2018/12/06 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にネコアシさんが現れました。
ネコアシ > 昨晩とやる事は同じで時間も同じ、けども場所は少しだけ違う此処は平民地区の大通り……から一歩だけ入った薄暗い路地の入り口。

タイミングや何やらがあるのは重々承知してるけども、一度も客が来なかった場所で同じ様に露店をする何て愚行は犯さない。

それでも一目がつく所は下手をすれば追い払われたり衛兵のお世話になる可能性がすんごく高いのでギリギリの場所を陣取って、昨日と全く同じ本当に同じ、少しだけ値が張りそうな実際に値が張った布を広げて、小ぶりだけど純度が高い透明な水晶の塊を無造作に並べて、お客様って奴を待っている。

今宵も信用第一にローブのフードは被らずに薄汚いかもしれないが素顔を曝け出し、口元には余裕がある様な淡い笑みを浮べて、見たことないけども熟練のバーテンダーの如くに一番の目玉の大きめの水晶をシルクの布で磨きながらその時を待つ。

「加工とか出来りゃねぇ……あと魔法を込めるとか……。」

それだけの価値があると思うのだが、その鑑定する眼があるわけでもなく、言葉通り魔法を込める能力も無い、なので素材のままで販売をしているが、何か良い方法はないか少しでも楽して稼げる方法はないか、寒さが結構こたえるが客町の間そんな事を考えていた。

ネコアシ > 磨いた水晶を大通りに射し込む月明かりに翳して曇りがないか角度を変えながら何度も確かめる、その後は曇があろうが無かろうが手持ち無沙汰を誤魔化す為に何度も何度もキュキュと磨きに磨いて磨き続ける……最中。

「あっ……………。」

一瞬呆けた顔をして慌てて水晶を磨く手を止めて、昨晩貧民地区の先輩方に作ってもらった値札をローブのポッケから引っこ抜くと、小ぶりの水晶達の脇にコトンっと置いて、満足げに縦に頷く。

「よし…………。」

で、再び止めていた水晶磨きを始めるのだが、是が中々つまらない、しかし是が売れない事には出世物語も夢また夢なのは判っているので今宵はもう少し我慢して客が来るのを待つことにする。

次第に営業スマイルと言うべき笑顔の頬がヒクと震えて、作り笑顔に限界が来るのだが、我慢、我慢……。

しかし、大通りから一つはなれた路地の入り口であるから、一通りが少なく通りかかる人々も何だか疲れた顔をしている人たちばかりであった。

何か財布の紐が固そうな……?気がするがさてはて。

ネコアシ > 稀に通りかかる人はあれど客にはならずと……。

仕方なく大きく溜息を吐き出してから左右に首を振り、やれやれといった素振りを見せると磨き続けていた水晶の塊を敷物の上に置き、布の四隅を順番に真ん中に集める様に折りたたむと、最後にキュっとそれらを結び袋状にまとめてから立ち上がる。

「……やっぱ誰かしらに伝手がないとダメだなこりゃ…。」

ズボンの両膝を軽く掌で叩き埃を払うと、荷物をまとめて歩き出す。

売れ残ったら最悪二束三文でも売ることを考えなければと再び溜息を吐き出してから夜の街へと消えていくのであった。

ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からネコアシさんが去りました。