2020/03/10 のログ
■イグナス > なにはともあれ、お構いなしって感じで暫く食事を続けているのだった――
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からイグナスさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にタン・フィールさんが現れました。
■タン・フィール > 王都の平民地区の一角で、ふらふらとおぼつかない足取りの小さな薬師の少年。
黒髪は汗ばんだ額に張り付き、赤い目を細め、
は…っは…っと子犬のように吐息を荒げて、
数歩歩いては路肩の壁や民家に背を預け、またなんとか歩き出す…哀れな行軍速度で、
自宅・兼・自らの店であるテントへの帰路を急いでいた。
「…っは、 ぁ、…っはぅ…もぉー…お薬屋さんの言うこと聞かないお客さんって…ヤんなちゃう…っ」
ほんの数分前のこと、男女混成の冒険者の一団に依頼された、
傷薬と毒消しと…そして彼らの夜の生活を彩る精力剤や媚薬を無事に作り、売り終えた矢先。
少年の目の前で説明していた用法・用量をないがしろに、
豪快に薬をぶちまけ、飲み干し、あたりに撒き散らして「おっぱじめ」てしまった強者たちの乱痴気騒ぎ。
あやうくその狂宴に巻き込まれかねない状況から、脱兎のごとく逃げ出しては来たけれど、
彼ら彼女らの撒いた薬品の香りや飛沫が、徐々に少年の小柄な肉体を熱で蝕んでいる有様で…
酔っ払ったような状態は、全く不本意な精力増強と興奮によるもの。
「あのオトナたち~~~っ…どうなっちゃっても、しらないんだから…っ。」
■タン・フィール > 「っは…ぁ、ん… っくぁ… やっば、ちょっと、座りたい、かも。」
自分のテントまであと5分ほどの距離…にもかかわらず、妙に長く、遠く感じてしまうほどの身の疼き。
今すぐこの場にうずくまってしまいたい欲求がありながら、
往来でそれを避けたい気持ちもあり、公然と休めそうな場所を視線が探って…
ふと、路地に面した木製のベンチが目に止まり、ふらふら足をもたつかせながらなんとかそこまでたどり着くと、
どさ、と小さな身体を重たげにベンチの背もたれに投げ出して
「―――っふう…っ …ついてた…っ。
…ええと、このお薬…どのくらいまで効き目、あるんだったかな…。
~~~…っふ、ぅ。」
時間が経てば効力が薄れていくはずの媚薬。
使用用途を考えると、1~2時間の持続が妥当だろう、ただ、脳と脊髄と粘膜が、
ほかほかと茹だって、刺激を求めて疼くのに耐えるには、その程度の時間でも今の少年には膨大に感じられて、
うつろな視線で空を見上げながら途方に暮れる。