2017/08/13 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区 広場」にシズクさんが現れました。
シズク > 平民地区の広場は、さすがに昼下がりとなれば、人出も多く、明るく賑やかな雰囲気に包まれていた。
広場に面した店は勿論、広場には露店も出ていて、行く人々が足を止めて眺めている。

その露店の一つで、真面目な顔をして商品を眺めている少女は、
両手にダガーを持ち、かれこれ十数分は悩んでいた。

「こっちのは、軽いけど高いんだよね。こっちのは、重いけど耐久性があって高いんだよね」

基本、どちらも高い、わけだが、手にした感触や装飾を確かめるように、熱心に見比べている。
右手にあるのは軽くて高いの、左手にあるのは重くて高いの、なわけで、時折手首を振るようにして。
最初こそ、露店の店主は、そのダガーについて説明もしてくれたし、場合によっては割引もできる、と言ってくれたが、
そんな話もそこそこに、ダガーを見ているから、いつの間にか店主も呆れ顔で、別の客を接客していた。

ご案内:「王都マグメール 平民地区 広場」にテネブレさんが現れました。
テネブレ > 賑やかなる広場を漂う、白い毛玉。
喧騒がなんだか楽しくて、ふよんふよんと不規則に揺れ、漂い半端な高さを飛んでいる。

相変わらず、その姿は誰に見咎められることも無く、何か面白い物ないかなー。ないかなー。と気侭な移動。
そんな折に、はたと見つけたのは見知ったお姿。
何度か遊んでもらったことのある人物を見つけると、ぱぁっとその目を輝かせ。

「しずくまー☆」

きゃらん☆と甘ったるい声を出し、そのまま突撃。
ぼっふん、と背に体当たりをかます勢いで突っ込むが、非常に軽い体かつ、反発を受けやすい布めいた材質なので、跳ねた。
刃物を扱っている最中の相手にしては余り宜しくない行為かもしれないが、そんなことを察する程の知的さはない。
そのまま、地面にころんと墜落すると、ふにゅふふっ、と楽しい遊びでもしてるみたいに仰向けでじたばた。

シズク > 左右のダガーとも、握り心地は悪くない。
今使っているモノとの違いも誤差の範囲、そのうち馴染んでくるだろう。

不意に。
右手のそれを逆手に握り直したかと思うと、空を切るように下段から上段へと綺麗な直線を描き、
切っ先がきらりと光って、突進してくる何か、が背にぶつかって、反動で後方に跳ねたのを切りつけそうになった。

「ぅわあっ!!!!」

思わず悲鳴を上げてしまったところで、周りの客やら店主が何事かとこちらへと視線を投げ。
特に店主は、お客さんっ!と半ば無理やり2本のダガーを返却させられるハメになってしまった。

「ご、ごめんなさい、つい、こう…いつものクセで」

試し切りを、などという物騒なことは言わないが、
何となくいつものクセで、ダガーを使う動きをしてみただけだったが、周囲の人間にしてみれば、とんでもない行動だったらしい。
申し訳なさそうに謝ったあと、あ、と視線を背後に向け。

「まさか…えっと、切っちゃった?」

地面に転がる白いもこもこを見下ろし、恐る恐る問いかける。

テネブレ >  
 
ざくり

そんな感触と音が相手には伝わった。
その刃は布を切り裂き、僅かな抵抗を以ってすり抜けた手応えがあったことだろう。

事実、地面に転がり、じたばたしている毛玉のお腹は、ざっくりと割れていた。
その裂け目からはもこりと綿が食み出ており――やっぱりぬいぐるみじゃないかという突っ込みがありそうだが――じたばたするに合わせて徐々に徐々に、食み出る量が増え。
見方によっては苦しみ、暴れている様に見えるかもしれない。

そんな奇怪な状況なれども、不思議と注目を浴びることは無いのだが。

「くまー。しずくまー。おこしてー、おこしてー。だっこしてー。」

けれども、けろりとした様子で、ん、と短い手足を天に向かって突き出すぬいぐるみ。
声に苦痛の色は無く、手足をぱたぱたしておねだり。その度に、綿がもこもこ。ちょっと怖い。

シズク > 空を切った…ハズだったが、どうやら切っ先はその白いもこもこの布を切り裂いていたらしい。

「わおっ!切れ味抜群!やっぱり買うならそっちかな、高いけど!」

悲惨な状態のぬいぐるみを前に、図らずも切れ味を確認することができたのは幸運、
とばかりに、それキープ!などと店主に声をかけるのが先という、失礼な態度。

「テネたん、すごいねえ!いっぱい綿が入ってる!
ねえねえ、今日はしゃべらないの?……ってしゃべった」

魔法で動くぬいぐるみ、という認識を新たにしながら、しゃがみ込んでつんつんと突っつく。
それから両手を伸ばして、ぬいぐるみの前足?両手?の付け根辺りを掴んでひょい。
自らも立ちあがって、目線の高さに持っていくと、

「ねえ、もう一度綿を詰め直した方がよくない?大丈夫?出てるよ、すごく」

もこもこ、と切り口から出てくる白い綿を見てから、脇を抱えるようにしている両の親指で、
とりあえず綿を詰め込もうとしてみたり。

テネブレ > 武器の切れ味の抜群さを示すことになったこの事態。
此処に悲壮感が全くないのはある意味凄いことなのかもしれない。
悲惨な状態となったぬいぐるみだが、他の人からは普通のぬいぐるみとしか認識されていない様で。
傷の惨状すらも目に留まってはいない。

相変わらず、もこもことお腹から綿を生み出す様にしながら、ばんざいの格好で持ち上げられると、くまくまーと後ろ足の方をぱたぱた。

「しずくまの攻撃凄いねぇ。お腹すぱーって割れたくまー。にゃふふっ♪」

くすぐったい、と言わんばかりに綿をつめつめされて身を捩り。
そして気づくだろうか――その綿が、妙にべたついていることに。
綿は綿でも、それはふあふあもこもこした、綿菓子だった。ファンシー極まる。

「テネの非常食!たべますかっ?ふあふあの、あまあまーくまー。
 後ねー、おめめもね、飴でね。それとお鼻がしっとりクッキーで、肉球は肉まん!」

美味しいよ☆とプレゼンするけれども、よっぽどの極限状態でも無ければご賞味願いたくないものだろう。
尚、各部位は、もぎ取ったらすぐに再生する模様。
なので、お腹の綿も、幾ら食み出ても体が萎んだりすることはなかった。