2018/11/11 のログ
■リン > それからもう暫く待つと、使いのものと思しき女性がやってきた。
忘れられたわけでもなかったらしい。
彼女の手に乗って、路地を後にする。
「しかしこの稼業、危なっかしいなぁ」
リンの生き方自体が危なっかしいのだ。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からリンさんが去りました。
ご案内:「平民地区 酒場の…」に黒須さんが現れました。
ご案内:「平民地区 酒場の…」から黒須さんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にミンティさんが現れました。
■ミンティ > 自分が任されているお店と、隣にあるお店。壁と壁の細い隙間にランプを掲げて覗き込む。細身の自分でも通り抜けできない空間には、いつの間に置かれたのか木の板や棒きれが入りこんでいて、揺れる明かりは障害物に阻まれて万遍なく行き渡らない。
周辺の商人を取りまとめている人が尋ねてきたのは、外出から戻って、ひと段落ついたところだった。近所で小さな魔物の姿を見たという話があったから用心する事、あまり危なくないものだろうけれど戸締りは忘れないように、そんな連絡を受けて眉を顰めた。
子どものころから怖い話は苦手だった。このままだと寝付けなくなりそうだから、できれば明るいうちに連絡を受け取りたかったけど、外出していたのは自分だから文句も言えない。
「……いない…ね」
とりあえず店の周囲や裏口は見て回った。あとはこの狭い隙間を覗いておけば大体の確認はできた事になるはず。
どんな魔物が目撃されたのか、そもそも本当に魔物なのかさえ確かな話ではないようだったから、なにに気をつけたらいいのか。
■ミンティ > そろそろ引き返そうと思ったけど、隙間の奥でなにかが光ったのを見てしまう。しかし緊張して身構えた直後に、にゃあと聞こえて気が抜けた。斜めになった板の下から這い出してきたのは真っ黒な猫。
「……驚かさないで…」
はーっと溜息。じっとこちらを見つめてくる猫に小さい声で囁いた。おなかが空いてるかなと手招きをしてみたけど、隙間から出てくる様子はない。
もしかしたら誰かが見かけた魔物も、この黒猫だったのかもしれない。そう思えるとすこし笑えて、気持ちも軽くなる。
真相はわからないままだけど、きっと猫だろうと考えられるのは臆病な自分に都合がいい。おかげであまり怯えずに過ごせそうだった。
肩から力を抜いて黒猫に手を振る。闇の中で光る瞳に見つめられながらお店の裏口へと戻っていって…。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からミンティさんが去りました。