2020/08/19 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区2 大衆酒場「起床鳥」」にスピサさんが現れました。
スピサ > 平民地区一角 入口の外側までテーブルと樽椅子をつかって賑わう酒場があった。
店のシンボルは起床鳥のブロンズ
煙と炭火で灼ける音で人は惹かれ、酒と肴を望むだろう。

青肌人であるスピサもまた、人からすれば少し浮いた色であれどやってきた。
目元を覆う革の眼帯を身に着け、作業着兼一張羅なオーバオール姿で店内に入ると、脂の灼ける音と煙が漂っている。
込んでいる中、いくつかの空席があるカウンター側。
向かう途中、数人に声を掛けられる。

唯の挨拶から、景気はどうだい、と言われるものまで。
中には工房にやってくるなじみの客で、派手に凹んじまったんだと仲間の愚痴をいいながら盾を見せてくる。
両腕で端を持ち、左右裏を見ながらも凹みを直せばまだ使えると診断。
後日店にいくよ、と寿命を言われず、安く済んだことを受けホッとしている様子に頷き、ようやく座った。

「ふぅ……。」

季節柄まだ湿度も気温も高い。
手拭で首元や胸元を吹きながらも、白酒の発泡を瓶ごと頼めば起床鳥の部位を焼いたお任せに、白甘ネギを。

『はーい、スーさんお待たせぃ。』

ぶっくり太った頭にバンダナを巻いた若男が瓶と金属杯を置き、せっせと持ち場へ。
繁盛している様子に、白酒を注げば微炭酸に発砲したそれをグイッと煽り。

スピサ > 一人で静かに杯の中身を減らしていく。
注ぐ回数は緩やかで、やがて皿に手羽 胸 腿 皮に加えて首骨のスープ。

『はい、お待たせー味は濃い目の塩だったね』

炭火で皮目をバリッと。肉の脂が逃げないように焼かれ。焦げ目と油が刺すと音とにじみ出る照りがいい。
グローブを外し、二本歯で刺したそれが口の中に入ると、 パ リ ッ と音をたてた。
もぎゅもぎゅと脂身の多い腿を食べながら、杯の中身を傾ける。
気温や仕事場の熱で逃げた塩気が身体に沁みるよう。

手羽は関節で折り曲げ、骨が露出したところから嚙むと簡単に骨から抜ける。
味の濃いそれを食べると ほぅ と吐息が漏れるよう。

ぺろぺろと親指を舐めながら、綺麗に骨になるまで口の中で外れ、カランッと転がるそれ。
途中で出された切り身の柑橘をぶしゅっと一部に絞った。
酒精が進みながら、追加で歯切れ菜を頼みながら肩ポンされ、あいさつや杯を触れ合わせることもある。
そろそろ口の中が潮だらけに感じたら、首骨のスープを取り。

「ふー……ふー……ズズッ ん、おいしい。」

いい出汁がでている。
首上は力が一番詰まっているというから、よりそれも感じるかのよう。

スピサ > 食事を終え、酒ものみ、体に塩もいきわたった。
暗くなってからやろうと思っていたことをしようと会計を済ませる。
ただ、熱いものを口に入れていたせいか暑い。

水浴び場にでもいこうか。
それとも軽く井戸で汗でも流そうか。

「……ご馳走様です。」

会計を済ませ、酒場から抜け出すと少しだけ涼しかった。
夜風が肌を覚ましながら、また考えることは武具の鍛錬のこと。
頼まれているのは修繕や砥ぎが主。
新作を作ることは余り無い。

愛用している武具なら猶更にそうなってくる。
盾が後日くることも決まったようなものだから、済ませられるものを済ませてしまおうと、工房への道へと戻っていき―――。

ご案内:「王都マグメール 平民地区2 大衆酒場「起床鳥」」からスピサさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にスバルさんが現れました。
スバル > マグメール王国の平民地区の中にある大通りの中、人々の雑踏の中に紛れて一人の少年が足を進める。
体躯は然程大きいとは言えず、同年代と比べても小さく痩せているといって良い体格だ、その服装は、子供服で男の子用のものだからこそ、男の子だと判るような体格。
顔立ちは―――少し隠れていた、というか、少年の髪の毛は、この国では珍しい黒い色、長く長く伸ばされていて、肩口まで伸びており、顔を隠している。
口元はあどけなく、幼い物で、子供だからだろう中性的にも思えるから、服装でしか性別が判別できないように見える。
そんな彼は、バックパックを背負っていた、そのバックパックは少し大きめで、中に色々な食材が入っていて、買い物帰りだということが判る。

「今日は、少し、一杯買えた。」

小さく零れる声は、周囲の誰にも聞こえないだろうそれであり、広がらずに融けて消えていく。誰にも聞こえないようにつぶやいているから当然ともいえる。
今日の買い物を終えて少年は、自分の家に戻るところ。
時間は夕暮れ時に差し掛かり、他のご家庭でも食事を作り始める時間なのである。
少年の家は、基本的に誰も居らず、少年が家事を一手に担っている、そして、食事も基本一人だ。
家に家族が返ってくることが稀であり、だとしても、家の人の分を作るのは日課で、作った分を消費するのは少し大変である。
なので基本作る物は長持ちする食事で、保存庫においておけるもの。
今日は、八百屋とお肉屋さんがおまけしてくれたので、少し多く買い物ができた。
だから、何を作ろうか、と料理の腕がどんどん上がる少年は、少しだけ、うきうきするのだった。

スバル > 沢山買えたという事は、荷物が普段よりも重いという事でもある、少年はバックパックに背負って歩いているのだけれど、その見た目に違わぬ非力で、直ぐに疲れてしまうものだった。
大通りの途中に噴水があり、広場がある、色々な人が行きかう場所で休息所であり、国からの掲示板があったり、イベントの会場に成ったりするところで、待ち合わせの場所でもある。
そういう場所にはベンチが設置されていて、道行く人が疲れたときに腰を下ろして休むことの出来る場所だ。
少年は、そのベンチの中一つに腰を下ろして、ふぃ、と吐息を吐き出した、カバンの中からタオルを取り出して、たらりと零れる汗をぬぐい去る。
周囲を見回せば、道行く人々、自分の事を気にすることなく様々な表情を見せて歩いていくのが判る。
そんな楽しそうな中に交じることができない少年は少し羨ましそうに眺めてから視線を逸らす、余りじろじろ見ていたら誰かが見とがめて因縁をつけてくるかもだから。

身体的に弱ければ、さらに、気も弱い。
友達のいない少年としては、こういう場所は来るのはとても怖いのだ。
生きるために頑張って頑張って、商店街のお店の店主さんとは、少しお話しできるそれだけの少年。
うつむいて、足元を唯々、なんとなしに眺めつつ、疲れが取れるのを待つ。
少し喉が渇いたので、何か、飲もうかな、と考える。

スバル > こういう休憩する場所には、露店が多く集まる。それは簡単で、人が多く歩むし、人が多く休憩する。そんな所においしそうな露店があればどうだ。
食べたくなるし飲みたくなるものだ、それに、喉が渇いたりしている時にはそういう物はちょうどいい。
なので、集まっている露店を眺めやる、少しでも優しそうな人で、買い物で着そうな値段で、飲み物と。
色々な露店があり、大声で元気に呼び込みをしているのが見える、喉が渇いたし、果物を絞ったジュースとか良いな、と思うのだけど。
まあ、果物ジュースはそれなりに高い。安くても良いや、と思いながら、きょろり、きょろりと周囲を見回す。
髪の毛が負いんふいんと動く奇妙な形になろうか。
本人はそれが普通なので気が付いてなくて、それでいて、不思議な光景となっていた。

「……!」

そして、一つの屋台に気が付く、値段は安そうで、果物のジュースを取り扱っていて……怖そうではない人。
あれにしよう、と少年はとことこ、と近づいて。
しどろもどろに注文を行い、何とか、リンゴのジュースを獲得。
元のベンチに戻って、ちびりちびりと飲む少年、リンゴのさわやかな甘さが喉に心地いい。

スバル > 暫くの間、くぴり、くぴり、とジュースを飲んでいた少年。喉の渇きもなくなり、ぷは、と息を吐き出して、コップから口を離す。ジュースはもうからっぽで、木の器だけが残る。
飲み終えたので、少年は先ほどの屋台に木のコップを返して、ベンチへと戻る。
少し重たいリュックサックがあるが、それを持ち上げて背負うことにする。

「さ……かえろ。」

家に戻って、ご飯を作らなければいけないし、もしかしたら、誰か家に帰ってきているかもしれない。
だから、少年は家に帰ることにする、自分もお腹減ったし、ご飯を作って食べなければいけない。
周囲をもう一度見るのは、ほんのちょっとの寂しさか。
楽しそうにしている家族連れを眺めて。口の中で、良いな、と小さく。

―――視線をそらして、少年はとことこ、と歩き去っていくのだった―――

ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からスバルさんが去りました。