2018/07/13 のログ
ご案内:「マグメール 平民地区/ギルド」に紅月さんが現れました。
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紅月 > [〆る前に寝落ちてしまったようで…]
[申し訳ありません]

紅月 > ーーーかつ、かつ、しゃら…

とある、それなりに大きなギルドにて。
その日その場所には珍しく、治癒魔法を持たぬ人々が集っていた。
紅の髪を持つ女が、屈強な男達に何やら指導している。
女や若い少年少女も居るようだが、やはりゴツゴツした男達が目立つ。

…其処に集ったのは傭兵や冒険者。
危険な場所に挑み、それを生活の糧にする者達。
彼らは、治癒魔法を習いに来ていた。

「魔法は苦手ですか…?
大丈夫ですよぅ、治癒魔法は対象に逃げられたりしませんから…ね?」

各々方には適当にグループを作ってもらい…ソロを好む方には『そういう方』ばかりをむしろ集めて、己が直接指導にあたる。

「あらあら、力みすぎですよぅ…アンデッドにブチかますんじゃないんだから。
もっと肩の力を抜いて…そうそう、そのまま安定させて下さいませね?」

それぞれ、まずは色々な治癒魔法を実際に発動してみてもらって…それから向き不向きを見つつグループを再編成して、同じ系統の治癒魔法同士で切磋琢磨してもらう。

紅月 > 本当は、治癒術士を中心に特別レッスンしようかと思っていたのだが…しかし。
生き残るために頑張ろうと、教えを請おうという方々を蔑ろにできず。

…結局、自由参加型の集いになっていた。

金銭は元々請求していない。
強いて言うなら
『まず教わってみてもらって、貴方が思う値段を支払って下さい』
とだけ、それも授業料を問うてきた者にだけ言ってある。

「あらぁ、貴方はそもそもの魔力廻廊が攻撃型なのねぇ…そうしたら、魔法より氣を覚えた方がいいかもしれないね?」

魔法には適性というのがある、故…魔法に向かない人々には氣の使い方だったり、調薬や錬金術なんかを可能性の芽として育てようと。

紅月 > 「…はい?
他人に使う機会は無いから、自己治療だけ教えろ、と?
……、…うぅん、それは困りましたねぇ…」

何せ荒くれ者の集う場所…こういう方も、中にはいらっしゃる。
勿論、それでも教えはするのだけど…

「それじゃあ実技を、手とり足とり、じっくりと…うん?
怪我してないのにどうにやるか?
…いやだなぁ。
機会がなければ作ればいいんですよぅ…今から、ね?」

さすがに本当に手捕り足獲りはしないけれど、まぁ、ヒーラーいっぱい居るし大丈夫よね、と。
…私も荒くれ者の一員ですので、そういう事もありますのよ?えぇ。

ご案内:「マグメール 平民地区」にリューゼさんが現れました。
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リューゼ > 「おい、その辺にしておけよ。」

わがままを言う男の後ろから肩に手がかかる。
治療師の言葉に怯んでいた隙の出来事。
荒くれの中では優男と言えるかもしれない男が、問題の荒くれを止めようと割って入っていた。

「講義が止まると皆に迷惑だ。時と場合を考えるんだね。」

そう言いながらゆったりとした様子でわずかな笑顔を浮かべる。
それを見た男は頭に血が上ったか、ターゲットをこちらに変えて怒鳴りかかってくる。
とは言え、理屈に筋が通ってるわけもなし、優男は涼しい顔で流している。
この辺が冒険者とか傭兵だなぁ、と思うわけで…。

紅月 > 「あらあら、まぁ…!」

ひょっとすると、我儘男は幸運かもしれない…講義の参加者の中では細身な青年が止めに入る。
彼が止めに入らねば、この紅娘、間違いなく件の男をシバき倒してた故に。

「そういえば…私の故郷には『人のふり見て我がふり直せ』という言葉がありまして。
自分を『なおす』なら、こういう所も直せるようにならなきゃですねぇ~?」

のほほん、と、冗談混じりのユルい一言。
講義の参加者から、ぷふっ、なんて噴き出す声が聞こえる。
クスクス、と地味に笑われ始める我儘男…さて、気まずくなって引いてくれりゃあ…あっ、逃げた。
我儘男は『覚えてろよ!』と捨て台詞を残して去っていく。

「やれやれ…ありがとう、助かっちゃった」

止めに入ってくれた青年に、ふわりと笑いかける。
…正直、血生臭くならずに済んだのは僥倖なのだ…だって、初心者や若者が怯んで参加しにくくなってしまうもの。

リューゼ > 「そんな言葉があるのか。」

ぽつり呟く。
逃げ去って行く男の背を半眼で見つつ、やれやれ、とため息一つ。
周囲の連中からやるじゃんと声を頂くが、別に、と誇った風もなく。
ゆったりと実技の修練へと戻っていく。
ぽう、と緑の光がわずかに青年の掌に生まれている。
そこで、講師の女性から改めて声をかけられた。

「いや、気にしないでくれ。あれだと俺達も困るからね。」

小さく笑みを浮かべた青年は、言われた通り修練に励んでいる様子。
同じ班分けされた人はにこにこと機嫌よさそうにしている。
人当たりが悪くないのは青年の長所のようだ。
青年よりも年下の人や、装備の真新しい人も見習ってか真面目にしている。

紅月 > どうやら他の荒くれ連中も、先だってのやり取りにスッキリした面持ち。
自分の生存率を上げたいという目的は全員同じ…だからこそ、青年が出ていかなかったら他の苛立った男らとの喧嘩や乱闘になっていただろう。
いやはや本当に助かった…

と、いうか…むしろ団結感とでも言うのか、最初より少しばかり緊張やらの変な力が抜けたような、穏やかな空気が流れている。
…良い、実に良い空気。

青年に声かけついでに班の様子を見る…うんうん、真面目。
若い子を中心に集めた班なのだが…習得速度も悪くないし素質的に粒揃い、磨き甲斐がある。

一旦青年の班を離れると、参加者のなかでも習得が早い者と事前知識のある者を集めた班に行き…彼らを『他人に教える事で反芻し、自分に落とし込むといい』と、講師側にまわして。
もう一度、青年の班にひょっこり戻ってくる。

「調子はどうかしら?…うんうん、順調そうねぇ。
そしたら、軽く本番してみましょっか」

相変わらず穏やかな調子で「ちょっと失礼して…」なんて言いながら、空中に手を突っ込む。
…本当に、空中の揺らぎのような歪みに手を突っ込んでいる。

そこから短剣を取り出すと…もう予想出来るだろうが、迷いなくそれを抜いて掌をザックリ切った。

「ありゃ、思ったより…ま、いっか。
はい、お願いします~」

青年に、赤々と染まっていく掌をにこやかに差し出して首を傾げる。

リューゼ > 正直乱闘騒ぎは覚悟の上だった。
自分ならそれほど場を乱さず取り押さえる自信もあった。
退いてくれたのは僥倖、という所だろうか。

しかし、この場を立ち去るという事はメリットを増やさないというわけで…。
青年としては態度も治療も込みで、仕事がカチ合わなければいいなぁ、と少々雑念。
すると、掌の光がふっと消えてしまう。

「ありゃ、集中しなきゃな。」

ぽつり、と呟く。
講師が戻ってきたのはその時だった。
こちらは若干ばつが悪いが、周囲の面々の様子も見ているようだ。

しかし、本番、と聞いて青年も込みで若干不思議そうな表情を。
続いて、自分の掌を切るという行為にぎょっとする。
空間倉庫のような魔術の事などどこへやら、だ。

「…いいんですか。」

青年は苦笑を浮かべる。あまり自傷行為は気持ちのいいものではない。
が、せっかくの機会をふいにする事もない。ひとまず、先ほどと同じように治癒の光を浮かべていく。
それをかざすようにし、治療を行う。
青年の魔力は並程度。多少魔術の心得はあるので集中さえしていれば安定するだろう。

紅月 > 男がやってもそうだろうが、女がやるには少々思いきりが良すぎるザックリ加減の傷。
本人としては様々なジャンルの治癒魔法をマスターする間に何度となく自分で試している故に、まさに『いつもの事だから』と言った風。

「ん? そりゃあまぁ痛いけど、すぐ治るし。
逆に、このくらい治せないと本番で困るからね~…一度治してれば安心出来るでしょ?」

ふふっ、と、青年なら大丈夫と信頼するかのように笑って。
…やはり、というか、よく安定している。
属性的な要素も問題なさそうだ。
じわじわと、緩やかに傷が塞がっていく。

リューゼ > 血や怪我は日常茶飯事。
見慣れているという事で怪我自体に動揺する事はなかった。
光を当てていれば傷は塞がっていく。
隣にいた男に水を搾った布要求し、傷が塞がってから血を拭いていく。

「うん。治ってるね。」

自分の出した結果に満足した様子で微笑を浮かべた。
しかしこれを人数分続けるのか、と思うと若干心配になるが…。
いや、傷は治すのだろうけれど、とちょっと不思議な気分。

「…俺も手伝おうか?」

と申し出てみる。
幸い、班分けされているのは少人数だ。
二人がかりなら2、3回で終わるだろうと思っての事である。

紅月 > 「血管、神経、魔力廻廊、運動機能に皮膚感覚オールクリア…うん、完璧!」

先ずは、ぐーぱーぐーぱー、と手を動かし、次いで空いた手で傷口だった所をグリグリと揉んでみる。
…いつもの自分の手、である。

掌を清めてくれた男性に「ありがとう!」とにこやかに礼を言い、上記の台詞を。
しかし、続く彼の言葉に今度はじぶんがぎょっとする番で。

「…へ?
えっ、怪我するよ?痛いよっ?
……あぁ、えっと。
私はコウゲツ…東の果ての地にては紅の月と書きまする。
あの、お名前訊いても…?」

あわあわオロオロ、と…あっさり穏やかな教師顔が崩れて素がポロリ。
紅月にとっては、自分はいいけど他人はダメらしい。
とりあえず呼ぶに困ったので名乗り、尋ねてみる。

リューゼ > 傷跡がないだろうか、と血をぬぐったが大丈夫らしい。
結果としては上々だ。
にこにことしている分痛みなどもないのだろう。

しかしこちらが手伝いを申し出れば、何故だかぎょっとされてしまう。
てっきり抵抗はないのかと思っていたのだが。授業だし。

「いや、それは貴女も同じでしょうに。
さっきみたいにザックリいかなければ大丈夫でしょ。
あぁ、俺はリューゼ。冒険者兼傭兵です。」

コウゲツ、というのか。と少し口の中で呟く。
王都では変わった名前だと思うが、紅の月、という響きは綺麗だな、と思った。

さて、と言った様子でナイフを借りる。
自分で持っていなくても誰かが持っているものだ。
それを引くようにはせず、掌に押し当てるようにする。
すると、じわり、と血が滲み始める。そのくらいであれば表情も変わらない。
おろおろしている講師を尻目に率先して「次は君ね。」と周囲の人に声をかけていくだろう。

紅月 > ぱちくり、と。
「言われてみれば…?」
なんて首を傾げている辺り、自分も同じという自覚は無かったらしい。

「りゅーぜ、リューゼか…うん、宜しく!
…って、ああっ!?ホントにやってるし!
う、うぅ…いやまぁ確かに、その方が効率いいし……お願いします」

すっ、と、目を伏せて頭を下げる。
先生と生徒であろうが、礼には礼を。

「…よしっ、次そこのお兄さん!
やってみましょー!」

何やら気合いが入ったらしい紅髪。
さっきよりは控えめに、けれどサックリと切って治療させる。
…テンパるひとには手の甲や肩に己の掌を置いて力を抜かせてやりつつに。

「…あっ、傷跡残っちゃった方で消したい方は、講習終了後に残って下さいね~?
私が責任もって治しますからー!」

全体にもきちんと、声かけはしておきつつ。

リューゼ > 人数が人数だしねぇ、とちょっと苦笑。
どうかしました?と聞かれたが何でもないと答えつつ。
その光景を見て他の班でも同じような光景が広がっていく。
講師の方も再び切り傷をつけながら授業に勤しんでいるようだ。
…こちらが習いに来ているわけで、礼をされるという事はなかったんだけどな。
そんな風に考えつつである。

「じゃあ次は俺ね。」

青年の方はと言えば、治療を受ける役、治療をする役。
上手い事交代しながら修練に励んでいくだろう。
テンパる事もなくリラックスしている様子。
焦り気味な人の前では特に。そうする事で落ち着くように言い聞かせつつである。
戦闘に比べればどうってことないだろ?という事である。
そう言われて納得しない人はあまりおらず、お互いが技量を高めれるように。

時間が経過した頃合いには、少なくとも青年の班は初歩的な術は修める事ができているだろうか。

紅月 > 「ふぅ…よし。
はぁい皆さん注~目~!
失血で具合の悪い方はいらっしゃいますかー…ふふっ、なぁんて。
皆さん初級治癒はできましたか?
…うんうん、大丈夫そうですね。
心配な方は後でこっそり来てくださればサポート致します故、ご心配なく!」

ニコニコと、少し声を張りつつに話しかける。
全体の様子を見る…問題なさそう。

「えぇと、これ以降は中級上級となっていきますが…この辺りに入ってくると、自分と魔法との相性にも関わってきます。
属性・魔力量・資質なんかですね?
…さて。
このクラスでは生き残る事、つまり実戦で使える技術を最優先にしております、ので…自分でやってみて『向いてないと思ったらすぐに氣や調合の班に加わる』事をオススメします」

ぱちり、と軽く手を叩き、きっぱり、と…柔らかくオススメとは言うが、殆ど
『悪いことは言わんからそうしなさい』
というような声色。
要約すると、魔法一つに特化するのも悪くはないが…それよりは幅広く学んだ方が手段が増え、生存率が上がるというもの。

「魔力は尽きたら終わっちゃいますからねぇ、色々と。
そんな感じで、ここから先は完全に各班で選択式です。
…判断に自信がない方は調合にしとけば間違いないんじゃないかな、撤退中やらで野に放り出された時に安心だから」

少々悩んで、語る。
…実際、便利な魔法ばかりに頼っていると足元を掬われたりする。
アナログな手段は、本当にイイ保険になるのだ。
傷薬を数パターン覚えるだけでも安心度は上がる。

…さて、この班は何になるかしら。
魔法・氣・調合…己はどれでも対応できる。

リューゼ > 初級を修めたという事で、若者達はいい笑顔を浮かべていた。
自分はと言えば、あまり変わらない調子でにこにことしている。
冒険者や傭兵としての経験値は班内では一番かもしれない。
先日防衛戦にも参加した事だし。

そんなわけで「どうします?」と訊かれている所。
やってみたい事がある人は…どうもいない様子。
何故か自分を期待に満ちた目で見つめられていた。

「…まぁ無難みたいだし調合を学ぶのがいいんじゃないかな。
勿論他のを学びたい人は別の班に移動する感じで。」

と、いうわけで数人が抜けていった。
武器を得手とするよりも魔術よりの若者達だ。
入れ替わりに、調合をやると聞いて混じって来たのは少し年齢の離れた人達。
穏やかだが、ベテランの風格といった感じだ。
その数人によろしくと声をかけている所。

挨拶が終われば、講師に「こちらは調合で。」と報告をしている所だろう。
………あれ、なんでかベテランの人よりこっちが仕切ってるぞ、と気づいてしまう辺り。

紅月 > 班分けの最中、女性が二人部屋に入ってきた。
分野毎に講師を配置する算段のようだ。

「あっ…ルディ、リーザ!
…うん、今あの辺りが魔法、こっちが氣でまとまってるみたい。
うんうん、ん、はぁい……、…ちょっ、なんで危険物作る前提なのさ!今日は錬成しないから大丈夫だってば、き・ず・ぐ・す・りっ!!」

紅髪はすっかり新たな講師二人に遊ばれている。
…ルディと呼ばれた女性は氣の班に、リーザと呼ばれた女性は治癒魔法の班に加わって行った。

「全くもう…っあ、はい!お薬ね?」

いやはやシッカリしたお兄さんだなぁ…と、改めて思う。
若そうに見えるけど、明らかに冒険慣れした人と並んでも纏う空気に遜色がない。

「それじゃあ先ずは、この辺りに生えてる薬効ある植物ね…」

もそっ、と色々出てくる。
先ずは『これだけあるんだよ』と、参考までに。
現物を見たことあるのとないのとでは違う。

「傷薬になるのはこれと、これと…」

パパっと分けて、それに対応した素材や木の実をテーブルに配置。
簡単な一覧のようにして。

リューゼ > 新しい講師がやってくれば、今までの講師で遊んでいる。
女3人かしましいとは言うが、その光景は和やかだ。

「爆弾でも作るのかな。」

ぼそり、と言えばまさかー、という声が輪の中から上がる。
ベテランの連中ははっはっはと笑っている辺り余裕の様子。
で、こっちに戻って来れば「では調合の授業をお願いしますね。」と笑いかけるわけで。

そして女性が現物を取り出せば、皆はしげしげとそれを眺めていくだろう。
おう、これ見た事あるな、という声も上がる。
青年もいくつかのものは見た事があった。

「…これは水辺に。これは…乾燥した土に生えた木に生ってたかな。」

覚えている限り、どこに生えていたかを声に出す。
そうそう、とベテランの人からも同意を得られる。
似ており危険な植物なんかはないのか、という声が上がった。
当然だ。間違えて毒を塗り込むような真似はしたくない。
青年もそれには興味があった。

紅月 > 青年の発言に耳ざとく「今日は作らないからね、今日は!」と、指差しながら言う。
作れます、爆弾…戦闘スタイル的に好みじゃないからギルド納品用だけれど。

幾つか話して席に戻れば授業再開。
似た植物の話になれば「あるある、いっぱい」と、苦い顔。
ゴソゴソ、と、一冊の皮の手帳を取り出し、見易いよう参加者に向けて開く。
其処には植物のスケッチ・特徴・毒性の種類や誤食した時の症状・毒を抜いて非常食にする方法まで書かれている。

「手描きで悪いんだけど、私の知ってる範囲のブラックリスト…まぁ、大抵は汁を肌や舌に乗せれば毒あるかないかわかるんだけどね?
赤くなったりピリピリしてくるしさ」

…つまり、この講師は毒草をそれと知って食った事があるという事で。
更に、どうすれば食えるか試したという事で。
好奇心や探究心とは恐ろしいものである。

「ちなみに、平原では薬になるのに高山では毒になるヤツもあるし…そうじゃなくても、水場近くのは水の影響を受けるから気を付けなきゃマズイね。
…水源が穢れて、山ひとつ毒まみれになった例があるから」

終盤になるにつれて、げんなりした顔で言う…水源浄化、大変でした。
瘴気が原因じゃあどうにも一般の方には対応できないし。

リューゼ > おっと。意外にも地獄耳だったらしい。
意外…でもないかもしれないなぁ、とちょっと考える。
しかし爆弾も作るのか、と少し感心。
簡易なものなら配分適当に混ぜ混ぜしてその場だけで作った事くらいはあるが。

毒性を持つ植物の話になれば皆が覗き込むようにしている。
人によってはメモをとったりもしている。
わかるとは言っても、直接試したりはあまりしたくないだろう。
それで事故を起こせば意味がない。
危険に対する意識が強いのは冒険者だからこそだろうか。

「なるほど、水源か…。水を吸って生きているのだから当たり前と言えば当たり前か。」

ぽつり呟く。
水質の浄化などやったこともない仕事だが。それは大変そうだな、と思う。

さて、問題の植物などを見比べながらの把握だ。
似ている植物がない、危険性の少ないものは重点的に記憶しておく。
博打で調合するよりは確実なものを。
班の中で相談し植生箇所が多く、かつ危険性の少ない役立ちそうなものから順に序列を決めていくだろう。
青年を含むベテラン勢からの実体験をもとにしつつ、あーだこーだと相談する事しばし。
概ね個人個人での把握は終わった様子。

「…次はこれらの調合法かな?」

紅月 > いやぁ、驚いた…予想してたよりも、随分ハイレベルで生産的な会話がポンポン出てくる。
私の場合はマレビト…つまり異界からポンと来ちゃったからであるが、緊急でこの世界の薬草知識を覚えねばならず。
だからこそ、食ったり精霊に訊いたり何なりとして情報収集に勤しんだ訳だが。
人間の胃でそれをしたら比喩じゃなく死にかねない。
検分が終わったらしいので、ひとまず不要分の植物を下げて…次の用意を。

「調合と一口に言っても、トロ火でコトコト煮込む煎じ薬にするか、水に煮出してお茶にする浸剤、クリームや軟膏、散剤…は粉薬の事だけど、これが一番楽かな?
用途によって変わってくるんだ」

またゴソゴソと…薬草の香りのする緑色に染められた皮の手帳を2冊出して、開いて見せる。
片方は自作レシピ、片方は他の冒険者から訊いたりしたレシピが記されている。
ついでにサンプルとして、自分で作った薬や軟膏、薬湯の茶葉なんかをヒョイヒョイと。
後は私物の金属乳鉢を置いて、一通り。

「とりあえずレシピをメモしとくだけでも後々役立つと思うよ!
調合そのものは方法わかる人も多いから。
アドバイスとしては、よく負う傷を重点的にメモするのがいいかな…使わない情報でかさ張っても仕方ないからね」

リューゼ > 冒険者や傭兵として糧を得ている者。
つまる所王都にずっと住んでいるものでなければ体験談は色々と出てくるだろう。
青年たちにとって植物というのはずっと身近なものであった。
考えてみれば採取依頼などもギルドや宿屋・酒場の掲示板にはよく出ている。
薬である事を『知っている』事も少なくない。

「レシピいただけるのは嬉しいね。俺もメモしておくかな。」

その使い方さえ学べば実用する事もできるだろう。
ベテラン混じるこの班はラッキーかもしれない。
若者達もこれから受ける依頼で学ぶ事もたくさんあるだろう。
その前に実体験や植物の事を学べるのだから。

「俺達なら…ひとまず打撲・擦過・裂傷用かな?」

簡単な解毒なんかもできるといいな。そんな声もあがる。
それもそうだ、と思って書き足していく。
それに有効なもの、という風に効果に分けてメモをとる。
若者の中には作ってみてもいいかな?と薬草を手に取る者もいるだろう。
他の班よりもずいぶんと活気を感じるかもしれない。

紅月 > 「ふふっ、レシピは本当にね…自分で探そうとすると時間かかっちゃうから。
やっぱりフィールドワーク大好きな冒険者に座学してもらうには、それなりの旨味がなきゃ!」

と、比較的座学を面倒がる本人は思う訳です…という心の声は黙っておいて。

いやはや、経験者筆頭にグレードが上がる上がる。
更に、講師とベテランとで下の知識の底上げをするからテンポもいい。

「どうぞどうぞ、空き容器も集めといたから持って帰っていいよー?
私、普段は採取メインで受けてる冒険者だし…何ならソレ使いきっちゃっても。
本当は動物性の素材の事もやるべきなんだけどね、黒焼きとか蛇毒とか…そっちは捕れるか自体が賭けだからねぇ。
また後日かしら」

頬をポリポリ掻きながら苦笑して。
話しながら乳鉢とすり鉢をゴトゴトと追加…乳鉢の素材がセット毎にメノウだったり蛍石だったりとバラバラなのは趣味の収集品だからである。

リューゼ > 「あぁ、本当に助かるよ。薬屋の売り上げが落ちなければいいけど。」

冗談を交えるくらいの余裕はある。
青年も座学はそれほど得意ではない。
ただ得意ではないだけで受ける分には真面目である。

用意された道具を手に取り、自分も少しやっておこうかなと考え…。
…結構高そうな道具だなぁ、としげしげ眺めてしまう。
瑪瑙なんて装飾品用に高値がつくだろうに、と。

「治癒術と同じく、まずは敷居の低い所から、だろうね。
あっち、上手くできてるんじゃないですか。」

と、先に始めていた若者を指さす。
乳鉢の中には緑色にすり潰された薬草。その後どうすればいいかと訊き求めている。
んん、しかし忙しそうだ。
ふと時計を見れば、修了の時間が迫ってきていた。
これはまた後日自分で試してみるか…とゆったりと考え、乳鉢を元の場所へと戻していた。