2020/09/03 のログ
タマモ > 「さて…」

よいせ、と屋根の上に座り込み、新たな犠牲者を探す。
下は大通り、狙える相手は好き放題に選べる状況だ。
額の上に手を添え、眺めるような仕草。

露店の店員を狙い、耐え忍ぶ姿を見るのも良し。
警備兵を狙い、その後の動きを見て楽しむのも良し。
カップルの片方を狙い、どんな行動をするか、等もあるだろう。
そうした、二次効果を期待するのも、楽しみの一つである。
………うん、何だろう、本当に禄でもない狙いだ。

とりあえず、そんな感じだ。
のんびりと、少女は狙うべき相手を探っているのである。

タマモ > よし、決めた。
少女が、次に狙う相手を定める。

座り込んでいた場所から立ち上がれば、少し場所を変える為、とん、と屋根を蹴った。
ふわりと身を舞い上がらせ、別の屋根に、更に次の屋根に。
そして、その姿は、大通りの影になる、建物の間へと消えて行くのだった。

ご案内:「王都マグメール 平民地区のどこか」からタマモさんが去りました。
ご案内:「王都の路地」にタン・フィールさんが現れました。
タン・フィール > 「ううーっ… ここの道、ちょっとひとけが無くって、こわいんだよね…っ」

王都の一角…様々な露店や飲食店、雑貨屋が並ぶ通りの裏路地。
そこを、買い物帰りの小柄な薬師の少年が少しおっかなびっくりの足取りで歩んでいく。

普段、自前のテントで薬師として活躍している少年の手に下げたバスケットには、
粉末の香草やスパイス、きのこ、精油など薬の材料となる素材や食材がいくつか詰め込まれていて…。

それらは、貴族の御用達である、ある種の香水と同じように、
8割の良い匂い
1割の悪臭
1割の淫靡な香り…という割合の異様な芳香を漂わせ、
路地を歩んだ少年の軌跡となっている。

その香りに釣られて、時折路地からは野良犬や野良猫、カラスや…あるいは路地に潜む何者かが、
曲がり角からちら、ちら、と無防備な人影を盗み見て。

タン・フィール > 「―――んぁ? え…ちょっと、なに?」

ふと気配を感じて振り返ってみれば、少年がぶらさげたバスケットから撒き散らす強烈な香りに反応して、
野良犬や野良猫やネズミやカラスなどの路地裏の住人が、
ぞろぞろと路地の脇から様子を窺うように現れ始めていた。

「わわ、わっ…」

威嚇や攻撃的意思を感じない気配や追跡速度ではあるが、
その飢えたような表情やそわそわした様子にうすら寒いものを感じて、
そそくさと路地を歩む早さを増す。

それら野生動物にとっては、足早に背を向けて去ることこそがご法度だということも忘れての臆病な逃避に、
ぐるぐる、ナァオ、ぎいぎい、があがあ、
それぞれの動物が大小なりの狩猟本能を覚えて、彼らの追跡速度もあがってしまう。

「ひぇ、わわ、わああぅー!こないでーー…!!」

撒き餌になればといくつかの食物を籠からこぼしながら、
少年は脱兎のごとく駆け出し、路地から路地へ角を多く曲がって逃走を始めた。

ご案内:「王都の路地」からタン・フィールさんが去りました。