2017/10/30 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区/武器屋」にソラさんが現れました。
■ソラ > 平民地区の一角にある武器屋、刀剣が並ぶ場所で一つの曲刀を手にする姿。
重心を確かめるように振ったと思えば持ち方を変え、鞘に戻すと繰り返して。
「やっぱり重いし使いにくい…」
国から持ってきた刀を温存するために変わりを探すために立ち寄った何軒目かの店。
今から見て回り今までの中で一番品ぞろえは良いのだが…
それでも満足いく代用品が見つからずに息を吐き。
手にした曲刀を戻せば次を手に取り同じことを繰り返して。
ご案内:「王都マグメール 平民地区/武器屋」にエズラさんが現れました。
■エズラ > 「……――」
武器屋の片隅の待合席に男が一人、修理を依頼していた愛剣を受け取りに来ていた。
それを待つ間、先程から剣を取っては振り回す女の姿を、それとはなしに眺めている。
最初は素人かと思って冷ややかな視線を送っていたが、ぞんざいに見えてしなやかな動きをしていることに気付いてからは、つい目を離せなくなってしまったのである。
「若ぇのに、イイ動きしてやがる――」
男自身も気付かぬうちに、声が漏れていた。
聞こえるか、聞こえないかの距離――
■ソラ > 何本目かの曲刀を振りぬき鞘にと戻せば肩を落として他の似たような武器はと視線を巡らせ。
先程の曲刀は重さは悪くなかったのだが反りがきつくバランスが悪かった。
今度はもう少し伸びたものを……手に取るのは刀身の幅が広いサーベル。
同じように鞘から抜いて重心を確かめ。
「……?」
振るおうとした時に何か聞こえた気がして、振るおうとした手を止めて。
周囲をきょろきょろと見まわす。
■エズラ > 「んっ……いけね」
ボソ、と声が漏れていたことに気付いた時、女と視線が交わる。
快活そうな顔立ちには、まだ幼さが残っている。
その出で立ちや、腰に提げた独特の拵えの得物には、見覚えがあった。
かつて身を置いていた、種族混成部隊の中に、あのような得物を使う者がいた――
「聞こえちまったか?なに、こんなに若ぇ使い手の姉ちゃんにゃ、あんましお目にかかれねぇからよう」
そう言うと、女の腰指して――
「その腰のもん――見たとこまだ使えそうだがよ、さっきからあれやこれや振り回してるもんで――気になってたんだ」
■ソラ > 店内を見回せば待合席にいた男と視線が合う。
ラフな服装でパッと見れば鍛えられている体つきを見て、
この店に居るからには傭兵か冒険者なのかなと眺める。
「もしかして私を呼んだりした?私みたいな使いってッて言ったって。
冒険者ギルドに行けば似たような子はそれなりに居たけど?」
腕が立つか見た目倒しかまではわからないがギルドで自分よりもベテランと名乗るものが多かったことを思い出し。
男の指が腰に帯刀した刀に向けられれば追う様に視線を下げて。
「あ、そう言う事ね。これはまだ使えるんだけど予備探し。
国に近いと直ぐに見つかるんだけど、こっちだと珍しいなのよね」
だから駄目になる前に探してると振り回していた理由を告げて。
■エズラ > 「なるほど、そういうことかよ――」
確かに、表通りに店を構える武器屋でも、あの類の得物をそろえている場所は珍しい。
そして、それ故に男はムフフッ、と笑みを浮かべた。
「なら、いい話があるぜ――そういうのを専門にしてる奴を知ってらぁ。まっ、店を構えちゃいねぇがよ」
かつての同胞が懇意にしてたという職人が、この街にいた。
自ら世話になったことはないが、仕事上、そういう情報はしっかりと頭の隅に残している。
「客もそれ程多くねぇらしいから、値は張るだろうがよ――使い慣れねぇ得物を、無理に選ぶよりゃいいんじゃねぇか――?」
■ソラ > 「折れたり擦りとこっちじゃ直せないのがね…」
最初は数本持っていたが今では腰の刀を合わせて二本、
うち一本は宿に置いているのだが…。
笑みを浮かべる男を不思議そうに見て。
「いい話……?え、それほんと?こっちにもこう言うの扱ってる店あるんだ」
まさかの言葉に本当にと目を輝かせる。
もし手に入るのであればこうして代用品を探す必要がなくなると。
「値……やっぱり高いのね。使い慣れた武器が一番だけど……場所だけって教えてもらえる?」
やはりというべきか値が張る様子に肩を落とす。
お金が手に入る予定はあるがそれはまだ少し先、なので場所だけでも着ておきたいと。
■エズラ > 「手入れの難しい得物だってことは、オレも知ってる――ここいらの職人連中じゃ、打つことも直すこともできねぇらしいな」
その切れ味の鋭さは、戦場で繰り返し目の当たりにしていた。
周辺国とは根本的に異なる製法で造られているらしく、扱いも手入れも難しいのだとか。
そして、女の請いに対し、男は笑みを深くして。
「あ~、もちろん構わねぇよ。そいつも客が増えて嬉しいだろうからな――でも」
待合席を立つと、すたすたと女の方へ歩み。
「その代わりといっちゃ何だが……一杯付き合っちゃくれねぇかな?」
むっふっふ、と助平心を隠そうともしない視線で、ふくよかに育った胸元や、帯のおかげで引き締まっていると分かる腰元をまじまじと眺めている。
■ソラ > 「前に手入れに出して折られてるから…それで一本駄目にしてる」
ふとこの国についてすぐに研ぎ出し見事に折られ修理も出来なかった刀を思い出し。
それ以降は自前で騙し騙し研いでは手入れをしてはいるのだがそれでも劣化は止めれず。
それが手入れをできる場所があると聞けば聞くしかなく。
「ほんと?助かったー、これでもう折らなくて済むから」
ほっと息を吐くも立ち上がり近寄ってくる男を見て。
「その代わりに……え、えっと……それ一杯だけですまないわよね?」
男の笑みと何を考えているかよく判る視線、それが胸元や腰回りを眺めるのを感じれば一歩後ずさり。
もし頷けば手入れを出来る場所を知る代わりに何か大事なものを失うような気がしてしまい。
■エズラ > 「んん?ムッフフ、さ~てどうなるか――まっ、そりゃあ実際に飲んでみねぇことにゃ、分からねぇな――?」
女が後ずさった分だけ、じりりと歩み寄り。
「それに、酒代だってオレが出すからよ――どうだ?」
そうこうしているうちに、店の奥から店主が男を呼ぶ声が。
どうやら修理が完了し、剣の引き渡しをしたいらしい。
「っと――すぐ済むからよ」
そう言うと、店主と二言三言言葉を交わし――代金を支払って剣を受け取る。
古く、傷だらけの剣だが――すらりと鞘から抜き放たれた刀身は磨き上げられ、艶めいている。
男の見てくれや態度はともかく、その剣は大切に扱われているらしかった。
それを二、三度、慣れた手つきで振るうと、再び鞘に納め――
「――さっ、どうする?」
■ソラ > 「い、いやね。その目を見たらもう結果は判ってるような気がするのよね…」
これはアレだ、あれに違いないと歩み寄られる分下がって。
「とてもそれは魅力的なんだけど…」
ただ酒は魅力的がだそれ以上以上に身の危険に頷くことが出来ず。
これはと考えていれば男が店主に呼ばれて離れていく事にほっと息を吐き。
どうやら男は武器の手入れに来ていたようで受け取った武器の確認をしている。
それを見れば少なくともこの店は普通の武器の手入れは出来るのだと知り。
「折角だけど今日は断っておくね」
非常に残念だが今日はやめておくと首を横に振り。
■エズラ > パチン、と鞘に納めた剣を腰に提げる。
そして、返ってきた答えに肩をすくめて。
「そんじゃ、しょうがねぇな――」
そう言って、店主から紙とペンを借り。
そこへ何かを書きつけると、女に手渡す。
「ほら、こいつを持っていきな――職人の居場所と名前。エズラから聞いたって言うのを忘れるんじゃねぇよ、姉ちゃん――」
そして、そのまま武器屋を後にする。
その後ろ姿は、心なしか残念そうに沈んでいた――