2020/06/07 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区 酒場」にアミスタさんが現れました。
アミスタ > 多種の依頼内容を記した羊皮紙がコルクボードに打ち付けられている。
筋骨逞しい男や、見るからに業物であろう剣を携えた女や、様々な冒険者がそれを見ている。
彼らにとって、王国の現状は即ちかき入れ時だ。元よりギラついた目を更に眼光強め、やがて得られるだろう金と名誉に期待を馳せている。

その一方で。コルクボードの端の方。
目立たぬ位置に追いやられた、割の良くない依頼群──難しくも無いが稼ぎも悪い──の前には、少女が一人居るだけだ。

「……即日払い……無い、な……こっちは──〝護衛任務、一週間かけて南方へ〟……これも駄目」

周りの冒険者と比べれば随分華奢に見える少女は、眉間に薄く皺を寄せながら依頼書を読んでいる。
どうにも、直ぐにも金が得られるような依頼を探しているらしい。
が。今日に限って依頼書はどうも、仕事が終わるまでそれなりに時間が掛かるか、報酬の支払いが幾日か遅れるものしか見当たらなかったのだ。

「……マスター。すぐお金になるの……無いの……?」

無い、と短い言葉であしらわれて落胆の溜息。
数ゴルドの硬貨で安酒を買い求め、舐めるように少しずつ胃に落としながら、コルクボードをじっと睨む。
無論、睨んだから依頼書が記述を改める訳は無く。寂しい懐の事情は変わらない。

アミスタ > 最終的に──少女は妥協に至った。
凄腕の冒険者ならばさておき、人並みに届かぬ力量では、誰もが敬遠する残り物にありつく他は無いのだ。
数日がかりのキャラバン護衛。何十人もかき集めて、道中飯は食わせる代わりに報酬は端金──
そんな依頼で満足する事にして、当座の食い扶持を確保する。
もう少し強ければ──と嘆くも、せんない事であった。

ご案内:「王都マグメール 平民地区 酒場」からアミスタさんが去りました。