2017/05/20 のログ
ご案内:「王都マグメール 路地裏」にサヤさんが現れました。
■サヤ > 日も暮れ、昼間の賑わいも死んだように静まり変える表通りから、商館の建物の隙間から入っていくような細い裏通り。
人がすれ違うのがやっとの幅しかないその道を壁を支えにするように手と肩を擦りながら歩く人影。
ボロボロの服装と姿からそれなりの仕打ちにあった様子ではあった。
しかし、その瞳はかつての強さを取り戻しているように見え。
「……く、はぁ……とりあえず、ギルドに行けば……ぃ、つ!」
息も絶え絶えながら自分に言い聞かせるように呟くも、はだしで歩くのはつらく、時折とがった意思や破片を踏んで眉を寄せ。
崩れそうになる身体を必死で支えながら人気のない路地裏を進んでいき。
ご案内:「王都マグメール 路地裏」にゼロさんが現れました。
■ゼロ > 逢魔が時というべき時間、昼から夜へと変質していくその時間帯。
薄暗い路地裏は一足先に夜を迎え入れたような暗さを持っていた。
兵士の少年は非番を貰い、街を歩いていた。
理由は一般開放のしている図書館で自習と、同じく一般解放されている訓練所での自己鍛錬。
それが終わり、夜になったので、食事でもして帰ろうかと思っていた時。
路地裏を使っているのは反対側の大通りへの最短距離というだけの理由。
――向かいの方から人の影。
ここは狭いうえに少年は全身鎧、あ……拙いなと思うものの、仮面の下の眉をしかめる。
仮面の力に暗視効果があるのだが、薄暗い中に見えるその人物は。
怪我をしているように見えた。
「あの、もし、大丈夫ですか?」
白銀の全身鎧に身を包み、仮面をしている黒髪の人物は、怪我をしている彼女に声をかける。
警戒させないように、少し離れた場所から。
■サヤ > 捕らえられ、尋問を受けていた倉庫から抜け出してどれほど進んだだろうか。
開放されたころはまだ日が傾きつつある時間だったことは覚えているが、うまく力の入らない四肢では遅々として進まず。
時折見える表通りの景色から、冒険者ギルドのあるブロックまではまだまだかかるだろうか。
そんなことを考えているときに声を掛けられれば驚いたように顔を上げ。
「っ………!大丈夫です、気にしないでください」
声の主に視線を向け、深夜に甲冑姿に仮面という異様な姿を見れば警戒するように一歩下がり。
ここまで奴隷にされたり薬中にされたりとろくな目に合わなかった経験からも、いきなり現れた相手を信用するわけにもいかず。
その目には警戒心を超えて殺気すら籠っており。
■ゼロ > まあ、当然だろうと、少年は思う。
こんな薄暗い路地裏で全身鎧に仮面の人間が現れて警戒しないと言う方が可笑しい。
殺意のこもる目で見られて、足を止めて下がろうとしている姿に痛々しさを覚える。
擦り切れた服装、裸足、そして……首元に見える首輪。
自分の首に仕込まれている、今はスカーフで隠された文様を思い出す。
ズキリ、と心の奥が痛む。
「大丈夫です、こんな成りですけど、王国軍の兵士ですから。」
軍に入った時の身分証を提示しつつ少年は言葉を続ける。
見には来ないだろう、警戒しているから。
そして、まずはマントを外す。
「これを。
その格好でうろついてると、襲われますから。
一緒に身分証も放りますので、確認してください。」
これで信じてもらえるかどうかは、わからない。
でも、こう言うやり方しか、自分では思いつかない。
マントと、それに包んだ身分証を、彼女の近くに放り投げる。
■サヤ > 警戒する自分に対し、王国の兵士だと名乗る男。
おそらくそれでこちらを安心させたいのだろうが、王国軍兵士であっても信用できないことは十二分に理解しており。
眉を寄せて警戒心をあらわにさせて、投げられたマント、そして身分証に視線を落とし。
「………同情ならいらない。国の犬に、世話になるつもりはない」
身体に力も入らず、精神的にも限界でありながらもなお、強い意志の籠った目で相手を睨み。
人に頼って万が一、またあの地獄に落とされたら次は生きて戻れないと思い。
マントは拾わず一歩踏み出せば痛みに顔を歪め、視線を落とせば傷ついた足の裏から出血があり。
同時に引き締まった内ももに拷問の際に中に出された白い体液が垂れるのを感じ、深くため息をついて。
「これは、私が弱かったための罰。同情されても虚しいだけだ」
うつむき、地面に視線を落としながら呟いて。
■ゼロ > 「そう。」
短く、少年は言葉を放つ。
彼女の言葉に、一つうなづく、彼女は助けを求めてないのだ。
それなら、これ以上の干渉は過多なのだろう。
「それなら、同情の念を無くして言わせてもらうから。
その格好は正直言って襲ってくれと言ってるようなもんだ。
普通の人の目の毒にもなるから。マントは付けてよ。
これは、国を守るものとしての命令。」
足を踏み出す相手に、少年は言葉を放つ。
そんな液体だらだら零しながら街中歩けば普通に考えて襲ってくれと言っているようなものだ。
そのくらいの判断はできるだろうと、睨む相手に返す。
「君の罰ならシカタナイネ、思う存分償うといい。
ただ、その自由を無くさないようにね。」
首輪があるだけで、首に術式が認められない。
それだけで、羨ましいと思えて、少年は俯く彼女に言葉を放つ。
■サヤ > 「はぁ……わかった」
相手の言葉を聞いて深くため息をつき。
国軍兵士の命令に背いたとなればまた面倒に巻き込まれかねないと観念してマントを拾おうと視線を落とし。
身体を動かそうとしたところでぴたりと止まり。
「悪いけど……拾ってくれない?」
身体をこれ以上倒せばそれだけでそのまま倒れ込みそうなことに気づけば、不本意ながら相手に助けを求め。
相手を信用したわけではないが、少なくとも今、ここで襲われるようなことをする相手ではないだろうとの判断で。
■ゼロ > 「なんかすごく面倒くさそう。
やばい、さっきのキツイ言葉よりも心にくる。」
ため息をつく相手に、少し傷つく、王国の兵士って嫌われてるのかなぁ、と。
足を止める彼女に首を傾ぐ。
披露なら、拾えばいいのに……と思うものの、次の言葉でああ、と納得する。
「別にいいよ。」
少年は頷いて、彼女に近寄って、警戒されないように彼女の手前でゆっくりマントを拾い上げる。
ちゃんと身分証も回収して、懐へと直していこう。
そして、マントを彼女の方に差し出そう。
「……そんなに体力消耗しているなら。少しの間ここで休憩していけばどう?
途中で倒れられても困るし。軽く腹を満たすだけでも、逃げるのには随分変わるし。
ああ、ちゃんと貸しにしておくから、同情じゃないよ?
汗臭いというなら帰るけどさ。」
運動して腹が減っているのは自分も同じだが、そういえばカバンの中に保存食ぐらいはある。
彼女の消耗を見ていると、同情とかそういうレベルではなくて心配になる。
そして、運動してたから汗かいてるし、臭くないかなと今更思考。
■サヤ > 「ありがとう……」
差し出されたマントに手を伸ばして受け取れば、相手に聞こえるギリギリの声で礼を言い。
さっと肩から体を隠すようにマントで覆い。
同時に相手が近づいた事で風に乗って漂う相手の汗の臭い。
確かに一般的な女なら汗臭いと表現するだろうが、肉体の隅々まで女を叩き込まれた自分にとってそれは劇毒にも勝る雄の香りでしかなく。
ギリっと、本能が求め出すのをこらえるように歯をかみしめ。
「……命令なら、従う」
女の欲と同時に相手の言葉で呼び起こされたもう一つの欲求が鳴らせば、どこか熱を帯びた目で相手の顔を見上げて。
道を急ぐのをあきらめたように壁に背を預け相手と正対して呟き。
■ゼロ > 「どういたしまして。」
彼女の言葉に、お礼を言われるとは思ってなかったからか、小さく驚きの感情を目に浮かべ、にこやかに返答する。
彼女が体にマントを羽織るのを眺め、体格差から、ちゃんと足元まで隠れるのを見れば、うんうんとうなづく。
よし大丈夫と、彼女の様子を眺めて、歯を噛み締める相手に気がつく。
「そんな、嫌なのかい……。」
何かを耐えるような様子の相手に、すごく傷つく。
誰かもう少し強いメンタルください、鋼鉄の心臓くださいとか、内心思ってみる。
自分を見上げる彼女の言葉に、小さな苦笑。
「じゃあ、命令。
食事とって、休憩しなさい。
その少しの間、守るから、守られてなさい。」
彼女は命令という言葉に縛られているのだろうか。
自分とは違う形で縛られているのだろうか。
思考を頭振って無くし、正対する彼女に言いながら、自分のバックパックを下ろしてから保存食と水袋を取り出す。
干し肉と、ドライフルーツと水。ちゃんと食べ終えれば力も湧くだろう。
その三点を差し出してから、彼女に背を向けて立つ。
右も左もどちらから人が来てもすぐわかるように。
そして、仮面を外して、それも彼女の前に落とそう。
「その仮面、魔法の道具でね。
傷を癒す力があるんだ、食事終わったら、それで足の傷ぐらい直してから行くといいよ。
まあ……それをするかどうかまでは、命令はしない。
あと、僕の名前はゼロだ。」
左右を警戒する少年の横顔は。
この国の人間特有のものではなく東洋に良くある顔立ちであった。
■サヤ > 「別に、そういうんじゃないから」
どうも、自分が相手の汗の臭いで不快感を感じているのだと思い込んでいる様子の相手に軽くかぶりを振って。
おそらく兵士への配給物なのだろう、差し出された食料を受け取れば小さくうなずき。
座り込んではまた立ち上がるのが面倒だと、立ったまま受け取った食事を人目もはばからず齧り、水で流し込み。
「ん……私は……サヤ」
相手の名前を聞けば、自分も名乗るかどうか逡巡したのち。
相手の、どこか懐かしさの覚える顔立ちを横目に見てから名乗り。
かつて冒険者だった時に食べなれていた保存食より幾分か味のいい食事を胃に流し込んだ瞬間に機関に水が入ったのか思わず咳き込んで。
「げほ、けほ……ありがとう、少し落ち着いた」
口元を手の甲で軽く拭ってから、水袋を相手に返し。
少し呼吸を整えてから相手の方に身体を向けて。
「じゃあ、いいよ。口で抜く?それともこっち使う?」
ここにおいても相手からの善意がただであるなどとは感じておらず。
借りを残したくない思いも手伝い、相手からもらったマントの前をはだけて下腹部に手を当てながら上目使いで聞き。
■ゼロ > 「え?あ、そなの?」
じゃあ、さっきの表情はなんなのだろう。
女性というものはよくわからないが、不快じゃないならまあいいという事にしておこう。
かなりお腹が減っているのだろう、豪快な食事の仕方をしているらしい相手。
背後から聞こえる食事を貪る音を聞きながら考えた。
「サヤ、か。」
よろしく、と言おうと思ったが兵士をよく思ってなさそうだし。
彼女は逃走中でもあることを鑑みて、今はいいか、と言葉を飲み込んだ。
咳き込む様子に、軽く笑いをこぼした。
「落ち着いていいのに。
誰も取りはしないし、取らさせないよ。」
その程度の実力はあるつもりだから、と少年は良い、終わった様子の彼女の方に向き直り、水袋を受け取りバックパックに詰める。
仮面を使わないようなので拾い上げて、仮面を身にまとう。
「……え?あ?」
最初、彼女の言う言葉が理解できなかった。
口で、コッチで?
そして、思考が行き着けば、ふぅ、と息を吐き出す。
「こら。
たった今回復した活力使ってどうすんのさ。
逃げるために使えよ。
まあ確かに、サヤのような可愛い子としたいとは思うけどね」
ポロリと本音を漏らしながらも説教。
上目遣いで聞いてくる彼女の肢体はムラムラする。
その色気に、耳や首元まで真っ赤になっている。
「それに、この鎧脱ぐのに時間がかかるし。
僕の体は散々いじられたから。
僕の中にある麻薬が精液にどんな作用してるかわからない。
それでも、やるっていうのかい?
僕としては非常に残念だけど。」
可愛い子に言い寄られて、ヤリたくない男はいない。
でも、助けた相手をぶっ壊すのは問題外。
「ちょっと泣きたい。」
本音がまたこぼれた。
■サヤ > 「そう……」
お世辞を織り交ぜながら拒否の言葉を聞けば視線を下げて小さくつぶやく。
確かに、相手が着る鎧は頑丈そうだが、着脱には苦労しうである、確実に冒険者向きではないだろうと考え。
長い奴隷生活で女としてのプライドや羞恥などとっくに消し飛んだ今となっては、男に抱かれることも拒否されることも、何も感じず。
「貴方の言うことも、最もね。確かに今は、冒険者ギルドにいって預金を降ろすほうが優先事項でしょうし」
食事で胃が満たされたことで、少し活力も戻ったのか、はっきりした口調で言いながらマントで身体を再び隠し。
ぽろぽろと本音がこぼれる相手にふっと笑みがこぼれ。
「普通の女が抱けないなら、なおさら私の身体を好きにしていいわよ。
私も、呪いのせいで半分人間やめた体になってるし、壊れるようなのも嫌いじゃないから」
どうも何かしらの都合で女をまともに抱けない身体になっている様子の相手に逆に励ますように言い。
最後の部分は少し強調して発言し。
「ギルドについたら連絡するから、貴女が非番の日にでも、潰す勢いで抱いてくれていいわ。今日のカリも返したいし」
■ゼロ > 「……すごい罪悪感。」
彼女の返答に、悪いことしてしまったのではないだろうか、本気で悩んでしまう。
でも、ここで一時の劣情に流されて彼女が捕まっては元も子もない。
だから、ここはあえて涙を飲んで我慢する。
「冒険者、なのか。
じゃあ、ギルドに行けばなんとかなるんだ。」
活力の戻り、思考もはっきりした様子の相手に嬉しさを隠さずに言葉を放つ。
そこに行けば大丈夫なら、大丈夫だろうと。
笑みをこぼす彼女に、首を傾ぐ。
仮面のせいで表情が読めないので、自然と動作が大きくなる。
「呪い……
じゃあ、まだ、自由じゃないのか。
僕と似てるんだな。」
呪い、命令。
断片的な情報で感じた彼女の言葉に、励ましに感じたことをつぶやいて見せて。
「じゃあ、これ、連絡先。
第七師団の一兵卒だけど、個室はあるから。
そのときは、よろしくね。
なにか困ったことあったら、相談に乗るよ。
第七は異種族との対戦が主で人間相手は苦手だけど。ね」
もう、大丈夫そうだし、と連絡先だけを渡して、少年はバックパックを手にして立ち上がる。
じゃあ、ね、軽く手を振って少年は彼女の脇を抜けて表通りへ。
そして、そのまま雑踏の中に消えていく。
■サヤ > 「わかったわ。どうせしばらく路銀もないし、街にいると思うから、連絡させてもらうわ」
ギルドに預金を預けているとはいえ、さほどの額もないだろう。
数日かんは生活できる程度であるため、その間に資金繰りを考えなければならないが、そこは何とかなるだろうと考えており。
相手から連絡先を受け取ればそれに目を走らせる。
「じゃ、また近いうちに会いましょう」
相手が横を通って表通りに出ていくのを見送り。
相手が視界から消えたのを確認すれば自分もまた歩き出す。
足裏の痛みは相変わらずではあったが、腹が満たされたことで少しは四肢に力も戻ったのか。
先ほどよりしっかりとした足取りで進んでいく。
このペースなら夜が明けるより前にギルドにたどり着けるだろう。
ご案内:「王都マグメール 路地裏」からサヤさんが去りました。
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ご案内:「王都マグメール 平民地区/雑貨屋」にピングさんが現れました。
■ピング > 「バイト募集中だよぉー。バイトー。バイトをしてみないかねー」
大通りから一本外れた、大きくも小さくもない通り。
ごった返す程の人は居ずとも、昼ともなればそれなりの人数が道を歩いている。
見るからに流行っていない店の前にて、一部では色々有名(悪名とも言う)かもしれない店主がビラを片手に通行人に声を張り上げていた。
近所に店を持っていたり、居を構えている人達は「また何かやってる…」という目をしていたがそんな視線は気にしない。
「お、そこの綺麗なお姉ちゃん!どうだい、バイト。
優しい店主!楽しい職場!――バイトじゃなくて買い物してくれても勿論良い!」
そして直接声をかけるのは、当然女性相手ばかり。
ずずい、と距離を詰めてビラを押し付け、ついでに客引きも兼ねている。
”高給保障!時間拘束致しません!”等と実に胡散臭い文面の踊るビラを手に、こうして幾度も女性だけに声をかけ続けていた。
■ピング > そのまま声をかける人数は最終的に20を超えた。
けれどもバイト希望の子は居らず、しかもお店に入ってくれる子も居なかった。
その日の午後、カウンターでしょんぼりとしているスケベオヤジの姿があったんだとか――――。
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