2020/04/01 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区2 食堂」にリリトさんが現れました。
リリト > 時刻は昼食時を丁度過ぎた頃だろうか、
地元で評判の大衆食堂では看板メニューとして大食いチャレンジを用意している。
成人男性でもなかなか食べるのが大変である量の料理を大皿いっぱい、時間を決めて食べるのだが
多くの人間が挑戦して返り討ちにあってきた。

そんな店にまた一人、挑戦者が現れる。
奇妙な革のピッタリした衣服を纏った線も細い少年である。
おどおどした態度で大食いチャレンジを注文するので、間違えたのかと店員は疑ったがそうではないらしい。
そうして注文通り大食いチャレンジの料理が運ばれる。
さすがにこれは無理だろう、と誰もが思ったのが少し前……

なんと少年は驚異の速さで大盛りの料理を平らげていったのだった。
これには周りの人間達は誰もが驚いて腰を抜かす。
ゆうに成人男性5人前は料理を平らげたはずの少年は、それでもまだ物欲しそうにフォークをくわえていた。

「あ、あの……おかわりもらえますか?」

リリト > 結局リリトはあと3人前程追加して、店の人に見送られて去っていった……。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2 食堂」からリリトさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にナータさんが現れました。
ナータ > 「んっ……んーー……」

夜の帳の下りた平民地区。
貧民地区との境にほど近い安宿の一室
簡素なベッドの上で少女は目覚めて伸びをした。

このところは昼夜逆転した生活を送っている―――
理由は、単に日払いの仕事が夜間であるから。
何でも臨時で人が足りぬ―――確か出産だかなんとか―――で
娼館の受付嬢なんぞをしているのだから。

危険も考えたが、何よりその娼館は同性向け―――所謂百合娼館
とのことで、二つ返事。

別に娼婦のお姉様方とどうこう、というつもりはなかったが。
普段の手紙などの郵送よりも給料もよく、とはいえまだまだ贅沢はしない。

少しばかり娼館も落ち着いた、ということで休みを与えられたが。
こんな時間に起きては何をどうできるはずもなく
掛けていたペラペラのコートを羽織ると、夜の平民地区へと歩き出した。

ナータ > 「まだちょっと……夜は寒い、かな……?」

季節は春へ移ろった、とはいえどこか肌寒い。
コートを羽織って良かった―――まあ、安宿に余計なものを置いておくなんて暢気な真似はしないが―――
等と思いつつ、行く当てもなく。

お腹も空いているし、今目覚めたばかりだし。
もう少しうろついて、適当な―――とは言いつつ選択肢は多くない―――飯屋にでも入ろうか、と大事にポケットの中にある全財産を握り、確認し。

何かないか、と辺りをきょろきょろ窺いつつ。

ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にマコさんが現れました。
マコ > いったいいつぶりだろうか、この町に帰ってきたのは。
ずっと長い間、いろいろなところを転々としていていた。

路銀が尽きれば、そこで日雇い的なことをして路銀を稼ぎ、宿をとってしばらくとどまってみたり。
また、気が向いたら風の向くままに船に乗って旅をしてみたり。
様々なものを見て、聞いてきたマコがこの町に帰ってきたのは、つい今しがたの事だった。

少しばかり肌が冷えるのは、季節のせいもあるだろう。
まだ春先、夜間ともなればそれなりに冷えるのは致し方がないこと。

「へっくしっ!」

と、盛大なくしゃみをしてから、鼻をこする。
一応女の子だから、鼻水を垂らすなんて無様は晒したくない。
特に、もし覚えている通りならばこのあたりは、夜間でも人通りがないこともない地域のはずだ。

あの宿、まだ残ってるかなぁ。
安いけれども、ご飯がおいしくて割とベッドも良質なあの場所。
残ってたらいいなぁ、などと風景を楽しむように、後ろ手に腕を組んでゆっくりと歩いていくマコの表情は、どこかうれしそうで。

「やっぱり、この町が一番住みやすいんだよなぁ……。
ボクの冒険者登録、まだ残ってるかなぁ……。」

ナータ > 「うーん、うーん……あっちのスープセットか……それともあそこの肉ポテトか……」

普段と変わらぬ景色に飽きたのか、やはり空腹が気になるのか。
既に頭の中ではどの店に入ろうかがぐるぐる回っていた。
贅沢する余裕などない。安くてそれなりに美味しい幾つかの候補を思い描いて。

「ふえぇ……?」

思わず立ち止まり、不思議な声が出てしまった。
向こうの方から誰か―――聞き間違いでなければ女性のくしゃみが聞こえたから。

よく見れば薄暗い通りの向こうに人影があった。
それが大きくなる、とはつまり近づいているということ。
とは言え、そこまで興味があることもなく歩を進めて
思わず見つめてしまった。

それは自分とそう変わらない背丈なのに、自分とは全く違う女らしい体形になのか。
それとも、見慣れない―――少なくとも少女は見たことの無い服装に目が行ったのか。
それとも―――?

ともあれ少女は立ち止まり、近づいてくる姿を見つめ続けてしまっていた。

マコ > ここの通りをまっすぐ行って、少し右に曲がったところ。
詳しい日にちはもう覚えていない、何しろいつこの町を出たのか覚えていないから。
でも、帰ってきたこの町の通りはほとんど変わっていない。

ここにあの店があって、ここのクレープはおいしかったなぁ。
あそこのパンは、確かサンドイッチが美味しかったはず。
夜なので、すでにほとんどの店は店じまいしてしまっているから、明日ちょっと回ってみよう。
店の人は、きっとボクのことを覚えていないはずだ。
だから何食わぬ顔で買って、公園のベンチで。

そんなことをずっと考えながら、にやにやと笑みを浮かべながら歩いていた。
服装は、この町でもずっとこの格好だった。
愛用の槍は買い替えたけれども、ほとんど同じ形のもの。

「…………あ。」

そんな、緩みっぱなしの表情だったから見られていたのか。
その、興味津々というべき表情の自分と同じような背丈の女の子。
そのこと視線が、目と目ががっちりと合ってしまった。

「…えーっと……はろー?」

どこの国の言葉か、そんな挨拶とすごく恥ずかしげな表情。
その表情で、右手を挙げてあいさつ。

ナータ > 少女はつい最近―――とはいえ数か月は経過していたが
この街に来たばかりだ。
未だ思い出、と呼べるようなものもなく
それより日々生きることに精一杯で、街の移ろいなどに気を向ける余裕はなかったが。

富裕地区と貧民地区の狭間―――故に平民地区なのであるが
時に情に篤く、時に冷淡。
来るもの拒まず、去る者追わず的な部分もある。
「この街出たってロクなもんになりゃしねえ!」
とは酔っぱらったダメ親父が誰にともなく口癖として向ける言葉。

「あ、え、あ……は、はろぉ……?えと、こ、こんばんは……」

目と目が合ってしまった。
自分がぼんやりと見つめていたことを自覚した。
それが異性であったなら、すみませんっ、と慌てて向けて走り去ったろうが。

相手は何処か気の抜けた、どこぞの挨拶のような言葉を向けてきたから。

不思議そうに繰り返した後、慌てて挨拶の言葉を返した。
今の仕事―――娼館の受付―――で営業スマイルもそれなりにできるようになったが
今は慌てていたから。
普段のようなどこかおどおどとした小動物的な反応で、真似るように小さく右手を上げながら。

マコ > 思わずしてしまったあいさつ、かなり不思議そうに見られていたから、ついしてしまっただけ。
元々、人付き合いはそこまで苦手というわけじゃなかったから、少しだけ咳払いして見せた。

おそらく、とてとて、という擬音がぴったりな足取りだろう。
年齢で言えばそこまでは慣れていないと、思いたい。
身長がさして変わらないから、という理由なのだが。

「アハハ……ごめんね、変なあいさつしちゃって。
ボク、つい最近この町に帰ってきたばっかりだからさ…。」

今の時間でこのあたりを歩いている人はいないと思っていた。
このあたり、この時間になれば酔っ払いなんかがよくあらわれる場所だから、特に丸腰の女の子がいると危ない。

それに、確かもう少し奥に行けばすぐに貧民地区につくはず。
あそこは今も危ないところなんだろうか、そんな考えを頭の端に追いやりつつ、近くまでよって、視線を合わせた。
背が向こうのほうが若干低いと思ったけれども…視線を合わせたら、ほとんど一緒だった。

ナータ > その場を誤魔化すためなのか、咳払いして空気を変えんとする相手。
そのまま気圧されることなく近づく間も、少女はどこか不思議そうに
興味深そうに見つめていた。
変わった服装を。
変わった髪形を。
変わった色の瞳を。

「あ、えと……いえいえ……えっと、お帰り……なさい……?」

何故そんな返しをしたか自分も分かって居なかったが。
帰ってきた、と言われたのだからお帰り、とほぼ反射的に返していた。

「って、は、はじめまし、て……?えと、ええっと、私は……最近、でもないの、かな?田舎からこの街に出てきて―――」

とある理由で、少女は故郷を飛び出した。
紹介になっていないような自分の境遇を告げて、フと気づく。
すぐ目の前に相手の顔があった。
紅と漆黒の混じったような瞳が。
背丈はほぼ同じでも、方やグラマラス
方や幼児体け―――将来に期待できる体型であったが。

マコ > 小動物のような印象を受ける。
どこかおどおどとしているしぐさに、ちょっとだけ可愛いと思ってしまった。
体形はそこまで意識していないものの、可愛いしぐさは嫌いじゃない。
背中に大きな槍を抱えてても、やっぱり女の子だから。

「へー、そうなんだ……?田舎からね…?
でも、こんなところにいて大丈夫なの?このあたり、そんなに治安よくなかった気がするんだけど…。」

覗き込む赤い瞳は、少々特殊な力を持っている。
なのであまりのぞき込むのはいけないのだが…覗き込んでいる。
服装や、そのあたりが変わっているのは自覚していたから、さして気にしている様子はない。
笑みを浮かべているその表情は、久しぶりの街の会話に少しだけ嬉しそうで。

「このあたりの田舎ってどのあたりなんだろう、山のほうかな?
それとも……いや、これはないかなぁ…?」

一瞬だが、ミレー族の子かななんて思った。
偏見というものは、マコには存在しないものの、この国の風習くらいは頭に残っている。
だから、こんな時間に一人でいるのかな、なんて思って居たりもした。

ナータ > 「あはは、確かに……そんなに治安はよくないですけど、もう慣れちゃいました……?って言うのかな……」

普通に考えて、少女が夜の路地を一人で歩くなど安全ではないだろう。
それでも少女にとっては、貧民地区でホームレスのような生活を送っていた時に比べれば安全、と言うほかなかった。
そんなことまで相手に告げる必要はない、と
少し気恥しそうに頬を指で掻きながら。

覗き込まれるような視線、そこから逸らすことはなかった。
もしかしたら「逸らせなかった」のかもしれないが。
然程力を込めていなければ、その影響は薄いか。

「北の……シェンヤンに近い、村……です」

何処か少女の眼差しがぼんやりと、陶酔するようなそれになっていた。
視線の効果か少女は「素直」になっていた。

少女はミレー族ではないが―――
少女がこの街に来た理由。
普通の相手には決して語ることの無いそれ。
少女は当たり前のように自分の故郷を告げていた。

マコ > 慣れるほどに、この町にいるということなのかなと、マコは思った。
住めば都とよく言うが、この町も治安の問題に目をつむれば、かなり住み心地はいいほうだ。
何しろご飯が美味しいし、人も一部を除けばとてもいい人ばかりだ。
自分も仕事さえあれば、美味しいご飯を食べて寝ることが十分にできる。

明日はお仕事探そうかな、と思っていた。
しかし、この子の表情を見るに…ちょっとだけ、心が躍った。
そういえば最近、まともに『ご飯』を食べてないなぁ、なんて思ったから。

マコの瞳が、妖しく光りだす—————。

「ふーん、シェンヤン近くの村なんだ…珍しいね、ここの街で。
国境超えるの大変だったでしょ、検問所もあったはずだし。」

いや、そうでもなかったのかもしれない。
何しろ、この町から出たのはもうそれなりに昔のことだ。
何人かは見かけたものの、印象に残っていないということは、そこまで見かけたこともないのだろう。
マコの、面倒な考えはすぐに忘れられるという特殊能力が発動し、その考えはあっという間に霧の中へ。

「ねえ…名前教えて?ボクはマコっていうんだ。君は?
それに、どうしてマグメールに来たの?」

瞳を覗き込んだまま、マコは質問を繰り返す。
名前を聞き、そしてさらに核心へと質問を投げかけていく。

ナータ > 少女は冒険家でもなんでもない一市民。
戦闘能力などなく、悪者に狙われれば身を護る術もない。
今まで然程怖い思いをしなかったのは単に運が良かったのか―――

少なくとも、背負う槍を見る限り相手は戦えるのだろう。
そんな相手からすればか弱く見える少女であった。

「この街に……来るので、必死だったから……昔、ずっとちっちゃな頃に、この街にきて、それで……」

少女の返事は幾分語尾が間延びしているようにも聞こえたか。
視線は相手から逸らさない。
逸らせない。
なかなかに「効き」も良さそうで。

検問は、普通に通過していた。
相手がそこに居た時とは全く違い、安易に通れるようになっていた。
相手の言う超えるのが大変な検問、があったのは果たしていつの時代か。
今の少女が問うことはなかったが。

「名前……ナータ……マコ、さん……マグメールに来たのは……
ちっちゃな頃、この街に、来た時、見た人たちに、憧れた……から……」

名を告げ、相手の名を繰り返し。
そして返した理由は具体的ではなく。
それでもどこかほぉ、と吐息を零す様子は
それまでの小動物のような少女とは違い、どこか艶を帯びたようなそれで。