2019/12/28 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にタピオカさんが現れました。
タピオカ > 日没がすっかり早くなった。
貧民区にほど近い酒場の夜。

外気の寒さに身震いし、お酒であたたまって行こうとする労働者や冬の厳しさに阻まれて街に籠もる冒険者、物流についての商談をまとめようとやってきた商人たち。
寒さに青ざめていた面々も、エールと食事で活気と饒舌を取り戻していた。

「こんばんはー!空いてるお席へどうぞ!
――はーい!お待たせしました!骨付き照り焼きチキンにシーザーサラダです!
――あっ、はーい!エールジョッキですね、只今お持ちしまーす!」

そんな賑わいの中で褐色肌のウエイトレスがにこやかに動き回って声を張っている。
いつも依頼を仲介してくれているギルドの世話役から「今日は知り合いの店を手伝ってくれねえか?」とお仕事を紹介してもらったのだ。
冬季は旅に適さないし、王都内での冬の仕事を探していたのでちょうどいい、と二つ返事をした半日後。こうして生き生き働いていた。

たまには剣を振り回さない仕事も楽しい。
足元軽く、厨房とテーブルの間を何度も往復しては来客に笑顔を向ける。

……しかし、ギルドの世話役からはあえて知らされなかった事実がある。この店は単に食事と酒を提供する酒場のようでいて、実はウエイトレスへのお触りや客への手奉仕、口奉仕をも提供する実質的な風俗店でもあるのだった。

さっきからお客さんの手が衣装によく触れるなあ、と内心小首傾げつつも、接客を楽しそうに続け。

タピオカ > いつもはモンスターや野党を相手に格闘し、今日は数多の注文とエールとご馳走の盛られた銀皿との戦いである。
命のやりとりはしなくて良い分、ウエイトレスとしての頭の回転力が求められる。メニューの名前や数量に会計。
上段下段、片手両手と武器の位置や持ち手、足の立ち位置を変える動きにもちょっと似ていて。これはこれで訓練になりそうな気がする。

ありがとうございましたー!またのご来店お待ちしてます!
……と、店長から説明された通りの文言でお客さんを見送った後に、また新しい人影が店先に現れる。
何名様ですか、と笑顔で尋ねる前にそのお客さんたちは一番真ん中のテーブルについていた商人たちの胸ぐらを掴んで放り出し、強引に自分たちの席にしてしまった。

酒だ、酒もってこいとがなりたてるガラの悪い客人たちは3人。早速まわりの客に絡み始めている。
ぽかんと口を開け。どうしたものかと店長のほうを見る。
口ひげに小柄な店長はそれとなく、こちらへ向かって両手を合わせ。何かを頼んでいるようだ。唇の動きは、「追っ払って」である。

そんな彼に小さく笑みかけた。
もしかしたら、こういう事を予測して冒険者である自分をウエイトレスとして雇用したのかもしれない。そう思う。

「あのー。お客様。他の方のご迷惑になりますので……」

口調ばかりは丁寧に、3人のうちで一番偉そうな大柄な男へ声をかけた次の瞬間、褐色肌のウエイトレスからは蹴りが飛んでいた、とか――

ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からタピオカさんが去りました。