをかぎ、ぺろり、と舐めてみた。
「どれどれ、味と、効果は…?」
味を吟味し、効果を待つ薬師がのんびり過ごす空き地には、屋台のお菓子屋のように甘い香りが、
この薬の効果か香りを宣伝するように平民地区の歩道にふわふわ漂っていて…。
ご案内:「平民地区の空き地・焚き火キャンプ」からタン・フィールさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2 バザー」にイディオさんが現れました。
■イディオ > (平民地区の商業区画、その一角にあるバザーに、冒険者はやって来ていた。今回は、必要な物資の補給、先日の嵐で出かけられなかった、だから今のうちに買い集めて、明日以降の冒険にと、考えたのだ。
今必須のアイテムと言えば……回復用のポーションだ。常備はしているものの有って困る物ではないし、危険な依頼になると多く必要となる。
知り合いに、ポーションを作れる人がいるものの、コンタクトの取り方が判らない、そういえば、コンタクトの取り方を聞いていない。店があると聞いた方は、何処に店があるのかを聞いてない。もう一人の方はそもそも、同じく冒険者であまり絡まない。)
「―――完全に失策だよな、これ。」
(瞳に光の無い冒険者はぼやく、まあ、1000%自分のミスなので、何も言えない。頭抱えるしかないのだ―――と言うのは置いておき、バザーに来たのは、掘り出し物や安売りのポーションを探すため。
バザーであれば、他の冒険者が必要なくなったものを売ることもあるし、在庫処分の為に店が安く放出することもある。
ポーションが無ければ、それに代わるアイテムでも良いのだ、要は回復用のアイテムが欲しい、それに尽きる。一人での冒険が殆どの男だからこその悩み。
故に、冒険者は、バザーで買い物をすることを稀にする。
良い鎧などがあれば、其れも手に入れたいし、求めるものは多い、先立つものは、まあまあしかないが。)
■イディオ > 「――さて、と。」
(バザールだけあって、人通りは多く、そして、露店も多い。しかし、矢張り固定の店とは違い、品物は一品や二品が多い、冒険者が自分の必要の無くなったものを売りに出すと言うのだから、そんなものだろう。
これで大量に売りに出す冒険者がいるとすれば、基本は引退を考えている冒険者か、若しくは必要ない物を大量に買い過ぎたという愚か者。
将又、必要がないぐらいに大もうけしたとか、位だと、思われる。他にも理由がありそうな気はしなくもないがそれは、男の思考には残念ながら思い浮かばない。
大事な事でもない、今から必要なのはポーションとか、回復のアイテムとか。)
「回復し続ける腕輪とかそういう物があれば―――。」
(自分で行ってないな、と思う、治療のアイテムや装備などは普通に高いというか、必須アイテムでもある。それこそ、魔導士などの高位エンチャンターに知り合いがいた上で、大量の素材に金額をつぎ込んだうえで作ってもらえるかどうか。
遺跡の中にあれば、大当たりといって良いアイテムだ。
遺跡の中と言えば、心当たりはなくもない、無いのだが―――、行きたくはない。
理由は簡単で、そんなものを手似れてしまえば目立つこと請け合いだ、目立ちたくはない。
背に腹は代えられないので、その時はその時考えようと思うのだが。
通りを歩きながら、一軒一軒、露店を眺め、売っているものを、ワンドだの、スクロールだのを、眺め行く)
■イディオ > 「うー……む。」
(光の無い目は、品物を吟味するように眺めて次へ、次へ、と移動していく。鑑定眼などはないけれども、必要な物かどうかはある程度は判る。冒険者が使う道具などは基本的には同じだし、それに、軽く何のアイテムか、と言うのは書いてあるからだ。
矢張り、欲しい物はない、ポーションでも、回復用のそれ等を売るような人は少ないし、売っているのは基本的に店で買うよりも割高だ。
効果が高いのかどうか、其れに関しては、書いてあるわけではない、冒険者がモノを売ると言うのはそういう事だから。
飛びつくほどに、金があるわけではない。それに……鎧の修繕などの金も必要なのだ、矢張り、直ぐにという訳には行かない。
はぁ、と溜息を一つ漏らしてから、別の店に視線を向ける、冒険者の道具だけ見てるわけにもいかないし、何よりも腹が減って来た。)
「何か摘まみながら、考えるか。」
(幸い、此処は露天だ、食事を売っている露店もある、串焼き肉とかエールとか。そういったものを軽く買い込んで、袋に入れてもらいながら持ち歩き、もぐもぐしながら店を眺める
そう言うのも、すごく楽でいい、美味い物をくい、腹を満たしながら、男はさて、と呟く。
店、無いな、と。正確には、欲しい物を売っている店が、だが。
矢張り、回復ポーションは固定の店舗に言って買うのが王道かと、ぼやき、もぐもぐ串焼き肉を齧り、進む。)
■イディオ > (袋一杯に買い込んだ肉串、タレで味付けられていて、濃厚な旨味と、たれの味でとても旨い。紙袋に触れる焼き立ての温かさもまた良い。
一本引き抜いて、モクモクガジガジ、肉を食って、串を戻して新しい串を。
味が濃いので、一寸ばかり飲み物が欲しくなる。とりあえず手近な露店で、ジュースでも勝手それで、喉の渇きを癒そうか。
搾りたての果実のジュースを買って、それを一気に干して、器を返す。ふい、と軽く息を吐いてから再度肉の串を齧る。
その間にも、一応眺めるが……やはりほしいと思えるような道具は見つからないのだ、お、と思うものはいくつかあるが、それは高い。
しぶしぶとした様子で男はそれらを諦めて、次の店へ、と。)
「むぐ、むぐ。」
(仕方がないと思うが、そろそろ潮時だろうか、時間もそれなりに経っているので、店を閉じる人も多くなってきていた。
とりあえず、食事を終えて、もう一回り見て回って終わりにするか、と、適当な場所にベンチを見つけて腰を下ろす。
もぐ、もぐ、もぐ、もぐ。
串焼き肉を取り出し、齧り、食い終わった串を戻し、それを繰り返す冒険者。
空は、それなりに暗く、紫紺の色に変っていた。)
■イディオ > (焼き肉の串を食べ終わり、紙袋の中身がくい終わりの串だけになった、男はそれを確認してから袋をひねって潰し、ごみ箱に放り込む。
ふぅ、と息を吐き出して、ベンチから立ち上がり、終わり始めている露店の区画を歩き始める。
見落としがないかの最終確認を兼ねた物であり、見つからなかったとしても仕方ないと笑って済ませる積りだ。
ポーションも、今現状二つはある、もう一つ持っておきたい所だと思うだけで、急ぎではないのだ。)
「また、明日から依頼をこなさないと、な。」
(昨日の嵐も酷かったし、未だにアスピダの件案は終わってない、薬草採取はまだまだ需要がある。それが判るから、男は軽く伸びをして、視線を宿の方に戻す。
稼げるときには稼ぎまくらなければならない。何時でも食い扶持があるわけではないのだ。
よっしゃ、と気合を入れて、踵を返して宿に向かうことにする。
イディオは、平民地区を去った。)
ご案内:「王都マグメール 平民地区2 バザー」からイディオさんが去りました。