2018/06/01 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にジェルヴェさんが現れました。
■ジェルヴェ > (まずい状況だった。
体を包む浮遊感と高揚感。思考は鈍り、視野は狭い。
自身を襲う症状がこれだけなら、いい。単に酔っているせいだ。しかし、そこへ幾つか別の症状を加えてみるとどうだろう。
例えば目の前にあるあの噴水。水しぶきがキラキラと輝いて見える。一粒一粒が宝石のようで、とてつもない美しさだ。
突然感性が豊かになったわけではない。男の目には噴水ばかりのみならず、ありふれた夜の景色すべてが楽しげで、鮮やかに映っている。)
「…やべー。
アブサンやべー」
(まずい状況だ。現在進行形でそうだと、無味な面構えで考えを改める。
酒に酔うというより、いっそ麻薬を摂取した状態に近い。魔酒と呼ばれるだけの事はある。
ベンチに深く腰掛け、後ろへくたりと背を預けた男。
ただただぼんやりと輝いて見えて仕方がない、古ぼけた何の変哲もない噴水を眺め、緑色の酒がグラスにたゆたう光景を思い返した。)
■ジェルヴェ > (いったい何杯グラスを煽っただろう。もっとハメを外して遊び歩いていた遠くしょっぱい思い出の中でも、件の酒は登場する。
今回以上に浴びるほど飲んで、結果顔を覆って蹲りたくなるような失敗が記憶に刻まれたこともあった。
が、しかし―――ゆえにと言うべきか。もう二度と、同じ過ちは繰り返せない。繰り返しては、ならない。
大分酒が入り、軽い幻覚症状まで抱えているが、強く強く自らに言い聞かせる。なぜならばこの世には、)
「もー…、年甲斐ぃー……」
(という、言葉があるのだから。
力なく首をもたげて夜空を見上げ、反らした喉から唸り声をしぼり出す。
せめてもの救いは、理性が液状化する前に我に返って、こうして酒場を抜け出してきたことだった。
仲間とあのまま飲み続けていれば、きっと今頃店にいた六十路越えの熟女を口説いていたに違いない。
連中は止めずに応援しただろう。やつらはそれ以上にハイになっていた。
ふと熟女の濃厚な香水のにおいが蘇り、そっと顔色を冷ましていく男。)
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」に紅月/コウゲツさんが現れました。
■紅月/コウゲツ > ーーーかつ、かつ、しゃら…
眠れなくて、窓から夜空へ飛んだ。
いやまぁ寝るには寝れたのだけど、どうにも夢見が良くなくて。
大通り近くをふらふらと、あてもなく。
「故郷の夢みて人恋しくなるとか…今幾つよ、私ったら」
前髪を片手でくしゃり、と握り、項へと指を流して。
ふぅ、と溜め息をつく。
見上げた空には星と月、深夜の濃紺と街灯の橙のコントラストが美しい。
…けれど、その美しさも何だか今日は虚しく思えて。
視界には、大きな噴水…いつのまにか広場まで来てしまったらしい。
何となく近付いて、ぼんやりと見上げて…ふと、自分以外の気配に気付く。
ベンチに、男の人。
…なんか呻きながらグッタリと空を見上げてるけど、どうしたんだろう。
「……あの、大丈夫…?」
思わず男に近付いてみる。
こんな気分のときにまで発揮されるお節介心に苦笑しながら声をかけた。
■ジェルヴェ > (内面にたたえた恐怖と、頬を撫でる夜風が体温を冷ましていく。
のろのろと持ち上げた手を顔の上まで運び、高さがあるまま、脱力。肌を打つ鈍い音が立つが、痛みはなかった。
痛覚が鈍っているのも、あの酒のせいだとすれば怖ろしい。
―――あれは、ひとを駄目にする酒だ。もともと駄目か一歩手前かの立ち位置ではあるけれど。内心で一人ごちる。
でなければ、六十路はない。熟女趣味を否定するつもりはないが、少なくとも個人的には圧倒的守備範囲外だ。
それがどうしてか、今夜はあの熟女が庶民的な酒場に咲いた麗しい一輪の花とか憂いげな目がセクシーとか、そんな風に見えてしまった。
目が覚めて、本当によかった。被せた片手のその下で、苦々しく唇を引き結び)
「………っ」
(呼びかけられる声に体を竦ませる。曲げた肘は明らかに震えたし、地面に投げ出した足など片方が浮いた。
大層な驚きぶりを見せたのは、一瞬、頭を過ぎったからに他ならない。顔に霞がかかった、例の熟女の姿が。
まずい追いかけてきたどうしよう。強張る真顔で顔から手を引っぺがし、反らした首を戻す。
―――正面を向き。予想に反して見えたのは、赤と黒が鮮やかに映えた長身の女だった。
一瞬抱いた戦慄が立ち消え、かわりに目が丸くなる。
視界の真ん中にその女を置くと、輝いていたはずの噴水の水しぶきが霞んだせいだ。)
■紅月/コウゲツ > …な、何やら盛大に驚かせてしまった。
眠ってはいなかった、はずだ。
なんか手をあげてたし…お顔にベチッていってたし、ベチッて。
「……、…えぇ、と…」
胸の下で腕を組むような姿勢から、ぽりぽり…と頬をかく。
困惑というか恥じらいというか…そんなに凝視されるとさすがに、どうすればいいんだろうか。
「…大丈夫?
なんか、調子が悪そうに見えたから…」
声をかけてみたんだけど…と、苦笑して。
改めて、男の前まで近付いてみようか。
■ジェルヴェ > (目を瞠ること数秒。
困惑げに漏れた女の声を鮮明に聞き取るあたり、まだ魔酒の作用はふんだんに残っているらしい。
だとしたら彼女は幻覚かもしれない。飲めば緑の妖精が現れるだなんて言われているくらいだから。…彼女の髪は赤だが。
恐れていたものの襲来でないと分かった安堵、状況に現実との区別を付ける逡巡に、男は頭を項垂れる。
もう一度伏せた顔を片手で覆い、もう片方は彼女へ向けて軽く掌を広げて見せた。
気遣ってくれている。ありがとうでもお気になさらずでも、一般的な受け答えを何か口にする前に、考える時間が欲しかった。)
「…ごめん。俺いまちょっと正気じゃなくて、初対面のコにたいへん不躾できょーしゅくなんだけど、
―――赤毛で巨乳の美人に見える。合ってる?」
(『考える時間』を経た発言である。
伏せた顔を上げたとき、目の前に熟女がいたらどうしようと、怯える心がそうさせた。
存在自体が幻ならそれでいい。高揚感が見せる光景が、目に映るものが、真実ならばなお良し。そんな心地で投げた確認だった。)
■紅月/コウゲツ > 空をみて、こっちみて固まって…今度はカクリと前のめり気味に脱力。
…これはアレだ、結構グロッキーに酔っちゃった人だな?
片手を弛く挙げて生存報告をしてくれてる辺り、意識はきちんとあるらしい。
彼の行動に思わず、クスクスと笑みが零れる。
「はいはい、なぁに?
…なんというか、その評価にYesと答えるのは自意識過剰っぽくて気が引けるなぁ」
面白そうに笑いながら、項垂れる男の前に、ちょこん、としゃがみこんで男の顔を見上げる。
「赤毛、女にしてはデカい背、年の頃は23から27くらいに見えるかしらね?
胸は…まぁ、ある方だとは思うけど」
さすがに『美人です』と名乗れる程、自分に自信はない。
とりあえず、極力男の希望に沿うように外見的な特徴をあげていく。
もしも男が此方を見たら、コテリと首を傾げてみせようか。
■ジェルヴェ > (笑い声が鈴の音のように聞こえる。音が体を通り抜けていく感覚は、まさに危うい薬ならではの症状だ。
閉じきらない視界の端に彼女の長い髪が見えた。指の間から覗く赤は鮮烈で、夜のしじまに光り輝いているかの如く。
光源は高くそびえた街灯と月明かりくらいのもの。光沢がある程度ならまだしも、宝石のようにキラキラとして見えるのは流石にトリップによるものだろうと、男は思った。
でなければ唐突に目の前へ現れた女の美しさは幻覚でも何でもなく、本物だということになるから。虫が良すぎる。あってたまるかと、きっとそんな理屈だ。)
「……、…あー。
………あー、焦ったー」
(おずおずと庇っていた視界を晴らす。下げた手の向こうには、こちらを見上げる彼女の顔があった。
本人の口から列挙された客観的な特徴は、その容姿にすべて当てはまる。ハズだ。そこは自分を信じてみよう。
―――バ…、もとい。熟女ではなかったと判明すると、強張らせていた顔から力を抜き、体全体の脱力とともに両腕を後ろの背凭れへ引っ掛けて。
そのままへらへら気の抜けた笑い顔で彼女を見ると、遅れてやってきた自らの滑稽さに笑うまま眉を寄せつつ)
「いや、自信持っていーよ。すげェいい女だよ。
さすがにこんなのいたらババア口説いてねェわなー。はー、良かったー」
■紅月/コウゲツ > …ちょっとした愛嬌のつもりで首を傾げたのだけど、疑問の方になっちゃった。
何やらシリアスなお顔から、安心したーって感じのお顔へ。
へらりと笑って此方を見る様は、キチンと正気っぽく見えるけど…怖いめにでも遭ったのかしら。
「あらやだお上手…ふふっ、なぁにそれ?
まるでうっかり、酔った勢いで道行くマダムでも口説いちゃったみたいな…」
大人の色気を纏う御兄様からお誉めの言葉を頂くのは光栄だけど、社交辞令だろうとサラリと流して。
…やっちゃったのだろうか、この人。
だとしたら新たな黒歴史の一頁が完成したシーンに立ち合った事になる。
ワクワク、といった様子で愉快げに訊ねる。
■ジェルヴェ > 「……………。」
(また、顔が固まった。一瞬、自嘲気味な笑みの形がひくりと痙攣して沈黙を生む。
たっぷり間を開けて、程なく男は再び空を仰ぎ見た。今度は両手で顔を覆って、声もなく悶えている。
なまじ記憶がしっかりしているから、余計によろしくない。)
「…違うんだ。酔うとか。…もうそんな、そんなぬるいモンじゃなくて。
ハイだったんだ。じゃなきゃ俺あんな、自分のばあちゃんって言っても通りそうな歳の女に……」
(反らした首をのろのろ戻し。手を退けて、次に彼女の前に出て来たのは悟りきったような真顔だった。
悲壮感の果てとも言うかもしれない。
まるで自己に言い聞かせるかのような台詞を、通りがかりの初対面―美人である。―に訴えかける男。
途切れた続きは、開いた口から出てこない。口に出して改めて振り返る、その自虐的な行動を取るのには勇気が必要だった。)
■紅月/コウゲツ > あっ、これはマジのやつだ…!!
それを悟るまでに時間はかからなかった。
「……ーっ、くっ……ー~~っ…」
ぷる、ぷる…今にも声をあげて笑ってしまいそうなのを必死で堪える。
空を仰いで悶絶している男の前、そりゃあもう最高の観客席から他人の黒歴史を、安全に。
「……、…っ、ふぅーー……」
男が悶絶から現実へ帰って来る前に、一息…腹に力を込めて、息をゆっくりと口から吐き出す。
サッと感情を引っ込ませる為の、自己流の切り替え方。
無事、ではないが…満身創痍といった面持ちで現実に帰ってきた男の話を
「うん?…うん、うんそうね…うん…」
と、微笑みを浮かべながら適度に相槌を挟みつつ聞いていき。
その、無我の境地のような表情を浮かべた男の独白が止まれば…ぽふんっ。
女が、男の肩に軽く片手を乗せて。
「よし、忘れろっ!」
(ごちそうさまでしたっ!!)
全てをフッ飛ばすかのような爽やかさを持った明るい笑顔で言い放つ。
「…いやほら、アレでしょ?
酒の失敗って事故みたいなものだから。
そのマダム、しらふ?飲んでた?
飲んでたならきっと忘れてくれてるって!」
ぽんぽん、ぽんぽん…まだしゃがんだ姿勢のまま、元気出せよと言わんばかりに軽く肩を叩いてやり。
おもむろに立ち上がって、ダメ押しで…ぽふん。
「ほら、元気お出しよ…ねっ?」
■ジェルヴェ > 「……いま…、…?」
(今、噴出しそうになっては、いなかったか。
空気の揺らぎを彼女の口元から感じたような気がして、神妙な面持ちの中に沈痛さを浮かべて無言のまま視線で訴えた。
彼女の方で、呼吸が一拍。笑うとまずい状況下でやる間の取り方だ。気持ちは分る。この男も時々使う手だから。
―――自分なら、きっと遠慮なく腹を抱えて笑っているだろうが。内心でそう呟くくらいには冷静だった。
しかし言い換えればそれは、冷静でいるうちは理性が戻りきっていない証拠だろう。
後悔は根強いが羞恥心は感じていない。名も知らぬ女―繰り返すが美人である。―に醜態を晒して平気でいるのだから、正気でないのは間違いなかった。
優しく相槌を打ってくれていたのが一転、晴れやかな笑顔とともに励ましが向けられる。
彼女の言葉は、まるで免罪符だ。気のいいフォローが、段々と胸にたまったどす黒い蟠りを払拭していくような。
瑣末なことなのかもしれない。ありきたりな飲みすぎた日の失敗談のような気がしてきた。)
「……そうかな。…そうかな?あっ。なんかちょっと、どうでもいい気がしてきた。
そーだよな。なんか急に人間がもれなく愛おしく思えてついその辺のババア掴まえて、
あれ?こいつ運命の女かな?みたいなノリで結婚申し込みそうになったけど、そうだな全部アブサンのせいだな」
(わりと盛大なやらかしようだった。”瑣末なこと”の範疇ではないが、アルコールのお陰で楽観的な思考が強くなっている。
今はそれが幸いしてか、表情もどんどん前向きに晴れ晴れとしていった。励ます手を満更でもなさそうに肩で受け、頷く男。)
■紅月/コウゲツ > 「大丈夫大丈夫、酒の席の事なんて本気にしないって!
…うん、うんうん…あー、あるある気が大きくなっちゃう事!
なんだ、ギリギリで事故回避できてんじゃんかぁ…だぁいじょうぶ、セーフセーフっ!」
口説いただけなら大丈夫だ、と。
彼の肩に掌を乗せたまま、たまに指先でぽんぽんしつつに…こくこくと笑顔で頷いて、気を楽にさせてあげよう。
…ちなみに、手を乗せたままにしてるのは『他人の体温があった方が安心しやすいから』である。
「…アブサン?
何かそれ聞いた事あるなぁ…ヨモギのお酒だっけ?
なんかブッ飛んだ酔い方するっていう、芸術家向きの…リキュール好きだけど、私まだ飲んだことないやぁ」
訝しげに首を傾げ、口許を触りながらアブサンに関する画家の逸話の幾つかを思い返しつつに…ついでとばかりに自分の情報も付け加えて。
ちなみに片手は何となく、彼の肩に置きっぱなし。
■ジェルヴェ > 「ブッ飛ぶよー。飲むなら教えて赤毛チャン。俺が膝に乗せたかったのは元美人じゃねェんだ。現役の美人がいいんだ」
(果たして女性が気軽に試せる度数なのか。一般的に言えば答えは否だが、彼女が実はものすごい酒豪ということも有り得る。
普段なら勧めもしない中毒性の高い酒だが、酔っ払いはシラフらしき顔色で笑いながら軽口を叩いた。
―――確かに背は高い。座ったまま彼女を見上げ、最初の会話を思い出す。
肩に乗った白い手に片手を重ね、見上げたままで男の指もまた、ポン、ポンと。撫でるように軽く彼女の甲を叩き、続けざま)
「もしくは、俺が今度飲むとき都合よく酒場にいて。
真っ先に赤毛チャンのとこ行くから。そしたらこんな後悔しなくて済む」
(口角を吊り上げ笑い、最後に重なる手へと指を絡ませた。軽く握る形で彼女の指をなぞり、長い間随分仲良しでいたベンチから腰を上げる。
立ち上がると同時に、緩く握った手は解放し。視線の高さが漸く合った彼女から、広場の周囲をぐるりと見回して。)
「はー。ありがとう、お陰でうなされずに済みそーだわ。
でもここにいるとマジで熟女現れそうだから俺そろそろ帰るけど、そっちは?」
■紅月/コウゲツ > 「わぁお。…っふふ、そうさね?
今度兄さん見付けたら是非飲みに誘わせてもらうよ!」
アブサンとかいうお酒…詳しく知ってる訳じゃあないけど、万が一の為に保護者かって出てくれるというならお願いしようじゃあないか!
面白そうだし!
酒を一滴も飲んでいない女は手の甲を撫でられながら、男の軽口に軽口返す。
「んぅ?
…じゃあ、いつも居るのはどこら辺の酒場か、ヒント頂戴な。
遊びに行かせて貰うよ」
今日のお礼に、というのは黙っておいて。
やんわり伝わる男の体温に微笑みを。
「ぷ、っ…そりゃあよかった!
んー、特には決めてなかったんだよね。
故郷の夢見てさ、気晴らしの散歩だったから」
また笑いそうになるのをこらえて、夜中に出歩いていた訳をザックリ話す。
■ジェルヴェ > 「ヒント?えー、今日行った店は普段の場所じゃないから、いつもはここの表通りの花屋の奥の店とか、
………ああ、でも」
(あたりに人の気配はない。酒場に残る愉快な仲間達は今頃堕落の酒に溺れているに違いないが、惨状を見に行ってトラウマになりかけたマダムをまた見掛けるのもあれなので、今夜は彼らの自由にさせてやろうと思う。
置き去りを決めて帰路へ着こうかという所、問いにそのまま日頃の行動範囲を口に乗せようとして、ふと口を噤む。
どうやら散歩だったらしい。夢見が良かったのかその逆か、軽く語られた経緯から判断はできないが、言葉を聞いて暫し、視線を流して考えて)
「そーゆー時は酒だ。飲んで寝たらキレーさっぱり。
アブサンは置いてねーけど、タダ酒飲める店。よかったら案内しますよーお嬢さん」
(視線は再び彼女のほうへ。自分の腰に両手を掛けて冗談混じりに問い掛けた。)
■紅月/コウゲツ > 「ほむ、花屋の奥って言ったら…あぁ、あそこか。
…うん?」
言葉を止めた男に、きょとりと目を開いて首を傾げる。
自分としては先に言った理由と、ついでに『酒飲みが行く酒場』に興味があったのもあるから雑に紹介してくれてもよかったのだが。
「やっぱり酒か、だぁよねぇ?
…へ、タダ酒?」
男の言葉にうんうんと頷いて同意し…けれど、何やら御誘いされればまた目をぱちくりと。
両手を腰に掛けて此方を見る男の目を見詰めてみる。
そして、後ろ手に組みつつ1度視線を逸らせば…
「……、…まぁ、どのみち何処かで飲むなら…少しでも見知った顔があった方が暗くならなくて済むかな…?
……御一緒、しても?」
にこりと笑んで、首を傾げてみる。
■ジェルヴェ > 「タダ酒。…変わった店でな、今日は全部セルフサービスデー。俺ほぼ毎日入り浸ってる」
(つまり自分の店だが。それを告げるのはもう少し後でも―――店に着いてからでもいいだろう。
言外に職務怠慢を匂わせつつ、彼女が同意を示せば大仰に腕を広げて進む先を指し示す。
わざとらしく紳士らしき身振りで相手を連れ、歩き出す道すがら。
頭に思い浮かべたのは、やはりグラスへたゆたう緑の魔酒だった。
たまになら、仕入れてみてもいいかもしれない。美女がハッピーな博愛主義者になる魔法の酒である。
顔色は一人空を仰ぎ見ていたときよりずっとまともだが、如何せん頭の中はまだ花が咲いていた。
話し相手をしてもらった礼として酒を振舞うのは、現状名も知らぬ赤毛の美人。一体どのタイミングで花畑が平常時に戻るのかは、当人のみが知る所。)
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からジェルヴェさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」から紅月/コウゲツさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にイグナスさんが現れました。
■イグナス > 「あ、つ。」
もう夜だというのに、なんともいえないじめじめとした暑さがあった。
最近あついあつい、とばかり言っている気がする。
衣服が汗でべたつく、早く風呂に入りてぇと思考する。
はあ、っと熱めの息を吐き出して、ゆると頭を振った。
「……ん、む。早く帰って、おちつかねえとだ。」
今日も一日遺跡に潜ってきた。適当なところでスクロールで戻ってきたはいいけれど、ダンジョン内はここよりもあつい。
汗だく状態で、平民地区――広場のベンチにどっかりと座る。
どうも変な空間だった、嫌ぁな疲労感が拭えない。変なトラップでも踏んだようだ。疲労蓄積とか。