2019/05/24 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にミンティさんが現れました。
■ミンティ > すこし前までの暑さが嘘のように、日が傾いてからは涼しい風が吹いている大通り。日中の火照りを吐き出すように深呼吸をして、ちょうど過ごしやすいくらいの気温にほっとする。
夕食時が近いせいか人の多い大通りを、なるべく端の方を選びながら、のんびりと歩く。外出の用を終えた帰り道。途中で寄り道して買いこんだ食料品や日用品を入れた紙袋を抱えながら、今日これからの予定を考えていた。
ついこの間まで夢中になっていた小説は読み終えてしまったから、また新しい本を引っ張り出そうか。それとも、今日は自炊をさぼって、どこかでゆっくりと外食しようか。暗くなるころには、もうすこし涼しくなっているだろうけれど、今日は日差しにあたっている時間も多かったから、台所に立つ気があまりしない。
「……っ!」
そうやって考え事に夢中になってしまっていたからだろう。道の窪みに足を取られて姿勢が崩れる。転倒するほどではなかったけれど、買い物袋からこぼれた林檎が一玉、ころころと転がっていってしまう。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にガルディさんが現れました。
■ガルディ > 林檎が転がるその先の路地から、男が二人歩き出してくる。
走っていたわけではない。しかし中々の上機嫌での会話中だったようで、足元の林檎になど気付かず。
手前を歩いていた金髪の男が――爪先で林檎を蹴っ飛ばしてしまった。
弧を描いた林檎は勢い良く壁にぶつかって、……ぐしゃり。
あ、という間に食べられたものでは無くなってしまう。
隣を歩いていた男はいち早く状況を察したのか、そそくさとその場を去って。
「……あー、…申し訳ない。」
長身の男が両手を合わせ、少女へと謝罪する。
■ミンティ > 丸々とした林檎はよく転がるから、誰かが踏みつけて足を取られてしまったら大変だ。もったいなさよりも、そんな思考が先に出て、あわてて小走りになる。
同じく買い物帰りらしい人を追いこす時に、ごめんなさい、と声をかけて。そこで時間を取られたのは運がよかったのかもしれない。林檎に追いつくより先に、横道から出てきた二人組の男性に気がついて足を止める。
「あっ…」
果物の砕ける音が聞こえて小さな声がこぼれた。顔を上げて長身の男性を確認すると、とんでもないと首を振り。
「いえ、わたしの不注意でした。…足を捻られたりは、しませんでしたか?」
こちらの方が申し訳なさそうに縮こまりながら、相手の足元をちらりと確認する。どちらの足で林檎を蹴ったのかまでは確認していなかったから、不安を表情に浮かべながら、心配そうに尋ねる。
■ガルディ > 謝罪に頭を下げても、なお見下ろす角度になってしまう少女。
その姿を見るまでは純粋に申し訳無いと思ったものだったのだけれど。
が、その顔を見て、弱気な口振りを聞いて、お人好しそうな振る舞いを見た瞬間。
少女の女としての性質に、気づいた。
「――、あぁ、いや、……っ、…」
男もまた申し訳無さそうな手振り。少女の視線を受けて右足で、踵を入れるように地面を叩いてみせる。
眉を顰め、大きな肩を竦め、足首に激痛が走ったかのように巨躯を一瞬固めた。
「……駄目にしておいて言い難いのですが、……」
威圧感のある体躯に反し、丁寧な仕草で応対する。
足首に手を添えるようにして、だいぶ痛めてしまった、と。
■ミンティ > 見たところ、しっかり立っていられているように思える男性。何事もないようにと祈るような気持ちでいたから、長身を屈めるふるまいには目を丸くして、わかりやすく狼狽する。
おろおろとしながら自分まで一緒になって屈みそうになったけれど、紙袋の中のものを丸ごとこぼしてしまいそうになったから、とっさに覗きこむだけに留めて。
「え。…す、すみません…っ」
今にも泣きそうになりながら、相手が庇うようにしている足元を見つめる。治療の魔術なんて学んでいないから、今の時点で打つ手はないのだけれど、それでも自分が原因なのだからどうにかしなければと焦り。
「あ、あの、どこか、座れるところに。
…こういう時は、ええと、そうだ、ちゃんと冷やさないと……っ」
商店街の真ん中で座りこんでもらうわけにもいかない。手当をするために適した場所を探すけれど、混乱していて、どうしたらいいのかわからない。
目の前の男性に肩を貸そうにも、自分の小柄な身体では支えになれそうもない。近くの異性に頼むべきかと思いもするけれど、気の弱さのせいで申し出る事もできず。
■ガルディ > 大丈夫だと思ったのだが、試してみたら駄目だった。そして悪化した。
そんな風を装い、額に脂汗まで浮かばせて見せる。
あまりに解りやすいうろたえ方に、ほくそ笑むのとも関係なく笑ってしまいそうだったが何とか堪えた。
「そう、ですね……そうしてくれると、……ッ
……近くの知り合いの酒場がありますので、そこまで連れて行ってもらえますか……?」
辺りを見回し助けを求めようとする少女には待ったをかけた。此処で邪魔者を入れられては熱演も台無しになってしまう。
小さな肩でも松葉杖代わりにさせてくれれば、小柄な少女自身で大丈夫だと訴えて。
片足を浮かせ、膝に手を着く形で背を丸めて。大きな腕を上げ、助けを求める。