2019/04/10 のログ
■パティ > 「お肉美味しいよねー。あたしも大好き!
でもそれだけでこんなに大きくなれるなんてすごいなぁ…」
屈託なく笑いながらすとんと踵が地面に下ろされた。
ほっと胸を撫で下ろしながら、ずり落ちかけているバックパックを担ぎ直して。
「お兄さんから見たら子供かもしれないけど。あたしもう16歳だよ。
でも立派なレディとは言えないよね…うん。余所見してぶつかっちゃったし…」
頭を撫で叩かれながら苦笑のようなものを浮かべ。
じっと見下ろしてくる無遠慮な視線には慣れていたので特に気にはしなかった。
そして思い出したようにぽんと手を打ち。
「あ、もしかして冒険者だったりする? ギルドで見たことあるかも」
■イグナス > 「にくはうまいな。お前もたくさん食ってでかくなれよう。」
誤解しっぱなしなら、まあそれはそれでよしと放っておいて。
16歳、その言葉と体躯と、ちょっと見比べて頷いた。
「16歳か、…いやま。立派かはともかく、そんだけなってりゃもう大人だろう。
ぶつかったのは俺の方も――……ん?」
謝罪の言葉を改めて出す前に、冒険者、と。
不思議そうに瞬きするも、次ぐ言葉には、なるほど、と。
「名前まだただったな。…俺ァ、イグナス。
冒険者だったり、傭兵だったり。まあ、いろいろだ。
…お前は?ギルドに出入りしてンなら、冒険者か。」
じ、と視線を服装やバックパックに落とす。
うん、遺跡に潜るといってもおかしくない、同業者か。返答の前に当たりをつけて。
■パティ > 「なるよう! 今でも他の子よりちょっと大きいくらいだけど、もっと欲しいし」
身長のことを言ってるんだろうと思い、頷きを返して。
謝ろうとしているのを見れば、気にしないで、と笑いながら手を振る。
そういえば冒険者ギルドに巨人が出入りしてるって噂になってたなぁ、と。
「イグナスさんっていうんだね。あたしの名前はパティっていいます。
うん、去年から冒険者してるの。今日もこれから遺跡に潜るとこ。
…イグナスさんは? これから朝食?」
冒険道具がぎっしり詰まったバックパックを背を向けて見せながら問いかけ。
■イグナス > 「なんだ、まだでかくなりたいのか。
……そう、ちっちゃいわけでもねェように見えるけどもな。」
はてと首を傾げつつ返答を。
彼女の名前も届いてくるなら首肯してよろしく、と。
たぶんきっと、その噂の出どころの大男は名乗りに名前を反芻して。
「ほう、じゃあ、冒険者としや駆け出しちょっとってとこか。
…パティだな。…いや、まだこれから。
……お前もか?」
やはり予想通りのよう。ついでに食事についてもまだゆえに。
■パティ > 「だって大きい方が強そうだし、男の人に負けないくらいの体力欲しいもん。
でもイグナスさんにそう言われると自信ついちゃうね、えへへ」
そう笑いながら、よろしくお願いします、とお辞儀を一つして。
改めて見上げればその背の高さと体躯の良さに羨ましそうな顔をする。
そして朝食がまだだというので、何かためになる話が聞けるかもしれない、と。
「うん、保存食は買い集めたから、これからやっと朝ごはん。
よかったらご一緒してもいい? イグナスさんの冒険の話とか聞かせてほしい、です」
そう誘いながらも、ちょっと馴れ馴れしすぎたかなと最後は尻すぼみになり。
■イグナス > 「気持ちはわかるけどな、強いだけじゃあ冒険はできねンだから。
…ま、でも頑張れ。望むことはいいことだ。」
冒険者ならば、あれもこれも、ってそういう欲張りな方が望ましい。
まさしくそれが、冒険者としての未来にも繋がるゆえに、だ。
そんな先輩面していたならば、それに合わせる様に言われる言葉。
少しやっぱり驚くけれど、言葉しりすぼみになる様子に、ク、ク、とまた楽し気に喉を鳴らした。
「おう、構わん、構わん。
っく、く。冒険者何だから、こんなことくらい遠慮しねェでもいいんだよ。
…さ、ほら、行くか。」
馴れ馴れしいなんて気にもしないようだった。
話しが決まったならば、食事兼の武勇伝語りの時間だ。
ほら、と軽く急かすように言うならばその大きな体躯を揺らして歩き始める。
向かう先はさて、まだ決まってもいないメシ屋なんだろうが。
■パティ > 「わ、イグナスさんって流石ベテランって感じだね。
うん、あたしなりにがんばってみるよ!」
さっそくためになる話が聞けてちょっと嬉しくなる。
駆け出しの自分から見ると、誰も彼もがベテランに見えていた。
頭上から聞こえてくる楽しげな笑い声に瞬きをし、ほっとしたような顔で歩き始める。
「よかったぁ。そうだよね…同じ冒険者なんだし。
はーい、あっ、ちょうど行きたい店があってね、安くて量もたくさんのとこ」
男の一歩が大きいので、少し駆け足になりながら街角を指差してみせ。
本から飛び出してきたような巨人の男の武勇伝に、胸を弾ませる…。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からイグナスさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からパティさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にディールさんが現れました。
■ディール > ここは平民地区でも人目に付き難い、奥まった路地裏に近い住宅地
平民地区にしては人気も少ない。だが、かといって不穏な土地でもない。
悪人にとっての縄張りは、そのまま治安の良し悪しにも直結する要素。
ここは堅気の人間には手を出さない――有り体に言えば潜り続ける犯罪組織の縄張りとして有名だった。
叩けば出るのは蜥蜴の尻尾ばかり。本体の犯罪組織に辿り着くには伝手とコネ。幸運と多額の金銭等が必要とされていた。
「――久しいな?」
自分が王都に入り込めたのはこの組織の手引きがあったから。
偶然とは言え、ゴルドだけで貴族の階位が買えるはずも無い。
―――何より、都合良く貴族や王族が怪我をした現場に出くわす幸運は長続きしない。
此処の組織とは相応に付き合いも長く。
利益を、情報を流し。お互いに密を護り、蜜を啜る関係を構築出来ていた。
壁際に向かって話しかけている様で、その実。壁を通じた魔法の伝達術になっていた。
『用向きは』
声が示されない代わりに、壁に浮かぶ文字。――便利ではある遣り取りか。
■ディール > 周囲の人気は、今の所無い。
此方の周囲の音は筒抜けとなり、相手側に総て通じる仕組みとなっている。
この壁が特別なのではなく――特定のルートで示された幾つもある壁の1つと言うだけ。
「――迷宮符の入荷を聞いた。召喚本、魂符、魔符。纏めて購入したい。
家の地下に迷宮を造るだけだ。そちらには干渉しない。」
屋敷や自宅の地下にだだっ広い迷宮さえ造りだせる符。
空間を切り取り、繋ぎ合せる事で猫の額のような面積から、巨大な迷宮を生み出す空間を造れる、というのがウリ。
造った空間を迷宮に仕立てる為に、召喚本や魂符、魔符を使い壁、魔物、怪物や罠を配置させる事も出来る。
罠の形式で引き込めれば、魔王や騎士、己よりも力量が相手の存在でも付け入る隙位は造れるだろう。
『――――――ゴルド。それと、お前の客の名簿だ。』
要求される金額は予算の範疇。――もっと吹っかけられるかとは思ったが。
それよりは客の名簿と言う方が気になる。
犯罪組織の仕事の標的にでもなった客がいるのか。或いは嗅ぎ回っている事がばれた客でも居るのか。
「もう、名簿は奪っているのだろう?それ以上となると――」
表向きの名簿など、既に奪われているか盗み見もされている。
その中にいない存在を求めるなら、それは――この機に乗じて動く為に。
名のある、力のある存在を求めているのか。
もっとも、壁にはもう何の文字も浮かび上がらない。――YES、の返答を口に浮かべた。
壁が薄い桜色を浮かべた後、足元には自分の要求した品物がワンセット置かれている。
得体の知れない相手では有るが、相応に利がある以上付き合いを続ける意味は濃い。
■ディール > 物は手に入れた。
――後は都合良く生贄、いや迷宮に誘い込める存在がいるかどうか。
様々な出会いから手に入れた知識や魔力を使い、どの程度までの相手なら無力化出来るか。
そして、迷宮の中で犯し、這い蹲らせることが叶うのか。
其れを試してみたい気持ちは強い、が――
「今度、チラシでも出すか。」
ここに人の姿無く――もし1人でも見つける事が出来れば別だが、望みはそう高くない。
整体の方や医療の方で人を、得物を吊り上げる。その手段を考えながら――壁に寄りかかっている。
今頃は己の院内を、この組織の人間、或いは魔族や龍族といった存在が蠢いているのだろう。
必要な情報を入手させるまで、ここで待機する。――暗黙の了解でもあり、自分に危害を及ぼさない為の方策。
懐から取り出すのは麻薬と煙草を混ぜ合わせた嗜好品の煙管。
ゆっくりと火をつけ、くゆらせ――ゆらり、ぷかりと甘い香りの煙を宙に浮かばせる。
曰く、この煙自体に女性を招く呪いが込められているらしいが――。
■ディール > 時間は過ぎ去る。頃合だろう、煙管の灰を地に落とし、踵を返し大通りのほうへ。
向かうのは荒らされた後であろう自宅という居城――。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からディールさんが去りました。