2019/11/05 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区 雑貨屋」にフィルさんが現れました。
フィル > 昼間も大分と涼しくなり、夜も深まれば薄着では少々肌寒さを感じる夜風が、街を吹きぬけていく。
そんな肌寒さのせいだろうか、いつも以上に夜の街はの中でも、酒場や宿の並ぶ区画は賑やかなものであり。
店内だけでではなく、道端の持ち帰りや歩き食べ用の食べ物を売る店からも、スープなどの暖かいメニューを押しているのが目につくかもしれない。
そんなまだまだ深まる深夜に向けて賑わう通りで、田舎風のワンピースを着た少女が紙を配りながら歩き。
やがて人のいない路地まで行けば、そのまま足早に更に人気のない道の奥まで進み。
その道の先に並ぶ、小さな雑貨屋へと飛び込んでいくが。

「ふう…これで、売れ行き増えるのかな…」

店の裏でワンピースを脱いで、長袖にズボンにブーツにといった服装に着替えていけば、その姿は早送りするように変化を遂げていくことになり。
一人の少年、というより何時もの人気の雑貨屋で店番をしている店員の姿に戻れば、そのままカウンターに戻って椅子に腰を下ろしていく。
手にした紙を見れば、そこに書いてあるのは、冬用の暖を取る器具やちょっとした手袋などの雑貨を販売している、といった簡素なチラシのような物であり。
少年は店主に言われて、女性に化けて宣伝をしていたわけであれば、色々と不安なものはあったのかもしれない。

「元々雑貨がメインじゃない雑貨屋な気はするけど…」

店に戻り始めた時に足早になったのは、元に戻る所を目撃何て言う事に警戒していたのもあるようだが。
流石にあまり着こみ慣れてない完全に女性物の衣服を、長時間きて人前に立つという気恥ずかしさもあったようである。
売り上げアップに宣伝、何てことをうっかり零してしまったのは少年であり。
発端ではあれば、断りきれなかった部分もあるのだ。
それならば雑貨屋としてもう少し力を店主自ら入れてほしい、と思わなくもないのだが。
一つため息交じりの吐息を零しながら、カウンター横のコート掛けにでも、そのまま一度立ち上がり。
脱いだワンピース服を改めて皺にならない様にかけていったりとしていくが。

フィル > 先程のビラ配りをしていた店員はどこにいるのか、等と尋ねられたら既に帰ったとか、はぐらかすしかない宣伝の仕方である。
確かに今持っている特性を生かした宣伝の仕方ではあるだろうが。
少々少年として早まった気がするような気がするのは、勘違いではないかもしれない。
しっかりとコート掛けに器用にひっかける様にして、ワンピースを掛けられれば、そのまま店内へと向き直り。
宣伝した分、ちゃんと商品を並べて置くように、お店の中の品物チェックを始めていくことにしたようである。

「携帯の暖取り器具は…あるし。
茶葉もあるし…保温性のいい手袋は…あれ、これ普通の?」

もっとも対して広いわけではないお店である。
チェックと言っても、入荷したものを書かれた書類に目を通してあるのだから、後は並べてある現物チェック位なのだ。
それでも、魔道具買い取りがメインである店主のついでの雑貨屋である。
一つ一つ並べて置いた道具などを手に取って確かめては、ちゃんと棚に並べ直し。
たまに埃が目につけば手で払ってと、品物を一つ一つ手に取って確認していくが。
雑貨屋として真面目にあまりやっていない店主の発注は、予想通りのミスを生み出してたようであり。
手袋が保温性のいい魔術加工されたものではない。
普通の毛糸の手袋であれば、一つため息を零してしまうものの、出来ることと言えば再入荷待ちである。

「女性に変化して宣伝してる場合じゃやっぱりなかったような…」

少女だけど、体格良く、胸やお尻の肉付も良く。
等々色々と注文を出された上で、その姿でビラ配りだったのだ。
変化はまだ瞬時に自由自在に出来るほど、完全に手慣れて物にしているわけでなければ、ちょっとした訓練の様にすら感じられるものだったのである。
思い返しては、少し順序が違うのではとばかりに、一人首を傾げてしまうのも仕方がないかもしれず。
取りあえず間違っている商品は棚からおろしながら、やがて店番に戻る様に、カウンター裏の椅子に腰を下ろし直していくだろうが。

フィル > 「取りあえず後で軽く、間違いだけ纏めておいて…」

とりあえず、間違えた者は回収しておいてまとめたのだから、後は忘れたりしない様にするだけである。
吹き抜けていく夜風が時折入口の掛け看板を揺らし、カタカタと音を立てていくが、やはり人気が感じられることはない。
夜が深まらなくても人が余り足を踏み入れてこないような、奥まった場所にある道に面しているのだから仕方なく。
こういう時だけは、品物の間違いなどをゆっくりとチェックして直せるのだから、来客が少ないのは利点というべきだろうか。

「あとは、今日は戸締りしたらよさそうかな…」

長く開けている時間は店員として少年は店番をしているわけであるが、ある程度の夜更けになれば帰路についてもいいのである。
店主に深夜の配達や、指定された時間までの店番を頼まれている場合はその限りではないわけだが。
今日は特にそういう特殊な言い含めや仕事もなかったようであり。
既に帰宅してもいい時間になっていれば、商品のチェックも、そもそもメインの役目であったビラ配りも既に終わっているのだ。
そう考えれば少年は、裏口から窓の施錠を確かめる様に、椅子から立ち上がれば店内を歩き回り。
全てを確認し終えたところでその足を出入り口へと向けていき。
店内に薄暗い程度の灯りを灯したまま、掛け看板を裏返し。
何度か扉を揺らすようにして、鍵がしっかりと掛かっていることを確認すれば、やがてゆっくりと人気のない路地を通って帰路へとついていったか―

ご案内:「王都マグメール 平民地区 雑貨屋」からフィルさんが去りました。