2019/07/05 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区 裏路地」にフィルさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区 裏路地」からフィルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区の小道」にフィルさんが現れました。
■フィル > パラパラと不規則に降っては止み、また降ってと繰り返していた雨粒。
漸くその雨足が安定する頃には、すっかり深夜となってしまっていた。
そんな雨のせいだろうか、大通りは何時もの事ながら、酒場などの賑わいは普段より強く。
酒場が立ち並ぶ区画には、踏み込む前から喧騒などが聞こえるほどである。
そんな賑わいを見せる区画であっても、少し離れた路地裏にまで言ってしまえば、その賑わいはほとんど届くことはなく。
コツコツと歩を進める足音の方が、静かな壁に反響して聞こえるだろう。
「近道…失敗しちゃたかな」
そんな静まり返った道を進んでいくのは一人の少年。
所々で来ている水たまりを踏んでしまえば、パシャリと飛沫はあがり。
静まり返っている道である、その音さえもそこそこ壁にひびいてしまうことになる。
今宵は少し配達が早くおわり、夜食でもと酒場のある区画に向かったわけであるが。
不規則に強まった雨足から逃れる様に、空いている軒下で雨宿りをしながら、近道をした結果迷ったようであり。
程よく入り組んでいる路地裏である。
平民地区とはいえ普段使わない道を使えば、こうなってしまうこともそれなりにあるのだろう。
耳を澄ませて、賑わいの音を探しては、それを頼りにして表通りに出ようと歩を進めていくが。
■フィル > 「あそこで入って…まがったから…」
何時もの通りに進めばよかったと言っても、後の祭りだろう。
使っていない順路での近道をせず、迷い始めた時点で戻るべきである。
来た道を振り返りながらも、少し戻ったところでその先は不安定な記憶であり。
余計に迷うことになるのは、まず確実と言っても可笑しくはない。
幸いしっかりと雨も上がり、不規則振ることはもうなさそうではある。
雨宿りをしていたとはいえ、軽く水気を吸ってしまったローブを、目深に被ったフードごと一度はずし。
軽く振りさばくようにしてから、折りたためば少年は肩に掛け。
「とりあえず…音が聞こえたらまたそっちにいこうかな」
風向きによっては微かに届く喧騒。
方向的にはある程度酒場のある地区に向かっては進めているはずなのである。
もしかしたら、途中で曲がりすぎて寧ろ離れてしまっている可能性はなきにしもあらずであるが。
余りむやみに歩き回ることを一度少年はやめ。
耳を良く澄ませるようにして、喧騒が聞こえれば、その音が聞こえたほうへと極力足を進めていこうとしていくが。
路地裏と言う場所は安全ではないのである。
その喧騒が酒場の喧騒とは限らないわけであるが。
■フィル > 「これなら…配達の時みたいに地図持って来ればよかったかな」
そんな事をポツリと零しながらも、喧騒を探して身をそばだて続ける少年。
もしこの辺りでも普通に開いているお店の一つでもあれば入り込み。
道でも尋ねようか、なんて考えすら浮かんできているようである。
もっとも、酒場などがある区画とは言え路地裏と言える小道であり。
そんな場所で営業をしているお店があるかと言えば、あまりあるわけもなく。
あったとしても普通のお店では無い事が多いだろう。
「さっきあっち行ったはずだから…確か」
考え事をし過ぎていれば、道しるべを見逃すこともある。
少し気を取り直すように、似たような家が立ち並ぶ路地を、注意深く進んでいく。
少しでも記憶にあるような、目印になるような場所があれば、それを頼りにと言う所だろう。
時折風に乗って聞こえてくる喧騒も、少しずつ後押しになっていれば、徐々に徐々に表通りに近づいているようであるが。
まだ幾つか分かれ道は有るために、油断はできないものであり。
■フィル > 「あ、やっぱりあってた…あそこを通り抜ければ表通りのはず」
他の道から近道してくるときに見かけたことがある道。
漸く見覚えのある道に踏み込めれば、思わず零れる安著の吐息。
見間違いではないか確認するように、数度辺りを見ましてから、納得した様に一つ頷き。
記憶を頼りにそのまま歩を進め、また一つ角を曲がれば、その先に見えるのは表通りの灯りであり。
其処までくれば流石にもう迷うことはないだろう。
身長だった足取りは幾分か軽くなり。小走りにも近い速度で見えてきた表通りへと出ていく少年。
予想より迷ってしまったために、小腹の一つ空いてしまったようであり。
軽く持ち帰りの軽食でも見繕ってから、帰路へとついていったか―
ご案内:「王都マグメール 平民地区の小道」からフィルさんが去りました。