2018/08/07 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区 雑貨屋」にフィル=クォーレンスさんが現れました。
フィル=クォーレンス > 昼間の暑さを吹き飛ばすように、吹き抜ける夜風も涼しさは足りることはなく。
未だに昼間の暑さが残る夜更け。
大通りからも人気はなくなり、いつもより酒場や宿屋の並ぶ区画に賑やかさが感じられるのは、涼しい飲み物や空間を求めてといった所だろうか。
昼間ですら人気のない区画は、当然の様に足音すら響きそうなほどに静まりかえり、灯りが落ちている家々も多いようである。
そんな静まり返った道に、店内から灯りを零す雑貨屋の中でうごめく姿は少年が一人。

「今日は…こんな所かな」

少しの間店の中をパタパタと歩き回っていたが、やがて足を止めてカウンター裏の椅子に腰を下ろせば零す一息。
窓や裏口といった所の戸締りをしていたようである。
夜風に揺れる表のドアにかけられた看板に目を向けながら、まだクローズの文字が書かれた面にひっくり返すことはなく。
戸締りを完全に終えて帰る前の少しの一息、といった様子で少し気を緩める様に表情も緩めて少年は、静まり返った外の道へと視線を漂わせ。

ご案内:「王都マグメール 平民地区 雑貨屋」に紅月さんが現れました。
紅月 > ーーーかつ、かつ、しゃら…

今日も今日とて月夜の散歩。
けれど、今回は普段と違う道を曲がってみる事に。
どうせ時間がたてば朝日が昇り明るくなるのだ、多少迷子になったところで支障はない。

…と、こんな時間に明かりのついた窓。
ひょこっと覗いてみれば、ナイフにランタン、救急セット。
どうやら日用品の類いを置いた雑貨屋らしい。

「…掘り出し物、何かあるかな?」

こういった細々とした物を売っている店には、たまに絶版のアイテムやデッドストックなんかがあったりする。
何かの縁だとささやかな期待を込めて、扉を開いてみた。

「こんばんは~、まだやってます~?」

…何だか普段のクセで居酒屋の入店時みたいな声かけになってしまったが、気にしない事にした。

フィル=クォーレンス > 「あっ!はい!」

窓の外を何を定めるでもなく滑らせていた視線。
相変わらず掛け看板を夜風が静かに慣らし、少しずつ眠気でも誘われてしまっていたのだろう。
外へと視線を向けていたというのに、人気が近づいていたことに気づけず。
静けさに明るく響く声に、反射的にビクっと身を震わせて大き目の声を返してしまい。

「あ、っと、すみません。
少しぼーっとしてしまってて…こんな夜更けですけど、まだやってますよ。
何をお探しですか?それとも…店長に御用ですか?」

開いた扉先にいるのは一人の女性。
自らよりスラリと高い身長に、店内の灯りに映える紅髪といった姿にペコリと一つ頭を下げ。
夜更けの来客にちゃんと接客の姿勢を正すように、ずり落ちかけたローブのフードをかぶり直せば椅子から立ち上がり。
カウンターの前に軽く歩み出る様にして、また一つお辞儀をするとともに言葉を返してていく。
店内の目につくところに置いてある品々は、本当にそこらで売っている日用品ばかりであるが。

紅月 > 「…っ、ふふっ、お疲れ様?」

なかなかイイ反応を返してくれた店員に思わず笑ってしまいつつ、とりあえず労ってみる。

「いやぁ、普段通らない道を通ってみたら明かりがついてたから…品揃えとか、何か面白い物扱ってたりしないか見てみようと思ってさ?」

軽い調子で「どんなの扱ってる?」と、微笑みながら訊いてみる。
…歩み寄ってくるのは、恐らく少年か。
フードをかぶっているからわかりにくい、が…?

「…あれっ、あんさんたまに九頭龍で擦れ違う子じゃないさ!
雑貨屋さんだったんだねぇ」

小さな発見に嬉々として…おそらく一方的だろうが、ちょくちょく見掛けていた分謎の親近感もあり、しみじみと言って。

フィル=クォーレンス > 「え、っと、ありがとうございます。
面白いものですか…店内に並んでる雑貨は日用品ですけど、店長関連の品物なら、変わったものは有ると思いますけど」

少しだけその笑みに気恥ずかしさを感じたのだろう。
ちょっとだけドギマギとした様子を、声色から零していき。
面白い物と言われれば、一つ顎に軽く手を当てて巡らせていく思案。
別に隠す必要があるものでもなく、面白い物と言われれば魔法道具や魔法薬等、少し変わった品物は店長経由では扱っていることが多いことを告げ。

「ただ、店長が今はいないので…まだ保管が終わってない品物なら、って…お客さんも九頭龍良くいくんですか?
すれ違ってたのは…気づかなかったからちょっとびっくりしましたけど、良いですよねあそこの温泉」

今日は行ってきた品物なら変わったものがあったような。
そんな事を、折角あまり人が来ないお店にこんな時間に来てくれたのだし、といった所もあるのだろう。
思案を巡らせながらも、彼女からは知られていたと言われれば、少し目を丸くしながらも、少年もちょっとした親近感を感じようで声は明るくなり。
しっかりと顔を上げればフードから覗く顔はヒトの少年であるが、多少魔力が強かったり、魔術の心得があれば、それはブレたり掠れて見えるかもしれないが。

紅月 > 「へぇ、マジックアイテムもか!
それならちょくちょく覗きに来ようかな…私、装飾系のマジックアイテムたまに作るんだ」

買う方売る方ではなく、作る方。
しかし、売れるならお小遣い稼ぎになるし…マジックアイテムは内蔵された術式を見るだけでも物凄く勉強になる。
作り手としては機会があるなら是非に見たいのだと語り。

「うんうん九頭龍は景色も結構いいし、温泉に酒とかツマミ持ち込めるのもイイんだよなぁ…最近怪しげなバイト募集してるっぽいけど」

クスクスと笑いながら風呂トークに花を咲かせつつに…どうも、少年を見ていると目が疲れてしまって。

「…ごめん、不躾な事訊くんだけどさ、何か幻術とか姿隠す系とかの魔法使ってる?
なんかこう、騙し絵見てるみたいで目がシパシパする…」

ぐりぐり、と、目と目の間を揉む。
私のカワイイ物センサーと言う名の直感が"何かある"と告げている…とは言えないので、純粋に目の疲労を訴えようか。

フィル=クォーレンス > 「そういうの作れるんですか!?
僕も、その…不思議な道具とかには興味あって」

特殊な道具や珍しい品を見れるから、此処の店員になったところもあれば、彼女の言葉に興味を膨らませる少年。
作れるという人に余り合えるものでないのだから、仕方のない部分もあるだろう。
それでも店員でありお客さん、というのを思い出せば少しハっとしたように、落ちつこうとする様子を見せ。

「そういえば張り紙妙にありましたよね…温泉の種類豊富だから人手不足なんでしょうか。
って、あ、えっと…目、シパシパします…?」

バイト募集の張り紙は確かに並んでいたのを思い出せば、頷いて零す疑問。
貼ってある壁紙には内容はあまり細かく書いないため、妖しいどころではないバイトであるとはしらないようであり。
そんな言葉を零しながらも、彼女が不意に零す言葉にピクリと身を震わせて、目を瞬かせれば少しだけ目を彼女から外すように泳がせてから、やがて視線を戻し。

「えっと、…目を疲れさせるのは本意じゃないので、その。
言いふらしたり…怯えたりしません?
別に人を襲ったりとか…魔物とかとは違いますからね?」

彼女の目を疲れさせてしまっているなら、本意ではないという素直な心配もあったのだろう。
少しだけたどたどしくも、ポツポツと零していくように言葉は続いていき。
彼女が多少は平気そうだったり、大丈夫そうなそぶりや返事を見せたりすれば、フードを少しずり下げ。
弱める阻害魔術のままに、狼や犬にも似た顔であり、マズルを持つ獣に近い見た目の獣人の姿が見え始めるだろうが。
勿論手なども毛並み生えそろい、掌には柔らかな肉球がついてるのも見えていくであろうが。

紅月 > 「作れちゃうんです、えっへん。
…ふふっ、それじゃあお仲間さんだ!
私は遺跡に潜って探しもするし、作りもするし…魔物の力を抑える封印アイテムなんかは得意中の得意だねぇ」

目を輝かせる少年に、愉快げに胸を張ってみせて。
客と店員だろうがお構い無し、興味があるなら折角だとばかりに自分の魔法道具の守備範囲を軽く話して。

「あんまり九頭龍の店員って見掛けないもんなぁ…謎だわ」

うんうんと頷いて、やはり疑問に首を傾げる…互いに知らぬが仏であった。

「うん…?
いやほら私、冒険者だし…今更怖い物もあんまり思い付かないし。
…お、おぅ?」

目の疲労を訴えれば、何だかオロオロし始める少年…に、首を傾げる紅娘。
フードの奥にもふもふワンコを見れば、その瞬間に嬉々として抱き付く。

「うわぁああカワイイ!
なにこれ可愛い超可愛いっ!
ぁあん、もっふもふ…幸せ~」

…とりあえず、怖がってはいないようだ。

フィル=クォーレンス > 「いつかそういう所にも潜って探してみたりもしたいんですけど…。
封印アイテムの自作まで何て」

まだまだ自分で探索できないレベルなのである。
探索もこなすし、ましてや自作すらしてしまう何て彼女であれば、遥か高みの存在にも見えるのだろう。
そんな中、彼女も温泉の募集の内容を知らない様子であれば、いつか内容を探ってみようか、何て思ってしまうのは君子危きになんとやらであろうか。

「そ、それなら…いいんですけ…ど!?」
わわわわ?!」

別に人間に化けて人間を狩るために、なんて魔物的な思考でもなく。
獣人ではあるものの、ミレー族どころか魔物にも人によっては見られかねず。
そのために阻害を掛けて人に見える様にしていれば、どうしても本来の姿を見られても平気か気になるのだろう。
もっとも、そんなことは杞憂とばかりに抱きしめられれば、少年の方が驚くことになり。

「あ、え、あ…こ、こわくないなら…その、有難う、ございますっ。
わっふ…わ」

怖がるどころか可愛いと言われれば、予想外だったのだろう。
ローブの下で尻尾をピンと立たせながらも、やがて少しずつそれは驚きが解れる様にゆらゆらと揺れ始めていき。
もふもふとされれば、まだまだ百戦錬磨の雄からほど遠い少年である。
少し気恥ずかしそうにしながらも、もふもふとされるままに耳を時折パタつかせ。

紅月 > 「ん~…手っ取り早くダンジョン経験したいなら、ゴリッゴリの探索者にアイテム係か回復役として着いていくのがいいかな。
…ソロ探索だけは色々慣れるまでダメだからね?」

女子供と同士には甘い紅娘、とりあえず思い付いたヒントに忠告を添えて言ってみる。
…同じく温泉の貼り紙を探ってみようかと思ってしまっている辺り、この二人は似た者同士かもしれない。

「いやいや寧ろありがとう、極上の癒しをありがとう。
ミレーじゃないよね、常に狼ならワーウルフ系の魔族でもないだろうし…獣人さんかな?
いやぁ~、私の可愛い物センサーに狂いはなかったわー…」

大きなぬいぐるみを貰った子供のように目を輝かせ、嬉しくて仕方ないとばかりに頬擦りまで。

「うーん、そうだなぁ…それじゃあおねーさんも秘密を教えてあげよっか!
こうやってお手々を頭に当てて、むむ~ってすると…じゃーん、おねーさんも人間じゃないのでした~」

さて、彼は秘密を教えてくれた。
なら己も明かさねばフェアじゃない。
名残惜しいのをグッと、ググッと堪えて彼を放し一歩下がれば…其処には尖り長耳に魔石の角を生やした、いわゆる魔族然とした姿を彼に見せて。

「…内緒、ね?」

口許に人指し指、ヒミツを表すポーズでウィンクでもしてみようか。

フィル=クォーレンス > 「は、はい…興味はありますけど、腕には自信はないので…」

一人で潜ったら確実に何かしらの餌食は確定だろう。
罠か魔物かはたまた盗賊か、経験不足もいい所であれば、手慣れている雰囲気を感じさせる彼女の忠告に素直に頷き。
好奇心は似ているようであれば、温泉探りでばったり足並みそろう何てこともあるかもしれないが。

「んっ…はい。
一応狼に近い血統が濃い、獣人です。
魔物と間違われたり、怖がられたりすることの方が多いから…可愛いって言われたこと余りなくて」

慣れないむず痒さがあるのだろう。
彼女の言葉に答えていくように、素直に自分に種族を答えていく少年。
頬擦りまでされれば、毛並の下の頬を少し赤くしながらも、フワフワとした実際の犬や狼より、大分柔らかな毛並みの感触を彼女の頬に伝え返し。

「秘密?
って…え…角!?魔神…とか、鬼とか、ですか?
香も完全に人、だと思ってましたし…」

耳も鼻もいい種族である。
それでも彼女の変化はそれほどしっかりしていたのか、その耳でも鼻でも完全に人間だと思っていたようであり。
一度離れていく彼女を首をかしげてみていれば、人ならざる特徴を見せていく様子に、目を丸くしてポツリと零し。

「あ、はい!もちろん…言いふらしたりはしません!
僕もこう…本当の姿見ても、怖がらない人と知り合えるたのは嬉しいですし」

自らに比べると人に近いものの、どこか威厳を感じさせるような感覚を受けたようであり。
その様子に反射的にコクコクと頷かせる頭。
人以外の知り合いというのが、嬉しいのを素直に示すように、ローブが揺れる様子を見れば、中で尻尾が大きく揺れているのだろう。

「持ち込まれ途中の品物とか…お姉さんになら見せても大丈夫そう、かも」

無遠慮に角などに手を伸ばそうとしないものの、色々と場数を踏んでいる上に、正体も見せ合い。
大分気心緩んだのもあるのだろう。
持ち込まれて店に保留になってるようなアイテムなら、見てもらってもとポツリと零し。

紅月 > 「うむ、素直で宜しい!」

経験者は語る…とは言え、この国の場合は特に女が不利なのであって、オスである彼にまで被害があるとすれば本当にヤバイ系の派手な罠か魔物が大概なのだが。
純粋そうな少年には敢えて言わず…素直に頷く姿に、ただただ微笑みを浮かべよう。

「あぁ、やっぱりか!
…ミレーといい獣人といい、この国の人間ってちょっぴり選民意識強すぎるんだよなぁ。
共用語で会話ができて、こんなにふわもふなのに…何処が怖いんだか」

差別意識どころか、ドラゴンや魔獣ですら可愛いと普通に宣う変人に死角は無かった。
思い存分に毛並みを堪能し…秘密を明かすために一旦離れる。

「おぉ、いい線…!
鬼神と精霊の混ぜ物よ…って言っても、精霊っ気の方が濃いんだけど。
香りはほら、この花みたいな匂い香水じゃなく体臭なのよ…だから余計に解んなかったんだろうなぁ」

強力な変化や幻術に加えて、封印の魔装具で基礎能力もゴリゴリ落としてあるのだ。
もう長い事この調子でやっているし、ヒントを出さなければバレない自信がある。

「ふふっ、じゃあ改めて自己紹介!
私はコウゲツ…東の果ての地にては紅の月と書きまする。
冒険者だったり治癒術師だったり、色々手広くやってるよ。
…宜しくね?」

穏やかな笑顔と威厳の裏側では『あ~尻尾もふりたい』などと考える程度に常にユルい紅鬼…懐いてくれる少年が可愛くて仕方がない。
視線を尻尾に向けないよう我慢するのに必死である。
…バレないように自己紹介をして気をまぎらわせようと、握手の為に片手を差し出して。

「…下手に起動させない範囲で、触っていいならキッチリ白手袋するわよ?」

レアアイテムを触れるかもしれないとわかれば、キリリと…まるで高価な美術品に対するような対応すらやってやるぞと伝え、ニッと笑おう。
…ひとしきり見せて貰えば、きっと礼がわりに角を触るくらいなら許してやるのだろう。

フィル=クォーレンス > 「やっぱり…ヒトから離れた見た目かもですね。
それにしても、鬼神と精霊って…凄い珍しい気が。
実際に見た事なんてほとんどないですし」

先人にはならうもの。
彼女の言葉を素直に受け止め、ちゃんと心に留めながらも、微笑まれれば自然に返すように零れる笑み。
魔物と間違われかけることすらえれば、やはり姿がヒトから遠いほどおそれられやすいのもあるのだろう。
それでも、一見ヒトに近いのに明かされた種族は、中々に珍しいハイブリットと言える彼女である。
感心交じりの声色になるが、いい意味で態度を大きく変えることはなく。

「この香自体が…ですか。
って、あ、はい!紅月さん…ですね。
僕は、フィル、フィル=クォーレンスです。
見たとおりここで店員をしてます。こちらこそ、その、よろしくお願いします…っ!」

変装に関しても、場数などに対しても色々と長けているのを十分に感じ。
生業の広さもあれば、素直にそれに凄さを感じているのだろう。
少し鼻を効かせれば、花のような香りが鼻を擽る感覚に目を細め。
香水でもないのに、心地よさも感じるような感覚にまた一つ揺らす尻尾。
送られる笑みと片手に、慌ててまた一つ頭を下げてしまいながらも、ちゃんと片手を軽くつかむようにして握手を返し。
自己紹介とともに掌に肉球の柔らかさと毛並みの感触を伝え。

「余り厳重に保管されてる感じじゃないので…素手で触れてもいいとは思いますけど…えっと」

確りと握手をしてから、彼女の言葉に返す頷き。
一端手を離して、隠す必要もなくなったためにローブもカウンターの椅子に掛け。
奥の棚の鍵を開け、中から箱を取り出せばカウンターの上でそれを開けていき。
彼女の視線の我慢に気づいていないのだろう、ローブがなくなったことで曝け出された、ふわふわの尻尾は揺れ動き。

「値打ち物だったり、特別なものだったら多分…僕が開けられる棚には入れないと思うから、程々の物だとは思うんですけど」

木製の長さ30cmの長方形の箱の中、敷いた布の中に見えるのは、古ぼけた銀色かかった指輪に腕輪。
それに、灰色かかった指輪とピンクかかった液体が入った掌のサイズの薬瓶のようであり。
前者は体力強化やダメージ緩和方面の弱くも役立ちそうなもの、後者は毒というより媚薬方面なのだろう雑貨屋にあっても持て余すから、軽い鍵でしまわれてたのだろう。
この町では確かに凄い珍しいわけでもないかもしれないが、指輪の細工は古ぼけてても細かいものであり。

紅月 > 「……それだと魔王よりスライムの方が怖いはずなんだよなぁ…やはり劣等感かしら。
ん、そうねぇ…故郷でも私以外にそんな話聞かなかったからなぁ。
だからこう、前例のないアレコレがあったりするんだけど」

普通の人間なら聞こえるか聞こえないか、けれど獣人の彼になら普通に聞こえるかもしれない…小さな呟きを溢す。
それこそ角の材質もそうであるし、体臭や性に関しても…と、そこまで思いかけて考えるのをやめ、フルフルと軽く首を横に振る。

「そうそう、なんか精気からもいい匂いして美味しいって言われたんだけど…自分じゃわからないんだよなぁ。
ふぃる、フィル…よし、覚えた!」

実際に味見した上位悪魔が言ったんだから間違いないのだろうが…自分で語ったものの、やはり精気の匂いとか言われてもピンと来ない。
自分でもスンスンと鼻を鳴らして肩辺りの匂いを嗅いでみたりして。

さて、握手をすれば肉球と毛並みの神がかった癒しコラボレーション…ふにもふ至高、後でもっとふにふにさせてもらおう。
ローブを脱いだ獣人の可愛さの破壊力と言ったらもう…ぁああ尻尾掴みたい、いっそ持って帰って抱き枕にしたい。
…少年に引かれそうだから暴露はできない訳だが。

「おー、磨けば輝きそうだねぇ…このままだとわりと普通だけど、これを素体に追加付与したらイイの出来るよ。
この指輪とか、しっかり磨いてから売りに出せば買い取り金額上がったろうに。
…ってか何故媚薬、こんな健全そうな所じゃなく娼館に売れ娼館に!」

そんな雑念を払っていれば、何やらカウンターに木箱…その中には冒険者御用達な付与が施されたアクセサリー。
…と、どう見てもエロい目的につかわれそうな薬瓶。
アクセサリーの中にあるからか非常に浮いている。

フィル=クォーレンス > 「確かにおどろおどろしさだと…不定形のスライムは。
でもやっぱり、アレコレって…苦労とかあったんですよね、多分」

ピクリと震える耳。
元の状態ではどうしても自然と聴覚も、見た目通りの良さになっており。
零された言葉も普通に聞き取ってしまえば、何かしらあったのかとばかりに零してしまうわけである。
けれども、深く踏み込んで聞こうとしないのは、無理に踏み込まずとも話せることなら、相手から話してくれることもあるかもと思っているからか。

「精機は…僕も良くわからないんですけど、こう。
落ちつくようなそれでいて、鼻を擽られるような…良い方向の感覚を覚える香り、だとは思います」

其処まで感じ取れる能力はないものの、香りに関してはヒトよりは鋭い感覚もあってか感じるものはあるのだろう。
自らの香りをかごうとしてる様子に、少しだけ笑みを零しながらも、軽く鼻を効かせるようにして見せ。

「遺跡や古物とか取りあえず持ち込まれたものは、って感じらしいので。
本当に色々な物があるみたいですけど…これ、び、媚薬なんですか。
僕が弄れる場所にあるってことは、そこまで重要視されてないってことですけど。
この辺は良い物なんですね。」

古道具処分などからも持ち込まれたものがあれば、店主が取りあえず査定するために雑多なものが入り込むのである。
唯一の薬瓶であり、古い物であっても媚薬は媚薬といった様子であれば、だからこそ雑多に置かれてしまったのだろう。
貴重な薬品であれば、厳重にしまい込まれているはずなのだから。

「でもやっぱりすごいですね、これだけで大体の品物を見定められちゃいましたし」

物を見る目も自らよりはるかに磨かれている。
素直に心から感心するように、尻尾を揺らしていく。
もふもふされたり、可愛いと言われたり等あまり経験がなく。
容姿を好意的に見てもらえるのは寧ろ、内心嬉しかった部分もあるのだろう。
彼女の心配とは裏腹に、気恥ずかしそうにこそすれ、忌避の感情はないようであり。
彼女が品定めした指輪や、場違いな薬瓶を持ったりしながらも、どこか楽しげであり。

ご案内:「王都マグメール 平民地区 雑貨屋」に紅月さんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 雑貨屋」に紅月さんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 雑貨屋」に紅月さんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 雑貨屋」に紅月さんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 雑貨屋」に紅月さんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 雑貨屋」に紅月さんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 雑貨屋」に紅月さんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 雑貨屋」に紅月さんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 雑貨屋」に紅月さんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 雑貨屋」に紅月さんが現れました。
フィル=クォーレンス > 暫くの間わいわいと話したりとしていったか―
ご案内:「王都マグメール 平民地区 雑貨屋」に紅月さんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 雑貨屋」からフィル=クォーレンスさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 雑貨屋」から紅月さんが去りました。
ご案内:「マグメール カフェ」に紅月さんが現れました。
紅月 > ーーーかつ、かつ、かららん…

今日もサッと一仕事終えて、ゆったりティータイム。
夏らしいアイスパッションティーに、マンゴーたっぷりのパフェをトレーに乗せて…窓際の席へ。

「……はふん…仕事上がりの甘味、幸せ~…!」

スプーン片手にキュッと目を瞑り、片手を頬にあてて小さく悶える。
ひんやりしたバニラアイスとマンゴーの酸味が堪らない。

紅月 > テラス席にしようかとも悩んだけれど…やはり店内の涼しい環境には勝てなかった。

今日の仕事は氷属性の魔石の納品…言ってしまえば、この店内に冷房設備を作るのがお仕事で。
とりあえず店内の空気の流れを見て、各所に魔石で作った造花を飾ったのだが…これが中々にいい感じ。
ダークブラウンの落ち着いた配色にアイスブルーやサファイアブルーの映える事映える事。
後はマンゴーカラーの布や飾りを幾つか配置して、暖かみを追加すれば…うん、いい仕事ができたと自画自賛できる程度には頑張った。

そんな店内を見回しつつ、サービスだと店側のご厚意で頂いたパフェをつつく。
…また季節が変わる頃にでも、ここの店内デザイン手伝おうと思う。

ご案内:「マグメール カフェ」にエズラさんが現れました。
エズラ > 洒落たカフェに似つかわしくない男が――否、それなりの格好をした男が入店する。
明らかに粗野な雰囲気を纏ってはいたが、普段はあまり着用しないジャケットを羽織り、それなりに礼儀をわきまえた人物に見えなくもなかった。
しかしその真相は――高級娼館の用心棒の仕事を終え、その格好のままやってきたからに過ぎなかったのであるが。

「たまにゃ、こういう店も悪かねー……――」

グラスに酒を注いでもらうと、さてどこへ腰掛けようか――そうして涼しい店内を見渡せば。
ムフ、と口の端に笑みを浮かべ、パフェに舌鼓を打つ女の隣へ――

「よう、ここ、空いてるかい――」

なんていう、軟派過ぎる台詞を恥ずかしげもなく口にしながら。

紅月 > ひとり、またひとり…夜の帳が降りると共にオープンした店内に、少しずつお客さんが増えていく。

かららん…また、ひとり。
楽しい一時を過ごしてくれたらいいな、なんて思いつつ…マンゴーを、パクッ。
そのままスプーンをくわえてモグモグしたまま夜空を眺めれば、ふと、かけられる声…

「……ふぁい、んぐっ…空いてるよ」

何故いる、とか、随分雰囲気変わるなぁ、とか…色々言いたい言葉はあったものの。
とりあえずポヤーッとしながら口を開こうとして、くわえたままだったスプーンを片手に持ちつつ…ささやかな失態に頬を染めて席を勧める。

「…"珍しいね"って、言っていいのかな?
なんかもっと酒場って感じの場所に行くタイプだと思ってた」

片肘ついて、クスクスと笑みながら男を眺める。

エズラ > 許しを得て、彼女の隣に腰掛ける。
それなりの格好をしているせいもあり、男の素性を知らぬ者が見れば、ハイブラゼールで稼ぐ賭博師にも見えるかも知れない。
琥珀色の液体に満たされたグラスを軽く掲げて、再会に乾杯――とでも言いたげに、僅かばかり口に含み、喉に染み渡る感触に思わず目を閉じる――

「~~……ふぅ、うめー……普段はそうだが――こういう格好してる時ァ、たまに冷やかすこともあるんだぜ」

その後、簡単に仕事帰りであることを告げてから、店内を見渡す――

「――始めて入ったが良い雰囲気の店だ――常連か?」

自分よりは、彼女の方がこういう場所には似合いそうだ、と思い。

紅月 > グラスを掲げる姿に、笑みを深め小さく頷く事で静かに応えて…美味しそうに飲むなぁ、なんて和んでは。

「あっ、やっぱり?
……ふふっ、なぁんだお仕事か。
随分様になってるからレディをエスコートした帰りかと思った」

店内を見渡す彼に、からかいひとつ。
とは言え、彼ならあり得なくもない話であるような気はするのだが。

「ん、まぁ一応、そうだけど……この飾りつけになったの…丁度今日からだよ。
……、…えぇと、ありがとう。
その、今日の私の仕事だったのよ…」

コレ、と、近くにある飾りの1つを指差す。
自分が飾った店内を、客に、面と向かって褒められる機会があるなんて思ってもみなかった故…ただ常連かと訊かれただけなのに、凄く不自然に言い淀んでしまった。
しかも、何だか顔が熱い…飾りを指差したまま、片手で口許を隠す。

エズラ > 彼女の言を聞いて目をぱちくり。改めてもう一度店内を見回して、指された飾りと同様の意匠のものが、あらゆる場所に――かつ的確に――配されていることを察する。

「……たまげたぜ――獲物を狩るのが仕事だって思ってたが、多芸だな紅月――」

思えば、彼女と出会った時は、大概が剣呑な雰囲気。
その一方で、芸術的なセンスも持ち合わせていると知り、素直に驚いていた。

「この暑いのに涼しいのは、これが理由か――」

魔術の類にも覚えがある男は、造花が単なる植物の模造品ではない、と理解した。
しかし、冷たさのみを感じるわけでもなく、どこか南国めいた雰囲気を合わせることで、店内にしっかり夏を同居させていた――言われなければ、無頼の輩にはあまりに自然で気付かぬくらい。

「いや、本当に驚いた――こういうのはよく分からねぇがよ――良いセンス、って言うんだろうな」

世辞ではない、素直な賞賛の言葉がするすると口を突いて出てくるのは、男が心底そう感じている証拠であった。

紅月 > 「…や、えぇと…皆より少しだけ多趣味なだけだよ。
配置は風読みが出来れば応用できるし、飾りの配色も…普段、森に入った時に花を見て覚えればいい。
街中にもヒントはそこらじゅうにある…流行なんかはご婦人の服を見ればわかるし」

すっかり茹で上がりそうな程に照れてしまって、やんわり謙遜めいた言葉を並べる。
生きるとは学ぶ事、人生此修行也。
冒険者や傭兵なら誰だって観察眼はあるはずなんだから、やろうと思えば誰にでも近い事はできるはずなのだ…個々の美的感覚については何とも言えないが。

「そりゃあさすがに魔石加工は鍛練が…って、よくわかったね。
上手く隠したと思ったのになー…へへっ。
やっぱりエズラ好きだわ、面白い」

きょとん、と、目を丸くして…次いで、冷気の発生源を見破られ嬉しげに悔しがる。
芸に秀でた者は好きだ。
自身が"芸は身を助ける"と思っているタイプだからか、余計に好ましく感じる。

「その、元々は荒事より手工芸や加工の方が好きなのよ…マジックアイテム作って売ってた事もあるんだよ?」

内緒ね?なんて恥ずかしげに、唇に人指し指をたてて微笑む。
技術があって、たまたま世の中が求めるから荒事中心になるだけであって…当人はあくまでも平和主義なのだった。

エズラ > 「多趣味……ああ、それはなんか分かる気がするな――」

思い返せば始めてセレネルの海で遭遇した時も、海竜を手懐け、人魚と同行していた。
それでいて、邪悪な魔物を容赦なく殺戮する一面もある。
そうかと思えば、デザイナーのようなことすらやってのける――正しく多芸、多趣味といえようか。

「――オレも、紅月のようなのは好きだ。マジックアイテムを作れる奴ァ戦場でも重宝されるし――ムフフ」

そこでふと、男の顔が妙な笑顔――助平心を隠そうともしない――に変化。
ずずい、と距離を詰めると、耳元へ囁きかける。

「――なぁ、こういう雰囲気の店が好きなら――ちょいと面白い場所、知ってんだよ――」

今度、連れてってやるぜ、と。
相手が興味を示すならば、数日の後にその場所へと彼女を案内するであろう――

ご案内:「マグメール カフェ」からエズラさんが去りました。
ご案内:「マグメール カフェ」から紅月さんが去りました。