2018/07/30 のログ
■ミンティ > 日が落ちたあとの商店街は昼間とは別の場所のように思える。遅くまで営業しているお店も何軒かあるけれど、日中が特に賑わっているせいか静かさが不気味に思えてきてしまう。
外出の用事を終えるころには夜が更けていて、帰り道を急ぐ。早足になっているせいで呼吸がすこし弾んでいた。高鳴る鼓動に気持ちを乱されて、片手で胸をおさえる。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にシドさんが現れました。
■シド > 王宮への定期報告を終えた後は街を散策する。従者率いて歩くは畏まれて気が重く。
軽い身一つで街並みを楽しんでいた。
日中長く、されど日が暮れ始めると早い。
既に夜の帳が落ちているのに、本日の寝床はいつもの温泉付きの旅籠にするかと顎先を撫でながら思い耽る。
今日はいつになく閑散とする平民街の通り道。
看板の明りが付き始める酒場や宿屋の類にと視線をさまよわせる内に、一人の小柄な少女に視線が定まる。
普段ならば、既知でなければ視線をそらして通り過ぎる所。
けれどもその胸を抑える様子に長駆をゆっくりと近づけてゆき。
「余計なお世話だと思うが……苦しそうだ。薬や介助が必要か?」
■ミンティ > いくら夜とはいえ、これだけ静まり返った商店街というのも珍しい。酒場へ繰り出す人が歩いていたり、仕事を終えて家へ帰る人がいてもおかしくはない。原因らしい原因も見当たらないから、たまたま運悪く閑散とした時間帯に当たってしまっただけかもしれないけれど。
まるで今この界隈には自分しかいないんじゃないかと思えるような雰囲気だったから、向こうから歩いてくる背の高い人影はすぐに目についた。
夜も遅く、ならず者が闊歩していてもおかしくない時間帯。トラブルを考えて脇道に逸れようかと思うも、相手とすれ違うまでは一本道。引き返すのも躊躇われて、より早足になって横を通り過ぎようとした。そんな心理状態だったせいで、距離が近くなったところで声をかけられると同時にびくんと震えてしまう。
思わずその場で立ち止まって息を飲む。しかしよくよく聞けば、なんて事のない話。自分があまりにびくびくしていたせいで心配されたのだと知ると、すこし情けない気持ちになった。
とっさには声が出せず、だいじょうぶと返事をするかわりに首を振ってみせ。
「……っ。…いえ、すみません。先を、急いでいて…息が、あがってしまって」
唾を飲み込んでからやっと胸を押さえていた理由を答える。
■シド > 睨みつけるでも大声をあげていたのでもない。
ただ葡萄色の眸で真っ直ぐ見据えただけ。しかし、声を掛けただけで怯え竦む姿には気まずさに後頭部を掻き毟り。
「……ちょっとショックかな。そんな怯えさせるような顔をした覚えはないのだが。」
戯言っぽく明朗に語りかけて相手の様子を伺う。顔色も悪くなく、息が乱れているだけのようだ。
ゆっくりと腰を下ろしてゆき。同じ視線の高さに。威圧を減らそうと眦下げた笑みを携えて。
「これならば怖くないかな。
夜道が怖くて焦っていたのならば、家まで送ってあげようか?」
薄く小首を傾げて銀髪を肩に落としながら尋ねかける。
■ミンティ > 傍目にもわかりやすいくらい怯えてしまったから、確かに失礼な反応だったと反省する。すみませんという謝罪の形で唇だけ動かしたものの声は続かず、口下手な分を補おうと、ぺこぺこ頭を下げた。
見上げるほど長身の男性が視線の高さを下げてくれると、首への負担が減って、ほっと息を吐く。身なりや落ち着いた物腰から察するに、金目のものを奪っていくような類の人とは真逆のタイプに見える。
先ほどの気づかいもあって悪い人ではなさそうだと思う。しかし会ったばかりの男性に家までついてきてもらうのも不用心な気がして、うつむきがちに目を泳がせた。
「……え…と。……お気づかい…ありがとう…ございます。
ただ、あの…、家も……そう遠くはないので……」
せっかくの親切を無下にする申し訳なさもあって、いつも小さい声は普段以上に聞き取りづらいものになったかもしれない。
■シド > 少し、ほんの少し力を出せば眼前の少女など押し倒すも吊るし上げるも簡単な両腕。
だが最初から暴力を振るいたい筈もなく、背筋の後ろに回していた。そこまで気遣っても会話すら心許さぬ相手だ。
眦下げて優しく装う眸もやがて、小柄な少女に視瞥を当てず。謝罪の声に応える様に、銀髪微かにそよがせ、横揺らす頭。
「……まぁ、そう謝られるとこちらも気まずくなるのだがな。本当に余計なお世話だったらしい。」
相手には死者達の環の中に潜り込むかの闇に見えるのだろう通りも、己の高い視線で見交わせばちらほら、明りがついた建物が。
衛兵もやがては見回りにくるだろう。
何を言っているか聞き取れぬがこのまま居ても少女が進まぬと察して。
地についた片膝の埃を払ってゆく。
「それじゃ気をつけて。」
■ミンティ > 自衛のためにも臆病すぎるくらい警戒して損はない。そう考えてはいるものの、結果として親切にしてくれる人物を相手にしても距離を取ってしまうのは極端すぎるかもしれない。わかってはいても実践できるくらい器用な性格ではないから、気まずいと言われて余計に頭を下げてしまう悪循環。
立ち上がった相手の膝が汚れているのを見て、困ったように眉尻を下げる。申し訳ないなと思いながら、深く頭を下げた。
「……すみません。いえ、ええと…ご親切に、ありがとう…ございました。
そちらも……お気をつけて」
■シド > いまだに頭を下げ続ける姿に今度こそ明白に眉間に皺寄せて踵を返していく。
こんな気弱な少女を一人夜道に置いていくのは心苦しく主義に反するが。
「まぁ大丈夫だろう。」
それよりも無駄な緊張で互いの時間を無駄にするのが愚行。
一度興味を失ったものは頭からすっかりと落ちる性分でもある。
温かな橙色の明りが夜の街を色付かせていく様に今宵どこで過ごすか微笑みながら去っていった。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からシドさんが去りました。
■ミンティ > 振り返り、男性の姿が遠くなるのを見送った。胸に手を当てて、はーっと息を吐く。客商売をしているのだから克服しないといけないと思うけれど、やっぱり知らない人と話をするのは緊張してしまう。
もっとしっかりしないとと自分に言い聞かせて、進む方向へ足を向ける。話しているのは短い時間だったけれど、その間に運の悪い静けさも抜けたみたいだった。酒場へ向かう途中らしい一団の賑やかな声が聞こえてきて、現実に戻ったような気分。
「……あ」
再び歩きはじめてから、買い忘れの調味料があったと思い出す。要領の悪さについ溜息がこぼれてしまった。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にブレイドさんが現れました。
■ブレイド > 夜更けともなれば、暑さも和らぎ若干過ごしやすい。
だが、商店街は夜ともなれば半分以上の店が間口を閉ざして残るは酒場や飲食店やら。
こちらもこちらでため息を付きつつ家路につく少年。
はたと気づけば見知った少女がため息を付く姿が目撃できた。
「…んなところで薄暗い顔してっと、酔っぱらいに襲われちまうぞ?」
驚かせないように声をかける。
平民地区だから、それほど注意することはないだろうが…
酔っ払いというものは理屈の通らない生き物だ。
薄暗い表情の少女に対する親切心で…楽しませたいというだけで絡んでくるものもいるが
断られた途端に豹変するものだっているのだし。
■ミンティ > 何度か話をした相手の声であっても、耳に届いた瞬間にびくっと震えてしまうのは癖のようなもの。目で確認するより先に声をかけてきた人物には察したついて、自分の臆病さに眉を垂れた。
一人で暗くなってしまいそうだったけれど気を取り直し、近寄ってくる少年に向き直る。こんばんはと声にしたつもりだったけど、唇だけ動かしながら会釈をした。
「……暗い顔は、……もともとです」
明るい表情を浮かべる事がすくないから否定しづらい。けれど暗い顔をしていたとはっきり言われるのも引っかかって、ふてくされたような返事になった。ふいっと顔を背けたあと、あらためて少年を見やって小首をかしげる。
「今、帰り?」
■ブレイド > 「辛気くせーのは元々かもしんねーけど、少なくとも暗いのはもとからじゃねーだろ。
よう、元気…じゃねーよな」
少女の態度に笑いながらも歩み寄る。
怒らせてしまったかも知れないが、穏やかな時間を過ごす彼女の顔を知れば
もとから暗いなどとは言えなくて。
冗談めかす少年は、挨拶代わりにとひらりと手を振る。
「ああ、ちょっと最近物入りだったりしてな。
すっかりおそくなっちまって…ミンティもそうか?」
帰りにしたって、商店街に用事があるにしては遅い時間帯な気もする。
どこかで世間話に興じるような性格でもないだろうに。
■ミンティ > 「すこし、夏バテしてるけど……元気…ですよ。買い物を、…忘れてただけ」
夜になれば風もすこしは涼しくなるけれど、日中の暑さにまいっていた時のだるさは完全に抜けきっていないように感じる。はやく涼しい季節になったらいいのにと思って、また溜息をこぼしてしそうになった。暗い表情といわれたあとだから、あわてて口をおさえる。
溜息を飲み込んで、少年に手を振り返す。心配されるようなものではないと直前に反省していた事を伝えて、いつもどおりフードを被った彼の姿をじっと見つめる。
「うん。今日は……お仕事の帰り。本当は、もうちょっと早く戻りたかったんだけど…
だめですね。…もうちょっと上手に話せるようにならないと…交渉とか、時間がかかって」
空を見上げると月が高いところまで上がっていた。その原因となった自分の話し下手さに、つい愚痴をこぼす口調になってしまう。
■ブレイド > 「あちぃもんな、日中は。…メシ、食えよ?食欲ねーかもだけどよ」
もともと食が細そうな少女。暑さもあって食が進まないこともあるだろうし
少しばかり心配だ。そういえば夕飯は自分も食べていなかったような気もする。
人のことは言えないとは思ったが、黙っておこう。
ため息を抑える仕草には、苦笑い。言われたことを気にするあたりは少女らしいというかなんというか。
「交渉ね…。古物屋だっけ?
そういうのって目利きとか大事だけどよ…思い入れだけでふっかけてくるやつもいそうだから大変そうだな。
で、何忘れたって?今持ってるかもしんねーし、わけてやるよ」
もってたらな?と、注釈を入れつつ荷物袋をみせる。
パンパンに張っているので、おそらくなかに『物入り』で買った日用品が詰まっている事がわかるだろう。
愚痴に関しては、少しばかり同意できる。自分も口さがないせいで、依頼人と反りが合わないこともある。
■ミンティ > 「うん。だいじょうぶ。……でも、できるなら、寒いところに逃げたい…です」
自分が倒れてしまったらお店を任せてくれた人に申し訳ない。そのために体調管理はしっかりしているつもりだけど、身体が強くないのはどうしようもない。
日中の暑さで思考も鈍っていたか。現実逃避するような、自分にしては珍しい冗談が口をつく。その慣れなさに口をおさえたまま、困ったように笑った。
「鑑定は…得意だと思うんだけど……うん、値段つけたりするのは、苦手で。
どうしたら、話って上手になるのかな……、……え?
あ、ううん。だいじょうぶ…、急ぎで必要なものじゃないし、今、手持ちのお金もあまり…」
荷物袋を差し出されて、あわてて両手を振った。少年にとっても必要だから買ったのだろう品物を分けてもらうわけにはいかないと首を振る。人の親切には素直に甘えた方がいい事もあると頭でわかっていても、とっさの行動には繋げられない。
それどころか、少年と会った時には高い頻度で対価の話ばかりしてしまっていると気がついて、ますます眉が垂れ下がる。
こんな時はどうしたらいいのか悩む間、じっと固まって。
「あの……えっと、じゃあ…貰うかわり、お礼に…なにか奢り……とか」
荷物袋の中に見つけた塩の小瓶を指差す。
■ブレイド > 「ちがいねぇな。遺跡とかは涼しいかもしんねーけど…
あぶねーからな。魔導具かなんかで店の中とか冷やせねぇもんか?」
珍しい冗談には同意。極端に暑いのも寒いのも苦手だから、毎年そう思っている。
遺跡や森やらは、涼しい以上に危険だし、勧められたものでもない。
水遊場ですら、たまにスケベな金持ちのせいで惨憺たる有様になるというのに…。
「だろうな。客には価値があるもんをはっきり無価値って言っちまうなんてできなさそうだ。
話に関しては…オレにもわかんねー。この街じゃちょっと臆病なくらいでちょうどいいしな。
だけどそうだな…ちったぁ、顔も知ってるって間柄なら、遠慮はしないってのが近道かもしんねーぜ?
意外と、な?」
大丈夫と拒否しようとする少女には笑ってみせる。
遠慮がすぎるのがいいところでもあり、悪いところでもあるというか。
まぁ、オープンすぎれば食い物にされるような街だ無理からぬ所もある。
「そうだな。オレ、飯がまだでさ…じつは」
そして、のってきてくれた少女には人の悪い笑みを見せて。
塩の小瓶を取り出せば少女に手渡す。
この時期塩を忘れるとか、けっこう暑さで参っているのじゃないかと心配にはなるが。
■ミンティ > 「…あんまり、贅沢はできないから。……でも、倒れるよりはいいのかな」
魔導具がなくても今のところは暑さを乗りきれているから、あんまり贅沢もできない。そうなると、自分なんかが……という考えがどうしても先立ってしまう。
夏バテ気味な体調を考えたら早めに対策した方がいいのは確実。倒れてしまっては元も子もないなと悩む。
「値段も…どんな風につけたらいいのかって、まだわからないところ、多くて。
その品物がどんなものかは、わかっても…、それがいくらくらいかってなると……
…うん…そうですね。…遠慮しないって……難しいけど、意識してみる」
扱う品物もさまざまだから、そのすべての相場を頭に入れておくには古物商としての経験が足りない。苦手な事を話題にしていると、また気落ちが顔に出てしまう。先ほど少年からかけられた言葉を思い出して、あわてて頬をさすり、表情を取り繕おうとした。
気を取り直して、今度はすこし前向きな宣言を口にしてみる。どれだけ実行できるかはわからないけれど。
「そう…なの?じゃあ……ちょうどよかった。
……どこか、行きたいお店…ありますか?あまり高いところじゃなければ、いいから」
ありがとうと唇を動かして、両手で小瓶を受け取った。
この時間に外食する機会はあまりないから、どこのお店がいいか思い浮かばず、行き先は少年に委ねる。
■ブレイド > 「倒れちゃなんにもなんねーからな。
節約やら責任やらもいいけど、それよかてめーが倒れりゃ心配するやつだっているんだ。
少しくらい贅沢したってバチは当たりゃしねーよ」
自分も含めてな?と笑いつつも、悩む少女の背中を押すような発言。
店を任せた人間もそうだが、少なくとも少女にそれだけの価値を見てるものもいるのだ。
消極的で自身を過小評価しがちなのは、短い付き合いの中であるが、だいたいわかる。
「若いから舐められてるとこもあんだろ。
強気でいいんじゃねぇの?わりと。商売人も他にもいっぱいいるだろうし
買い物とかしてりゃ、価値も見えてくんだろ。今度市でも立ったら行ってみりゃいいさ。
おう、そんじゃ塩。遠慮せずもってけ」
また気落ち仕掛けな少女。
自分が話すたびにため息が出そうな顔をしているものだから
付け込まれそうな性格してるなぁと思ってしまう。要領が良くないというか…
チンピラの餌に適している性格というか…。
そんな少女を元気づけるように提案しつつも、意識を改めると宣言した彼女に、笑顔と主にうなずいて。
「んー?そうだな。
金がかかんねー方が良いなら、手料理でいいぜ?
なんていうのは図々しいか?」
■ミンティ > 「……はい。…じゃあ……あんまり高くないもの、探してみます」
少年の言うとおりだった。
ついお店の事ばかり考えてしまうけれど、自分が倒れてしまったら、近所の人やお店を任せてくれた人にも心配をかけてしまう。
節制がすぎるのもよくないと思い、約束を交わすような口調で神妙に頷いてみせた。
「市には……ときどき、顔を出してます。
わたしも品物を出したりしながら、見学してるんだけど……
……もっと、勉強しなくちゃ」
よく空回りしてしまうけれど、やる気だけはある。少年からもらったアドバイスに、真面目な顔でこくこくと頷きを返す。
貰った小瓶を鞄に入れて、とりあえずどこかへ移動しようと周囲を見回した。遠くには酒場の明かりも見えるけれど、落ち着いて食事をするには騒々しいかもしれない。少年はどんな店がいいだろうと考えながら歩き始めようとして、足が止まった。
「……それじゃあ、お礼にならないから。
…味見がしてみたいなら、また今度、作りますよ?」
手料理を提案されて、あわてて首を振る。困ったところを助けてもらったお礼になるようなものが出せるとは、とても思えない。それに作っている最中、絶対に緊張してしまう。
彼に料理を作る事が嫌なわけではないから、それだけは忘れないよう言葉にしておいた。
■ブレイド > 「それがいいかもな。
店任せてくれた人の伝手とかで、わりといいもん手に入るかもしんねーし
探すなら頼っちまえ。一人でやるよか勉強になるし」
遠慮しないときめたなら、とことん自分の得になる方向に動くべきだろう。
商人であれば、顔見知りになるだけでお互いの得になるネットワークというものができる事があると聞く。
「真面目でいいじゃねーか。
いいとおもうぜ?そういうとこ。
応援したくなるってーの?今度市で見かけたら覗いてみるかな」
決意を新たにする少女。
こういうところはいいと思う。
歩みだす彼女の隣を歩きながら頷くも、すぐに足が止まったのを見れば、自分も立ち止まり。
「むしろ、塩にはもったいねーくらいのお礼だと思うぜ?」
少女の考えはともかく、自分が食べたいと思ったのだからこれ以上のお礼はない。
価値観とはそういうもので、少女の交渉が苦手だというのもうなずける反応だ。
■ミンティ > 「……で、でも…そんな手間、かけてもらうのも……」
自分のためにだなんて申し訳ないと思ったけれど、気持ちは揺れていた。少年の提案は自分では考えつかなかったもので、今後のためにも勉強になるかもしれないと思うと、連絡を取ってみようかと悩んでしまう。
こぶしを口の下に添えて考え込み、自分の世界に入り込んでしまいそうになるのに気がつき、あわてて手を下ろす。
「真面目なだけだから、わたしは。……ほかにも、伴ってないと」
真面目さだけ取り得にしてもいい事はすくない。それは自分がよくわかっている。苦笑っぽくなってしまったけれど、応援すると言ってもらえるのは嬉しいから、少年に向かって笑いかけ。
「……ほんとに、…あの。あんまり上手じゃないし……
…おいしくない、と……思いますよ……」
重ねて要求されると押しに弱い自分では返す言葉が見つからなくなる。なおもどこかのお店で奢りにしてもらおうとしていたけれど、あまり食い下がっても、立ち話をしている間に夜は更ける一方。
不安そうな顔で念押ししつつ、こっちと少年を呼び、自分の家へと歩き始めて……。
■ブレイド > 「手間をかけるだけの価値があるから
アンタに店を任せてんだろ?その人も」
放置するだけでいいというだけならば『任せる』などということにはならない。
そして、彼女が経験を積み、勉強やコネクションといった商人としての価値を高めていくのが
もっとも恩返しになるだろう。
「いいんじゃねーの?伴わせるって思えるんだからよ」
真面目である。そして、真面目だからこそだろう。
彼女がそういう性格だからこそ、応援したい。そういうものだ。
「気にしねーよ。オレが食いたいって思ったんだしよ」
美味しい美味しくない。
それはまた別の話。彼女がお金をかけたくないのならそれが一番だし
それをいいだせば、自分も興味が湧いてきたのだから。
念押しする少女について歩く。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からブレイドさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からミンティさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 酒場通り」に黒須さんが現れました。
■黒須 > (月の光がベットを照らす暗い部屋。
その中に、黒須は横になっていた。
頭の後ろで腕を組み、寝たばこと言う危ない状況を作っている)
「・・・」
(ニット帽を深くかぶり、目は見えない。
それでも、寝てないのはいち早くわかる)
■黒須 > (口に貯めた煙を一気に吐き出す。
もやもやと空中を舞い、風に乗って外に流れる。)
「…こねぇか…」
(ニット帽を上げて目だけ出す。
窓枠を見るも誰も居ない。
言葉にすれば当たり前だが、まぁ、居ないのも当たり前だと思った)
ご案内:「王都マグメール 平民地区 酒場通り」から黒須さんが去りました。
ご案内:「マグメール 平民地区/酒場」に紅月さんが現れました。
■紅月 > ーーーかつ、かつ、かららん…
いつものようにお気に入りの酒場へと入る。
扉を開けばドアベルが、酒場特有の喧騒が迎えてくれるのが心地いい。
「マスター、いつもの!」
カウンター席に座って両肘をつく。
ニコニコと笑いながら言えば、キンキンに冷えたシードルがジョッキで出されてくる。
「……、…っはー!あ~美味しっ!
やっぱり夏はキンキンだよね~!」