2019/08/25 のログ
ご案内:「王都マグメール ヘルスマッサージ店」にクラムさんが現れました。
■クラム > ―そこは平民地区の風俗街、その裏通りにある店
外に出された看板を見れば「ヘルスマッサージ」と書いてある。これだけ見れば
男女問わず身体をほぐしてもらい、アロマなどで疲れを取ることができるだろうか。
しかし、この世界ならありふれた形式の店種でも、ここはやや趣向が違うようで―
「んー、うん?お代。うん、とりあえずこんな感じの薬液だよー。気持ちいいから、
ぜひとも使ってみてねぇー。人間程度だったらこれくらい、手のひらを満たす位で
いいからー。じゃ、くらむはこっちのマットでごろんってなるのー。」
何ともいかがわしいアロマを納品した彼女。名はクラム=メウ。このヘルス内ではお客様
兼用品の仕入れを担っているようだ。みれば、誰にもわかるように丸い角を隠さず。
外が暑かったのか、キングサイズのマットに仰向けになれば、上着のカーディガンを開けていく
店内の雰囲気はややゴシックなテイストで、照明は赤みを帯びたシャンデリア、ロビーとなる
ラウンジは適度に薄めたアロマが香っている。
彼女は眠たそうに大人の雑誌を手に取り、微睡みの時を過ごしている模様だ。
もしここで別の客が来るのであれば、暇である彼女は何かしらの接客をすることができるか―
業務上はそういうスケジュールは無いのだが、常連の彼女にはそういう権利がある。
ご案内:「王都マグメール ヘルスマッサージ店」にドリーさんが現れました。
■ドリー > 道具に定期的なメンテナンスが必要なように人間にもそれは必要で──
一般人であれば趣味や娯楽の一環で行くマッサージも、その女にとっては大事な時間。
実は体力勝負の仕事であり故障してしまえば食っていくこともできない。
さて、行きつけのマッサージ店が長期休暇をとってしまい、その間の行きつけを探して練り歩いていたわけだが
「おっ、中は結構お洒落な雰囲気だね」
入店してみれば、ゴシック調と言うのだろうか、安っぽい感じはしない。
第一印象というのは大事で、ろくでもなさそうなら世間話のひとつでもしてさっさと帰ろうと思っていた
とりあえず、次は店員の質かなと周囲を見回す。
店がリラックスできる雰囲気であることと、店員の技術が大事だ
よほど粗暴だったり身だしなみがだらしなくなければ、店員のほうは技術優先
きょろきょろと視線を動かし、まともな店ならまず店員から声をかけてくるだろうとのんびり構え
■クラム > しばらくゆったりとしていると、カランカランと、
お客様である。その客は少し扉を開けてから、店内を入念に見回していただろうか。
当店はクラムのような、お忍びでくるリピーターのお陰で儲けは安定しており、どこぞの
引っ掛けをするような店ではないだろう。
さて、正式な店員さんの方が先に入店した彼女に微笑んで声かける
「あらら、新しいお客様ですか?いらっしゃいませ、当店は他の店より高品質かつ独自性
ある癒やしを提供致します。」
料金はそこそこ張るらしい。客の身なりで考えて、おすすめのサービスを提案する
辯舌な店員は彼女の凝った部分を引き出し、適切に導いてくれるだろう。
ただし―当たり前のような接客でこの店はやっていってないのが現実で、
「ふふ、今日ですけど、特別なお供を付ける事もできますよ?…って、あの、お客様来てますから
はやく身だしなみ直して…」
ラウンジで客のようにごろんとしていた彼女、クラムは呼ばれたと思い、気が抜けたような息を
漏らし上体をあげる
「うー?くらむの扱いってそんなもんなのー…?ま、きもちくなるからいーけど…
お客さん、お名前はー?」
だらしなくしていた上着をなおし、その客に近づく。自分より遥かに大人にみえるか。
ちなみに角は依然として隠していないので、怖がられたら下がろうとは思っているだろう。
■ドリー > 「どうも、こんばんは」
微笑みとともに店員に声をかけられ、少し大仰な一礼を返す
客相手にパフォーマンスを披露する職業柄というやつで、ほとんどクセになってしまっているのだった
さて、高品質で独自性とは…
高品質なのは客からすれば有難い限りだが独自性…ふむ? 女は内心で首を傾げるのだった
とりあえずくるりと背中を向けて引き返す文言でもない。きっと説明はしてくれるだろう、多分
見る限り、細かい部分に金をかけているようだしそれなりの料金を取るだろうし、店員の挨拶も丁寧だ
「ふんふん、はい、はい…なるほどお。じゃあ、その、おすすめでお願いします」
いつもそう、とは言えないのが残念だが今日はふところが暖かい
おすすめというのだから、店の性質を見るのにうってつけだろう。料理屋でも、質が知りたければまずオススメから、だ
あんまり料金を気にしなくてもいいので、さっさかと店員にサービスを任せてしむ
「むむむ」
と、目の前で繰り広げられるやりとり…ほどなくしてやってきたのは、人間ではない種族の、少女──? だった
受け付けと施術スタッフが違うのはよくあること。とりえず、店員からは一目置かれている様子である
細かいことを気にし過ぎてもなんだし、流れに任せてまずは名乗り返す。異種族に対する忌避感は無い
「あ、私ですか? ドリーといいます。そちらは、えーっとクラムさん? どうぞ、よろしく」
■クラム > 店員はドリーの態度に対してはそう驚く様子もない
どうやら様々な接客業を渡り歩いてきたプロの様子で、表情を崩さず
彼女によく説明して、それからクラムにパスをした。
「んー……こういう店、慣れてますのー?」
彼女の抱いている違和感をよそに、いきなりそう問いかける。自分から主張してこうして
ほしいと言わないようにみえたので、恐らく何が来ても大丈夫なのだろうかと
勘ぐってしまう。もし彼女が本当にサービスの流れを任せるなら、クラムは彼女には
思うどおりにもてなしができる―
「ドリーさん、くらむよりずっと大人に見える…、だけど見た目で人、モノは判断できないのー。
じゃあ、こちら、奥の部屋へどうぞぉー」
手を繋ぎ、施術場に誘う。初対面の客に対してはやや触れすぎなほどのスキンシップ。
しかし、これからいくらでも彼女の身体を触れる事になる。触れられる事はドリーも分かっている
だろう。程度問題は今出すものではない。
ふとクラムはドリーに顔を向け、こう呟く
「今日はいっぱい、気持ちよくするねー」
その時の笑顔は、少女らしさはあるが、やや口角が上がっているようにみえるか
■ドリー > この少女は店から一定の信頼を得ている様子で、自分を一任する形になるようだった
あまりにも接客がしっかりしていたせいで、自分の知っているマッサージ店とはどう違うのか、という発想はなく
そんなわけで、慣れているのという問いには、マッサージを受ける事に慣れているのかという問いとしか受け取れず
「いやー、若い身空でこう言うのも何ですが。かなり、慣れてますよ
そうですねえ、二週間に一回、色々スケジュールがハードな時なんかは一週間に一回とか
ですので、初めてですし、雰囲気を掴む意味も込めてお任せしちゃいます」
はっはは、と朗らかに笑いながら胸元の辺りをばーんと叩く。
二十歳程度でマッサージ店に足繁く通っている事について語ったつもりだが、どう受け取られたかは謎で
「む? そうですね、ハイ」
どういう文脈の繋がりかは分からないが、言う事はもっともだ。人は見かけに何とやら…
自分から見ればまだ子供の年頃に見えるので、手を繋いでの案内に疑問を持つ事も無く
施術場に向かうかたわら、こちらに向けられた笑顔に二度、瞬いてから笑顔を返し
「ええ、お願いします」
ご案内:「王都マグメール ヘルスマッサージ店」からドリーさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール ヘルスマッサージ店」からクラムさんが去りました。