2018/07/21 のログ
リュシー > ―――――とりあえ、ず。

(腰に当てていた手を片方浮かせ、古ぼけた紙片を一枚、
思いきりよく掲示板から引き剥がした。
そのままきゅっと握り締めて、こぶしを己の胸元へとすりと宛がい)

何はなくとも、お金は稼がなくちゃな。

(住むにも食うにもほかのことにも、とにもかくにもお金は要る。
ならば、己に出来ることの範囲で―――すこしでも、稼がなくては。

くるり、きびすを返して歩きだす。
もう夜も遅い、子どもの身体には睡眠の必要な時間だ。
今宵、ひとまず取りおいている宿を目指して、やや大股に歩み去り―――――。)

ご案内:「王都マグメール平民地区/広場」からリュシーさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」に紅月さんが現れました。
紅月 > ーーーから、ころ、かっ…

ぼんやり夜空を見上げる。
家から其れほど遠くない場所…裏路地から小道を通り、大通りへ向かう途中。
何となく、ぼんやりと。

「……、…お腹すいたなぁ」

月が、上弦を越えた。
少しずつ満月に近付いていく。
…どうにも、朔望の月には腹が減る。

紅月 > 腹が減ると言っても、鬼神一族に起因する飢餓感の方で。
例えば胃がパンパンになるまで食べたとしても、それでどうにかなる訳じゃあなく。

それでも己は混ぜ物だから必要量の問題なら随分マシな方、ではある…筈なんだけど。
それを抑える術が、戦場で遊んでくるか、誰かから血か肉を分けて貰うか…その、異性と、えぇと……うん。
とにかく、何かしらしなきゃいけないってのは不便なのだ。
頼みにくいし、恥ずかしいし。

だから結果的に、自ら戦地に近付く事になる…争いは好かないのに。

ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にソウレンさんが現れました。
ソウレン > 深夜の通りに薄ぼんやりとした明りが灯っている。
入口横にかけられた提灯の明り。
からり、と音がして入口が開けられる。
ふわりとかすかに漂う酒と和の香り。

入口から一人出てきた男を見送り、またのお越しを、という声が響く。
ふらり、ふらりと通りを去って行く男性の背を見ながらため息一つ。
青い着流し姿の女が入口前に立っていた。

「……遅くなってしまったな。」

そうぽつりと呟く。
たまに長々と居座る客はいるが、今日は長居をされた方だ。
そろそろいい時間である。
通りにも人はいない……か? と周囲を見回す。
いなければこのまま閉めてしまおうか、とそう考えながら。

紅月 > 「……、…おろ?」

懐かしい香りがする…故郷の其れに近い。
とりあえず米酒と醤油とみりん、の香り。
つられて匂いを辿ってみる。

…と、目の前に着流し。
珍しいな、なんてついつい思ってしまう…己もしょっちゅう着てるだろうに。
いやしかし、他人のそれを見たのは随分久々なのだ…仕方無い、仕方無い。

「…今晩は。
小料理屋さん、なのかな?」

何となく話し掛けてみる。
わざとではないが暗闇からヌッと出てくる形になってしまう故、せめてニコニコと笑顔で。

ソウレン > 暗闇から急に出てくる女性。
赤髪、紫瞳…それに角に長耳。珍しい、と思った。
それに……。薄青い瞳が闖入者を見つめ、ふむ、と頷く。

「居酒屋だよ。こんばんは。
……もう遅いけれど、お客さんかな?」

ニコニコとしたその態度。
敵意とか害意とかそういうものには無縁そうだ。
呑んだ帰り、というには酔った様子も酒の匂いも感じない。

着流しの袖に手を入れて腕を組む。その恰好も慣れた風情。
もし客であれば招き入れるだろう。

紅月 > 居酒屋か、丁度いい…モヤモヤしたら一杯あおるのが一番と、どこぞのbarの主人も言っていた。

「お邪魔でなければ、是非に。
純米酒ある?
後は…やっぱり魚かしらねー?」

ほくほくと笑顔で返答を返し、着流しの女性に近付いてみる。
香りからして東国の味付けである事だけは間違いなかろう。
…であれば、肉より魚だ。
もちろん肉じゃがや親子丼、しょうが焼きなんかも堪らないが、個人的には東国といえば魚介推し。
今は夏の暑い盛りだし、故郷なら鰻の時期だろうか。
いやでも魚の甘辛い煮付けも堪らない、純粋に美味しい。

はてさて、何が出てくるだろう?

ソウレン > その夏の暑い盛りに、至って涼し気な女店主。
女性が客であるとわかれば、どうぞ、と開いている引き戸の中へ招きいれるだろう。
木造建築の、王都では珍しい造り。
カウンターの席を薦めると、小ぢんまりとした店内の調理場へと入っていく。

「あぁ、あるよ。料理の方は少し待ってくれ。」

カウンターから覗く事のできる調理場。
そこでは店主の様子がよく見えるだろう。
隅にちょろちょろと流れてくる井戸水、そこでよく冷やされたと見える瓶。
陶器のお銚子とお猪口を用意し、お銚子に瓶の中身を注ぐ。
ガラスのお銚子があればいいなぁ、と何度も思うが王都ではなかなか手に入らない。

次に刻んだ胡瓜に塩をさっと振り、水気を絞りだす。
調理用の器に絞った胡瓜、それから茹でおいたタコを切って入れる。
それにさっと酢を回し掛け、他の調味料も少々。
小鉢に盛れば、お銚子・お猪口と合わせて女性の前に。

「純米吟醸の冷や。それとお通しだ。」

蒸し暑い夏の夜。さっぱりとした酢の物は食欲を増進させてくれるだろう。

紅月 > 「ふふっ、ありがとう…
あー、懐かしいなぁこの感じ!」

木造建築に和む和む。
緑茶とか煎餅とか欲しくなるこの感じ。
…からころと歩を進め、彼女の近くを通る時に涼しげな氣を感じたけれど、水の加護持ちなんだろうか。
察知は出来ても、人間の世に溶け込む為に力を弱めに弱めている今は判然としなかった。

「ん、待つ待つ…うわぁ、見るからにキンキンだぁ、いいねぇ!
頂きまーす……はふぅ、美味し…
あっ、イイ、夏の酢の物凄くイイ」

カウンター席に腰掛ければ、爪先をピコピコさせつつ嬉々として彼女の眺め…まずは酒をグイッと、次いでシャキシャキこりこりと歯応えの楽しい酢の物をつつく。

いくら己が火精霊の血を引いていて、夏の暑さを感知せずいられるからと言っても、視界からの情報は防げない…つまり、周囲のゲンナリした表情から察してしまい、つられてついつい暑い気分になってしまっていて。
だからこそ更に、あぁ幸せ…である。

「いやぁ、うちの近所にこんな極楽があったとは」

クスクスと微笑みながら言おうか。

ソウレン > 懐かしい、という言葉を聞いてくすっと笑う。
やはり東の出の様子。
となれば先ほどから見える種族特有の気配は間違いではないのだろう。
こちらは人の形をとっている為、あまり気づかれていない様子であるが…。

「楽しそうだね。
しかし極楽とは言い得て妙といった所かな。」

何と言っても名前が“幽世”である。
死後の世界のようで苦笑が浮かぶ。
さて、お目当ての魚料理を用意しよう。
とは言え、刺身で食べられる鮮度はこの王都でこの時間にはなかなか難しい。
今が旬の魚…イサキに串を打ち、塩を振ってから火を弱めた七輪に。

焼いている間に氷を入れて冷やしてあるものを取り出す。
かぱりと蓋を開ければぷるんとした塊。
それを切り分け、二口サイズ三つ程を取って小皿に盛る。

「煮こごりだ。魚の身も入れてある。」

砂浜に住む魚の骨からはいい出汁が出る。
捨てるのも勿体ないのでこうして夏の一品として作り置けるのだ。
薄茶色のゼリーのようなそれは見た目も涼し気である。

紅月 > 「そりゃあもう!
此方ではなかなか見られないモンばっかりだし…!
って、あぁいや、あくまで楽園って意味であって…っ、あれっ、コレどうあがいても彼岸っぽくなるぞ?」

相手の苦笑にフォローを入れようとするが、上手い言葉が見付からずあわあわと。
鬼神という邪神紛いの気配を持つわりには、だいぶ中身がぽやぽやしていてチグハグに見えるだろうか。

「おぉ、綺麗…琥珀みたいだねぇ。
…あぁん旨い、コレあれだ美容にイイ奴だ」

ぷるぷるのゼラチン質が舌の上で踊る。
かといってゼリーや錦玉のような騒がしい味ではなく、どこまでも繊細な優しい味。
お出汁最高…思わず頬を押さえつつ、ほぅ、と息を吐く。

そしてまた酒に戻り、キュッと…
「くぅ~っ、染みるわぁ…!」
思わず歓喜の声がもれる…若干ふるふる震えているやも。

「そういや、お姉さんって東のヒト?
…あ、私はコウゲツ、紅の月でコウゲツだよー!」

美酒と美食にすっかり蕩けた笑顔で話しかける。

ソウレン > 「風変わりな酒場だってよく言われるよ。
まぁ、この地にあっては此岸と彼岸くらいの差はあるかもしれないね。」

ワイワイ騒いで飲むよりも、静かにまったり飲める雰囲気作りもそう。
香辛料などもあまり使わない味わいもそうだろう。
だがそれでも気に入る人はいる。飲みにくる客は大体、男一人とか二人だ。

そんなぽややんとした様子の女性を見ながら、変わった人だな、と考えていた。

「気に入ってもらえて何よりだよ。
舌の熱で蕩ける感覚が実に旨いと私も思う。」

魚を見る。焼けるまでにはもう少しかかりそう。
なのでもう1品くらいだそうかな…と思いつつ、
何を出そうか、と考えて…。ふと思いついた。
明日用に仕込んでいるものだが。

調理場の片隅にある大き目の入れ物。そこにお玉を持っていき、中身をすくう。
とろりとした白い物と白濁した液体。布巾を広げて、それを漉していく。

「あぁ、東から渡ってきた。ふらふら長い旅をして、今はここに落ち着いているよ。
綺麗な名前だね。私はソウレン。蒼に憐れむでソウレンだ。」

漉し終わったものを小鉢に入れ、ネギを散らす。
醤油をさっと回し掛けて、女性の前に。

「運がいい。明日には食べられないざる豆腐。」

紅月 > 「風変わりかぁ…まぁ、文化の違いだからなぁ……
ふふっ、私としては『風変わり』であってくれて嬉しいよ」

ふんわりと笑んで言う…今まで見付けられなかった事が悔やまれるくらいだ。

「私も久々に煮こごり挑戦しようかな…ついこの間なんだぁ、醤油が安定して手に入るルートみつけたの。
しばらくは和食が恋人になるかも」

クスクス笑いながら、そんな本気半分な冗談を挟んで。

「えへへ…ありがとう!
…ソウレンはアレだ、何だか『蒼穹を映す泉に咲く白蓮の花』みたいな。
何だろうねぇ、やたら清い印象を受けるのは」

白い何かをひょいと掬う彼女を眺めつつ、首を傾げながら…何となく、思ったまま呟く。
言い放ってから口説いてるみたいなセリフになったと気付いたが、実際に思っちゃったんだからしょうがない。

「うわぁああ!おぼろちゃん!
ざる豆腐とかいつぶりだろ、懐かしい…!」

キラキラと目を輝かせ…何故か出るちゃん付け。
「ふわふわホロホロだぁ…っ!」
と、感動しきり。
そりゃあもう匙が進む進む、辺りに花でも舞いそうな笑顔で食べ進めていく。

ソウレン > 「東の生まれの人には懐かしいだろうね…。
私もこうやって料理をしていて嬉しく思うくらい。
王都の食が嫌いってわけじゃないけれど。」

やはり故郷の味が落ち着く、という事だろう。
商人からのルートも、多少は安定してきた。
それなりに値は張るのだが。

「自分で作るもよし。気が向いたら食べにくるといいのではないかな。」

ぱちぱち、じゅうじゅう。
良い音のしてきた魚を七輪から下ろし、金串を外す。
飾りのいらない料理。旬の魚の塩焼きだ。

「お待ちどうさま。イサキの塩焼き。
皮に脂がよくのってるし、パリッとしていて美味いよ。

もうちょっと早い時間ならお刺身なんかも出せたんだけど。」

酒の様子を見つつ、皿を女性の前に。
お銚子が空いていれば、お替りはいるかな?と訊くだろう。

「はは、そんなに清らかなものでもないと思うけれど。
誉め言葉として受けとっておくよ。ありがとう。」

使った調理道具を洗い、手を軽く洗う。
受け流される言葉には年期の入った余裕を感じられるかもしれない。

「豆腐はウチで作っているんだ。翌日分だけね。
そうやってざる豆腐で食べられるのは仕込んでいる内だからね。」

だから運がいい。
喜んでもらえているようで何より。手拭で手を綺麗に拭きつつ、女性の食べっぷりを眺めているだろう。

紅月 > 「んふふ、そうなのよ…私最近ちょっぴり懐郷病気味だったから助かっちゃった、また来る来る。
…あっそうだ、もう一人東の出身のが居るんだよ。
旨い店あるって知ったら喜ぶだろうなぁ」

友人を想ってホッコリと…楽しみがまたひとつ増えた。
それにしても魚の焼ける音って、どうしてこう腹に訴えかけて…今豆腐食ってるのに腹鳴りそう。

「ああっ塩焼きとはわかってる…さすがっ、さすがだよ姐さんっ!
はむっ、はふはふっ…あちちっ。
…あっおかわり要るっ!」

まだ脂の焼けるふつふつとした音が聞こえる身を箸でつつけば、パリリと皮の弾ける音がする。
口許を左手で隠しつつ、はふはふと、実に幸せそうにしていて。
酒のおかわりを訊かれればニコニコとお銚子を差し出し。

「やっぱりソウレンは姐さんだ、しっとり大人の女性って感じ…いいなぁ。
ふふっ…『ざる豆腐の旨い店は豆腐の旨い店だ』って、昔父上が言うておりました。
今度刺身と一緒に食べに来るからね、ゼッタイ!
…あっでも、ざる豆腐もまた食べたいから遅くも来るね?」

少なくとも今後2度分の来店宣言である。
来店1回目にして、がっつりと胃袋を掴まれた紅娘であった。

「もうホント…この落ち着く空気の中で飲む酒と食らう飯の旨いこと。
悲しいことも飛んでくわぁ」

ソウレン > 「ふぅん。彼氏か何かかな?
デートに使うにはあまり洒落っ気のない店だけど、お客さんは歓迎だからね。」

微笑を浮かべて来店宣言を歓迎する。
それだけ店との出会いが嬉しかったという事だろうか。

熱い熱いといいつつ魚を頬張る女性からお銚子を受け取れば、
それは洗い場に出して、別のお銚子に新たに冷酒を注ぎ入れる。
お待たせしました、と言って差し出すだろう。

「ふふ、何がいいのかちょっと図りかねるけれど。
ま、そうだね。この店に来てもらうからにはお刺身は食べてもらいたいな。
あまり遅い時間だと鮮度の問題があるからね…。多少、早めをお勧めするよ。」

少々時間が遅くなれば、それはそれで皮目を炙ったタタキもできる、と続ける。
尤も、一度に2品、3品食べるのかもしれないが…。

そう言いながら、そろそろ〆の一品とかかなぁ…と考えながら様子を見ている。
まぁ、お酒を追加したばかり。
さて、どうしようかな、と食材を入れてある場所を覗き込む。

紅月 > 「あっははは、彼氏じゃ無い無い!
東国飯や和菓子の飯友がいて…そん人も東国の人間らしいんだ」

念のために訂正しておこう…ほっといたら愉快になりそうだけど、後でお説教喰らいそうだ。
ここは純粋に美食と美人女将との出会いを喜ぼうではないか!

はいどうもー、とお銚子を受けとり、そのままの手で酒を注ぐ。

「えー…?
例えば紅は天然だとよく言われまする…ので!
蒼姐さんみたいな女将然とした格好よさは凄く憧れまするぞ?
お刺身、タタキ…ああっ、どっちも愛おしい」

ほわほわ~…っと、何とものほほんとした笑顔でソウレンの魅力について話し始める。
と言っても、ソウレンのと言うより大人の女性の魅力といった形だが。
けれど、やはり食い気に流されて…刺身とタタキに想いを思いを馳せ、酒をあおる。

ソウレン > 「あぁ、そうなんだ。それは失礼したかな。
でも、そういう人ならぜひ連れてきてくれると嬉しい。」

王都でも東の料理を食べられる、という事を知ってもらいたい。
そして多少でも話を広めてもらえれば、というものだ。
従業員は閑古鳥、という事をそろそろおさらばしたい心持で。

さて、〆の一品の用意だが。ふむと一つ頷く。
この時期の品、という事でこの夜に出していたのは鰻である。
ある程度切って出して商品としては少々小さくなってしまった切れ端。
それをまな板に出し、小切れにカットしていく。

「天然。 ……なるほど。
でも、こればかりは性格ありきだろうからね。でも誉め言葉としては嬉しいかな?」

何か納得した様子を見せながら、くすっと笑った。
笑い方も控えめである。
あまり大笑いは似合わないように見えるかもしれない。
手を動かしながらそんな反応を見せる。

作り置きの出汁を少々器にとり、氷水を張った別の器に浮かべる。
カットした鰻を深めの椀に盛った白飯の上に乗せ、出汁が冷えれば回し掛ける。
ネギを散らし、山わさびを添える。付け合わせに茄子の漬物を。

「さ、締めの品だよ。」

冷やしたうな茶漬け。温かい塩焼きの後、さらりと頂けるだろう。

紅月 > 「わ、良かったぁ!
他にも、つい最近刺身の旨さを知った騎士殿も居るから…そういう東国飯仲間にちょいちょいクチコミ流しとく。
…紅と酒飲む人にはジワジワ純米酒広めてるから胃袋の方は是非にソウレン姐さんに掴んで頂いて、東国飯の旨さに染めてやりましょうぞ!」

ふっふっふ~…と、小さな野望をムダに得意げに語ってみたり。
…実際紅月の作れる範囲は料理じゃなく和菓子であって、胃袋掴むとなると役者不足感に難儀していたのだ。
計画進展、とほくそ笑む。

「あ、今納得したな?納得しちゃったなっ!?
…むぅ、やっぱり姐さんには勝てんのぅ」

ソウレンが涼やかな静の人なら、紅月は好奇心でポンポン動く動の人…とてもじゃあないがソウレンを手本にするのは無理そうな御話しである。
…真逆に惹かれる、という理屈で言うなら紅月のそれは理にかなった反応ではあるのやも知れないが。

「うわぁ…茶漬けとかもうクセになるヤツっ!
頂きます~……、…あーもう堪らん。
狡い、〆茶漬け狡い…超うまい」

ズズズッと豪快に、かつ、溢れ出る幸せを隠す気もない満面の…大人の女性どころか、子供のようなこの全力のキラキラした笑顔である。

「御馳走様でしたっ!!」

パチンと手を叩いて、うっとり息を吐く。
ほっと一心地…旨いもので満たされると、実に癒される。

ソウレン > 「店はそこまで広くないから、お手柔らかに。
胃袋を掴む、ね。王都の人の口にあえばいいのだけどなぁ。」

企んでいるような悪い笑みに少しため息交じりの笑みを。
その間に着流しの袖を縛っていたたすきを解いていく。
これで今日の料理はおしまい、という所だ。

「でも明るい性格はいいことだと思うよ。
私も暗いつもりではないのだけどね。」

そもそも暗ければ店をやろうと思わない。
酒場の店主は多少なりお話に付き合う必要もあるのだ。
逆に、紅月を手本にする事もある、かもしれない。

美味そうにお茶漬けを流し込む姿を微笑を浮かべて眺め、
それが食べ終われば、お粗末様、と声をかけるだろう。

「満足したかな?」

顔を見ればわかる。が、笑顔でそう声をかけた。
代金は定食屋の一食より少々多い程度を伝える。
酒を飲んだにしてはリーズナブル、と言ったところだろう。

ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からソウレンさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」に紅月さんが現れました。
紅月 > 「ふふっ、大丈夫大丈夫…紅にとって癒しの隠れ家になりそうだもの、此所は。
イイ感じの人にコッソリと、ね?」

クスクス、今度は純粋に楽しげな笑みを浮かべてソウレンの流れるような所作を眺めつつに。

「姐さんは物静かというか、明鏡止水?みたいな感じでしょう。
近くにいて落ち着くのー!」

酒が入っても相変わらず、ぽややんとしながら首を傾げて語る。
どうやら酒に強いらしい…詰まる所、シラフで愉快なヤツである。
手本にして利点があるかは、だいぶ、怪しいところ…強いて言うなら飯を食うときの幸せそうな顔は、周りも和ませる事ができるかもしれない。

「もうっ、大・満・足っ!
ホント…いい飯は元気出るねぇ?ありがとう!」

笑顔に笑顔で返しつつ、お代を問えば…採算とれてるのかな、此処。
だいぶリーズナブルでギョッとしてしまう。
何だろうこの『払わせてくれない』みたいな気分になるのは…あんまり経験したことのない感覚にポカーンとしてしまいつつに、とりあえずお代を払う。

…代わりに。
御近づきのしるしにと、手作りの水羊羹と葛桜を手渡して、のんびり家路につこうか。

ご案内:「王都マグメール 平民地区2」から紅月さんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 酒場通り」にシャルレさんが現れました。
シャルレ > 酒場通りの屋根の上に白い猫が座ってる。
ふさふさの白いしっぽが、たまに揺れながら眼下の明るい通りを見下ろしてた。

今夜は人通りも多い、人の声もそこかしこから聞こえてる。
三角の耳をくるくる回すようにして、人の声を聴いてた。

ご案内:「王都マグメール 平民地区 酒場通り」に黒須さんが現れました。
黒須 > 「ふぅ…あちぃ…」

(人の多く通る道の中で、黒一式の服装に身を染めて歩いていた。
頭には似合わない麦わら帽子を被り、ポケットに手を突っ込んでずかずかと歩いていた。)

「ちと、休憩するか…」

(日陰がある場所に到着すると、麦わら帽子を脱ぎ、汗を拭う。
帽子の下にはもう一つ帽子、ニット帽らしい帽子を被っていた)

シャルレ > ただ時間が過ぎて眠気がくるまで眺めてようと思ってただけ。
じーっと見てると違和感のある麦わら帽子が見えた、歩き方、聞こえる声に耳が動いて。

帽子の下からまた帽子…へんなの、と見つめてた。

「にゃーん」

どこにでもいる猫の鳴き声でひと鳴き、相手からしたら視線の先の屋根にいる猫。
座ってたものの、腰をあげてくるっと向きをかえてその場を離れるように。

ご案内:「王都マグメール 平民地区 酒場通り」からシャルレさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 酒場通り」から黒須さんが去りました。