2020/03/04 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区の通り」にフィルさんが現れました。
フィル > 夜も更ければ吹き抜ける風は肌寒く、人の流れは酒場が並ぶ通りへと移っていくことになる。
それでも、まだ疎らに大通りにも人の往来が見受けられるのは、夜風も穏やかであり。
多少肌寒さが、ここ数日の中では比較的抑えめということもあるかもしれない。
その分酒場などが並ぶ区画を抜ける通りの賑わいはいつもよりも多く。
店の中から聞こえる喧騒だけではなく、店の外ですら飲み歩いている人々が、賑やかさの後押しをしていれば、近くに住んでいる住民には騒がしいとすら思われていてもおかしくないだろう。
ただ、それほど賑わっていれば、昼間の大通りほどではないとはいえ、追加のもうけを狙ってか、露店はチラホラ店と店の合間に点在しているようである。

「人が多い時は…この辺りもありですね」

そんな人が行き交う賑わいの中、少年はフードをかぶることもなく。
点在する露店へと、時折視線を向けてはぽつりとそんなことを零しては、また足を進めていくようである。
行き交う人々はただ多いのではなく、既に出来上がっているような人も多ければ、平民地区とはいえ用心に越したことはない。
よそ見をしている人や、話に夢中になっている人にあたったりしないようにと、気を付けてはいるようだが。
少々不規則な人の動きに翻弄されては、よたよたとした足取りをしてしまうのは、少々頼りなく見えるかもしれない。

「あとは何か面白いものでも…」

ちょっとした掘り出し物や、露店場所のチェックといったところのようである。
美味しそうな料理の香りなどがお店から零れてきても、あまり反応を見せることはなく。
露店を見かければ少年は人の合間を縫って近寄り。
少し並んでいる商品へと目を通せば、また次の場所へと繰り返していく。
もっとも掘り出し物のほうは、あまり少年にとって気になるようなものに巡り合えていないようであり。
繰り返していれば少しずつ、注意力が落ちてしまっていることが、人にぶつかりそうになったりとしてる様子から伺えるかもしれないが。

フィル > 「っと、すみません…」

当然人の通りが良い場所に、露店を出す人は多いのである。
人通りが夜でも多いとはいえ、通り自体の広さは大通りに比べて狭く。
人の出入りが多い、人気がありそうな酒場の近くともなれば、密集具合も上がるのは当然だろう。
流石に通りに並ぶ店舗ではなく、露店へと意識を向けていた少年は、人へと向けていた注意が落ちていたのもあり。
ぶつかりそうになっては、慌てて頭を下げる羽目になったようである。
どうやらその場は穏便に過ぎたようだが、そのおかげで少し戻った注意力はいつまで持つだろうか。

「こっちは男性…こっちは女性なら割引…化けるのもありかも?」

気を取り直して歩を進めていけば、露店だけではなく。
声をかけてお客を呼び込んでいるようなお店は、男性に声をかけている傍ら、女性には割引を行っているところもあり。
便利なほうの性別に化けてしまえば。
なんて考えが少し浮かんでしまったのは、少年もそこそここの町に慣れてきたからといえるかもしれないだろう。
いい露店があまり見つからず、少し疲れてきたとせいか、少年の思考は変化でのお得な買い物に移りつつあるようであり。
普段はあまり足を運ばない、高い酒場などの女性割引の呼び込みや看板に、露店を多少意識しつつも、興味を向け始めたようである。

フィル > 「あの辺まで行ってから…ぐるっと回ろう、かな」

半分露店、半分割引のいいお店に意識を向けてそのまま歩いていくことしばらくである。
ちょうど足を踏み込むのにいいお店も、気になるような露店もなかったようであり。
これといって大きな収穫はなかったようだ。
ちょうどいい区切りをつける様に、少年は大分進んだ道を軽くふりかえり。
改めてまだ少し続いている道の先へと視線を戻せば、次の横道がある場所までにしたようである。
気が付けば大分減りつつある人気のおかげで、帰り道のほうが歩きやすいくらいかもしれず。
特に問題なくそのまま目的地点まで進んで、帰路へとついていったか―

ご案内:「王都マグメール 平民地区の通り」からフィルさんが去りました。