2018/07/11 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にクウィンさんが現れました。
クウィン > 昼間、強烈な日差しを浴びた街路には未だ蒸し暑さが残っている。
肌に纏わりつくような夜気が鬱陶しく、長身の男は歩みを止めぬままシャツの襟元を片手で解いた。
はだけた褐色の胸元にはうっすらと汗が浮かんでいる。

「暑いですねえ……。何か冷たいものでも……、いえ、いっそお風呂でしょうか……?」

散歩のつもりで夜の街へ出向いてみたものの、早くも音を上げてしまいそうだった。
メガネの奥の紅い瞳に覇気がないのは空腹の――正しくは“淫魔としての”空腹のせいもあるだろう。
いつもの胡散臭い笑みは少し困ったような苦笑に塗り替えられ、行く当てのない足で石畳の小道をふらふらと進んでいく。

クウィン > 涼を求めて露店に立ち寄ってみると、それは魔法で冷却したらしい飲み物の販売ワゴンだった。
氷で出来た大きな皿の中に虹色の液体が満たされている。
男は目を丸め、深紅の瞳いっぱいに不思議な色のドリンクを映した。

「面白い色合いですね。ジュースでしょうか?」

パラソルの下に佇む人影に問いかけてみると、ワゴンの主はまだ少女と呼んで差し支えないほどに幼かった。
男の瞳は冷えた飲み物ではなく、ついそちらへと観察するような視線を絡めてしまう。

「……おや、ずいぶん可愛らしい店長さんですね。ひとつ頂けますか?」

少女は顔を赤らめ、氷の皿から小さなカップに液体を移し替えた。
それを受け取った拍子に触れた指先を、少女は慌てた様子で引っ込める。
愛らしい仕草に男の口元がニヤリと歪んだ。

「ありがとうございます。
 フフ…、出来ることなら、あなたがもう少し大人になられてからまたお会いしたいものですね」

釣りはいらないと告げて支払いを済ませると、男は涼やかな飲み物を片手に上機嫌で通りを去って行った。

ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からクウィンさんが去りました。