2020/06/15 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区2 冒険者ギルド」にティアフェルさんが現れました。
ティアフェル >  べた。

 冒険者ギルドの依頼を張り出す掲示板に許可を得て依頼書を張り付けた。
 その上で掲示板の前に陣取り、笑顔で自ら勧誘。

「あ、手空いてたら、ぜひ……お願い。よろしく、ね?
 忙しい? そっかぁ……引き受けてくれそうな人とか……知らない? そう……あ、ごめんごめん、お疲れ様ー」

 張り出した内容は野良犬駆除の依頼。最近平民地区に出没するとある野良犬に悩まされていてそいつを誰かお願いだから駆除してプリーズ、と思い詰めてやってきたのだった。
 支払える報酬も安いし、その割には当該の犬を探し出して駆除、と妙に手間がかかるもので、張り出して置いた所でスルーされる率が高い。
 ゆえに依頼主自ら、手の空いていて引き受けてくれそうな冒険者を物色。

「あの、良かったら現物支給なども応じるので……ポーションとか、薬とか……なんならヒールとか。
 だから、ねえ、誰か……いないー?」

 内容の割には切迫したような。それこそモンスターの襲撃に遭った村を救ってください、という程切実な表情で自ら訴えかける犬恐怖症ヒーラーが一人。

ティアフェル >  なかなか、話を聞いてくれる冒険者もいない。そりゃそうだ。野良犬退治なんてやりたがる者なんて稀だ。百も承知だが、最近出没する真っ黒な野良犬が見かける度に追いかけてきて、外出もおちおちできない。
 このままでは生活に支障が…と恥を忍んで冒険者の立場でありながら掲示に乗り出した。しかし世間は甘くない。
 誰も興味を持ってくれない……と打ちひしがれながら。いやまだわたし諦めない、と。

「誰かー、お願いー、依頼受けてぇぇー」

 掲示板の前、縋るような情けない声をだしてなりふり構わず懇願タイム。
 あいつ正気か……?と後ろでこそこそ蔭口が聞こえる。でも、まだ粘る。わたし粘れる。平穏な日常を取り戻すため、体面とか外聞とか恥とかいろんなものを犬の為に棄てる。フルスイングで路上に叩きつける勢い。

ご案内:「王都マグメール 平民地区2 冒険者ギルド」にエルさんが現れました。
エル > 何やら賑やかな、もしくは騒がしい、そんな冒険者ギルドの扉が開かれた。
現れたのは、小奇麗なワンピースドレスの上に、それに見合わぬ使い込まれた軽鎧を着込んだ一人の少女。
布に包まれた棒状らしき何かを携え、スタスタと一直線に掲示板へと歩み寄って来る。

そうすれば、当然だが側に居る女性の姿も見える訳で。
掲示板の前で足を止めつつ、そちらへと顔を向けた。
その姿を見れば、気になるのは当たり前だろうから。

「えっと…貴女?どうかしたの?」

掲示板に張られた、ある依頼の依頼主とはまだ知らない。
だから、不思議そうに首を傾げながらも言葉を掛けたのだ。

ティアフェル >  犬くらい自分でなんとかしろよ、情けねえ……とどこかでもっともな呟きが響いて、キッ、とそっちへ振り返ると、

「それができれば苦労しないでしょーよー!
 所詮犬が怖くない奴にはわたしの気持ちなんか分かんないわ!
 分かって堪るかー!
 何なの?! 後現物はわたし自身とかそういうこと?! それなら請けるパターン来る?!――こんのかい!!」

 報酬にアタシ作戦も勿論不発だ。自棄になって口走ってみたが、方々から「ないわー」と失笑のさざ波。
 がく、と項垂れて柱に片手をついて薄暗い空気を漂わせながら。

「渡る世間に鬼はなし……? いや、渡る世間はオーガまみれって感じ……」

 そう嘆いていた――一人コントとも云う――最中、掛けられた声に、振り返って。

「………」

 ドレスに軽鎧…という少女の姿を見て。徐につかつか近づいていくと、がし、とその細い双肩に手を置こうとしながら。

「犬、倒してくれない?」

 単刀直入過ぎて云われた方は意味が分からないだろう、切実な一言を真っ向から藍瞳を見据えながら訴えかけた。

エル > 何か賑やかだな、と思ってただけで叫んでる内容はちゃんと聞いてなかった。
そんな賑やかな女性が表情をコロコロ変えてたり、項垂れたり、そんな姿がちょっとだけ面白いとは思っていたけど。

そうして、改めて言葉を掛けてみたのだけど。
その言葉の答えの代わりみたいに、振り返って、近付いて来て、伸びる手が両肩に添えられる。
続いての一言に、勿論意味が分からずにキョトンとしてしまう。

「え?犬?その、犬って、魔物だったりとか…?」

その意味を理解しようと考えるように、首を傾けたまま口元に指を当てて。
やっぱり理解が出来なかったらしく、女性の訴えに質問で返してしまうのだった。

ティアフェル >  少々異様な空気感を漂わずギルド掲示板前。
 残念な女と名高いヒーラーは存分に冒険者たちにせせら笑われていた訳だが、声を掛けて来た少女に、もう本当に誰でもいいからお願いしますな追い詰められた気分で犬退治を直接交渉。当然意味不明そうな反応と声が返ってきて。
 魔物かとの問いにふるふる、と首を左右に振って否定し。

「ううん、野良犬。平民地区に出る推定雄の野良犬。わたしは漆黒の凶星と呼んでいる」

 そんな返答を聞かされた所で事情を把握できるかどうか怪しいが。ありのままに主観満載な説明をして。

「お願い、もうあなただけが頼りなの。もちろんお礼はするわ。少ないけど……足りなければ現物ヒールでも現物ポーションでも。
 わたしの日常に救いを…!」

 切迫していることは間違いないが内容と重要度が釣り合っていなかった。完全に悪いドラゴンを倒してください、というようなノリでの懇願であった。

エル > 向けた質問に対する女性の答えを聞いて、再び考え込む仕草。
相手は野良犬、何だか凄い呼び名が付けられているみたい。
必死な様子を見れば、この女性がよっぽど困っているんだなって事は分かって。
そして、自分はそんな困っている人を簡単には見捨てれないのだ。

「分かったわ、私で良かったら協力してあげる。
でも、駆逐ってのはちょっと犬が可哀想かな…
それ以外でどうにか出来る方法とかじゃ、駄目?」

でも、依頼として受けてしまえば駆除をする事になる。
だから、協力をするとの形での提案をしてみるのだ。

ティアフェル >  さっきから個人的に切実極まりない依頼は総スルーされるかせせら笑われるかしかしておらず、真面に取り合ってくれたのは彼女が初めてだ。
 これを逃したらもう詰む。と本当に恥も外聞もかなぐり捨てて真摯な目を向けてお願いしていたが、考え込んだ彼女から色よい返事が聞こえては。ほんと?!と一気に表情を明るませ。

「ありがとうありがとう!!
 よろしくお願いします!
 うーん、駆除する以外の方法ってあるの?
 わたしはとにかくソイツがうろつかなければそれでいんだけど……」

 野良犬の里親でも探すのだろうか? 見つからない気がする。動物の行動を制限できる方法なども思い浮かばないし、帰巣本能があるはずだから遠くにやっても戻ってきそうだ。
 どうするんだろう?と小首を傾げつつも。

「ともかく、請けてくれるなら心底助かるわ。
 わたし、ティアフェル。ヒーラーなの。あなたは?」

 交渉が成立、ということになったならまずは自己紹介、と名乗り。

エル > 協力の申し出をすれば、その表情がパッと輝くのが目に見えて分かる。
やっぱりちょっと面白い人だな、と少し失礼な事を思いながらも、ニッコリと笑顔を返す。

「うん、野良犬に悩まされてるって事は、近付かなくすれば良いのよね?
自分で試した事はないんだけど、そんな話を聞いた事があるから、参考程度にはなるかなって」

それでも、喜んでくれている事は純粋に嬉しくて。
小首を傾げ、自己紹介をする彼女に笑顔のままで。

「こんな事を協力するのって初めてだけど…
私は槍使いのエル、よろしくね?ティアフェルさん」

自己紹介を返しながら、握手を求めるように左手を差し出す。

ティアフェル >  笑顔になるその顔はまだあどけなく、かわいらしいもので。
 そんな少女にすら助力を請うという大層情けない現状だが、とにかく安堵して。その肩におきっぱだった手に気づいてようやく下ろすと。

「そう、ね。そういうこと。なんだかわたし、犬が怖いっていうのを向こうにも悟られるらしくってしょっちゅう追われてるのよ。
 近づかなくする方法なんてあるのね?」
 実証したことは……ないのかー……」

 参考程度と聞いて少々表情が曇った。
 駄目だった場合はどうしようかと心配そうにしつつ。

「協力ってか、わたしいーっさい犬には近づけないから、完全に任せることになっちゃうけど…大丈夫かな?
 エル…ちゃん? よろしくね。ティアでいーわ」

 槍…と聞いてその手に持っている物がそれか、と考えながら彼女の手を握って軽く振り。親し気に笑いかけた。

エル > この件においては、彼女が思うような考えはしていなかった。
誰だって苦手なものの一つや二つはあるのだから。
自分だってそうしたものを前にすれば、彼女のようになるのかもしれないのだ。
そう考えれば、お互い様だって思えるもの。

「怖いのに追い掛けて来るなんて、本当に大変ね。
大丈夫、私も頑張るから。
とは言っても、頑張るような事でもないんだけど。
あ、私は困った事がないから、やった事がないだけ。
その人は、やったらちゃんと来なくなったって言ってたから。
もし効かなかったら、また違う手を考えるわ」

自分の言葉に少し表情を曇らせる彼女に、慌てた様に手を振って付け加える。
そして、それが失敗しても、ちゃんとその後も責任を持って対応する事も伝えて。

「大丈夫、だって貴女が居ないとちゃんと成功したのか分からないもの。
一緒に居てくれるのが、貴女なりの協力、ね?
ちゃんと追い掛けてきても守ってあげるから。
あ、うん、よろしくね、ティアさん」

任せて、と自分の胸をトンと叩いて意気込みを示す。
握った手は振りながら、お互いに笑顔を交わして。

ティアフェル >  ここにいる他の冒険者のように犬ごときで情けない、と笑ったりもせずにちゃんと話を聞いて請け合ってくれる少女の背に後光が差してみえる勢いだ。ここにいる全員見習え、と声を大にして云いたいが自重。

「分かってくれる……? もしかして人間の皮を被った天使…?
 エルちゃん…! なんていい娘なの…! 弟の代わりにこんな妹が欲しかったわ…!
 お願いね、お願いね、本当にもうあなただけが頼みの綱…!」

 力強く握手を交わして感銘を受けたように目を潤ませて崇めるような視座を注いだ。大袈裟な犬恐怖症の残念女。
 彼女の言葉にすっかり安堵して最初の不安感は取り除かれ。

「そっか、なるほど……。分かったそれなら。
 エルちゃん……、素敵過ぎる。
 なんてかわいいの、なんていい娘なの、ちょっとハグしていい?」

 胸を叩いて宣言する姿にやはり後光。眩し気に見つめては、感動を拗らせてうるうると両手を広げ始めるヤバイ女。

エル > 事の成り行きを全て見てなかったので、彼女のその気持ちは分からないけれど。
自分は自分の素直な気持ちで、相手と向き合うだけである。

「え、あの、天使?
あ、えっと…そうね、私も貴女みたいな姉だったら欲しいかなって思うわ。
うん、期待に応えられるように頑張るから」

どうしても彼女の表情の切り替わりに対応し切れない。
ちょっとした戸惑いは見せるものの、安堵した様子にこちらも胸を撫で下ろす。

「うん、お願いね?
あの、でもちょっと褒め過ぎじゃないかなって。
私はそんな大層なものじゃないわ?
えっと、ハグ?問題は無いけど…」

そういった言葉の連発に慣れていない、ちょっと照れた様子で困り顔になってしまって。
両手を広げながらの要望に、こう?みたいな感じで自分も手を広げてみせた。
そのまま抱き付いてこれば、素直に受け入れるだけである。

ティアフェル >  おかしな女でしかないが、少女の対応は暖かい。ありがたい。
 ささくれた気持ちが癒されるようで目をおっとりと細め。

「わたしの中ですでにエンジェルなんですけど。
 本当? なら嬉しい。我ながら犬嫌いの犬ヘタレだけど、仲良くしてね」

 かわいい女の子が優しい。世の中棄てたもんじゃないなと感じる瞬間。犬絡みとなるといちいち大袈裟なリアクションが目立つ女だが至って本心で。感動続行のまま。誉め過ぎと云われてはそんなことないと即首を振り。

「だってこれまでわたしの必死の訴えはガン無視どころか、失笑よ?
 あなたみたいな心優しい子が存在している世界にバンザイ。
 いい? わあい、柔らかーい。いい匂ーい。かーわーいーいーぃ」

 やってることがセクハラ親父もかくや、だったが同性で年齢も近いことが幸いして、至って難なく受け入れられて、手を広げてもらったので、はぐっ、と抱き締めて心地よさげに目を細め。見た目でも分かるが抱き締めるとスタイルの良さが良く分かって、良い発育で…としみじみ感じた。