2018/05/27 のログ
ミンティ > 「さぁ……」

彼女もどんな服がいいかわかっていないと知ると途方に暮れてしまう。
初対面の相手に本人の意見も聞かず押し着せできる勇気があるなら、そもそもこんな不器用な会話をしていない。

「……え?わたしが……あなたの服を…ですか?
 えっと…その、わたしはこのとおり……、地味……なので。
 普段着として…おかしくないものくらいしか…選べそうにない、ですが」

予想しなかったお願いに、きょとんと目を丸くする。
あまり派手じゃなく、露出が少ない服を着ているだけ。誰かの服を選んであげられる知識は持っていない。
悩んだけれど彼女がとても困っているのは伝わってくる。黙って立ち去るのも良心が咎めたから、いいものが選べるかはわからないけどと、自信なさそうに小さく頷いた。

ステラ >  
私、より、その――おしゃれ、だし。
だから、その……。

(こういう時は褒めておけばいい、とどこかで聞いたような気がする。
 と言うわけではないが、自分よりおしゃれだと思うのは本当だ。)

ほ。
――んとう?
あ、あの、あり、ありが、とう。

(思わず彼女の手へ手を伸ばす。
 拒否されなければそのままぶんぶん上下に動かし、背景にキラキラを飛ばす勢いで喜んで。
 何事も言ってみるものだ。)

ミンティ > 「…そうでしょうか……」

着るもののセンスがいいと言われた記憶がほとんどなかったから、褒められても実感がわいてこない。彼女と自分の身なりを見比べてみて、こちらの方が色数は多いとはわかるけど、はたしておしゃれと言っていいのか自信がなかった。
でも、褒めてもらえたおかげで、彼女がどんな服をほしがっているのか、なんとなくわかった気がする。

「い、えっ…。いえ……。わたし、も…、ぼーっと見てた、だけ、なので。
 ……じゃあ、あの……入り、ましょう、か?」

手を取られると反射的に身構える。それでも力負けして腕を上下に振られ、勢いで上半身まで揺れてしまう。
話し方までぐらぐらしながら、お店の入り口に目を向けた。

ステラ >  
あ、ご、ごめん。

(ぐらぐら揺れてるのを見てぱっと手を放す。
 髪が乱れたなら、ちょっと撫でて直しておこう。)

あ、う、うん。
お手柔らかに、おねがいします。

(ぺこりと頭を下げて。
 いざ行かん未知の魔窟へ。
 そんな大層なものではないけれど、気分的にはそんな感じ。
 お店の入り口をおっかなびっくりくぐって、中をキョロキョロ。)

ミンティ > 「い、いえ……だいじょうぶです」

首を振りながら、また背筋をまっすぐにしてみせた。頭の中はくらくらしたけど歩けないほどでもない。
同じように口下手な相手とここまで話ができたから、今日はなにかをするのに少しだけ自信がもてた。彼女より先を歩いてお店のドアを開く。

「えっと……、外に出かけるための服が、いいですか?」

大体の察しはついたけど、彼女がどんな場面で着る服をほしがっているかわからない。知ったところで自分が選べるものなんて大して変わらないと思ったけど、念のため尋ねてみる。

ステラ >  
(当然のことながら、服で一杯だ。
 彼女の後ろに隠れるように、おどおどしながら店内を歩く。)

え、っと。
デー……あ、え、人、と出かける、ような……。

(デート、と言いかけ、顔を赤くして首を振る。
 流石にそれを口に刃出来ない。
 なので無難な感じな物言いに直しておいた。
 嘘は言ってない。)

ミンティ > 後ろに隠れられていると落ち着かなくて、そわそわしながらお店の中を見回す。
一回だけ入ったお店だけど以前とは季節が違っているから、目にうつる光景はかなり変わっているように感じた。

「お出かけ…用。
 ……じゃあ、あの…動きやすいものがいいですか?」

動きやすさなら彼女の今の服装が一番だと思った。せめて黒一色にならないように、近くにあった白いシャツと薄青色のズボンを指差してみる。
こういうのはどうかなと後ろに隠れた彼女を振り返り、意見を求めた。

ステラ >  
あー……。

(シャツとズボン。
 色合いは良い。
 けれど印象は今とあまり変わらない。)

いい、んだけ、ど。
えっと、もうちょっと、こう、女の子、らしい、方が……。

(出来ればスカートとかが良い。
 はいたことないけれど、挑戦してみたいと言うか。)

ミンティ > 「……だめ…ですか」

女の子らしい服だと、やっぱりスカートがいいのかもしれない。はっきり言われずとも、そのくらいは汲み取ってお店の中を移動する。
スカートが並んでいるところまでやってくると、また彼女を振り返る。

「動きやすくなくても、いいですか?
 ……あと、足が出ても平気か…教えてもらえると」

帯刀しているから冒険者のような職業についているのかもしれない。そう思っているから動きやすさばかり気にしてしまう。

ステラ >  
えっと……その、はい。

(ちょっと迷って頷く。
 どうしよう、もういっそ言ってしまおうか。
 もやもやと考えながら子犬のようについていく。)

あ、え、……そ、の。
男の人、が、好きそう、な……喜びそう、なのが、――

(デートとは言わないが、そうとわかるような言葉。
 若干顔を赤くして、今までと違う視線の逸らし方。)

ミンティ > 「……男の人が」

それがわかるくらい恋愛上手なら助けになれたかもしれない。新たな希望を聞かされて遠い目になる。
男の人がどんな服を喜ぶかなんて知らない。露出が多かったりしたらいいとは話に聞いたりもするけど、そんな服を選んで彼女に渡す勇気もなかった。
なにより露出の多い服を着た彼女がふしだらだと思われたりするのが一番まずい。

「……えっと…
 じゃあ……こういうの、とか」

その場でじっと固まったまま、結構時間が経った。
ようやく動きだすと、膝丈のワンピースを手にとってみる。今の季節にあいそうな半袖で、全体が薄青色の細い縦ストライプ模様。たぶん、こういうものは可愛いんじゃないかと思った。

ステラ >  

――あ、あの、ごめ、なさ……。

(固まった。
 思わず首を傾げる。
 悩んでいるのだろうか。
 そこで自分と同じタイプと言うことは、そっち方面も自分と似たようなタイプなのだろうと察する。
 慌てて謝る。)

――あ。
……で、でも、これ、短く、ない?

(彼女が選んだ服を渡してもらい、あわせてみる。
 膝丈であるので当然膝から下は隠れない。
 ちょっと見えすぎではないだろうか。
 不安そうに顔を上げて。
 もっと短いものはたくさんあるだろうけれど。)

ミンティ > 「あ…、だ、だいじょうぶ。
 ちょっと…どんなものがいいか考えていた…だけ、だから」

心配しているのがわかって、あわてて首を振る。
自分が彼女の様子を察するのと同じで、彼女にも伝わってしまうものがあるかもしれない。どうして固まってしまっていたか知られたかと思うと、少し頬が熱くなった。

「……短い…ですかね。
 でも…スカートで、このくらいの裾なら……問題ないと思います。
 わたしも……たまにはこういうもの…履きますから」

そんなに恥ずかしがるような裾の短さじゃないけれど、自分にとってもこのくらいが限界だった。ズボン姿の彼女には着慣れないかもしれないと思うと、なにか他に選べそうな服があるかと小首をかしげて考え込む。

ステラ >  
あ、う、うん、ご、めん。

(やっぱりそう言うのは知られると恥ずかしいのだろう。
 彼女の頬が赤くなるのを見て、なぜかこっちも赤くなる。
 てれてれ。)

そう、かな……。

(自分からすれば十分短い。
 先日身体にピッタリのボディースーツを着ていたものの考えではない。
 しかし彼女がそうでもないと言うのならそうでもないのだろう。
 もう一度身体に合わせてみて、それを見た彼がどんな風に思うのかを想像して、ちょっと照れ臭そうに笑う。)

ミンティ > 「いえ……あの、はい」

やっぱり察せられている様子。謝られるような話じゃないけれど、他にどう言ったらいいのかも思い浮かばない。店の外でまごまごしていた時の態度に逆戻りしかけたけれど、彼女が笑う顔を見て、過去に読んだ小説の一節を思い出す。

「あ、えっと…
 喜んでもらえるかなって…思える服が、一番いいんだって……
 ……本の、受け売りですけど…」

彼女がそんな想像を浮かべていたかは察せられないけれど、ヒントにでもなったらと勇気を出して伝えてみる。

ステラ >  
あ、え、――じゃ、じゃあ、これに、します……。

(はっとする。
 そういえば今一人じゃなかった。
 にやけていた顔を見られたのが恥ずかしくて、俯いてしまう。
 そうしてそのまま前髪越しに彼女の顔を見て、これに決めたと告げる。)

あ、あの、この後、都合とか、なければ、なんですけど……。
靴、とか、その、いろいろ……。

(似合うものを教えて欲しい。
 最後の方は蚊の鳴くような声になってしまったけれど。)

ミンティ > 「……はい」

やっぱり別のものを探した方がいいのかなと思い始めたところで彼女が決断した。
気に入ってくれたのならよかったと安心して、小さく息をこぼした。
サイズがあっているか確かめるために試着をしておいた方がいいかもしれないけど、そんな気を回す余裕もない。

「……あ、…は、はい。
 わたしも……見て回るつもりだったので……」

自分と似て口下手な彼女を放っておくのも気まずく思えたから、似合うものを選ぶ自信はないままだけど、小さく頷いた。
なにはともあれワンピースの会計から済ませようと店員を探して、買い物の時間はまだ少し続いたかもしれない…。

ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からミンティさんが去りました。
ステラ >  
あり、がとう。

(良かった、自分ひとりでコーディネートするなんてちょっと自信がなかった。
 彼女が一緒に選んでくれると言うなら一安心だ。
 とりあえず彼女の後に続いて店内を歩き回り、)

――あ、し、試着!
ちょ、っと、着てくる……!

(そういえばサイズを確かめていない。
 慌てて試着室へ。
 無事サイズもピッタリで、後は色々小物を選んでもらったり。)

ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からステラさんが去りました。