2020/05/28 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にフィリアさんが現れました。
フィリア > 「んー……こう言うのって必要になるよね」

冒険者ギルドの近くにある武具店の一角。
普通の冒険者ならば見るような剣や槍を見る訳ではなく眺めるのは重厚な手甲。
手に取り重さの確認や試しに装着し指の動かし具合を確認したりとして。

「指はやっぱり少し……でも丈夫さは丁度いいかも」

数度軽くではあるが掌を叩くようにすると引っ張られるような感覚はあるが重さのせい。
これぐらいでいいか、それともほかにもっと良い物があるかと…篭手ばかりを眺めて。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」にセイン=ディバンさんが現れました。
セイン=ディバン > 「……ふむ」

武具店の店内、やや隅の地味なコーナー。
あまり品数も無い、短刀の陳列を見ながら、男は一度小さく声を漏らす。
並んでいるダガーを手に持ち、軽く握っては首をかしげ、棚に戻し。
ちょっと横にずれて、別の短刀を、などとやっていたのだが。

「……おや?」

そこで、自分以外の客の姿を目で捉え。
男はジャマにならないようにどこうとするのだが。

「……お嬢ちゃん。何か探し物?」

男は、相手にそう声をかける。
武具店で商品を見る、というような人物は。
やはり、多少なりとも荒事に関わっているような人物なのだろう、と。
そう判断し、歳若い少女に対して、少し興味が出たからの声かけである。

フィリア > これだと重いけど防ぐには良いかも、これだと指先が動かしやすいけど強度が…。
手に取った篭手を一つ一つを確かめてどれを買うのかと悩み。

「……はい?それって私?」

たった今持っていた重すぎる籠手を元に戻し次に手を伸ばし。
突然に声をかけられ自分なのかと目を向けて。
そこに居たのはどこかで見た気がしなくもない男性。
それはそれと脇に置いて。

「武器を探しにですけど?」

武具店でそれ以外にあります?と不思議そうに見返して。

セイン=ディバン > 「そう、キミ」

私? と返答されたので。
改めて、そう、キミだ、と声にする男。
男は短刀を棚に戻すと、しっかりと相手に向き直り。

「あぁ、それはそうだよな。すまんすまん。
 ただ……武器を、という割には。
 今、やたらに篭手を見ていたような気がしたからさ」

まず防具を買ってから武器を選ぶタイプなのかな?
そう考えつつ、男は相手の姿を観察する。
どこかで見たような気がするのだが、記憶の奥底に確信めいたものは無く。
しかして、まったく見知らぬでもなく、といった感じ。

フィリア > 向きなおるとやっぱりどこかでと考えるが思い出せず。
こんな店で会うのだから冒険者なのだろうと。

「あ、そう言う事?
私にはこれが武器であってるんだよ」

他人からすると篭手は防具、しかし拳で戦う自分には立派な武器。
丈夫で殴りやすいものを選んでいたが他人には防具選びに見えたのだと判れば手を打ち。

「あ、それはそれとして…丈夫で指の使いやすい篭手のお勧めってないかな?」

セイン=ディバン > 相手同様、相手の姿に見覚えはあるのだが、と考えている男。
しかし、会話が成立しはじめれば。
あまり考え込む姿を見せるのも失礼か、と考えて思考を切り替える。

「……ふむ。あぁ、つまりそういうことか?
 キミは、言葉通り。それを武器に闘うってことか」

相手の言葉に、男は微かに驚いたような表情になるが。
すぐに笑顔になり、確認するように相手の拳を指差す。
男自身、拳を武器に戦う者たちのことを知らないでもないが。
目の前の少女がそういったスキルの持ち主だとは、すぐには思い至らなかったのである。

「そうだなぁ……。キミの予算次第になるんだけど。
 これと、これ。それと、これ辺りはオススメだな」

相手に問われれば、男は三種類の篭手を手にとって見せる。
一つは、金属の面積は少なく、革をベースとした軽量のもの。
一つは極めてシンプルな金属篭手だが、歴史のある工房で作られた、信頼度の高いもの。
そしてもう一つは、やや重い、重厚な造りのものである。
どれも扱いやすさは同じくらいではあるが、金属部分が多くなればなるほど値段は上がり。
また、重量も順に増していく。しかし物自体はどれも信頼できるものであるのは確かだ。

フィリア > 「そう言う事。素手だとどうしても限度があるからね」

驚いた顔の男性にそんなに驚く事かと考える。
拳で戦う冒険者も多くはないがいる事はいる、ただ自分がそう見られていなかった事。
ある意味当然の事が浮かんでいなく。

「この前に稼いだところだから予算はあるかな。
それがお勧めなんだね」

見せられた3種類の籠手に目を向けてじっくりと吟味。
軽量の物からバランスがよさそうな物、重く丈夫そうな物を見比べて。
最初に軽いものを選びそうになるが威力もあった方がと悩み…。
結局は一番最後の重厚な篭手を手にして。

「これで様子を見てみるかな。
ありがとう……ええと……?」

そこで初めて名前を知らない事に気が付いて。

セイン=ディバン > 「なるほどな。
 しかし、篭手をつけて、か。
 確かに、ソッチの方がどんな状況にも対応できるな」

素手よりも、グローブを。グローブより篭手を。
より強固なものを装備していたほうが、いざという時に対応しやすい。
なれた者なら、篭手で攻撃を捌ける、という話を思い出し。男は納得したように頷く。

「そうか。まぁただ……。
 指の辺りの扱いやすさだと、やっぱりこの三つになるかな」

男の知っている中だと、この三つが扱いやすさに長ける。
後は好みの問題だろう、と見ていた男だが。
相手が一番硬い造りの物を選べば、へぇ、と声を漏らしつつ。

「見立てたものを気に入ってもらえるといいんだが。
 ……あぁ、俺はセイン。セイン=ディバン。
 冒険者だぜ、お嬢ちゃん。そういうキミは?」

相手の言葉の淀み方から、名乗っていないことを思い出し。
男は、自己紹介をして一礼。
そのまま、相手にも名前を尋ねてみる。

フィリア > 本当はずっと素手でとも考えていたが素手ではゴブリンにも苦労すると実感した仕事。
それで少しでも威力を増やそうという考えであるがそれは口にはせず。
篭手を使えば戦い方も少しへのうしないといけないのは気が付いていなく。

「一々付けたり外したりは出来ないから。
指が使いやすいのにしたかったからね」

選んだ篭手を装着して指を動かし軽く腕を振るい。
少し振り回されはするがこれなら大丈夫そうと。

「これで何か仕事を受けて試してみるね。
あ、セインさんって言うんだ。
私はフィリアだよ、だからお嬢ちゃんは禁止」

名前を聞くと名前だけは知っていてこの人がと見て。
そうして名乗り返して笑みを見せて。

セイン=ディバン > 「なるほどなぁ。……俺はさすがに拳で、ってのはムリだからな。
 なんていうか、勉強になる」

男にしてみれば、篭手は防具。
なので、使いやすさよりも、硬さなどを優先して選ぶことばかりを考えていたのだが。
相手のような選択の仕方もあるのだな、と思い。素直に勉強になった、と言う。

「あまりムチャしないように、ちょっと軽めの仕事がいいと思うぜ。
 フィリアちゃんか……あぁ、覚えた。
 お嬢ちゃん、とはもう呼ばないようにしよう」

相手の笑みに、男は苦笑し。
失礼した、とばかりに頭を下げる。
相手が篭手を選んだのなら、男は短刀を一本手に取り。
そのまま、店主へと近づいていき。

「おーい、会計頼むわ。
 これと……あの子の篭手も一緒に」

そうして、男はそう店主に頼み。
二人分の会計を一緒にしようとする。

フィリア > 「拳って結構安上がりなんだよ。
先行投資をしとけば……だけど」

それに同じ武器でもやはり物によってバランスなどが変わるという問題もなく。
それなりに硬く使いやすければ篭手ならば直ぐに手に入る利点もあると。

「それは勿論判ってる。毛無理なのは受けないよ。
私もセインさんって覚えたよ」

頭を下げられると首を左右に振って気にしていないと見せ。
それじゃこれを買おうとするが先に男性が店主に近づくので次に買おうと財布を取り出すが。

「え、ええ!ちょっとセインさん。
私は私で払うから」

何故か払おうとしているのを慌てて止めて。

セイン=ディバン > 「……そうかもしれないがなぁ。
 その先行投資、ってのが曲者だよな」

例えば、良い篭手をつけていたとして。
技量が伴わなければただの防具。
拳を主体に闘う、というのは生半可な道ではなく。
相手がある程度実力がある、というのが、男には直感できた。

「ならいいんだがね。
 馴染みじゃない武器、ってのは。トラブルを引き起こすからな」

これは単純に冒険者としての老婆心。
相手の実力に関わらず、なれない武器、というのは。
時に予想外のトラブルを呼び寄せることがあるのである。

「いやいや、それをオススメしたのは俺だ。
 もしその篭手がフィリアちゃんに馴染まなかったら困る。
 返品できるような状態だったらいいが、そうでなかったらただの無駄遣いだろ?
 だから、ここは俺に払わせてくれよ」

もしもその篭手が馴染んだのならば、次に出会ったときに払ってくれればいいしさ、などと言う男なのだが。
もちろん、金を受け取るつもりはない。
男のこれは、同業者の若者に対しての施しのつもりであり。
いわば、餞別、といったところなのである。

フィリア > 「拳の先行投資は武器を使うよりは安いよ?
訓練場で人形を殴って、後は人を殴ってればいいし?」

訓練用の木偶を壊す事もほぼなく。
しかも訓練相手もあまり困らないと考えに一部危ない所はあるは安上がりを強調。
しかし腕前は新人よりはマシな程度。

「それに元々、合わない仕事は受けないから」

メインは安全な討伐系、後は害獣駆除などがメイン。
妖魔駆除などは前回でこりて当分は良いかなと…。

「馴染まないなら馴染むまで使うだけだし。
返品は無理かな……、それじゃ…」

合わなければ訓練所で馴染む間で殴るのだが押されてしまい。
防具ではなく武器で扱うので一度使えば傷だらけ、返品など出来る筈なく。
それなら…と好意に甘えることにして。

セイン=ディバン > 「金銭面はそうでも、技術面がな。
 ほら、オレって見ての通り貧弱だし」

あはは、と笑いつつ。男は掌を振ってみせる。
結局のところ、武器を使って今まで生きてきたので。
素手での戦闘は、それこそ素人レベルなのであるからして。

「そりゃあたいしたもんだ。
 それが出来ない冒険者ってのはいっぱいいて。
 まぁ、大抵痛い目見るからなぁ」

自分もそうだったけど、と笑う男。
力量に合った仕事を選べる、は。
冒険者にとって重要な資質の一つである。

「それだったら、馴染むまでのあいだ。
 キミは実力を十全に発揮できない、ってことになる。
 ……あぁ、こういう時は、素直に受け取っておいてくれ」

くるくると舌を滑らせ、相手を説得する男。
そうして、二人分の代金を支払うと、男は短刀を懐にしまう。
そのまま、男は相手のほうを振り返り。

「……あぁそうだ。フィリアちゃん、これから暇かい?」

そこで男は、相手に向かって笑顔を見せ、そうたずねてみせる。

フィリア > 「そう?セインさんなら大丈夫そうだけど?」

多分だけど自分よりも余程に強い冒険者に見え。
それなら少しの苦手程度ならどうにでもしてしまいそうに見え。

「ほんの前に失敗してるからね。
一緒に行ってくれた子が居なかったら危なかったんだよ。
私にはまだまだ欲を出すのは無理って判ってるから」

既に失敗しましたと空笑いを零してしまう。
だからこそ今は変に上を目指すよりより足元をと告げて。

「それはそうなるけど……。
えと、それじゃ遠慮なく」

男性の言う事は確かにその通り。
それだけに簡単に説得されてしまい、買って貰った篭手を早速腕に付けて。

「この後?ごめん、この後はアルバイトなんだ」

冒険者だけで生活も出来ず、そのほかの仕事があると告げてはごめんと手を合わせて頭を下げて。

セイン=ディバン > 「いや、それは買いかぶりすぎ。
 長く冒険者やってると、クセってのはどうしてもなぁ」

実際のところ、拳での戦闘もやればそれなりにはこなせるのだろうが。
武器を持って闘っている時のクセが出てしまえば、どこかで致命的なミスをしかねない。

「そうなのか。でも、それは幸運だったな。
 仲間が助けてくれた、っていうなら。
 次はキミがその子を助けてあげればいい」

固定のパーティに参加していない男としては。
一緒に冒険してくれる相手、というのはなかなか羨ましい話である。
しっかりと地盤を固めようとする相手の姿は、男にとっては好感の持てるもので。

「うんうん。年寄りからのプレゼントは受け取っておくもんだぜ」

相手が素直に受け入れてくれるのなら。
男は笑顔でそういい、大きく頷く。
相手が篭手を装備するのを見れば、なるほど、似合うな、なんて感想。

「そうか、じゃあ仕方ないな。
 良ければ食事でも、と思ったんだが。
 また日を改めて誘わせてもらうよ」

相手の謝罪には、気にしていない、というように手を振り。
冒険者で食っていくのは、なかなか厳しいからなぁ、という風に呟く。
男だって、今でも小さな仕事を数多く請けたりしているくらいなのだから。

フィリア > 「そこは長いから出来そうな気がするんだけど…」

今までに拳以外は薪割りの斧と包丁ぐらいしか武器になりそうなものは使った事がない。
なのでクセと言われてもピンとこず。

「それは勿論だよ。でもその子とは臨時だったんだよね。
そうそう、その子のに頼まれたんだけどね。
セインさんもミレー族は良い人たちだって広めてくれると嬉しいな」

固定じゃなとそこは困った顔で首を振り。
基本はソロか臨時に参加するだけだがそれなりに組む知り合いはいる。
そう言う仲間ともっと地力を上げるのが今の目標。

「取りよりって程じゃないよね?でもありがたく」

これでもっと頑張れると膠着した篭手を見下ろし。
少しの違和感はきっとすぐになくなるだろうと。

「本当にごめん、お誘いは嬉しいんだけどね。
ギルドに良くいるからタイミングが合えばかな」

食事は残念だけどバイトもサボれず。
次は大丈夫そうならと頷いて。

セイン=ディバン > 「長いからこそ、クセが染み付いちゃっててね……」

極端な話、殴り合いの最中。
集中が切れている時に、武器を手にしている時の射程の感覚で拳を振ってしまう。
そうなってしまえば、隙を晒すことになってしまう、というような話である。

「そうなのか。臨時でも、同行者がいるのは羨ましいよ。
 うん? ……はぁ、まぁ。そりゃあいいけど。
 オレも、ミレー族の知り合いはいるし……」

ミレー族が良い人である、と広める。
男としては、それは普通の認識であるが。
それを広める、ということは。何らかのミレーの重要人物が知り合いなのかな? などと考えてみる。

「いや、もう十分歳……。
 あぁ、遠慮なく受け取ってもらったほうがこっちも気分が良い」

目の前の相手に比べれば、もう十分歳だから、と言いつつ。
相手に笑顔を向け続ける男。

「ははは、別に謝らなくっていいって。
 そうだな。じゃあ、今度機会があれば、ってことで」

そもそも、食事と労働なら、労働の方が大事である。
なので、男は笑顔のまま、タイミングが合ったら、な、と。
軽い口約束に留めておいた。

フィリア > 「そういうモノ?」

自分には自覚はないが男性が言うならそうなのだろうと。
誰かと組む時はその辺りの気にしないといけないかと考え。

「本当に運がよかったんだよね。
そっか、それならいい人って知ってるよね」

知り合いがいるなら大丈夫そう。
そう軽く考えてお願いと頭を下げ、少しでも恩人の頼みに応えようとして。

「そんなことなさそうだけどな。
うん、大事に使わせてもらうよ」

大事にしますと返し、年じゃないけどと納得は出来ずに。

「その時はお酒がない所でお願いね。
それじゃ私行かないと。今日はありがとう、セインさん」

軽い約束に一つだけお酒は駄目と付け加え。
そろそろ行かないとバイトに遅れそうだから、またと告げると少し急ぎ足で武具店を後にして。

セイン=ディバン > 「そういうもの」

うん、と頷く男。まぁ、男の場合……。
あまり戦闘のセンスが無い、というのも影響してはいるのだが。

「そうか。良縁は貴重だからなぁ。
 まぁ……うん。ごく一部、アレなミレーもいるとは思うが。
 基本的にはミレーに対しては好意的だと自負している」

多くのミレー族は、善良である。
ソコについては男は疑っていないのだが。
どんなものにも例外はあるからなぁ、などと苦笑し。

「いやいや、そうでもないんだって……。
 あはは、大事に使うのもいいけど。
 武器なら、メンテ前提で多少手荒にも使わないとな?」

新品の武器を大事にしすぎて命を落とした冒険者。
なんて話も、珍しくはなかったり。

「あぁ、わかった。酒の無いところな?
 あいよ、気をつけてなー」

酒のないところか、と頭にその言葉を入れ。
男は、店を後にする若者を見送り。
その後、自分も店から出て、食事を取りにいくのであった。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からフィリアさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からセイン=ディバンさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にクライシュさんが現れました。
クライシュ > 「くわぁぁぁぁ~~~……。」

かなりくたびれたように、男は大きなあくびを一つ。
ベンチに座り、のんびりと時間がたつのを待っていたといえば聞こえはいいが、それは何もすることがなかったの裏返し。
冒険者ギルドに立ち寄り、依頼がないかと探してみたものの、自分向けの依頼は少なかった。

大きな剣を背負った男は、今日は一日この町にいた。
傭兵としての仕事があるわけでもなかったし、冒険者としての仕事もいまいち。
薬草採取や、探し人の依頼などはあったものの、そういったものはどうにも性に合わない。
血なまぐさい仕事ばかりしてきた男は、それのみに特化した仕事スタイルをしているのだった。

「ミレー族狩りなんてのも気が進まねえしなあ…。
いっそのこと、盗賊退治みたいな仕事でも、舞い込んでくれないもんかねえ。」

そんな一人ごちた男は、体をベンチに預けて空を仰いだ。
もうすぐ雨期に差し迫ろうかという時期だが、珍しく夕焼けがしっかりと、空を鮮やかに彩っていた。

クライシュ > 気が付いたら、すっかりと夜が更けていた。
酒でも飲みに行くかと、男は立ち上がり坂場方面へと向かった。

ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からクライシュさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にリザさんが現れました。
リザ > 其処は、歓楽街にある宿屋兼酒場──の裏手。
大人が三人横に並んで歩くのは難しかろう、という細い路地だった。
少年は古びた空樽の上に座って、片膝を立て、片脚を投げ出している。
横手にはメモ帳が置かれているのだが……
今日ギルドで請け負った依頼は、このうら寂しい路地を通る者のカウントだった。
依頼主は役所のどこぞの部署だった筈なので、恐らくきちんと意味のある仕事なのだろう。
──意味があるにしても、恐らくは少年にとっては縁の遠い世界の話だろうが。

リザ > 前回人が通ったのは、何分前だったろうか?
何十分前だったかも知れない。その時は酔っ払いで、その前は客と腕を組んで歩く街娼だった。
少年は暇そうに、投げ出した片足を揺らしている……
が、別にネガティブな感情は抱いてはいない。
少々退屈なことは事実ではあるものの、きちんと報酬が支払われる仕事なのだから不満など無く。
性格的に、こういう地味な仕事が性分に合っているのだろう。
横に垂れた尻尾で、腰掛けた樽の側面をぺたんぺたんと叩き、リズムをとる。

リザ > そろそろ日付が変わろうか、という時刻になって、少年は漸く横のメモ帳を閉じる。
後は、日付が変わる前にギルドへ足を運んで、それを提出するだけだ。
樽の上から身軽に飛び降りて──

ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からリザさんが去りました。