2020/05/07 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」に涼華さんが現れました。
涼華 > 平民地区の一画にて、一軒屋の扉の前に佇む男。
貸家となっている其処は一家族住むには十分な大きさ。
手にした鍵をドアの鍵穴へと差し込めば、カチャリと錠の開く音がした。

「……何やら先客がいらっしゃるようですが」

ドアノブに手を掛け、一瞬動きを止めた後に零れた独り言と微かな苦笑。
何となれば、空き家のはずな屋内から僅かに物音がしたから。
鍵が合ったのだから、土地貸しに紹介されたのは確かにこの家で違いないはずなのだが。

何処かの窓が破れていて、其処から動物が入り込んだのか。
宿無しのお方が住み着いているのか。
取り合えず、鼠が大運動会をしているので無ければ良いな、とゆるり、ドアノブを回して引けば、蝶番の軋む音を立てて開く扉。

涼華 > 屋内へと一歩踏み込めば僅かに埃が舞う。
するりと手提げの紐を右手首に引っ掛け、左手は手提げの口に添えたまま、緩々歩を進めて一室、また一室と見て、確認して回り。

「貴方でしたか……」

その内の、一室の入り口で立ち止まり、見つけた先客に思わず目を開き、ぱちりと瞬き、後に破顔一笑。
此方を見返す猫は床上に寝そべり、クッションの端に付いた紐飾りを咥え戯れていた。

手提げの口から離した片手、すっと着物の裾押さえるように膝下へ添えて屈みこめば、猫は逆に立ち上がり此方へ近づいてくる。
そっと手を伸べ優しく撫でれば、ゴロゴロ鳴る喉。
人馴れしている。
ならば近くの住民が餌をやっているのか、或いは出入り自由の飼い猫なのか。

鼠や不法侵入者の類で無くて良かった、と安堵の一息漏らしては、やんわりと猫の毛並みを指先で撫で。