2019/02/22 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」に紅月さんが現れました。
■紅月 > ーーーざわざわ、ざわ…
夕暮れ時の街…春が近付くとは言えど、まだまだ日が落ちるのは早い。
いまだ活気は薄れきらず、たぶんもうじき賑わいが酒場へと移り変わってゆくのだろう、その頃。
「……、…やっちまったなぁ…」
ボヤきながら、ぼんやりと空を見上げる女の姿。
欠け始めた月が登り昇り始める空は、相変わらず美しい…そんな風に現実から目を背けている。
何を"やっちまった"のか…それは、彼女が無造作に持ち上げた帽子の下。
ぴょこん、と、小さく跳ねるように持ち上がった…耳。
それは猫のような三角形で、ふんわりと地毛と同じ色の体毛を纏っている。
■紅月 > はて、彼女はミレーであったか。
…否、ミレーでも獣人でもない。
魔法薬の調合中に器の一つが弾け…うっかり其の効果を喰らった、ただのドジっ子である。
「…ヒビでも入ってたのかなぁ……」
レシピに間違いはない、作り慣れたいつものイタズラ用の獣化薬である。
故に、可能性として高いのは器具の不備。
被った量から推定される効果時間は、半日から1日程度か。
そのくらいなら解毒せず待った方が良かろうと…つまりは、少なくとも今夜はニャンニャンしたままである。
「……あ、酒場開き始めた…」
ぴこぴこと忙しなく動く薄桜色の耳が、様々な音を捉える。
…イタズラ用ではあるものの喰らうメリットはキチンとあって、猫ならば身体強化や夜目の利きなどなど。
他の獣の場合…は、今はいいか。
■紅月 > かつ、かつ、かつ…靴音が喧騒に混じる。
大通りから己がよく行く広場に着いた所で足を止め…ごそごそ、と、懐を漁る。
取り出したのは銀の懐中時計、カチンと音を鳴らして蓋の奥の時間を確認する。
…まだ、贔屓の酒場が開くには早い。
「こうも半端な時間だと、なぁ…」
困ったように頬を掻きつつ少し笑えば、広場の入り口に突っ立ってるのも邪魔だし、と…噴水に歩み寄り、その縁に腰掛ける。
ベンチも空いているが、己は何となく此方に座って水の流れや空を見上げる方が好きなのだ。
黒い帽子は膝の上、目線を上げればすっかり夜の帷が降りていた。