2018/04/05 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区/路地」にジルヴァラさんが現れました。
ジルヴァラ > 暗灰色の空から振りそそぐ雨粒が、矢のような勢いで地面にその身を叩きつけている。
男は急ぎ足で路地を駆け抜け、倉庫らしき建物の軒下になんとか滑り込んだ。
たっぷりと水分を含んだシャツやボトムが重く身体に張り付き、男の褐色の肌から容赦なく熱を奪っていく。

街に出た途端夕立に見舞われるとは予想していなかった。
仕事柄、天候を読むことには慣れているはずだったが見通しが甘かったらしい。

「ついてねえな……」

濡れた髪を払いながらそうぼやき、未だ暗雲を纏った空を恨めしそうに見上げた。

ジルヴァラ > 手持無沙汰からボトムのポケットに手を入れる。
真鍮のシガーケースは無事だったが、マッチの方は箱がふやけるほど濡れており、到底使えそうもなかった。
一抹の期待と共に擦ってみるも、当然頼みの火は灯らない。
男は嘆息し、苛立ちと共にマッチを箱ごと放り捨てた。

「……退屈は人を殺す、ってのは何の言葉だったか」

雨宿りを続けるか、それともどこか屋内へ避難するか――。
ここからなら九頭龍の旅館が近いはずだ。
冷えた体に温泉という響きはあまりに魅力的だし、ここまで濡れたなら諦めて歩き出すのもいいような気がしてくる。
とは言え、夕立はそれほど長くは続かないだろう。
腕を組みつつ石壁に背を預け、男は己の行く先に思案を巡らせた。

ジルヴァラ > 考え事をしているうちにぞわりとした寒気が背筋を通り、体躯に似つかわしくない子どものようなくしゃみが飛び出す。
男は観念して髪をかき上げると、未だ雨脚の強い路地へ再び飛び込んで行った。

ご案内:「王都マグメール 平民地区/路地」からジルヴァラさんが去りました。