2017/09/12 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区 裏路地」にカミラさんが現れました。
■カミラ > 「はぁ……っ、はぁ……っ」
今宵は麻の服に身を包み、地味な色合いのチュニックにスカートと、革靴。
黒髪を三角巾で纏めながらしみったれた印象を作りつつ、何処にでもいそうな、少し貧相な女の姿を装っていた。
腕の中には大事に布に包まれた何かを抱え、息を切らしながら必死に逃げ惑う。
遠くからは男達の喧騒が響き、不規則な足音が近づきつつあった。
(今宵は釣れるかしらね?)
赤子のように抱えているそれは、顔の部分に精巧な細工を施された人形であり、暗がりでは分かりづらい。
内側には熱を発しながら、時折赤子の鳴き声を再生する魔石が仕込まれている。
弱者を装い、ならず者達をひきつけ逃げ惑いながら、大通りを何度も横断するように逃げ続ける。
騎士団やギルドの建物が多い通りで繰り返せば、時折上玉の女が女を助けに来ることがある。
振り切らず、捕まらず、その距離を保ちながら引きがあるかも分からない演技を繰り返していた。
■カミラ > 足並みの揃わぬ足音に、別の足音が交じる。
漸く連れたかと思いながら、安堵した表情を繕い、男達と自分の間に割り込んだ気配へと振り返る。
しかし、それは狙っていた獲物とは異なる。
普通の男の冒険者、といったところだろうか?
レザー製の軽装に、ショートソード。
正義を振りかざす彼の背中を見やりながら、小さく溜息を零すと、程近いところにある小屋のドアノブを握る。
「そう、じゃあ頑張って頂戴」
冷ややかに言い放ちながらドアを開くと、異空間の我が家へと扉の向こうはつながっていく。
頭巾を引き剥がしながらドアの向こうへと入れば、静かに扉が閉ざされ、あっという間に気配は消えていく。
今のうちに逃げろと言おうとした男は、一瞬の出来事に呆気にとられた様子で後ろに振り返ったのが最後。
邪魔だと剣を突き出した男達にどうされたかは、言わずもがなだ。
「全く……そういうのは要らないのよ。男なんて戦争が終わったら、売り飛ばす価値もないじゃない。時間の無駄ね」
服を脱ぎ捨てながら、白と黒を基調にした彩りの室内を歩き、下着姿になりながら部屋から部屋へ通じるドアを開いた。
魔導機器につながれ、椅子に鎖で縛り付けられながら銀髪を振り乱し、獣のような喘ぎ声を撒き散らす女の姿。
本来の魔法の持ち主たる魔族の姿を見やれば、細めた瞳は僅かに赤色が覗け、愉悦を浮かべていた。
「そう思うでしょう? 貴方も」
やかましい呻き声と共に、鎖が暴れるだけ。
その様子を楽しげに笑いながら眺めれば、再び扉は閉ざされていく。
裏路地で起きた悲劇は、この街にありきたりな一幕として忘れ去られるのだろう。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 裏路地」からカミラさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 裏路地」にアルテアさんが現れました。