2018/06/12 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にフローリアさんが現れました。
フローリア > 昼下がりの街並み――昼食の時間も過ぎて、商人たちもひと段落した時間帯
人通りが落ち着いた露店通りに、少女がひとり歩いていた。

特に何を買うでもなく、露店に並べられた商品を興味深そうに眺める少女
服装もその辺りの娘と変わらないもの
にもかかわらず、その少女はどことなく浮いていた。

きょろきょろと視線を彷徨わせる様子は、この辺りに慣れていないのが見て取れる。
それだけではなく少女の白絹のような髪は、街娘には見られないような艶を放っていた。
何も買っていないにもかかわらず、良いカモが来たとばかりに呼び込みを掛ける店主たち
少女もまたそれに愛想よく応えてしまうものだから、注目を浴びてしまっていた。

フローリア > 「へぇ……海の向こうから? 珍しい果物なんですね。どんな味なんでしょうか?」

果物店の店主に次から次へと手渡される品々。
実のところはもうどれがどれなのか分からなくなっているけれど、
話を途切れさせるのも悪いかと思ってしまって、相槌を打ち続け。

「あ、あのっ、申し訳ないのですけれど……こんなに買えなくて……」

自分が自由にできるお金というのはほんの僅か。
あまり買い物をするわけでもないから、それはそれで十分なのだけれど。
手渡された果物を全て買うだけの金額は持ち合わせてはいないわけで。

店主は、見込み違いだったかと落胆した表情を一瞬見せたものの、
すぐさままた営業用の笑顔を浮かべ。
果実をひとつ手渡してくれる。

『じゃあ、こいつをやるから、他で宣伝しといてくれ。』

「えぇっ!? そ、そんなダメですっ ちゃんとお支払いしますから!」

『良いって。ほら、商売の邪魔だ。引き留めて悪かったな、さっさと行きな。』

今度はそんなやり取りが始まって。
更に周囲の注目を浴びることになる。
最後には頑固な少女が勝つのだけれど、それはまだもう少し先のこと―――

ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からフローリアさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2/市場」に影時さんが現れました。
影時 > 如何に生身一つで戦えると言えども、万事それで片が付くわけではない。
例えば――大物殺しであれば、それこそ必要となるものだけを携えた最小限でいいだろう。
余分な重みはまるで贅肉の如く、迅速な動きの妨げとなるからである。
一撃を喰らえば、それで死ぬことがそれこそ確信できる位の強敵であれば尚の事だ。

「……あー、お譲さん。その瓶に入っている奴は御幾らだい? そう、そっちの奴だよ」

過日の戦闘で消費した物資は適宜調達しなければならない。
住居となる場所の容積が限定されていれば、逐次備蓄してゆくのにも無理がある。
最低限の着替えとして纏う外套を魔術師然としたローブに変え、身なりを整えた上で市場を闊歩する。

今、覗き込むのは幾つかの薬種を取り扱った露店の一つだ。
乾燥させた薬草や黒焼きにした蜥蜴、等々。簡単な魔法に使うためのものから、効果が如何わしいものまで色々とある。
気になるのは、指差す瓶の中に入った白い石の如き鉱石だ。想像通りならば、火薬づくりに使う類のものであろう。

影時 > 「かぁー、高ぇな。ちょっとまからねェかな。こっちの此れも買うから、どうよ。ン?」

だが、少なからず昨今の情勢として、色々と取引されることが多いのだろうか?
ここにあるのは実用よりも資料目的の色濃い陳列のようだ。
用途を知らぬものにとっては単なる石程度でしかないとしても、それなりの値をつけられるのは意味があるということだ。
少しでも値切ろうとしつつ、合わせて指差すのは薬草類である。
適切な加工を以て粉薬、丸薬にすれば滋養強壮剤に出来る。それを纏めて買う姿勢を見せれば、露天の主も笑う。

「……ほほーぅ。興味があるって顔だな。けど、もうちょっとふくよかになってからな、って、痛っ」

用途を知っているという顔だ。少なからず、此れも売れ筋なのだろう。
視線を合わせるように屈み、妙齢なれども相手の平たい胸元を指差して其れらしく告げれば、小石を投げつけられる。
それは躱さない。額に小さく赤い色を灯しつつ、はっはっは、と笑って金を支払い、包んでもらうことにする。

影時 > 「有難うよ。また、世話になるから――、ン? もう来ンなって?」

包んでもらった品がしっかりと水を通さないように封をされていることを確かめ、持参した頭陀袋に入れる。
もう来るなとばかりの仕草を向け遣られるが、それはイイ笑顔で受け流しながら会釈し、ぶらつこう。
買うべきものは多い。
火薬を調合するための素材、それを安全に扱うための容器類、手裏剣鍛造用の鋼材その他、色々だ。
符を作るための紙と墨については、まだいい。この類は消耗してもまだ、幾分か調達はし易い。

「……まァ、金で購えるだけまだマシだな。
 あのご老人も俺を飼う癖に、飼い犬の趣味に理解が無ぇってのは嗤えんが」

適度に義理を果たした処で、暇乞いでもしたいところだ。
お互い若くない者だ。利用し合う前提であるとは理解しているとしたいが、先方の理解が足りない可能性を感じる。
何処かに理解のある雇い主でも、居ないものか。ふと、内心でぼやかずにはいられない。