2019/07/06 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にミンティさんが現れました。
■ミンティ > 急に大雨が降ったり、そうでなくても暑い日が続くようになった。お店を開けない休日は家でゆっくりすごしていたかったけれど、どうしても遅らせられない届け物の用があったから、早朝から外出する事になってしまった。今は、その帰り道。
幸い空は晴れ模様だったけれど、雨に降られない代わりに日差しを浴びるはめになり、小さな公園、木陰のベンチに腰をおろして休憩中。
手に持った小さな紙カップには並盛のかき氷。涼しげな緑色のシロップがかかっていて、木洩れ日を受けてきらきらと光る様子に、つい見惚れてしまう。じっと見ていたら溶けてしまうだけだから、手遅れにならない程度にスプーンを動かして。
「んん……」
カップの中身が残りすくなくなってきたところで、風に吹かれて身震いをする。肩を竦めて、背中を丸めて、思った以上に下がっていたらしい自分の体温に驚いた。
あまり身体を冷やすのもよくないかと思ったけれど、かき氷の残りも多くはない。なにより食べ物を捨てる事に罪悪感があったから、早く食べてしまおうとスプーンを口に運ぶペースを上げた。その途中、そわりと身動ぎをしたり、靴底で地面を擦る動きがちらほらと出てきて。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にモールドさんが現れました。
■モールド > 消耗品の一部の在庫が無くなり、朝っぱらから買い出しに出る羽目になったその帰り道。
一部はどうしても決まった店で買うしかなく、後回しにするのも宜しくない。
こういう場合は部下の居ない身が疎ましいが、店の経営状態を考えるとそれも仕方のない事。
痛し痒しだ、と午前中だというのに強めの日差しに晒されて、汗を浮かばせながら足を進めていた。
その日差しに等々我慢できなくなり、休憩の為に目を留めたのは一つの公園。
心地よさそうな木陰のベンチは一つだけで、自然、先客の姿へと気付き。
飲み物を片手にのっそりと歩くと、会釈をしてから同じベンチの端っこへと腰を下ろした。
こういう場合は警戒を与えぬ様にと、適度な距離を取るに限る。
「どうも、おはようございます。
すみませんな、休憩中にお邪魔をして。いやしかし、気温はそうでないとはいえ、日差しが強いですなぁ…。」
しかし、何のリアクションも取らない、という訳ではないのだが。
浮かぶ汗を拭いながら水を煽り、ぷふぅ、と息を吐き出す。
■ミンティ > 急いで食べているつもりでも、すこしずつ高くなってきた気温のせいか、最後はシロップを薄めたジュースのようになってしまっていた。まだ朝早い時間なのに日差しが強く、今日も暑くなるのかな、と影の外に目を向ける。あとすこし経てばやってくるだろう夏の本番を思うと、溜息がこぼれそうだった。
たったの一度しか王都を離れた経験がないけれど、こういう季節こそ、どこかに旅行へ行くのもよさそうだと考えて、そんな暇を作るのも難しそうだから、軽く項垂れた。
「……?…っ、ぁ、おはよう……ございます。すみません…」
下を向いていると、誰かが近づいてくるような気配。顔をあげるころには、恰幅のいい男性が同じベンチに腰を下ろしていた。体温が下がっているせいか、いつもよりのろまな自分に呆れそうになりながらも、なんとか挨拶を返し、会釈をした。
そして自分がベンチの真ん中に近い位置に座っていると気がつくと、男性が腰かけたのとは逆側となる端へ、あわてて移動して。
「…はい。…暑いのは苦手なので、すこし、こまります」
■モールド > 「あぁ、いや、そんな距離を取らんでも宜しいでしょうに。
ははっ、ちょいと暑苦しかったかな?」
此方と同じようにベンチの端へと移動する相手を見て笑ってから、もう一口水を飲む。
新ためて相手の容姿を確認するように目を向けると、ふむ、と一つ頷いて。
どうにも自信が無さそうな、小動物を思わせるその態度。
こういう手合いは、獲物となるか、それとも危機を敏感に察知して逃げるタイプとなるかは微妙な所。
「あぁ、夏バテとかも困りもんですからな。
…そうだ、お近づきの印って事じゃあないんだが。」
相手がどのようなタイプであれ、餌を撒いて損は無いだろう。
営業スマイルを浮かべると、一つのチラシを取り出した。
それを手を伸ばして相手が元座っていた場所――相手も手を伸ばせば取れる位置だ――へと置いて。
オブシーンという店名に、地図と「自信の無い貴女に」や「彼の為に美しさを」等と耳障りの良い宣伝文句の書かれた案内チラシだ。
「宣伝になってしまいますがね。
エステ、というのも身ざっぱりしてお勧めですよ。」
■ミンティ > 暑苦しいかと聞かれて、ぶんぶんと首を振る。そんなつもりはなかったけれど、たしかに今の動き方だと逃げたように思われても仕方がなかった。意図せず失礼なふるまいをしてしまったと思うと、すぐには声が出ず、謝罪の言葉を考えるのに、すこし時間がかかって。
「いえ、違います。……すみません。
真ん中に座っていると、…邪魔になるかもしれないと…思ったので…」
両手を膝に置きながら、しきりにぺこぺこと頭を下げ続ける。正面と下を行き来する視線の先に差し出されたチラシを見て動きを止めなかったら、ずっと謝りどおしになっていたかもしれない。
お近づきの印と聞きながら、自分が手に取っていいものかと判断して、おそるおそるチラシを指でつまんで引き寄せる。小首をかしげながら、並んだ売り文句をしばらく、じっと見つめて。
「……エステ…、こういうの…わたし、利用した事がなくて……
気持ち、いいのかもしれませんが…、人に、触れられるのも、すこし苦手で…」
ときどき商売がうまくいっているお店のご婦人やご令嬢から話くらいは聞かされているから、なにをする場所なのかは知っていた。けれど、こうしてチラシを見たりした事はなかったから、珍しそうに、上から下まで熟読。
自信のない、という宣伝文句は自分にぴったり当てはまっていたけれど、逆に、自分に自信がなさすぎて、恐れ多いと思ってしまう。
「…こういう日は、さっぱりしたく、なりますけど」
つい先ほどまで食べていたかき氷の紙カップを見せて、困り顔に近い表情。内側から冷やされていた身体も、周囲の気温によって、また元の体温に戻りつつあった。
■モールド > 「あぁ、いやいや。
これじゃあ此方が責めている様になってしまいましたな。
ま、お気になさらず。」
幾度も頭を下げる様子は、どうにも気弱で押しに弱そうだ。
これは良い鴨かもしれない、と浮かべた笑みは、表面上は矢張り営業スマイル。
そうして、矢張り女性と言うべきか。
チラシの内容を熟読し始める相手を見ると、うんうん、と相槌を打つように頭を揺らし。
「最初はねぇ、皆さん矢張り抵抗があるって方は多い。
けれどもね、自分で言うのも何ですが、評判は良いんですよ。
お嬢さん、恋人や、気になっている人はいませんかな?
そういう方々への無言のアピールにもなりますし、ねぇ。」
良く動く舌は、繰り返し利点と、その素晴らしさを語る。
自身のみならず、相手が居るのならばその相手にもメリットがあるのだと。
続く、さっぱりとしたくなる、という台詞には、笑って頷いて。
「えぇ、全くだ。
それ、差し上げますのでね。
気が向きましたらどうぞ。今日は予約も少なくてね…お値段もまぁ、お試し価格で。」
■ミンティ > とんでもないと首を振って、また頭を下げそうになった。相手が気にした様子でもない以上、謝りどおしになっても、よけいに不愉快な思いをさせるだけかもしれない。そう思って、なんとか軽く頷くだけに動きを留める。
そしてあらためて、隣で笑う男性の顔を気にしながら、チラシの内容に目をとおす。背中を押すような台詞に、小首をかしげる姿勢から、さらに頭が傾いた。
「……ん…」
綺麗になりたいという思いは、自分にだってある。服を選んだり、いろいろ挑戦した結果がまだ花開いてはいないけれど、いつかは、と考えていた。だから悩み、迷いはしたけれど、施術するのが隣に座る男性かもしれないと思うと、すこし躊躇してしまう。
「ええと…、はい、では……、…検討してみます……」
その答えはいつまで考えこむつもりで口にしたものか。徐々に日が高くなっていく公園の風景。ベンチに座り、チラシを黙読する時間はまだまだ続いたようで…。
■モールド > 明らかに、興味はあると言った態度。
それでも直ぐに食いつかぬ辺り、警戒心はあるのだろう。
まだ、焦る必要はない。
「まぁ、綺麗な姿は好きな人だけに見せたい、なんて人も確かに居ますからな。
えぇ、えぇ、是非に。あぁ、最近の流行りでハッカのオイルで涼を感じるなんてものもありまして――」
こうして、悩む相手の警戒心を解く――或いは、興味を煽る様に。
宣伝文句が続く時間が、過ぎていくのだった。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からモールドさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からミンティさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にタマモさんが現れました。
■タマモ > ここは王都マグメール、平民地区の通りのどこか。
相変わらず、特に目的無く、少女は歩いていた。
まぁ、いつも通り、面白そうな店やら、誰かやら、見付けたら、と言った感じだろう。
今日は屋根伝いじゃないって?そんな日もあるものさ。
ちなみに、今は耳も尻尾も消している、見た目は普通の人間だ。
………なのだが、ここに住む者から見ると、どうしても違和感。
やはり、耳と尻尾のある少女の方が、見慣れているからか。
その点は、何とも言えないところである。
「………とは言え、分かってはいたが…あれじゃのぅ」
うん、いつも通りだ。
何もないのはあれだが、面倒な冒険者は見掛けない。
今日はゆっくりと、見て回れそうだ。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にルーシェ=イストレリアさんが現れました。
■ルーシェ=イストレリア > 得てして平穏な日常を壊す火種はすぐ身近に在るもので…。
普段は好んで貧民区に屯する彼女がなんの気まぐれか平民区に足を延ばしていた。
別段用と呼べるものは無いが故にふらふらと店々を冷やかし歩く彼女は何やら退屈そうな表情を浮かべていた。
「住む人の違いはあれど所詮同じ街か…。
何か面白いものでもないかと思ったのだが、多少なりとも治安の良い所為で余計物寂しく感じるな。」
途中で買い漁ったパン切れを咥えながら歩く。
黙っていればそこそこの見た目の為にちらちらと此方を覗う冴えない男どもの視線を感じつつも此方から特に何をするわけでもなく彼女の怠惰な散歩は続いていた。