2017/04/26 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にティエンファさんが現れました。
■ティエンファ > 少年は酒を傾ける。 あまり高くはないが、地元で作られている若いワインだ。
味に深みはないし、蕩けるような甘さもない、しかし、
「こういうトコで呑むには丁度良いんだよなあ」
賑やかな夜市。雑多な屋台が並んだ大通りを、のんびりと歩く。
片手に酒、のんびりとそれを飲みながら、屋台を冷かす。
特に予定があった訳ではないのだけれど、冒険者ギルドで報酬を受け取る際に、
ギルドの職員との世間話で聞いたので、足を向けたのだ。
■ティエンファ > 手品をする老人の巧みな手さばきで、どこからボールが現れたのか分からなくて首を捻る。
見た事もない動物が檻に入っているのを眺めて、その見事な毛並みに声を漏らす。
特に訳も無く一人で歩く夜の市。 しかし、それはそれで楽しめる物だ。
「ん、お、飾り物か へえ、綺麗なもんだ…」
キラキラした飾り物が並ぶ屋台に目を惹かれ、足を止める。
それを眺め、これは誰に似合いそう、あれは誰に似合いそう、と知る顔を思い出す。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にリンさんが現れました。
■リン > 夜風に乗ってどこからか、細い音色が響いてくる。
夜市の喧騒に紛れてしまい、殆どの者はそれを気に留めない。
建物の陰に、憂いの差す表情で、見つけられることを拒むように
それを奏でる少年がいた。
演奏に造詣がない者でも、とても情熱を篭めて演奏しているようには見えないだろう。
■ティエンファ > でも、その音色は確かに少年の耳に届いた。
飾りを摘まんだ手を降ろし、音が漂う先を見やる。
色取り取りの明かりがともる夜市の大通り、その喧騒を厭う様に…
その灯りを避けるように、楽師はそこで弦を弾いていた。
…なんとはなし。 この市に来た時と同じ理由だった、そう言う日なのだろう。
少年は、気の乗らないその音色に惹かれるようにそちらに脚を向けた。
楽師の少年が居るその建物の陰、壁に寄りかかって、音楽が途切れるまでその少年を眺めていた。
「…この辺りの曲かい? 変わった音色だ」
楽師が少年に気付いたか、それとも、丁度曲が終わったか。
楽師が手を止めた所で、声をかける。 楽師が見れば、異国の少年がそこに居るだろう。
■リン > 「いいや。即興さ。
気取って言うなら、この楽器は異界の音楽を識ってるんだ」
演奏を止め、声をかけた少年を一瞥する。
弓と、青く塗られた本体を――同様に青いケースへと仕舞い込んでしまう。
けだるげに、建物の壁に背中を預け、横顔を向けた。
「見られたから、今日はやめだな。
おたくは旅人かい?」
口元だけで微笑んで問い返す。
■ティエンファ > 「そりゃあ凄い …ああいや、あれだ、その楽器も凄いんだろうけど」
首を傾げて、仕舞われるその楽器を眺める。
それから、こちらに顔を向けた少年に返すのは、明るい笑顔。
「知ってんのと、体現するのは違う 演奏できるって事は、アンタの腕が良いって事だ
…って、え、なんだよ、見られたから終わりって!? き、聞いてるだけだからセーフってならないか!?」
邪魔したか、と目を瞬かせて慌てた。
しかし、問いかけには頷き、それから首を振る。
「旅人だけど、今はしばらくこの町に留まって冒険者やってる
ティエンファってんだ、異界の曲を弾く楽師さん アンタは?」
■リン > 「はは。そりゃさっきの演奏は聴かせられるようなものじゃなかったからね。
こうして姿を見られたとあっちゃ、続けられるほど図太くはない。
……ま、きみが悪いってわけじゃなくて、止めるきっかけがほしかっただけさ」
おどけたように言う。
黒髪の少年が告げる名を、口の中で繰り返す。ティ、エン、ファ。
「ふうん、帝国人か? あそこの奴らの名前は、きれいな音で羨ましい。
この街で、何か面白いものは見つけられた?
ぼくはリン。職業はそうだな……自由人ってとこかな。」
ケースを背負い、少年の傍をゆっくりと通り過ぎたかと思えば
足を止めて相手を物珍しげに眺める。
■ティエンファ > 「聴かせる為に弾いて居たって言うよりは、弾く為に弾いて居たって感じだったな
でも、俺は音楽の事はよく分かんないけど、もっと聞いてみたいとは思ったぜ?
…止める切欠ねえ 芸術家ってのは難しいもんだな、気が乗らなくても弾くもんなんだな」
なんとも複雑な顔で眉を上げる少年。
名を繰り返されれば、少年の名乗りを待って、リン、とこちらも繰り返す。
「俺は、こっちのキリッとした音の名前も良いと思うけどな
ああ、毎日面白いものを見てるよ 二月ほど留まってるけど、まだ飽きが来ない
山奥で育った田舎者としては、今日のこの市だって、一歩ごとに目を奪われるぜ」
に、と白い歯を見せるように笑う。 自由人って格好良いな、なんて子供みたいなことを言う。
珍しそうに眺める少年の目に、羽織った上着の胸元に覗く、青と赤の鮮やかな刺青が見える。
この辺りでは見ない色遣いと造詣は、長い黒髪、切れ長の目と合わせ、異国の風情。
■リン > 「見かけによらず聡いな。
長く演奏したいのは山々なんだけどね。それは出来ないんだ。
何しろこの楽器は呪われてるんだ。恐ろしいことに」
そう語る楽師の口調はどこか芝居がかっていて、
真実か虚偽かを悟らせまいとしているようだ。
「かっこいい、って無邪気に言うなぁ。
きみのような屈託のない男はどんなものでも綺麗に見えてそうで羨ましいよ」
皮肉とも本気ともつかずくすぐったそうに笑う。
刺青が目に入ると、身体を傾げて胸元のそれを間近で遠慮なく観察する。
「彫り物じゃない。どこで入れたんだ。その山奥の故郷かい?」
■ティエンファ > 「見かけによらずたァ失礼だな! こう見えて、見る目はあるんだぜ? …多分
楽器が呪われて…?」
その言葉に目を瞬かせる。 そして、まじまじと青いケースを見つめる。
酒場の与太話で話したなら、きっと笑い飛ばされるだろうけれど…
「弾かなきゃいけない理由もあるかもだけど、気をつけてな?
でもまあ、良い音色だったと思うけどなぁ…気合入れて弾く時に、立ち合いたいと思う位には」
信じた様子でそう言った。 そして、どんなものでもきれいに、と言う言葉に肩を竦める。
「どうせだったら、見た物全部楽しんだ方が良いじゃん?
そして、楽しめたら全部綺麗に見えるさ そうすりゃあ、毎日得ってね」
そんな青臭い真っ直ぐな言葉を言える少年。
胸元に顔を近づける凛にちょっと驚きつつも、襟元を緩めて左肩近くまでを見せる。
きっと腕の方まで刻まれているのだろうそれは、昨日今日彫った物ではない、
肌に同化して落ち着いた、少年の身体の一部。
「ガキの頃から、親父殿に彫って貰ってね
格好良いだろ、気に入ってるんだ、これ」