2019/03/03 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区 酒場通り」にエインセルさんが現れました。
エインセル > 今夜の少女は、酒場で働く勤労少女だ。
普段はホールで注文取りや配膳、席への案内が主なお仕事。
しかし今夜は、春先と言えどもまだ寒い夜の通りに立っていた。
目の前には店内で焼いた串焼き肉とぐつぐつと煮えるホットワイン。
いわゆる露店の店番、といった風情の少女は、膝上丈のミニスカメイド服に身を包み――。

「いらっしゃいませー、美味しいお肉ですよー……?」

どことなくダウナーな呼びかけは、雑踏の向こうまで届かない。
近くに居るならば聞こえもするが、声を聴いて足を止める客は少なめで。
とは言え大声を出すのは億劫で、売上ノルマも決まっていないのだ。
やる気なさげな客引きを繰り返しながら、時が過ぎるのを待つ。
あるいは客が来たならば応対もするだろうが、少女の前に立つ者はいるのだろうか。

エインセル > 現状、お客さんはそれなり。たまに来た人にワインとお肉を渡すだけ。
お代はしっかり受け取って、お釣りの計算もばっちり。愛想があれば完璧、なのかもしれない。
こうして寒い夜中に立ちんぼでいると、足が冷えてなかなかつらい。
お酒を飲めば体も暖かくなるのだが、店の品物に手を出すわけにもいかなくて。

「……うぅ、せめてコートの一枚でも羽織らせてくれればいいのに……」

店主曰く、このメイド服にも防寒防暑の加護がかかっているらしい。
だから冬は暖かくて夏は涼しい、という話だが、実際来てみると寒い。
加護だなどというのは絶対嘘だ――そう、内心で結論付けながら。

「あ、いらっしゃいませ、お肉二本とホットワインですね――」

平坦な文句とともにひょいひょいと、皿を渡して金を受け取った。

ご案内:「王都マグメール 平民地区 酒場通り」にブレイドさんが現れました。
ブレイド > 少年は腹が減っていた。
ピークは過ぎたものの、未だ薄着では肌寒さを感じる屋外。
そのせいか、今はそこらの酒場も満席。
長期依頼を終えた帰りにいっぱい引っ掛けつつうまいものでも食べようと思っていたのだが…

「はー…やってらんね…」

ぼやきつつ歩く酒場通り。
視線をめぐらせれば、ミニスカメイドが客引きなんかして。
どうやら串焼きの露天のようだが…よくやる。
通り過ぎてもいいのだが…腹も減ってるし、少女を哀れに思いそちらへと足を向ける。

エインセル > 一度全ての肉が売れると、そこで一旦休憩。
次の肉が焼けるまでの間は自由で、ホットワインも飲ませてもらえる。
――だが、少女的には中に戻るともう一度外に出たくなくなるから、その選択肢はない。
時間丁度に最後の肉が売れればいいや、と省エネモードである。
杖と帽子があればなぁ、と嘆息しつつ、こっそり狼耳をピコピコ。
犬獣耳のアクセサリ、と言う事にしているから、ホールでは動かせないのだが。

「ここならお店の人達見てないしねぇ……」

ミレー族だということがばれると面倒だから伏せてはみたが、そうすると気を遣うことこの上ない。
やれやれ、と溜息を吐きつつちらりと周囲に視線を向けると、こちらにやってくる少年が一人。

「ん、美味しいお肉ですよー、いかがですかー」

視線を合わせ、これ見よがしに宣伝文句を投げてみる。折角だから買っていけ、とでも言わんばかりに。

ブレイド > ワインの濃厚なブドウ臭と肉の焼ける匂いも相まって、近づけば食欲をそそられる…
のだが、この売り子…明らかにやる気がない模様。
声の調子やら態度が接客するそれではない。
自分が言うことではないが、思わず苦笑してしまう。

「はは、何だよ、やるきねーメイドだな。
こんなとこに立たされちゃそうもなるか…割とさみーしな」

こういう仕事を任されると、相手にふりまく愛想なんてものは時間とともに消えていくものだ。
よくよく見ればピコピコと動く耳…ミレーかなんかか?

「美味しい肉ねー…せっかくだからもらってくけどよ…」

どれどれと串焼き肉を眺めてみる。
味付けやら値段も気になるところだ。せっかく食べるのだからうまいものが食いたい。

エインセル > やってきた彼は同じくらいの年頃――というには少々年上か。
苦笑する彼を見ながら、しかし愛想を振りまくような気配はない。

「やる気は徹頭徹尾ないですよー、ん、何本たべます?2本?3本?
 まぁ、寒くなくてもこれが平常運航、という感じですけどね」

ホールでも同じような感じだが、物好きにはこのそっけなさがいいらしい。
お陰で固定客がついてしまって、店をやめるにやめられない。
やめようとする度に少しずつ給金が上がるから、気分次第で行われる春闘のようなものかもしれない。
ともあれ、手元の使い捨ての薄い木皿に肉を3本乗せると、ひょいと差出して。

「1本5ゴルドだから、15ゴルド。値切りは無理だけど、チップは歓迎。
 ホットワインもセットにするなら、20ゴルド。計算が簡単でいい」

どっちも1つ売れれば5ゴルド。だから数を数えて掛け算するだけ。
どうするかによって金額も変わるが、彼の場合はどうだろうか。

ブレイド > よくよく見れば人懐っこそうな顔であるのだがそっけない態度。
なんか、それはそれでそういうのが好きなやつには人気出そうだなあと思ってしまう。
だが、飾らない態度は自分も嫌いではない。

「そんなんだからこんなところに立たされてんじゃねーの?
ま、いいけどよ」

彼女の普段の勤務態度は知らないが、そっけない態度のままに
串焼き肉を盛り付ける姿を見れば、なんとなく予想できると言うか…
それこそこのままの態度なのだろう。

「ふーん、んじゃ50払っとく。
腹減ったし6本とホットワイン2つだな。
でもワインは二杯もいらねーし、あんたにやるよ」

残りの10はチップだ。
自分も彼女が考える物好きの一人なのかもしれないが
それは知る由もない。

エインセル > 「そういう、人を見た目で判断するの、良くない。
 ――あ、面倒だから丁寧なのやめていい?事後承諾だけど」

そっけない上に面倒臭がり。だが、仕事はまじめにこなす。
ここに立たされているのは、きっと勤務態度のせいじゃないはず、多分。
そうだったら?――その時は、辞表ボンバーである。

「ん、ありがと。おやつ買えるね。
 んじゃ、お肉6本とホットワイン1杯ね。
 そしてこっちの一杯は、ご馳走様」

同じく使い捨ての薄い木のコップにワインを注ぐ。
チップをもらったから少しサービスで、底に沈んだ果物も浚って入れることにした。
普段はホットワインを売り終わった後の秘かな楽しみなのだが、チップ分のお返しだ。

「中で食べる?席用意できると思うけど。
 ちなみにここで食べるなんて言う超物好きには、悲しいお知らせ。
 椅子なんて言うものは、ない。食べるなら、立ち食い立ち飲み」

そんな感じでよろしく、とワインをちびちび。
熱い液体が喉を通り抜け、飛びきらない酒精と果物の複雑な甘さが後から追いかけてくる。
このホットワインは、なんだかんだでお気に入り。この店で働く理由の一つは、まちがいなくこれだった。

ブレイド > 「そりゃ悪かったな。酔っぱらいやらオレみたいなヤローの相手ばっかじゃこうもなるってやつか。おつかれさん
って丁寧なのって…どこから丁寧だったんだよ。
ま、こっちもこんな感じだし、かまわねーよ」

労いつつも、相手の言葉を聞けば笑ってしまう。
相手の勤務態度そのものはともかく。

「いいってことよ。
わりとさみーからな」

受け取った木の皿とコップ。
コップを軽く彼女に掲げて乾杯のポーズ。
よく温まった果実もおまけしてくれたようで、チップの甲斐もあるというものだ。

「中、あいてんのか?あー…まぁいいや
ここで食わせてもらうよ。めんどくせぇ。
どうせ一人で食うなら、あんたの接客でもみてたほうが楽しそうだ」

串の肉を引きちぎり、ワインを一口。
熱いアルコール混じりの液体が喉を通り、鼻と口に葡萄の香りが一気に広がる。
温かいアルコールというものは、すこしばかり酔いが回りやすい気がする。

エインセル > 「そもそも、お店に入るだけで笑顔の女の子がいる、なんて方が不自然。
 おじさんが料理を運んでこようが、かわいい子が運んでこようが料理の味は変わらないし。
 ……超丁寧だったと思うんだけど。ですとかますとか使ってたんだけど。残念。
 それじゃ、お言葉に甘えて、砕けていく。よろしく」

乾杯を返した後は、ちびちび飲みながらの接客。
とはいえ、そろそろ夜も更けてくるころ。これ以上の集客は難しそうだ。
残った肉は焼き直す訳にもいかないから、賄いになるか廃棄になるか。
――とはいえこの店の食品廃棄率はほぼ0だ。捨てるくらいなら、この娘の腹に収まる。

「ん、空いてるけど……そう?寒いのが好きなんて、物好き。
 ま、いいけど――私は見世物じゃない。見物料とる、よ?」

などと言いつつ、自分も肉の串を一本手に取る。
どうせもう売れないだろう――だからこれは、慈善事業だ。
捨てられちゃうお肉を食べてあげるんだ、などと理由をつけながら、しれっと齧る。
夜気でわずかに冷めた肉は、しかしそれでも柔らかく、脂身が甘く、岩塩が塩辛かった。

ブレイド > 「無愛想なおっさんしかいないような店もあるしな。
料理作るのがおっさんでも、あんたでも、うまいもんがうまいのも違いねぇ。
つか、客寄せはいいのかよ?砕けていくのは構わねーがよ。
まだ余ってるぜ?」

自分が彼女とダラダラ会話を続けているせいかもしれないが
もはや客引きと言った空気もなく、むしろ肉串焼きを手にとって食っている。
今日はこの露天は店じまいといったところか。

「べーつに、さみーのは嫌いだよ。
ただ、一人で黙って飯食うより話し相手がいたほうがいいってだけだ。
見せもんにしてるつもりもねーよ。つか、見物料ってなんだよ。またチップか?」

塩辛く肉の味も濃厚。
味も濃い目でなかなか自分好みの串焼きだ。
ホットワインももう一口。体も温まってくるために、外での食事も思ったほど寒いというわけでもない。