2017/12/27 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にアリルネージュさんが現れました。
■アリルネージュ > その酒場は静まり返っていた。
普段ならば傭兵や冒険者たち、ごろつきどもががやがやと喚いているものだ。
しかし、今日に限ってはどこかねっとりとした空気のまま、しん、としている。
その原因は客席の間を縫うように舞い踊る一人の女。
褐色の肌が躍動的に、なおかつ肉感的に自らの肉体を誇示し、
きらめく銀の髪がそれに彩りを添える。
視線は伏し目がちに妖しい流し目を周囲に振りまき、
通った近くの者の鼻を甘美な汗の香りがくすぐる。
色香を纏った踊り子が、酒場にいるものの視線を集め、心を惑わし、その静けさを作り出していた。
しかし、熱気を纏った静けさである。
悪くすれば暴発する事もあるだろう。
しかし、女はそれを怖がる風でもなく淡々と自らの舞踊を披露していく。
物憂げな視線が客たちの間をゆっくりと彷徨い、獲物を探しているようでもあり……。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にスピキオさんが現れました。
■スピキオ > まだ歳若いとは言え、戦場に出た経験はそこいらの傭兵より多い。
屈強な傭兵や冒険者達が集う酒場に足を運ぶのにも、すっかり慣れてしまっている。
何時もの雰囲気の中、食事をとり、度数の低い果実酒で喉を潤し、
傍から見るとぼんやりした様子で酒場の喧噪に耳を傾けつつ、役立ちそうな情報を集めていた……
の、だが。
「……はあ」
いつの間にか、酒場の空気は変わっていた。今日は少し何時もと様子が違う。
少なくとも少年は見た事が無かったが、艶然としたオーラを発散する踊り子が耳目を集めていた。
皆、そちらに意識を奪われているせいで、言葉を発する事すら忘れてしまった様子。
かく言う少年も、思わず嘆息めいた声を漏らして踊り子に視線を奪われていた。
酒場で踊る女というのは、見慣れたと自分では思っていたが、どうにも目が離せない。
■アリルネージュ > ゆっくりと手足を誇示するように伸ばし、
そのまま身体をくねらせるようにしながら歩いていく。
扇情的な踊りを披露しているというのに、その体に触れようとする男はいない。
雰囲気に呑まれてしまったかのようにだらしなく鼻の下を伸ばすだけだ。
ふと、ため息が聞こえる。
ゆっくり大きく身体を舞わせながら、その視線が酒場の中を彷徨う。
見つけた。
薄紫の物憂げな視線が一人の少年を捉えた。
年若い、酒場という場所にはまだ似つかわしくないような少年。
女は妖艶な笑みを小さく浮かべ、ゆっくりと身体をくねらせる。
褐色の肌が少年の視界の中で踊る。
褐色の中の白色…唇や瞼が視線を誘う。妖艶な流し目、ちらりと覗く赤い舌。
同時に太ももに刻まれた白い紋様が少年の視線を導く。
白色を追っていけば、薄い布に包まれた秘部を見つめている事に気づくかもしれない。
■スピキオ > まるで酒場の客が全員沈黙の魔術にかけられてしまったかのよう。
そんな中、少年が思わず漏らしてしまった感嘆めいた嘆息は、沈黙の中では目立ったか。
いつもなら踊り子が舞えば口笛を吹いたり、近付いてくれば手を伸ばす者も少なくない、
猥雑な酒場が今日はまるで、何らかの結界に封じられてしまったかのようでもあった。
かく言う少年も、いつの間にか、手に持った木杯をテーブルの上に置いて、
視線も、意識も、その魔性めいた魅力を放つ踊り子に吸い寄せられていた。
じっとそちらを見詰めていたからだろう、周囲の景色が色を失い、
踊り子の視線だけが浮き彫りになって自分を捉えたのに気付く事が出来た。
「……っ」
踊り子が妖艶な笑みを浮かべ、身を蛇のようにくねらせる。
少年の視界の中で、踊り子以外のすべてが急激に存在感を失っていく。
初めは漠然と彼女の舞う姿を見ていたはずだというのに、
いつの間にか彼女のその瞳や唇、唇から覗く赤く濡れた舌……
そして、得も言われぬ妖艶な魅力を放つ肢体の各所を食い入るように見つめていた。
少年の視線はまるで当然の帰結のように、太ももの白い紋様に誘引され、
そして、薄布一枚に隠された肝要な部分に吸い寄せられていた。
体温が上がるのが分かる。そして、ごくりと喉が鳴った。
■アリルネージュ > 踊り子は舞う。
少年の視界の中で自らの肢体を誇示し、少年の脳に焼き付けていく。
まるで女と少年が二人きりになってしまったかのよう。
事実、少年にはそう感じられるかもしれない。
しかし、それは酒場の誰もが感じていたこと。
視線を惹きつけ、意識を夢中にさせる妖艶な舞踊。
皆が皆、踊り子と二人きりでいるかのような感覚に囚われている。
少年の視界の中で身体がくねる。
ゆっくりと見せつけるように揺らされる腰部。
その動きはまるで性の交わりを行っているかのよう。
ゆらゆら、ゆらゆら。
まるで淫らな水音すら聞こえそうな動き。
少年の熱くなっていくそこが、もっと熱い何かに包まれる。そんな幻想。
薄紫色の視線が少年を見つめている。
白銀色の唇がそっと動く。溺れてしまいなさい…と囁きかけてくるように。
薄布に包まれたそこが、少年の目の前でゆっくりグラインドするように揺れている…。
■スピキオ > 少年には気付かない事だったが、今や酒場に入る男たちの多くが、
少年と同様に周囲の景色が存在感を失い、悩ましく身をくねらせる踊り子しか瞳に移していなかった。
少年は、この状況が異質である事にもまた気付いていない。
何かしらの疑念を抱くより早く、精神が、踊り子の肉体に吸い込まれ、
余計な思考を完全に封じられてしまっていた。
「うっ……あ……?」
少年の見ている中、その肉体を、その肉体がうねる様をあたかも誇示するかのように、
踊り子がその身を揺らめかせる。
その肉体の揺らぎや、腰遣いは、いやがおうにも、ある特定の行為を想起させる。
いつの間にか、テーブルの下で少年のズボンの前は硬くなってしまっていた。
それも、初めて性の衝動を覚えた時のように、ズボンの布を痛々しいほどにきつく押し上げ、
信じられないほどそこが興奮しているのが分かった。
「くっ……!」
踊り子に見詰められ、少年は苦しそうに聞こえるほど熱い声を漏らしてしまう。
ズボンを硬く押し上げているそこが、生ぬるく、温かく、生物的な熱さを持つ透明な何かに、
根元まで覆われ、包み込まれているような錯覚。
目を吸い込む踊り子の股間が、うねりながらグラインドする。
股間を包んでいる熱が、螺旋を描くように流動するような感覚……。
思わず、木椅子の背凭れに背中を押し付けるように体に力がこもり。
■アリルネージュ > 酒場の中はねっとりとした異様な空気に包まれていた。
誰もが皆、踊り子の舞に意識を囚われ、夢中になり、熱い吐息をこぼしている。
男達はだらしなく表情を緩ませ、その快感を味わっているかのよう。
しかしそれは少数の女性すらも恍惚の表情を浮かべている。
女にしては少年もまた、その中の一人に過ぎない。
たまたまそこにいただけ、目に留まっただけ…そんな一人だ。
しかしそうであっても、女としては惑わす対象である。
…少年の視線と意識をくぎ付けにしながら、女はふと物欲しげな視線を向ける。
ゆっくりと腰を揺らめかし、幻想の快楽で包みながらの視線。
男の本能へと訴えかけるような視線は、その先を更に想像させていくだろう。
もしも我慢できるのなら。男達の中で最後まで耐えられるのなら。
ご褒美があるのかもしれない…? そんな事を連想させていくかもしれない。
周囲の男達から、小さな呻き声が上がる。
ううっ、だの、あっ…、だの。
じっとりとした熱気の中、女は見つめながら少年を試していく。
しかしそれは、逆に言ってしまえば少年の意識をセックスの虜とする事。
獲物と定めた少年を情欲に溺れさせ、その他の思考を封じる事でもある。
そして、幻想の中で果てる頃に、女はゆっくりと少年へと近づいていくだろう。