2017/12/28 のログ
スピキオ > 周囲の後継は、はたから見れば一種、異様な光景だろう。
陳腐な言葉で表現するならば、その場の全員が集団催眠にかかってしまったかのような、
という形容が相応しい状況だった。

「うっ……くっ……」

周囲の男達は皆、一人一人が踊り子との淫らな幻想に耽っている。
彼らの口から切羽詰まった様な声が漏れるように、
少年の口からもいつの間にか、とても自室の外では出すべきでない、
そういった種類の声を苦し気に、細かく断続的に漏らしていた。
背中を椅子の背凭れに預け、テーブルの下でズボンに押さえ込まれた、
硬い隆起を細かく上に向かって、空中に向かって突き上げるようにする。
そこを包み込む幻想の柔らかさと熱を突く。それは本能の動作で、意図したものではなく。
踊り子の姿を見詰めているだけで、今連想させられている行為の先、
数多の、様々な行為を夢想させられる。
木の椅子が軋む音が他人事のように聞こえて来る中、見つめ合った踊り子の瞳が、
何かを訴えかけてくるようだった。物足りない、というような、どこまで耐えられるか試しているかのような。

「…………うっ!!」

少年が耐えられたのは、単なる運だった。それを示すように、
少年は幻影めいた交わりの中で、果てたのは周囲の男達の中で最後だったが、それは一秒程度の僅差だった。
一声強く呻きを発すると、少年は今まで体験したこともないほど激しく、ズボンの中に快楽の白い塊を、
何度も何度も解き放っていた。体がガタガタと細かく暴れ、椅子が音を立てる。
耐えよう、という意識は結局、それだけ性交に意識を集中する結果になり。
今や情欲に取り付かれたような有様の少年は、いまだ、ゆっくり近づいてくる踊り子しか見えておらず……

ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からアリルネージュさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からスピキオさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にクウさんが現れました。
クウ > 昼間の人の多い時間帯の平民地区。
昨日よりも人が多い事を不思議そうに歩けばその理由も直ぐに判明をする。
昨日には見なかった露店が道の左右に並びこの国や他の国の色々な商品が並び売られている。

「こんなのもあるんだ…」

ここ数日歩いた中で一番賑やかな賑わいに目を向けると自然と頬は綻び。
露店を冷かし歩き始める事に。

ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にブレイドさんが現れました。
ブレイド > 依頼の昼休憩。
少し外にでてみれば何やら市が開かれている一角がある。
見る限りではなかなかの賑わいだし、少し見慣れないものや嗅ぎ慣れない匂いなんかも漂ってきて。

「へー、まぁ…気晴らしにゃーちょうど良いか」

ふわりふわりとした足取りで、露店を物色し始める。

クウ > 変わった商品があるとつい足を止めて見ては次にと歩き。
人も多いので注意をして歩きはするがどうしても人と触れたりもする。
今も避けたつもりが向かいから自分と同じように露店を見ていたと思う人とぶつかってしまい。

「…ごめんなさい、大丈夫?」

そうぶつかった相手にと目を向けて軽く頭を下げて。

ブレイド > なかなかに目新しいものが多い。
隣国…どころか、少し離れた国のものもあるのだろう。
わりと新鮮だ。
プレゼントにちょうど良さそうな装飾品も結構あるみたいで。
と、露天を見ながら歩いているせいか、軽くぶつかってしまった。

「っと、ああ、わり…こっちこそ」

ぶつかった相手にそう返し、謝らなくていいと手を振る。
いや、この声色にこの姿…見覚えがある。

「あ」

クウ > 「ごめんなさん、前見てなかった。」

つい珍しいものがあったとはいえ見て歩いていなかった。
だからと、何度か頭を下げて謝罪を口にして。
あまり強くぶつかった訳ではないし、怒ってもいない様子に安堵して。

「……ブレイド?」

相手の言葉に顔をあげれば手を振るのが見えて。
そして気が付くフードを被った姿は見覚えがある。

フードの中を覗くように見てしまえば知った少年で思わず名前を口にする。

ブレイド > 「やっぱりクウか。わりぃな、オレも前見て無くてよ」

気づいた少女には笑顔を向ける。
こんなところで出会えるのもなかなかに奇遇と言えよう。
酒気のせいで、少し注意力が落ちていたのもあるし、こちらも素直に謝る。

「つーか、賑やかだな。
年末の祭りで連日騒いでるってのに、まだ騒ぎ足りねぇのかね…」

やや呆れたようにつぶやきながら、周囲を見てから
肩をすくめて苦笑い。

クウ > 「うん、私。大丈夫だよ。見ていなかったのはお互い様」

笑みを見せて首を左右に振り。
まさかこんな場所と会うとは思っていなかったので驚いて見せて。
ふと何かを感じ、その正体が少年からする酒の臭いと判ると飲んでるの?という様に見て。

「うん、すごくにぎやか。
故郷でも年末はこうだったからつい見てた。
もっと騒がしくなるのかも…」

周囲を見れば賑やかな光景。
騒がしくはあるがこういうのは嫌いではなく楽し気な笑みを見せて。

ブレイド > 「ん、あぁ。仕事中。五日間朝から晩まで酒の試飲って珍しいやつで…酒臭かったらすまねぇな」

大丈夫だという言葉には安心してみせる。
それとともに、少女の視線に応える。

「オレんとこは田舎だったし、こういうのは初めてだけど…
まぁ、悪かねぇな。
賑やかなのは好きだぜ?夜も昼も。
人混みだとちょっと気をはらねぇといけねぇけどな」

自分の頭を指差して、フードが取れないように目深に被り直してみせる。

クウ > 「お酒を飲む仕事?そんなのもあるんだ。仕事なら仕方ないから大丈夫」

お酒の匂いを嗅ぐとくらりとして軽く首を振り。
そんな仕事なら匂いがしてもしかたないと納得をする。

「田舎だと…賑やかにはしないから。私の国でもそうだったよ。
賑やかで華やかだけど危ない人も出てくるから気を付けないとだけだよ。
昼も夜も賑やかで凄く楽しいよね。
……あ、そうだよね」

フードを被りなおす姿に気を付けないとね、と頷き。

ブレイド > 「そっか?わりいな…ってか、ほんとに大丈夫かよ。
一瞬目が遠くなってたっつーかクラついてたっつーか…少しは離れるか?」

この人混みの中で距離を取って会話するのは少し難しいが
仕方ないので口を手で覆い、呼気がかからない程度の配慮はする。

「オレは別に気をつける必要はねぇだろ。さらわれてナニされるってわけでもねぇ…
気をつけなきゃいけねぇのはむしろクウじゃねぇのか?
変なところにふらっと行ったりするなよ?
ま、そういう部分は置いとくとして。やっぱそうだな。楽しいってのはあるな。
こう、気分が盛り上がるっつーか…なにかあるって思えちまうしな」

少しウキウキとした様子で、年相応とも言える反応か。
お祭り好きというやつなのだろう。

クウ > 「うん……大丈夫。
お酒は少し苦手なだけ…其れだと話せなくなるからいいよ」

人ごみで離れては話すには少し難しく、迷惑も掛かる。
口を覆ってくれる彼の気遣いに小さく頭を下げて感謝を見せて。

「ブレイド…気を付けないとお財布を取られるよ?
うん、でも私は変な場所には行かないからきっと大丈夫。
心配してくれてありがとう。
きっとこの国でも年末には何かあるのかも、だからこれだけ賑やかなのかもしれないよ。
それ…判る気がする」

パッと見れば普段と変わらないように見えるが実はお祭り騒ぎは好きな方。
なのでこうして見て歩いていて、その場で少年に会えたこと絵よかったと嬉しそうに笑って。

ブレイド > 「そっか、度々わりぃな
さすがに酒臭いままつきあわせんのもわりぃからさ、今度なんかおごる」

ここで立ち去れば、更に気を使わせてしまうことになるだろうし
かと言って、我慢させたままというのも自分の気が済まない。
今日のところは我慢してもらうとしても、後日改めて詫びをすることにした。

「スリ…はちょっと困るな。
そうだな、気をつける…………?
ん……?
あっれ…?
っかしいな……」

少女の言葉に財布の確認をしようとした少年だったが…
どうも少し様子がおかしい。

クウ > 「ブレイドは何も悪くないよ。
今日はたまたまそうだっただけだし…いいの?」

もし少年が立ち去れば気を使わせてしまったと次に何かをご馳走するつもりで。
でも折角会えたのだからお酒の匂い程度はとなるべく顔に出さないようにと我慢。
今度奢ってくれると言われるといいのかと心配して見せて。

「私は対策してる…でもブレイドはどうなの?
今の時期お金がないと大変だよ。
……もしかして?」

確認しようとしている様子の少年を見ていると様子がおかしい。
もしかして……?と心配そうに見てしまう。

ブレイド > 「そう言ってもらえりゃ助かる。
ま、あんま高いもんは無理だけど、ちょっとくらいなら…」

少女の言葉に答えつつも懐ごそごそ。
ない。
ズボンのポケットや他の収納スペースも弄ってみるが…
ない。
ついには荷物袋もあさり始めるが……

「財布、ねぇな……。
いや、この依頼中は最低限しか持ち歩いてねぇから良かったけど」

落としたのかスられたのか…財布はなかった。

クウ > 「お仕事中は仕方ないよ。
大丈夫、高いのは頼まないから」

奢ってもらうとしてもお願いするのはきっと飲み物だけ。
小食なのであまり食べないのでお金がかからないので。

「取られちゃった?」

色々と懐やポケットなどを確認する姿を心配そうに見て。
荷物の中はないと思いながら見守り、少年が探す間に周囲の人に頭を下げて。

「それでもお金はお金……どんなお財布?」

もしかしたら落ちてるかもとどんな形だったのか聞いて。

ブレイド > 「そうしてくれると助かるな
あー、いや、男としてな情けねぇところか」

苦笑しながらも少女の気遣いに感謝。
財布に関しては、ないものは仕方ないと肩を落とすに留まる。

「あ、わりぃ…ありがとな。
まぁ、盗られたとしてもはした金だし、依頼報酬が入れば
無くした分差っ引いてもまだだいぶ儲けになるからいいんだけどよ…」

頭を下げてくれていた少女に礼をいいつつ、荷物袋を背負い直す。
それでも、少しのため息くらいは許されると思う。

「ん?えーっと…よくあるこきたねぇ小さな袋だな。
特徴あんまねぇし、気にしなくていいぜ?
うちに帰りゃ、保管してる分があるし…」

クウ > 「私だってお仕事でそうなるかもしれないから…お互い様。
私小食だから」

情けなくないよと首を振り。
肩を落とす姿になかったんだとわかってしまう。

「ブレイド、探すのに荷物はここじゃ迷惑になるよ。
そう言うなら……そうなの?
もしかしていい仕事受けてるの?」

荷物を背負い溜息を吐く少年。
だが無くした分を差し引いてもという言葉にもしかしていい仕事と興味を持ってしまい。

「そうなんだ…其れだと見つからないかも…。
家にあっても無くさないようにしないと減っていくよ…。
お財布は紐をつけておくと安全だから」

こんなのという様に懐から財布を取り出せばそれには懐の中に続く紐が付いている。

ブレイド > 「ああ、そうだったな。
ちょっと急なことだったんで気が回らねぇですまねぇ。
おごりの方はいいとして、別方面で情けねぇとこ見せちまったな」

頬をかきつつ、頭を下げる。
店の前でワタワタしてしまったこともあって、店主にも詫びを入れつつ。

「いい仕事っつーか、年末で突発のってやつだな。
街歩いてたら声かけられてさ。ギルド通してねぇ仕事だけど
まぁ、なんか有名っぽい商会の仕事だったし、報酬もいいんで受けたって感じだな。
試飲だとナメてかかったら、それなりに大変だったけどよ」

興味を持つ少女にはざっと説明。
まぁ、現状裏事情的なものもないし、いい仕事だとは思う。
自身の過失さえなければ、危険はないのだから。

「ま、次からはそーする。ありがとな、気ぃ使ってくれてよ」

クウの言う通り、紐付き財布でも買うことにしよう。
こんど。

クウ > 「急な事だったら仕方ないよ。だから謝らないで。
ん……少しそうかも」

頬をかいて頭を下げる少年に大丈夫と首を振り。
情けないというが何となく意外な姿が見れてよかったかなと思い。

「ギルドを通してないんだ…そう言う仕事は少し怖いかな。
有名で報酬がよくても気を付けないと駄目だよ?
簡単な仕事ってないんだね」

説明を聞けな有名で報酬がよくても気を付けないとと一言。
有名ゆえに非合法な仕事もあるという様に告げて。
でも少年が受けている仕事は大変であれど安全な物なので安心して。

「知ってる歩とは大変な目に合うの嫌だから。
困ったときはお互い様」

紐付きは少々使いにくい時もあるが無くさないので便利としっかりと勧めて。

ブレイド > 「ったく、浮かれすぎだな…用心しねぇと」

少女の思惑とは裏腹、肯定されると肩を落とす。
だがすぐに顔を上げ

「ま、くよくよしててもしょーがねぇ。
取り返して釣りがある失敗だしな」

気持ちを切り替えれば、すこし落ち込んでた声の調子ももとに戻る。

「まぁ、そうだけどな。
今回は話もいつも以上にしっかりと聞いたし
張り紙かなんかも持参してたから、もとはと言えばギルドに出すつもりだったのかもなーなんて。
怪し仕事にゃ気をつけるさ」

依頼主が女性だったことは、依頼の受理不受理には関係ないので伏せておく。
一切関係ないので。
女性からの頼み事にとても弱いことも関係はないので。

「そうだな。んじゃ、クウが困ったときは頼ってくれよ?
まぁ、そんなことねぇのが一番なんだけどな」

とりあえず少し沈んだ空気をなごませるために笑って見せて。

クウ > 「お祭りの時は浮かれちゃうのは仕方ないよ」

自分も浮かれてこうして店を巡っている。
ただいくつかの国を巡っているので対処法を知っているだけだと。

「うん、前向きが一番。
くよくよしても始まらないよ」

前を見ないと駄目と励まそうとするが先に元に戻った様子によかったと。

「そうなんだ……。それなら安全だったのかな。
でも依頼書とか…あるならちゃんと見ないと実はって言うのもあるよ。
本当に気を付けて…ね?」

少年の事なのでそんな心配はないと思うが念のためと念を押して。

「今は困ってないけど…もしそうなったらブレイドを頼るね」

少年の言葉にその時はと頷いて笑みを見せて。

ブレイド > 「浮かれた結果で友達に気ぃ使わせてたら仕方ねぇだろ?
まぁ、次はねぇってくらいにゃ用心するしな。
今回はそれで許してくれ」

慰め、励ましてくれるクウに感謝しつつ
元の調子に戻って。
市で買い物できないのは少し痛くはあるが。

「仲間と一緒って時は十二分に注意するさ。
あんま心配もかけたくねぇし」

念を押されながら頷く。
まぁ、それでも性質的に一人の依頼に関しては約束しきれない点もある。
注意はするが。

「ま、頼れねぇかもしれねぇけど、一人でいるよりは役立ってみせるぜ?」

ケラケラと笑いながら胸を張り。

クウ > 「でも友達だから気ぐらい使いたい。
許すも何も怒ってないよ……?
でも次は気を付けてね?」

元の様子に戻った少年に笑いかけて。
この話はこれでおしまいという様に軽く手を打って。

「誰かと一緒の時もそうだけど…
一人の時も気を付けないと駄目……一人はもっと危ないから」

誰かと一緒なら助け合う事も出来る。
でも一人はそれが出来ないからもっと気を付けてとお願いするよう。

「ブレイドは頼りになるよ。私より物知りだし……その時はお願い」

自分はこの国では知らない事はまだ多く。
そういう意味では凄く頼りになるとじっと見つめて。

ブレイド > 「ああ、わかった。ありがとな」

手を打つ少女にうなずき返す。

「そんなふうに言われたら無茶できねぇな。
する気もあんまなかったけど、下手に一人の依頼で倒れたら
墓前で怒鳴られそうだ」

了解、と少女の言葉を受け入れつつも
少し冗談めかして。あまり重い話をしているのも
祭りを楽しむ少女には良くないだろう。

「女に頼られて嫌だなんて言えるやつはいねーって
ましてや友達なら特にな」

田舎育ちで学があるわけでもないので、知識面では役に立てないかもしれないが。

クウ > 「友達を心配するのは当たり前だから」

だからお礼は良いよと首を振って。

「ブレイドって……あと少しとか行けそうなら無理しそうな気がしたから。
ブレイドがいなくなったら寂しいって思う人がいるの忘れないで。
それなら無茶できないでよね」

言葉を受け入れてくれた少年によかったと笑みを見せ。
重い話をするよりも今を楽しもうという様に。

「ありがとう、それなら早速頼っていい?」

言語に読み書きを出来る程度は学はあるが国の知識は全くなく。
それなら早速頼ろうと少年の手を取れば別の露店の前に引っ張り。

ブレイド > 「そんな危なっかしく見られてたのかよ…
いや、そうかもしんねぇけど」

ちょっと不服そうに言いながらも
少女に手を取られて

「っと、早速かよ。何だ、一体
値切り交渉とかはさすがに難しいぜ?」

引っ張られつれてこられた露店の前。
一体何だというのか、少し首を傾げる。

クウ > 「ブレイドって人のためとかだとすごく頑張りそうだから。
だから無茶してほしくなって思ったの」

何か目的とか誰かの為になるなら無茶しそう。
優しいから何かあればすごく頑張るそうだと思っていて。
手を取れば先程通り過ぎた露天に戻り。

「そうじゃないけど……どれが良いか見て欲しい」

引っ張って戻ったのは小さなぬいぐるみを扱っている露店。
そこに並ぶ色々な種類のぬいぐるみを前にどれが良いかと少年に問いかけ。
そこでの買い物が終われば更に数件の露店に少年を連れて普段は買わないようなものを見て回る事に…。

ブレイド > 「そんないいやつに見えんのかよ?
悪かねぇけど、そこまで善人じゃねぇよ」

少女の評価に笑って答える。
その実、少々照れているのだが。

「どれって…ぬいぐるみ、だぁ?
これを、オレに聞くのかよ…」

少し困惑しながらも、選んだのは黒猫のぬいぐるみだったという。
結局、少女に付き合って、さんざ連れ回される羽目になったとか…。

ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からクウさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からブレイドさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にイグナスさんが現れました。
イグナス > 今日も酒場、巨うとて、酒場。
――で、とはいえ、今日は最初っからお酒というワケでもない。
大きな大きな布袋を抱えてがらんと巨躯が酒場に入り込んだ。
いつもなら煩いやらトラブルが多いヤツだと鬱陶しそうに店主から見られるが、今日はちょっと違った。
布袋を、どん、とカウンターへ。

「よう、お待ち。依頼品の”碧水牛の肉”――いや結構、苦労したンぞこれ。」

どうやらギルドか何か、依頼品の直接納品のよう。
この周辺に生息しているが生息数が少ないから、狩猟は高難易度。
ついでに戦闘力もあるから厄介だが、その分、肉は上等。
――要するにつまり、今日は美味いステーキが振舞われるということだ。
もちろん値段は張るが。周囲で窺ってた連中から、次々と注文が飛ぶのを聞きながら、どっかりとカウンター席に座り込んで。

「もちろん俺も、―――こう、豪快にじゅわっと焼いたやつ。」

当然の権利とばかりに注文を。むしろ依頼報酬はこっちがメインやも。
すぐに上質な肉の香りが漂い始めた。