2018/01/07 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にチルユキさんが現れました。
チルユキ > そこそこに腹も満たされ、後は塒を探すだけ。
忙しなく行き交う人の数も減ってきた頃だというのに
そこだけ真空地帯にでもなっているような場所がある。

せかせかと足を運ぶ人が円を描いて避ける場所、
遠目にも目立つ男に見覚えがある。

背後からゆらりと寄って行き、赤い髪に手を伸ばす。
まふまふとしたい。

イグナス > なんか、何か楽しいこと、楽しいこと。
何が楽しいだろう、何が面白うだろうかとぼんやり、正面を眺めつつ考える。
――いまいち、思い浮かばない。

うう、たいくつだ。
はあと溜息をついた。どんな化け物だろうが、どんな超常だろうが負ける気はしない。
…が、退屈にだけは勝てない。はあ、ともいっかいため息ついて。

「んー…………んー…?」

おうと首を傾げた、不思議な感覚。
頭の上がもふもふと、さわられてる。あー、と声を上げて。

「だー…れだー……。」

声も微妙に覇気はなかった。

チルユキ > ぱちぱちと瞬きを二度三度。
酒場でご飯と酒を謳歌していた記憶と、覇気が掻き消えた目の前の相手とが、
難しいことを理解しない身上には一致し難かった為。

「………チルユキ。」

名乗ったかどうかの記憶も曖昧で、思ったより柔らかく感じる髪をわしゃわしゃ泡立てるよう弄っていた。


髪の赤は、火の色でもあるし、血の色でもある。
腹はそこそこ満たされているが、この様子なら一寸位耳朶辺り齧っても、構わないんじゃないだろうかと。
気付かれないんじゃないだろうかと。
指が後ろに滑る。

イグナス > 「チルユキ。」

聞こえた声に、くるりと視線を回した。髪は触らせたまま。そうしたらようやくだれかわかる。
おお、と瞬き。片手をひらとふって。

「いつかのはらへり。」

そういう認識だった。彼女がなにをしているのか、何をしようとしてるのかまだいまいち、わからない。
はてと首を傾けて。

「で…。なにをしよーとしてンだ、お前は。」

考えてもわからないので、さぱっと問うこととした。
触らせるのはそのままとして。

チルユキ > 「ご馳走さまでした」

その認識間違いない。立っている為見下ろす姿勢でうん、と頷いた。
ご飯を奢って貰った上、宿まで(強制的に)貰ったのだった。

「……ん。」

傾いた頭が逃げるように思えて、手指でやんわりと包み込む。
耳朶の薄い処を抓み、唇を寄せて行って

「……頂きます」

とても短い回答かつ挨拶。
細く針のように尖った歯を耳朶に立てようとする。
精錬した類の所作では無いので、成否は兎も角。耳が危ない。

イグナス > 「おう、あの後ァ、たっぷり寝てたなこのやろう。」

こっちが奢るなりしてたあれ、思い出す。
そういえばあのときは、あっさりと眠ってしまっていたっけ。
今もなんだか欠食児童みたいな風情がある。

そんな彼女がどうするつもりなのかと、首を傾いで眺めていたら。

「う?――お……っ!?」

がん、って心理的衝撃。まさか、耳朶に歯が立つとは。
ぞわぞわって背筋に変な感覚が走った。
ぶるって身体を震わせてから、おまえなあ、と視線を向けて。

「いや、お前喰いモンじゃあねえぞそれ…ッ!?」

チルユキ > 「ベッド、やわらかかった」

普段地面だから。
黒い双眸が男を見返す。ちらりと緋色が双眸に過ぎり、小さく笑う
彼の認識は、合っている。

ずぶ、と、
耳朶に歯が沈む。
一瞬の強い痛みを振り払らわなければ、舌が疵に重ねられて。
血を吸い出す、不可思議な感覚と
思考を幾らか鈍くさせるような、強い酒精を含んだ時のような感覚が押し寄せる、ことに。

「菓子……だ。」

肯定。
広場の中心近くで、頭を包んだ手が首筋に降りる。
反射的な震えを起こした体躯を逃がさないようにと。

イグナス > 「……なンだお前、普段ベッドじゃあねえの。」

少し不思議そうに問う。
あそこのベッド、そうそう悪いわけじゃあないけど。めちゃくちゃイイってわけでもないから。
奇妙な女だという感想。
ふわふわとしてて、捉え処がなくて。
――じっと彼女の様を見ていたが、…噛まれるそれについ、大きめの声。
…いやそれにしてもおかしい、このかんじ。

「お、――まえ。………吸う、喰った、のか。」

瞬き一つ。
そういうものを全く知らないわけではないが、まさか彼女がそうとは。
感嘆に拘束は解けれるだろう、けれど。
ついそれはせずに、ただ少しだけ呆れたように。

「おまえ、公衆の面前ってやつで、なあ……っ」

チルユキ > 「……森や、洞窟や、岩陰」

対比的にものすごくやわらかかった。
余り記憶力がいい方でなくても、忘れない程には。

それなりに五感は良いらしく、間近で聞こえた声にびくっとした。
離そうとはせずに血の一滴、二滴。溢れるに任せて咽喉に通す。
舌を淡く合わせ、じわりと滲む位になった頃、のろと身を起こす。

伏せた瞼を押し開けると、目の前に朱色の髪がちらついて見える。


「血を、もらった。
……他の人にはきっと、違うように、見えている。」

ベンチの背凭れに腕を乗せ掛ける。

「…………公衆の面前じゃなきゃ、吸っていい、と。言ってるみたい」

イグナス > 「は。………おまえ、なんてとこで。」

瞬きして、本気なのか、どうか。
ぱちくりと何度か瞬きして、――そういう嘘をあんまり言わなさそうだから。きっと本当なんだろう。
へんなやつだと、こちからも手を伸ばして頭をぽんぽん。
吃驚してる様子には、くくくと喉を鳴らした。

――こっちもじゅうぶんに、びっくりとはしたんだが。
本当に簡単な痛みに瞼を一度下ろして、ほうと息を。
…どういう原理か、他の人間にはそう見えない法もあるらしい。

「………二回目だけど、やっぱ変な奴だな、おまえは。
 ――……さすがにここでたっぷりってェワケにもいかンけども。」

言葉に、なんでもないよという風に笑った。
ぽふぽふ、もう一度頭を、上からかるくたたくみたいに撫ぜて。

「こういうの、腹が減るんだろう?もしほしいなら、言えばいい。」

チルユキ > 「……驚いてる。」

反応が、愉しかったのだろう。
双眸を眇めた所に、頭を撫でたくる掌を見上げる。
今度はこちらが不思議そうに首を傾げた

―――咬んだことの方が屹度よほどびっくりさせているという、自覚は無かった。

「わたしがお前を…害しているとは、たぶん体格差で思われない。
やらしいこと、してるって、見えたと思う」

如何見えたか。

「キスを迫られて悲鳴を上げてる、とか。見えないと、良い」

ね、とか。

変な奴って言われたら、頭をぶぶぶと振っていた。
長い髪が男の首筋や肩らへんをぺちぺちする。
掌の感じが優しかったから、頭を振るのを止め

「………今日みたいに、減っていない方が…珍しい。…減ってたら、よかった」

――欲しい時、言う。…夢じゃなければ、良いけど」

腹を空かせて、言いに行って、何の話?とかなったら、――夢じゃなきゃいい、と。
こつと掌に頭を擦り合わせて、しかし眠たげに瞼が落ちかける。のろと立ち上がり

イグナス > 「やかましいわ。……当たり前だろ、もっといいとこ住めばかやろう。」

驚かされたことにはふいと視線を外しつつ、ついでとばかりに忠告。
――ひとをひとと思わぬ行動をするくせにたまに妙に、あまい。
がしがしと頭を撫ぜる手の力は、ちょっと乱暴に。
2重の意味で驚かされたことの、はらいせだ。

「……。それこそ公衆の面前でな?」

今更気にすることもないのかもしれないが。
相手の方からそう指摘されれば、いやいや、って感じで手を振って。

「……どっちかっていやあ、子供にじゃれつかれてるとかじゃねエのか。ってうわこら。」

身長差的に。いろいろぺちぺちされるのは、こら、って文句。
でもすぐに止めるのだから、内心ではやっぱ、変なやつだなあ、って。

「ふうン? ……血ぃ吸われるくらいはなンてことねえよ。
 ――…おう、どうした眠いか。…ちゃんと寝床、見つけて寝ねえとだぞ、おい。」

チルユキ > 「仕事苦手……」

稼げないで成り立つ生活の送り方。
頭がくらくらと揺れ始める。脳味噌が撹拌されたかのように。

「公衆の面前だった。……吸血に見えないのには、変わりない」

身長差50cm差は、女子的には近い方な筈。恐らく。
こら、て言われると視線を向ける。疑問符が無表情の片隅に。

「だいたいすごく拒絶される。…構わないって言うのは、珍しい。…すごく、すごく、すごく、珍しい。
………眠い。森で寝る」

語彙が少ないなりに 繰り返される強調。
今夜は酒が入っていなかったから唐突に落ちることもなく、ふらりと歩き出す。
人の波間に姿は直ぐに飲まれる

ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からチルユキさんが去りました。
イグナス > だから森で寝るなよ――なんてツッコミは、果たして聞こえたか、どうなったか。
男の姿もその場に飽きたようで、すぐに、消えていき。

ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からイグナスさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にイグナスさんが現れました。
イグナス > 「で、落ちてきた天井を支えながら、俺はこう言ったワケ。
 ”ここは俺に任せて先に行け!”ッてな。」

今日は冒険者たちの集う酒場。退屈だからと顔を出してみれば、どうやら大きな遺跡がクリアされたらしい。
賑わい・喧噪、喧嘩に酔っぱらいに、とにもかくにも全部詰め込んだどんちゃん騒ぎ
冒険談を語り合い、歌い踊る。

―――で、あんまり楽しそうだったから巨躯の男も混じって、テーブルの真ん中で大いに騒いでた。

「まァ結局はそんな重くなかったンだけどな。
 けどまあ、そういうわけで広間に辿り着いてな―――」

語るはいつかどこかで、仲間たちと大魔王とやらを倒して、世界を救った話。
実に胡散臭い内容だけども、こういう日はほら吹きたちが称えられ、英雄扱いだ。誰も気にしない。

散々っぱら話したならば、ちょっとばかし中心から離れてふうと息をつく。
うん、楽しい。満足げにぐびーと酒を喉に押し込んで。