2019/12/05 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からシムニさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区のどこか」に玉藻さんが現れました。
玉藻 > 日の沈みかけている、そんな夕の刻。
王都マグメール、平民地区にある通り、そこに幼女は居た。
…まぁ、居ると言うか、その姿は物陰に隠れ、見えない訳だが。

「ふふんっ、妾を捕まえようなんぞ、まだまだじゃのぅ」

無駄に、こう、偉そうな呟きを漏らす幼女。
そう、そんな物陰の幼女の視線は、少し離れた曲がり角。
ある人物が消えた、その場所へと向けられていた。

なぜ隠れているのか…言うまでもない、悪戯をして、見付かって、今回は逃げられたから。
前回は不覚にも捕まってしまったが、同じ失敗は繰り返さない…と、思う。

ぴこぴこの揺れる耳、その人物の足音が、離れたのを確認すれば、音に集中していた意識を切った。
もう大丈夫、そう確信したからだ。

「さて、今日はもう満足じゃ。
そろそろ時間も時間、拠点に戻り、美味しいご飯じゃな!」

むふーっ、と物陰から出てこれば、言葉通りの満足そうな笑み。
ぽむぽむと着物の汚れを叩き、拠点である宿へと戻ろうか、そんな考えを。

ご案内:「王都マグメール 平民地区のどこか」に織部 京華さんが現れました。
織部 京華 > (別に不意打ちを狙っていた訳ではない。この時間の女の一人歩きは何かとトラブルを招きかねないので、無力な少女の常として自然と足音を殺す様な形で歩いていただけの事。そんな少女の目の前に、ゆらゆらと蠱惑的に揺れる卵色の太尾。)

「――――タマ、ちゃん……?」

(思わず声が漏れてしまった。つい先日、感動の再会を果たした狐娘。しかし、その時の彼女はともすれば今の京華よりも年上と思しきすらりとした身体つきだったのだけれど、今、目の前にある後ろ姿はセピアに色褪せつつある記憶の中の彼女のまま。それゆえに困惑し、年の割には大人びた落ち着きを見せる切れ長の双眸を瞬かせ、どこか遠慮がちな風情でその後姿に近付いていく。)

玉藻 > 今日、悪戯をした相手は、どれも普通の一般市民。
だからこそ、成功も続いた訳だが…まぁ、それを理解するに到る、と言う事もなし。
どちらにせよ、幼女にとって、悪戯の成功続きで気分が良いのだ、そんな事はどうでも良いだろう。

そんな、気分良さ気に歩く幼女。
だが、明らかに己に向けられた視線、それに気付けない程、勘は鈍っていない。

「うん…?」

かくん?小首を傾げ、幼女は背後を向く。
…が、今の幼女にとって、その視線の主は、あの頃と違ってまだ会った事のない存在。
もしや、悪戯をした相手に出会ってしまったか。
そう思って視線は向けたのだが、そんな相手は居やしない。
足を止めたまま、じーっと背後を眺めるのだ。
もちろん、その視界の中には、元知った相手の姿もある訳で。

織部 京華 > 「やっぱりタマちゃんです! きゃーっ♡ どうしたんですか? どうしちゃったんですかっ? またこんなに小さくなってしまって! タマちゃん♡ タマちゃん♡ タマちゃぁぁあんっ♡♡」

(暗がりの中でこちらに振り向いた小顔の愛らしさも、小さな頭部をかくんっと傾ける所作も、全てが全て、記憶に残る彼女のまま。狐好きで、小柄な女の子も好きな京華にとって、その2つを融合させた奇跡の様な存在。その記憶と変わらぬ愛らしさに、普段は淑やかな着物少女も年相応のはしゃいだ歓声を上げ、ふわふわコートの細腕を広げて駆け寄って、その勢いのまま狐童女を抱きしめた。そうしてそのままスリスリなでなで。ぷにぷにの頬にすべらかな頬を擦り寄せ、首筋に鼻先を埋めてはしたなくも匂いを嗅ぎ、ぎゅーっと非力な双腕で精一杯に抱きしめながら、繊手の先にて狐尻尾をもふもふもふもふ可愛がる。)

玉藻 > 「………む?」

背後を向いた視界の中、一人の少女が上げる声。
それを聞きながら、まず思ったのは『猫に付けるような名前の者が居るんだな』と言うものだった。
今、己の周囲に、それらしき動物も居なかったからだ。

…が、しかし、その対象が誰であるのか…今、気付く。
その少女が、駆け寄った相手、それが己であったからに他ならない。

「お、おおおぉっ!? ま、ままままっ、待て待て待て待てぇっ!
もしや、そのタマちゃんと言うのはっ…ん、にゃあぁっ!?」

少女が呼んだ名はタマちゃん、己の名は玉藻。
それが結び付くのに、時間なんて要らなかった。
なぜそう呼ばれているのか?なぜ己を知っているのか?
抱き付かれるわ、頬ずりされるわ、首筋から匂い嗅がれるわ、しかも尻尾弄られるわ。
そんな混乱状況の中、ちたぱたと少女の腕の中で、喚きながら暴れる幼女。
まぁ、非力な腕力であっても、振り解けない程の弱さ。
しかも尻尾が弄られ、素っ頓狂な声を上げれば、へにゃん、と脱力する始末だ。

織部 京華 > (その圧倒的な可愛らしさに正気を失った優等生は、素の状態であれば気付いただろう狐童女の驚きと静止の声音を聞き流し、それはもう好き放題にその小躯を愛でまくった。京華のかぶる優等生の仮面は、この様な時にもきっちりとその役割を果たす程にその魂に刻み込まれている。にもかかわらず、若干鼻息が荒くなってしまう程に、抱きしめた狐童女は可愛らしい。)

「ふあぁぁぁ……♡ 大きくなったタマちゃんは綺麗でエッチで素敵でしたけど、小さなタマちゃんは相変わらず暴力的な可愛らしさですっ♡ あぁっ、あぁぁ…っ♡ もうこのまま持って帰って、抱き枕としてずーっと抱きしめていたい気分ですっ♡」

(本来であれば身を任せるべきではない衝動に、京華にしては非常に珍しく身体の制御を預けたまま、もふもふすりすりなでなでくんくん。小柄な狐童女を猫可愛がりに愛で続ける。非力な京華よりも更に非力な少女の抵抗は、その愛らしさを強めるばかりで余計に優等生の"暴力"を強めるばかり。そうして、童女特有の体温の高さを懐炉代わりに、冬の寒さがまるで気にならなくなるくらいまで身体が暖められた頃、ようやく落ち着きを取り戻した京華が怪訝な表情でアメジストの瞳を落とした。)

「…………あら? タマちゃん、どうしたんですか? 随分大切にしてくださっていた私のプレゼント、今日は付けてくれていないんですね……」

(腕の中でくってりとしてしまっている童女の襟を伸ばした指先でくいっと広げて確認する華奢な首元。そこには先日の再会の際には確かに巻かれていたはずの赤くて細い猫の首輪が見当たらなかった。)

玉藻 > 「ま、まっ…だから、待て、とっ…はふぅ…」

少女の猛攻に耐え切れず、かくん、かくん、と少女の腕の中で脱力したまま、揺らされる。
それが止まるのは、少女の興奮がある程度収まり、落ち着きを取り戻した頃となるだろうか?
その頃には、ぐったりとした姿を見せていた。

「………だ、だから…お主は、何の話を…して…おる、の、じゃ…
そ、そもそも…なに、も、のぉ…」

ぴくん、ぴくん、と受けた衝撃に、痙攣しているかのように、腕の中で打ち震える幼女。
指先で襟を広げられ、首元を晒されながら、力なく少女の問いに答える。
答えると言うか、逆に問い返している感じではあるが。
とは言え、あれやこれやされ、その刺激は体に残っている。
へにょ、と垂れた尻尾は、その余韻を感じているかのように、ゆらゆら軽く揺れており。

ご案内:「王都マグメール 平民地区のどこか」に織部 京華さんが現れました。
織部 京華 > (狐童女の獣尾はかなり敏感な器官らしい。淫らな行為の最中には嬲り愛でる性感帯としても優先順位の高くなるその場所を、いやらしい下心こそ無かったとはいえども愛撫慣れした京華の繊手が好き放題に弄んだのだ。抱きすくめた小躯が絶頂直後の様に弛緩して、ひくひくと弱々しい震えを晒してしまうのもむべなるかな。もしかしたら、丈の短い着物の裾奥は既に蜜を滲ませ雌の恥臭を漂わせているかも知れない。無防備な小躯の着物裾を捲りあげ、この場でそれを確認したいという誘惑に駆られつつ、しかし京華はその前に、少女の漏らした言葉への違和感を追求することを優先させた。)

「―――――? タマちゃんこそ、何を言ってらっしゃるんですか? まさか、私の事を忘れてしまった、なんて言いませんよね? ふふ…っ、冗談にしてはあまりに質が悪いです。私、タマちゃんの悪戯は嫌いではありませんけど、このつまらない冗談を続けるというのであれば、こちらもそれなりに対応をせざるを得なくなりますよ……?」

(にっこり。その微笑みは、優等生の名に恥じぬ、美しく、上品な物だった。しかし、その笑み細めた双眸の奥のアメジストは冬の外気よりもなお寒々しい冷気を宿し、見るものの背筋をゾクリと怖気立たせる。そんな笑顔のまま、ちろり…。可憐な桜唇の合間に僅か覗かせた桃舌が見せる舌なめずりは、蠱惑的で、破滅的で、危険な物として感じられる事だろう。)

玉藻 > せめて、尻尾にさえ触れていなければ、それ以外であれば、こうはならなかっただろう。
それがあったせいで、自覚もないままに、その体に感じた事のない疼きが起こっていた。
それが何なのか、当然の事ながら、分かっていない。
ただ、無意識に、もじもじと身を捩じらせているのだ。

そうした中、少女は感じた違和感を問う。
これも、当然ではあるが、幼女の知らぬ事でる。
幼女からすれば、理不尽に感じる物言いと、雰囲気。
びくーっ、揺れていた尻尾が、それを感じ取ったように、おっ立てられる。

「え、え…?…あ、いや…えーっと…あの…その…
も、もちろん…お、覚えて、おるぞ…?
あー…えー…えーっと…」

こんな状態で、きぱっと言い切れる、そんな度胸ある訳無い。
びくびくしながら、こう、しどろもどろと偽りの答え。
彷徨う視線に、おかしな動きを見せる尻尾。
答えの出る訳の無い問い、それを前に、まさに怯える仔狐と言った様子を見せる幼女であった。

織部 京華 > (小動物を怯え竦ませる美少女の微笑み。毛羽立った狐尾の愛らしさもあり、絶対零度の微笑みが僅か綻ぶ。そして、辿々しくも覚えているというその返答が、表面上は変わらぬままに、アメジストの瞳の奥に泣き出しそうな気配を滲ませた。嘘の苦手な狐童女の言葉の裏に含まれた、冗談とはとても思えぬ本気を感じ取ってしまったがために。)

「そうですよね。タマちゃんが私の事を忘れてしまうはずはありませんよね。何百年経っても決して忘れられない様に、この可愛らしい身体にしっかりと刻み込んだんですから♡ 覚えているでしょう? 数え切れない程の触手に呑まれて、孔という孔を滅茶苦茶に蹂躙されて、身体の外も中も私の臭いでどろっどろにされてしまった事を。」

(年の割りに落ち着き払った涼声が、詩でも吟ずる様に夜風を震わせる。トンッと少女の下腹に突き立てた人差し指が悩ましくも淫靡な動きで子宮を腸を撫で愛でる。)

「ふふふふふ♡ それではタマちゃん、答えて下さいませ。私の名前は?」

(ざわざわざわ…。毛皮のコートの長裾が、風の仕業にしては不自然な蠢きを見せる。口付けでもするかの様に寄せた美貌が問いかけに傾きながら、濃紫の瞳でじぃぃいいっと狐少女の赤金を覗き込む。それはまるで蟒蛇が獲物を丸呑みにする寸前の様な、それでいて迷子の少女が縋り付くような、相反する気配に揺らめく双眸。)

玉藻 > 年月を掛けた想い、本来ならば、それを返すものを持つはずだった幼女。
しかし、今、それを望みたくとも持つ事の叶わぬと言う事実。
それを、少女が理解した時…

ふと、幼女とは別の、少女の聞き覚えのある声が、聞こえた気がする。
その言葉の内容、それまで、はっきりと認識する事は出来なかった。
だが、それが何であったのか、それを知る機会はすぐそこに。

ふわりと、二人を覆う、少女だけが感じ取れる力。
それは幼女へと、ゆっくりと、染み込んでゆく。
そのすべてが、幼女の中へと染み込んでゆけば…ぶるり、と幼女の体が、一度震える。
逸らしてはいるも、覗き込む事の出来る、幼女の赤味掛かった金色の瞳。
それが、ゆらりと軽く揺れた。

「…?…あ…ぁ…?
っ…ん、くぅんっ…♡ っ、な、何が…何…え?…ぇ?」

少女の言葉、それを聞きながら、其の指先が下腹部を撫でる。
その感触に、幼女の言葉から、僅かに甘い声が洩れた。
と、困惑と戸惑いと怯え、それに包まれていた表情が変化してゆく。

「………何を、っ、問うておるんじゃ…?…京、華…?」

覗き込む瞳を、幼女の瞳が見詰め返す。
感じていた怯え、それが失われる代わりに、何当然の事を問うているのか?そう思わせるように、その名が唇から紡がれた。

織部 京華 > 「――――――っ!?」

(半ば以上諦めていた。先程の少女の仕草は、知らぬ事を知っていると見栄を張る狐童女の反応と寸分たがわぬ物だったからだ。一人きり、化物宿の転移に巻き込まれ、爛れた淫行で寂しさを紛らわしてきた数百年。そうして全てを諦めつつあったタイミングで、もう再会など叶わぬだろうと思っていた狐少女との邂逅。その喜びが、一体何を原因としたものなのかは分からぬ物の、あっさりと失われてしまった絶望感。それを、全て忘れてしまったと思しき童女の身体に八つ当たりめいてぶつけてしまおうと考えていた矢先、思いがけず紡がれた正答に息を呑む。不穏な蠢きを見せていたコート裾が動きを止めて、見開いた紫瞳にじんわりと涙膜が膨らんでいく)

「タマ、ちゃん……? タマちゃん、なん、ですよね……? 首輪は付けてくれてませんけど……タマちゃん、ですよね……?」

(ぽた、ぽた…っと狐童女の頬を濡らす温かな水滴。しかし、それを零す少女の顔はくしゃりと歪んで居てさえ溢れ出す喜びの感じられる泣き笑いの表情を浮かべている。)

玉藻 > 誰が、何をどうしたのか?
その答えは、多分、少女ならばこそ、知り得るものだろう。
まぁ、そんな事、今は考えさせるのも無粋なものか。

思い出したのは、本当に幼女の持つ、一部ではあるもの。
だが、それで十分だった、お互いに。

抜けていた一部の欠片が、ふとした切っ掛けで戻ったような感覚。
そんな感覚の中、目の前で涙ぐむ少女に、びくーっ、幼女の尻尾が再びおっ立てられた。

「そ、そうじゃが…いや待て、待て、妾が何かしたのか!?」

そう、気が付けば、目の前で好きな相手が涙を浮かべている。
いきなり、そんな状況に置かれれば、それは焦りもするだろう。
あわあわと、こう、両手はどうしたら良いのかと、奇妙な動きを見せていた。
ただ、その姿には、少女を心配する様子がしっかと見て取れるだろうが。

織部 京華 > (化物宿に囚われたままの数百年。数多の客の精を啜り、今や人の枠を外れて妖と呼ばれる存在となった美少女なれど、流石に眼前の童女が先日再会を果たした友人の身体から分かたれた者などとは知りもしない。一体何があったのかは未だに分からぬままなれど、それでも、涙にぼやける視界の先でわたわたと慌てふためく彼女が、自分の知る友人に戻った事だけははっきりと分かった。)

「もうっ! もうっ! タマちゃんの馬鹿っ! なんでこんな意地悪するんですかっ! わたっ、私、ほ、本当、にっ、本当にタマちゃんが、…っひ、ぅ……タマちゃんが、全部忘れてしまったかと、おも…っ、思って……っ!」

(品良く揃えた両脚の上に狐童女の背を乗せて、伸ばした両手がぷにぷにの頬をむぎぅぅぅううっと摘んでグイグイ引っ張る。次から次へと溢れる涙が、頬を引っ張られる童女の顔を熱く濡らす。もう随分と涙など見せて居なかったのに、先日の出会いからこの狐娘は何度自分を泣かせれば気がすむのか。柔らかなほっぺたが赤くなるまで繊手の折檻を続けた後、唐突に少女を解放した両手が改めてがばっとその小躯を抱きしめた。先程のテンションの高い抱擁よりもなお強い双腕の拘束が、控えめなれど形良い膨らみを童女の平坦な胸に押し付けたまま総身を震わせた。時折しゃっくりめいてその細身を跳ねさせる押し殺された嗚咽が、しばらくの間路地裏の暗がりに静かに響き続ける。)

玉藻 > 「うぐっ…よ、よく分からんが、妾が悪かったのじゃ。
あー…えーっと、あれじゃ、もうせんから、泣き止んでくれんかのぅ…?」

幼女からすれば、本当に気が付いたばかり。
いきなり泣かれ、いきなり怒られ、そんな、また違った理不尽に襲われてしまう。
とは言え、少女の言葉を聞けば、自分が何かをして、泣かしてしまっているのは事実らしく。
思い出そうとしようとも、思い出せない。
そうした中で、少女を落ち着かせようと…するの、だが。

「っ、ひゃわああぁっ!? ま、まふのひゃ、まっへほひいのひゃっ!?
いひゃい、いひゃ、いひゃひゃひゃぁっ!?」

また、いきなり、両の頬が引っ張られた。
柔らかな頬は、引っ張られるままに、ぐにーっと伸びる。
いや、伸びるのだが、痛いものは痛い。
ちたぱたと、逃れるように暴れるのだが、やはり弱過ぎた、離れない。

いやもう、痛くてこっちも涙目だよ!そんな感じ。
そうであっても、手が離れ、しっかと抱き締められれば、その心地良さに大人しくなる。

「京華、妾がお主を忘れる訳、無かろう?
じゃからな、えーっと…な?そろそろ、落ち着いて、いつもの京華にじゃな…?」

と、そんな言葉を少女へと。
気遣うように、優しく、ぽむぽむと少女の背を撫ぜた。
普段、こうした言葉を掛けたりしないだけに、不慣れで、気恥ずかしそうに。
唯一の救いは、今のところ、周囲の目がなかった事だろう。

織部 京華 > (紫の双眸は壊れてしまったかのように大粒の涙を零し続ける。悲しさと嬉しさの綯い交ぜとなった大きな感情に慎ましやかな膨らみを有する胸奥を揺さぶられながら、それでも狐童女の言葉からなんとなくの状況を察する。何が原因で彼女の記憶が失われてしまったのかは分からない。それでも今の彼女は確かに京華の事を知る玉藻に戻っている。非力で小さなその身体が、まるで似合わぬ老獪な口調と共に優しく背中を撫でてくれる。それがどうしようもなく嬉しくて、徐々に徐々に京華の心を落ち着かせてくれた。)

「………………………」

(ふにふにはむはむ…。押し殺した泣き声がようやく消えて、着物少女の細身の震えも収まった頃、ただただ強く狐童女の小躯を抱きしめていたはずの繊手が彼女の狐尾を揉み撫でて、彼女の首筋に埋めていたはずの頭部が位置を変えてピンと立った狐耳に甘噛みの悪戯を施し始める。それは、仲睦まじい獣達のグルーミングにも似て、しかし、ぞくぞくぞくっと背筋に甘く爛れた魔悦を流し込まずには居られない手管を持って狐童女を弄ぶ。)

「――――私、普段はこんなに泣いたりしないんですよ? タマちゃんが、あんまりにも意地悪な事をするから……。本当に悪い子です。………でも、許します。ちゃんと私の事を思い出して下さりましたし、今回は特別に許してあげます」

(キュッ、カリッ。するすると獣毛を毛羽立たせながら滑らせた手指が狐尾の根を強く圧迫し、それに合わせて狐耳を食んでいた白歯が甘噛みを強めて少し痛いくらいの刺激を送り込む。それからゆっくりと離した顔は、目元を赤く染め、頬にも濡れた跡を残してはいても、それでも幸せそうな微笑みを浮かべていた。)

「でも、罰は受けてもらいますから。タマちゃん、今夜は私の抱き枕です。私をこれだけ泣かせたんですから、それくらいの事はしてもらわくては釣り合いが取れません。 ――――……ほら、宿に帰りますよ。まずはお風呂。その後、ご飯を持ってきてもらって、それから朝までは抱き枕です♡ ふふっ♪」

(ポケットから取り出したハンカチで目元を拭いながら立ち上がり、もう一方の白手を狐童女の小躯に差し出す。彼女がそれを掴んでくれるのならば、もう絶対に離さないとばかりにキュッとその手指を握り返し、2人の少女は通りの向こうに継ぎ接ぎの威容を聳え立たせる温泉宿へと歩を向ける。その日の夜、京華はとても心地よい眠りを得るのだけれど、眠りの中にあってさえなめらかな肢体を絡ませ、狐尾を揉み擽り、頬やら首筋やらに淡い口付けを落とす京華の寝相に晒される事となる童女は淫夢に苛まれる事となったかも知れない。)

玉藻 > しばらくすれば、少女も落ち着くものだろう。
そうなれば、はふー、と気を緩めるように、深く吐息を付いた。

「………っ、んっ…あ、あの、京華…?
ひゃ、ふぁっ、あ、ま、待つ、っ…ん、あぁっ…♡」

…が、そんな互いに落ち着ける時間も、ほんの僅かであった。
不意に、少女の手が尻尾を弄り、少女の唇が耳を甘噛みしてと、悪戯を始めたのだ。
幼女の感じるところ、それを、的確に打つような、そんな動き。
制止の声をあげながらも、ぴく、ぴくんっ、と刺激に体を震わせてしまう。

「はっ…あ、ふあぁんっ♡
…う、うぅ…ほ、本当に、本当じゃろう、な…?」

許すとか言いながらも、最後は、少し強めの刺激が送られて。
ぶるるっ、と止められず反応を見せながらも、ちら、と上目使いに少女を見上げる。

そして、次の言葉に、またびくっ、と肩を跳ねるも…その内容に、はふー…また、深く吐息を付く幼女であった。

立ち上がり、己へと差し出される少女の手。
きゅ、とそれをしっかと握れば、その手は握り返されて。
そのまま、少女の案内されるままに、温泉宿へと向かうのであった。

………その後、どうなったのか?
それは、二人だけの秘密である。

ご案内:「王都マグメール 平民地区のどこか」から織部 京華さんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区のどこか」から玉藻さんが去りました。