2019/06/28 のログ
ご案内:「平民地区・街中」にルビィ・ガレットさんが現れました。
ルビィ・ガレット > 髪のひと房が頬に張り付く。……高い湿度のせいで心持ち、息苦しい。
不快だ。その苛立ちを足に乗せるようにして、夜道を急いでいた。
正確には、急いでいる"振り"だ。急の悪天候に戸惑い、雨宿りできる場所を探している、平凡な娘の。

女は不意打ちで人を襲うのが好みだった。相手を油断させ、こちらに少しでも気を許したところを見計らって……狩る。
何しろ、人間の慌てふためく表情が好きなので。彼らの、余裕のない顔も、焦った様子も大好きなので。
半分、魔性の血が流れている者として、平然とそんなことを考えるし、思いつきもする。

「――すいません、そこっ……あたしも入れてください!」

既に閉まって明かりが消えている、何かの店の軒下にいる、誰かの元へ。
早足で駆け寄りながら。声を張った。

ご案内:「平民地区・街中」に黒須さんが現れました。
黒須 > (平民地区での酒場帰り。
フラフラに酔っ払った男が道を歩いていた。
嫌な事を唐突に思い出してしまい、それを消し去るためにも酒で誤魔化そうと昔の様に飲み続けてきた結果、前を確認するのも困難なぐらいに揺らいでいる)

「ぅ…気持ちわりぃ…。」

(しばらくすれば厳しくなり、どこかの店の前に座り込む。
苦しそうに呼吸を細かくしながらなんとか気分を整えようとする。
そうしていると、不意に少女の声が聞こえる。)

「あ?…あぁ、いいぞ…。」

(よくは見えずとも困っているようだと思い、隣を開けるように少し映る。
ここは自分の縄張りでもないし、所有地でもない。
それに雨宿りであるならば尚更、譲るのは当然だと思い、席を開けた)

ルビィ・ガレット > 店の軒下までたどり着き、相手にお礼を言いつつ、その隣へ。
人当たりのいい笑みを浮かべながら、無意識に相手の気配を探る。
……獣の気配がする。見た目は人に極めて近いが、人間の男ではないらしい。

――それにしても。
夜の闇に溶け込み、馴染みそうな。上から下まで黒一色の格好。
本人の趣味なんだろうか。それとも、単純に服装に無頓着……そこまで考えてかけて、

「――大丈夫ですか。暑気あたり? ……顔色が悪く見えます」

思考を唐突に切り替えた。彼が店の前で座り込んでいたのは、案外。
そのほうが楽……だからではなく。不調から来ているのか、と。遅れて思い当たり。

女はご丁寧に、彼の前にしゃがみ込んで、相手と同じ目線に持って行きながら。
そう尋ねて。

黒須 > 「…気にすんな。ただのやけ酒だ…。」

(魔力を読み取れるものであればわかるような気迫。
弱々しく、一風で消えてしまいそうな魔力のオーラを持っている男は今にも瀕死になっているかのような苦しい息をしていた。
顔を上げれば前髪に垂れる髪の毛の間から見える目。
死んだ魚の様で、泣き出しそうな辛さを持っており、少し光も消えている)

「そう言う嬢ちゃんこそ…何してんだ?
店が終わっちまっている時間まで外に出てよ…。」

(顔を上にあげて今度は質問する。
こんな時間に少女が一人…何かの事情かと素直な疑問故に聞いてみた)

ルビィ・ガレット > 「……自棄酒。――何かあったんですね」

静かな声でそう返せば、特に追及もせず。
相手のほうから話し出すなら、それを聞くつもりだし。
そうでないのなら、それっきりだ。こういうのは当事者の気分に依るものだと、女は考えており。

……にしても。本当に呑み過ぎだと思う。
実は、相手の顔色の悪さを指摘する前から。酒気は感じ取れていて。
幸い、彼は泣き上戸や笑い上戸、絡み上戸などではないらしいから。

面と向かって、注意する気はないけれども。

「……とても言いづらいんですが、いい年して家出です。
 ――だって、お父様ったら。過干渉なんだもの」

ため息混じりに、見た目相応を装って。
真っ赤な嘘を吐く。

黒須 > 「聞くな…吐き気がしちまう…。
折角直ったのによ…。」

(それ以上に聞かれそうだったために一応終止符を打つように止める。
話したくない、聞かれたくない、表に出すのはみっともないと思い、内側に封じ込めている気持ちが溢れそうになるも、飲み込んだ。)

「…ハッ!その年で家出か…。
親父に愛されている証拠じゃねぇかよ…。」

(ため息交じりに言う言葉に笑い飛ばす。
干渉され過ぎていると言うならば、よほど思っているからだと思ったために家出する理由にならないと自分で勝手に思った。)

ルビィ・ガレット > 「あ、いえ。……そんなつもりじゃあ」

少しばつが悪そうに、彼から目線を逸らす。
言われてみれば、追及しているような口振りに聞こえなくもなかったか。
曖昧でどっちつかずな言い方をした、と。軽く後悔するも。

……続く彼の言葉に、女の整った眉がぴくりと動いた。
女の表情は微笑んでいるのだが、目元は細められ、瞳の奥がよく見えない。

「そう、でしょうか。……私を信頼していない証拠でもあるような。
 そういうのは悲しく感じますけど」

そもそも過干渉な父親など、女には存在しないわけだが。
なぜか彼には、平静を装って反論したくなった。言い方や言葉は、選んではいるけれども。

――それから。
お互い、しばらく他愛のない会話を続け。それぞれの帰路につくはずで。

ご案内:「平民地区・街中」からルビィ・ガレットさんが去りました。
ご案内:「平民地区・街中」から黒須さんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にイリーナさんが現れました。
イリーナ > 陽もどっぷりとくれてしまい、薄暗い灯りがともる平民地区。
寝苦しい暑さから逃れるように、上は黒のパツパツのインナー姿、下はミニスカートという格好で夕涼みを求めて歩く女が一人。

じわ、とした蒸し暑さが額に薄っすらを汗を生み、手の甲で拭いながら足を動かすか。

「どこか、いいお店があるといいんだけど」

こんな寝苦しい夜には一杯ひっかけるのも悪くはない。
全身に廻るアルコールに、深く深く眠りへと落としてもらえれば。

かといってテキトーに選んでも面白くない――。

なんてしていたら、どこにも入らずふらふらと散歩していることになっているのだが……。

このまま歩き、適度に疲れれば心地よい眠りへとむかえるかもしれないが。