2018/07/20 のログ
ご案内:「マグメール 平民地区/ギルド」に紅月さんが現れました。
紅月 > ーーーかたた、かた、ぱたん。

御早う御座います、冒険者の紅月です。
只今ギルドの厨房に来ております。
…えっ、摘まみ食い?
いえいえ滅相もない…れっきとしたお仕事に御座います。

「オークミンチのミートパイ、ミノタウロスの煮込み…ロックバードの鳥ハム、同じくロックバードのとろふわプリン限定50個…よし、納品完了。
…っあー、クエストクリア!間に合わないかと思ったっ!!」

懐中時計で時間を確認、制限時間ギリギリ。
厨房のテーブルに手をつきグッタリと…けれど、ホッと一息。

…そう、今回のお仕事内容とは正に『狩って捌いて調理して』である。
それも、朝一番に間に合うように。

紅月 > 「何が『このくらいイケるイケる!』よ、調理すんのはいいけど数がおかしいだろ数が。
せめて、せめてもっと仕込みサポートの人手をだな…っ!」

ホッとしたら地味に怒りが沸々と…ギルマスあんにゃろう。
厨房のテーブルに突っ伏したままに、依頼人であるギルドマスターへのぼやきが止まらない。

…他の調理担当?
既にへばって談話室でグロッキーしてますよ。
自分の分のプリンだけ確保して。

「……、…死に体の同士たちに珈琲でも淹れてやるかな、うん」

はふん…と、溜め息ひとつ。
机から顔をあげ、半眼になる目を擦る。
いつまでもプリプリしてても仕様がない、もっと生産的な事を考えようじゃないか…誰か氷魔法使えたっけな、そうしたらアイスコーヒー飲めるんだけど。

紅月 > 「細口のポットとー、サーバーと~、フィルター&ドリッパーにメジャースプーン…豆は私のお気に入り使っとこ、他人の好みとかもう知らん」

早速器具を用意し湯を沸かし始める。
グロッキー連中に氷が出せるか訊いてみれば…いた、氷魔法使える奴。
うふふ、あはは…と、戦闘に加えて慣れない作業しながらの徹夜明けで皆ハイになってるけれど仕方無いよね、ね?

「私もハイになりたひ…」

使った調理器具を洗いながら、またもぼやく。
残念ながら私は普段から他人の分まで料理するヒトなので、慣れがあるからかハイになれなかったのでした…なんだこの疎外感は。
…哀しいからちゃちゃっと洗い物を終わらせて、さっさと珈琲をハンドドリップしていこう。

「サーバーの上にドリッパー、フィルター…の、中に豆入れて。
一度豆をお湯で蒸らしてから…中央にのの字を書くように、お湯を少量ずつ注いで……」

辺りに珈琲のいい香りが広がる。
談話室まで芳ばしい香りが届いたのか、ひとりふたりと覗きにきた…まだ淹れ終わってねーです、ステイよステイ。

紅月 > 少しずつ朝食を摂りにきた冒険者で賑わい始める中、構わずに先に調理メンバーの珈琲を。
これはいつもの事なので周囲からの文句は出ない。

「あいよ、ホットとアイス。
…あ、おはよー皆さん、今日も綺麗ね~。
片付けまで終わっちゃったから、後はテキトーにやっといて~」

珈琲を淹れ終えたところで丁度、ギルド本来の配膳レディ達が来たので笑顔で丸投げる。
これでようやっと、ゆっくり出来る…!

「いただきます。
……、…うん、悪くない。
ミートパイはもうちょいアッサリでも良かったか…否、こっちの人は味付け濃い目がから大丈夫だよな」

トレイに自分で作ったアレコレを置き、テーブルに着けばサクサクもぐもぐ舌鼓。
パイの焼き色は綺麗について照り輝いてるし、ポテトのホクホクと肉汁のジューシーさが良い…プリンもカラメルのほろ苦さで甘さ調節しつつ糖分補給、食べる相手を選ばない。
実にいい朝御飯です。

紅月 > ここのギルド飯が安い理由…それは、冒険者が冒険して材料を安く仕入れ、それぞれが生きるために学んだ調理法を駆使し、美味しいご飯を提供しているからだった。
…ちなみに食堂の収益はギルド運営費と、調理を担当した冒険者へ出来高制の報酬として支払われているらしい。
故に、この仕事の報酬の支払いは少々特殊で…受け取りが今夜か明日になる。

それでも、腕さえあれば頑張っただけ報酬出るんだから、比較的美味しい仕事じゃなかろうか。

スキルアップにも繋がるし、同じ厨房で作業するから冒険者の知り合いも自然に増える訳だし…けど、旨いモンを作ろうと思ったら中級冒険者に上がった辺りで受け始めるのが妥当か。
下拵えのみなら駆け出しもドンドンやった方がいいとは思うけど。
そういうジャンルの冒険者でもなけりゃ…食材探しで死ぬとか、笑い話にしかならんもの。

紅月 > 「……ま、そもそも普通に普通の料理すれば…普っ通~の駆け出しオススメ依頼なんだけどな。
どうして魔獣狩人に調理させようとするかねぇ、うちのギルマスは」

珈琲を啜りながら呟く。
恐らく、生きる術の一つとして『魔獣を食材にする方法』を広く冒険者に学ばせようという事なんだろうけども…目で見て盗めってのはハードル高い気がする。
何となく、ここで作る時は比較的狩りやすい魔獣選んで食材にしてるけど…必ず狩れるかと問われれば、まず会えるかどうかが運であるし。

「…御馳走様でした、と」

ぱちり、手を合わせて。
本日の予定をどうするか考える。
何せ時間がなかったから、今日はまだ採取の依頼は受けてない…が、色々な意味でお腹一杯である。
いっそ寝倒す…たまにはそれもいいかもしれない、が、何となく勿体ないような。

紅月 > 「庭園か、保護区域か、それとも海か…いや、久々に女らしくウィンドウショッピングなんかしてみる?
…いやいやいや、無いなぁ」

クスクス、自分で言っておいて笑いのツボに入ってしまった。
…と、そんな己に近付く女性。
この娘はギルド受付嬢の一人だ…よく、私に個人的なお願いを頼んでくる。

『紅ちゃん紅ちゃん助けて!
依頼書と書類の整理終わんないっ!』

「…ちょいと、またサボったでしょ」

『てへっ☆』
「てへっ、じゃないの!」

思わずジトーっと見詰めれば…可愛ければ何でも許されると思ったら大間違いなんだからな、許すけど!
とりあえず頬をムニムニと引っ張ってやる…ほにゃほにゃ何か言ってるが、知ったことか。
パッと手を放せば両手で頬をさする受付嬢…全く、大袈裟な。

「……で? 報酬は?」

『紅ちゃんが狙ってたラ・メルトの新作限定ショコラ各種』

「…引き受けよう」

どうして…どうしてこう毎回毎回、今一番気になってるスイーツをドンピシャで用意してくるの、この子。
女のカン、こわい。

やれやれ、と、席を立つ…受付嬢に作業準備を頼むと自分は食器を返しに厨房へ。
今回は一体どの程度溜め込んだやら…全く、忙しくなりそうだ。

ご案内:「マグメール 平民地区/ギルド」から紅月さんが去りました。
ご案内:「王都マグメール平民地区/広場」にリュシーさんが現れました。
リュシー > (王家の紋章のついた正式な触れごとのたぐいから、いかにも怪しげな募集まで。
さまざまな掲示がところ狭しと貼りだされた掲示板の前に立って、
両手を腰に当ててそれらをひとつひとつ読みこんでいくうち、
己の眉間にはいつしか、童顔に相応しからぬほどの深い縦じわが刻まれていた。

決して己の意図したものではなかったけれど、すっかり世間から隔絶されていたのだ、と、
あらためて思わずにはいられない。
色々なことがあったのだと―――今も、起こりつつあるのだと。
そのなかで己に直接関係のあることなど、何もない、としても。)


―――――ダメだ、こんなんじゃ。
とにかく、すこしは自分でちゃん、と…ちゃんと、

(「ちゃんと」―――そう、思いはするのだが。
いったい何をどうすれば「ちゃんと」に近づけるのか、
それをまず、考えなければならなかった。
ゆえに、―――――この、渋面である。)

リュシー > (そもそも、食うにも寝るにも遊ぶにも、さして困ったことがなかった。
たいていのものは手を伸ばせば届いたし、手の届くものしか欲してこなかった。
けれど―――――それではだめなのだ。もう、それではいけないのだと、
そんなふうには生きられなくなっているのだと、焦るほどに思考は滞る。

薄汚れた紙片に綴られた悪筆を追いかけていた視線を虚空へ逃がし、
はあ、とひとつ、大きなため息を吐く。)

……だめだなぁ、……この頭の悪さってのは、
いったい誰に似たんだろ……。

(父親ではなさそうだ、それでは母親のほうだろうか。
否―――――これまでの生きかたそのものが、すべての問題の根本、
なのだと、さすがの己にももうわかっていた。
だからこそ、すこしずつ進むしかないのだということも―――)