2018/12/27 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区 小さな酒場」にフィル=クォーレンスさんが現れました。
フィル=クォーレンス > 夜はすっかり冷え込むようになり、深夜となれば大通りにすらなくなる人気。
その静けさに反比例するように、月明かりに照らされた小道を、酒場の集まる区画へと進めば見えてくるのは人の賑わいである。
寒さから逃れて暖を求め、空腹を満たそうとする人々で、打って変わってあちこちの店から零れてくる喧騒は、何とも賑やかなものであり。
その賑わいに誘われるように、目深に被ったフードから、白い吐息を零す少年はその中を進めていく。
とはいえ、そのまま一際賑やかなお店に入ることなく、その足は賑やかさが表の店達に比べれば大分控えめな、小道へと向けられていき。

「大分冷え込んできましたね…。
あ…えっと、このスープをお願いします」

比較的安全な地区とはいえ、裏路地に入っていくのは危険は少なからず付きまとう。
路地裏の奥まで進んでいくのは、自己責任と言っても差し支えはない。
だからこそか、小道に入口を構えたその食事処の中には、人気が余りなく。表に比べれば静かなものである。
目深に被ったフードを下ろしきることはなく、空いている手近な席に腰を下ろし。一息零してある間に、お冷を運んでくる店員に一つ頭をさげ。
メニューへとそのまま少しの間目を走らせていけば、やがて一つの料理を指さして注文をしていき。

人がまばらな店内へと視線をうごめかし、店内に広がる香ばしい料理の香りに一つ鼻を利かせながら、外に比べれば大分暖かな店内に気を抜いていく。
もっとも、元の姿を思えば、ヒトよりは大分寒さには強いのであるが。

フィル=クォーレンス > 「そろそろ、少しくらい…探索してみるのも、いいかな」

耳を澄ませば聞こえてくる、店内の少ない人々の話し声。
喧騒というには随分と穏やかな物であり、店内の暖かさと合わさって、眠気を誘われそうなものである。
少しだけ、目を細めたままぼーっと巡らせていく思考は、今日一日の事のようである。
何時ものように配達を頼まれて、店番を夜遅くまでしていたがために、この時間に至る。
少し変わった道具に関しては、やはりまだ未熟であるために、扱わせてもらえないことがほとんどであれば、はやる気持ちもあるのだろう。
この町に来てからの幾つかの経験をもとに、少しだけ自分の足で探索してみようかと巡らせていく考えは、行動に移せば実力経験共に足りず。大分危なっかしい結果しか待っていないだろう。

「あ、ありがとうございます。
とりあえず、これで大丈夫です」

考えを巡らせていれば、不意にかけられる声にハっとなる少年。
視線を向ければ、注文の品をもった店員が傍らに立って様子を伺っており。
追加の注文もなく、一つまた頭を下げ。テーブルに置かれていく、肉がゴロっと入ったスープへと効かせていく鼻。
目の前にのぼっていく湯気と、食欲を擽る香り。器に手を這わせれば伝わっていく暖かさに、一つ喉を鳴らし。
備え付けられたスプーンを手に取れば、誰に言うでもなく一つ頂きます、といった様子を零し。
スープを口へと運び、肉を咀嚼しては喉へと流し。体の奥から暖まり、空腹を満たしていく心地よさに浸りながら、スープを平らげ始めていき。

フィル=クォーレンス > 「ふぅっ…」

もくもくと口に運んでは咀嚼して、ゆっくりと飲み込んでいくこと暫く。
スープの入っていた器もスッカリと空っぽになったようであり。
満足したように、お腹を撫でながら一つ、気の抜けた声を零していく少年。
気が付けば周りの少ない人気は更に減り。店内にチラホラとしかお客も残っていない。
どれほど食べるのに夢中になっていたのか、時間のすぎる速さを実感しながらも、また一息つけばゆっくりと席から立ち上がり。

「ごちそうさまでした。
代金はこれで…はい、お願いします」

人気が減って、注文も止まっている様子である。
店員へと一声かけ、腰のポーチから取り出した袋から、代金をテーブルに並べていき。
間違っていないか、しっかりと店員が確認するのを待ってから頭を下げていく少年。
相変わらずフードを目深に被ったままではあるが、ぶっきらぼうではなく。軽く笑みを乗せて、明るい声で零し。
外に踏み出せば、射しはじめている朝日に目を細め。零すたびに白くなる吐息と、身に染みる肌寒さに眠気を覚まされながら、ゆっくりと帰路へとついていったようである。

ご案内:「王都マグメール 平民地区 小さな酒場」からフィル=クォーレンスさんが去りました。