2018/03/21 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区/雑貨屋」からフトコロ・ニーレルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区/雑貨屋」からピングさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にルーシェさんが現れました。
ルーシェ > ひょっこりと久しぶりに王国へと出向いたのは、領地内での陳情に応えるため。
香辛料が欲しいです等と、所帯じみた理由ではあれど、魚料理に掛ける香辛料は、無くてはならないもの。
酒と共に生臭さを消して、旨味を増やせるのだから。
そんな理由でやって来てから、仕事を終えた今は酒場の一つに立ち寄っていた。
比較的静かな店ではあったものの、若干カウンターの周りは騒がしさを増していく。

「ご馳走さまでした、とっても美味しかったです」

御礼の言葉と共に微笑みを見せれば、テーブルナプキンで口元を軽く拭っていく。
魚料理が4皿、米料理の大皿が1皿、〆にデザートの盛り合わせまで食い尽くす。
大男でも食べ切ら無さそうな食事を完食し、満足げな微笑みでカウンター越しの主へご挨拶するも、彼の笑みは引きつるばかり。
きょとんと小首をかしげていたものの、何だあの女だの、化物かだのと言われるようになると、ここが人間の国だということを今更に思い出して、さぁっと背筋に冷たいものが走っていく。

「ぁ、あはは……っ、お代、ここに置きますね? ご馳走さまでしたっ」

ゴルドをカウンターの上に積むと、慌てふためくようにして足早に酒場を立ち去る。
後ろを気にしながら暫く歩くも、追いかけてくる人影はない。
安堵の吐息を溢しながら前へ向き直ると、歌を口遊みながら人混みの中をゆっくりと歩き続けた。
魔の力が篭った歌ではあるも、毒素も危険性もあまりない。
悪さを企む人が歌声を聞けば、自分を認識できなくなるという護身のメロディだからで。
とはいえ、ゴロツキ程度は追い払えるが、それ以上となると逆に居場所を晒しているようなものであることには……気づいていない。

「……次、何処がいいかな」

空を見上げながら、物思いに耽る様に小さく呟いた。
但し、憂う言葉ではなく、次の食べ歩き先を求める欲望に満ちた、なんともお間抜けな独白だったが。
後は匂いに任せて店を決めるしかないと、再び歌を紡ぎながら通り過ぎていく。
ソプラノの透き通った歌声が、足音代わりに周りに響く筈。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からルーシェさんが去りました。