2018/09/07 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にミンティさんが現れました。
ミンティ > 仕事の用で外出した帰り道。朝から雨が続いていたから傘を忘れず持って出かけたけれど、その傘がほんの短い時間のうちに盗まれてしまって途方に暮れている。
雨脚は弱まる気配はない。本当ならまだ夕日の光が届くはずの時間ながら、厚い雨雲のせいで周囲はすっかり薄暗くなっていた。
もうすこしだけ待ってみて、やみそうにないなら家まで走った方がいいかもしれない。そう考えたりもしたけれど大粒の雨を眺めているうちに気力も薄れてしまう。

ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にブレイドさんが現れました。
ブレイド > 強い雨脚。朝から降り止まぬ雨のせいで人通りはまばら。
自分は遠出ができない分、こんな時でも依頼を受けなくてはならなくて。
まったくもって気が重いというか。
防水処理を施された分厚いマントとフードのおかげで、傘は必要なく身軽ではあるが…それと気分が晴れるかどうかは別の話。
薄暗い街角を少しだけ大股で歩く。
そこで見つけた…桜色の髪の知人。思わず歩み寄ってしまう。

「何やってんだ?」

傘も持たずに…と少し呆れたように。

ミンティ > 実は見落としていたんじゃないかと思って、もう一度だけ傘がないか確認しようか迷う。もう何回も酒場の出入り口は確かめていたから、そんな事をしても落胆するだけだと分かっているけど。
傘をさして目の前を通りすぎていく人たちをぼーっと眺めながら、困った顔で雨雲を見上げた。

「…?……あ、ブレイド…くん。
 ええと……傘、持っていかれちゃった…みたいで。
 あ……、こんにちは……、こんばんは…かな」

瞳を上に向けたところで声をかけられる。呆れたような顔でこちらを見ている少年の顔があって、小さな声で事情を説明した。
いくら人見知りな自分でも多少慣れるくらいには顔をあわせた相手だったから、遅れて挨拶をするとともに小さく手を振るくらいの愛想は見せられた。

ブレイド > なんだか気落ちした様子が伺える。
それにしたってこんなところでぼーっと雨を見ているなんて…
ガラの悪い酔っぱらいにでも絡まれそうだ。だが、彼女も好きでそうしているわけではないようだ。
手を振る彼女に笑みを向けて、ひらりと手を振り返しつつ、彼女と同じ軒下へはいれば水滴を払い

「まぁ、もう暗いし…こんばんはでいいんじゃねーかな?
しっかし、傘ドロボーか。狡い真似しやがるやつもいるんだなー…
これ、使うか?」

ばたたたっと水滴を落とす撥水性のマントを見せて。

ミンティ > マントなら身体のサイズも関係してくるから持っていかれる事もなかったかもしれない。少年の格好を見ながら考えてみたけれど、今のこの状況が改善するわけじゃない。つい、いつものように溜息をこぼしてしまって。
同じ軒下へと入ってくる少年が雨に濡れないようにスペースを作り、小さく頷く。

「はい。じゃあ……こんばんは。
 ……わたしが無用心だったから…、もっと気をつけないと…ね」

夜の挨拶を言い直してから首を振る。傘がなくなっていると気がついた時は落ちこんだけれど、今さら持っていっただろう人を恨む気分にもなれない。
反省を口にしながら肩をすくめて、自嘲するように笑う。

「…え?あ、……ううん。
 それだと……ブレイドくんが濡れちゃうから」

人からの親切は、あいかわらず素直に受け取れないままだった。自分が助かる代わりに少年を雨に打たせてしまうと思うと、言葉に甘えるわけにもいかない。

ブレイド > 「人の顔見てため息なんてつくもんじゃねーぞ?
ま、立ち往生ともなりゃ気も重いだろうがよ」

冗談めかしつつ彼女の隣へ。
雨は強く、止むのを待っていたら深夜どころか朝になってしまいそうだ。
怒ったところで傘は戻ってこないし、彼女の性格ならばまぁこうなってしまうだろう。
雨が強いせいでゴロツキもうろついていないのが救いだったなと思いつつ

「別にいいって。濡れたところで困らねーし。
ミンティは…そうでもねーだろ?」

ミンティの服は白く薄い。つまり、濡れてしまえば透けてしまうだろう。
それに、こんなところで朝を待つ気もないはずだ。
確かに耳と尻尾が隠せないのは少しだけ困るが…頭に布でも巻いておけば隠せるだろう。

ミンティ > 「あ、……そ、そういうわけじゃ」

言われてみて、はっとする。たしかに少年の顔を見ながら溜息をついたようになってしまっていたから、あわてて首を振り否定する。彼の口調を聞けば本当にそう思われたわけじゃないのはわかっていても、ごめんねと言うように頭を下げる。

「…自分が濡れるのは…困るけど。
 ブレイドくんが雨に濡れるのも……困ります。風邪ひかれたら、嫌だし」

軒下から踏み出せば数秒と経たずにブラウスが濡れ、透けてしまうのは簡単に想像できる。この天気だと走って帰れば人目につきすぎる事もないかもしれないけれど、そんな勇気は出てこない。
だからといって少年からマントを借りていいと思える理由も浮かばないから、今までどおり意固地になったみたいに首を振るしかできなかった。

ブレイド > 「わかってるよ」

けらけらと笑って、ミンティの背中を軽く叩く。
それにしたって…融通の効かないところは変わらないというか。
いい娘なのだが遠慮が強いというか…。
ともあれ、濡れて帰ればたどり着くのは十中八九自宅ではない。
薄暗い廃屋か、いかがわしい宿か…。

「そこまでやわじゃねーよ。
ミンティの家ってここから近かったっけ?
そこで乾くまで休ませてもらえりゃ大丈夫だろ」

そうでなくても、マントを貸して貧民地区の自宅に帰るよりはましな距離のはずだ。
我ながらいい案だとは思うが…。

ミンティ > 「……もう」

恨めしげに少年を見るけど、冗談だったと確認が取れて安心した。困り顔のままながら、背中を軽く叩かれているうちに元気も出てきた気がする。
一人でぼーっと雨がやむのを待っているよりは誰かと話していた方が気持ちも軽くなって、沈んでいた表情もすこし柔らかくなった。

「でも……濡れてる間は、寒いでしょう。
 わたしの家は……ここから、ちょっと歩くけど…遠くはないかな。
 …だからって…、だめ。……こんなに強い雨だと、…冷えちゃうと思うし…」

暴漢に追われていた時でさえ聞き分けは悪かったから、なにかに急き立てられていない状況だとますます折れにくくなる。
意地を張っている方が少年を困らせてしまうかもしれないと思うけれど、昔からの性格だから簡単には改善できない。親切は素直に受け取れるように努力もしていたけど。

どうするのが一番いいか悩んでいる間にも雨脚が強くなっているような気がする。ここで押し問答していても状況は悪くなるだけだと思えてきて、また溜息がこぼれた。そのあとで、マントを受け取ろうと両手を差し出して。

ブレイド > 表情も和らいだようで安心した。
遠慮がちなところは変わらないが、気分は楽になったようだ。

「じゃ、風呂でも飯でもおごってくれりゃいいさ。
寒くなった分あったまりゃ大丈夫だろ。
そもそも…最近まで暑いくらいだってんだ。少し濡れたくらいならむしろちょうどいいぜ」

彼女がそういう性格なのは知っていたから気を悪くするようなことはない。
だからこそ、こちらがむしろ一方的に押し付けるくらいがいいということも。
などと思っているうちに、彼女から手を差し出してきてくれた。

「んじゃ、冷えねーうちにいこうぜ?駆け足でよ」

彼女にマントを渡し、それをまとったのを見れば手を差し出すだろう。

ミンティ > 「……あとであったまったらいい…とか、そういう話じゃなくて」

なにかと親切にしてくれる少年が自分のために一時でも大変な思いをするのが心苦しい。そんな事を言ったところで平行線になるのはわかっているけど。

マントは諦めて受け取ったけれど、差し出された少年の手は取らなかった。彼を拒絶したわけではなく、頭の上で借り物のマントを広げているから両手が塞がっているだけ。
半分くらい自分で被りながら、もう半分は少年に差しかけようとする。なにもないよりはいいけれど、これでは多分二人とも濡れてしまうだろう。しかしこのくらいが、なんとか妥協できるところで。

「どこか、雨宿りできそうなとこまで」

ずぶ濡れになる前に避難できそうな場所に逃げ込もうと提案する。

ブレイド > 「そうだな…でも雨宿りっつってもよ…」

雨脚は強まるばかり。
雨宿りなどしても、状況が好転するとは思えない。
それこそ宿にでも泊まって翌日の天候に期待するくらいしか…。

「って、そんなかぶり方で…ったく…
テメーで体冷やしてどうすんだよ…」

やや呆れ気味に、それでも彼女の意思を汲んでそのまま雨の中を行く。
雨脚強く、客は少なくとも平民地区の商業がさかんなあたりだ。
探せば宿くらいはすぐに見つかるだろう。目についた店の明かりがあれば、彼女の手を掴んで連れて行く。

ミンティ > 二人とも小柄だから、こんな被り方でもどうにかならないかと小さな希望もあった。しかしそれが甘い考えだったと軒下から一歩出たところで痛感させられる。
大粒の雨に当たると、想像以上の勢いに怯んでしまう。やっぱり雨がやむのを待とうと言いたくなったけど、一瞬の間にたくさんの雨粒を浴びてしまったからどうしようもない。

「……ごめんなさい。…ちょっとは、どうにかなると…思ったんだけど」

考えが甘かった事を反省するものの、こんな雨の中で自分だけマントを使う事にならなくてよかった。少年一人だけ雨に打たれるような事にならなくて安堵したけど、あまりのんびりしていられない。
水溜りをぱしゃぱしゃ蹴りながら、少年に引かれて駆けていき…。

ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からミンティさんが去りました。
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ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にブレイドさんが現れました。
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