2017/03/13 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にマイヤさんが現れました。
マイヤ > 何かあれば何時も……何事も無くても今宵も……
平民地区の十字に交わるとおりの中央に位置する噴水公園の一つ、其処に今宵は前回宿の主人に分けてもらって気に入った山羊の乳を発酵させた飲み物をパンパンにつめた革の水筒を片手にのんびりと散歩に来て見る。知り合いなど皆無の王都で知り合い増やしたいなとか人肌恋しいな、とか色々と考えながら、矢張り何時ものように何時もの木製のベンチに歩み寄り、黙ってすとんっと腰を下ろすと、背もたれにグッと背を預け、両肘を背もたれに強引に乗せてでぐだぐだと……。

「これ美味しいんだけどなー高いんだよなー山羊の乳なんて周辺の村でしかこんな風に発酵させて飲み物にしないもんなーそもそも王都で放牧なんてしないだろうし、家畜を飼うなんてやらないだろうし……。」

ハァ……。言葉を締めくくった後に溜息は零れ、あ、でも王都だからこそ武具安いか、周辺の村だと倍近くしたしな……あれ?オレがぼったくられただけ?いやいや……と独り言なのか頭の中で考えただけなのか、視線の先で夜空に輝くお月様に向けてぼーっとしてれば、若しかしたら声に出ていたかもしれないが、そんな事すらどうでもよくなる。眠気は無い、が退屈に殺されそうになりつつも、カジノや酒場に入れる年齢でもなく、夜を楽しむ事が出来なければ独り言だって増えよう。そうそう仕方ない仕方ない、と自分に言い聞かせながら、掌で口元を押さえて大あくび……。

周辺を照らし自分を照らす魔法の街灯、愚痴に応えるは背後に位置する噴水の水の流れる清らかで静かな音色のみ……。
だから余計に寂しい、とは少し違うが退屈でついつい色々と馬鹿なこともしそうになっていた。

ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にアッシェさんが現れました。
アッシェ > 平民地区の噴水公園は 時間問わず、いや夜は流石に人の数は減るとはいえ程々にいたりいなかったり。
とある平民…そうそこらへんに居そうな普通のおっちゃんにも見える人影がその公園を通りかかってきた。
そのおっちゃん自体は背景の一つにもなりそうだが、そのおっちゃんの足取りは危うく千鳥足。
顔色も頗るよくはなく強いて言えば酔っぱらいの様な振舞と酒瓶を持って うぃー ひっく、とよたよたーっと歩いて
遂にはとあるベンチの少し手前でばたーんと倒れてしまった…ぐこー ぐこー と寝ているようだ。


そのおっちゃんの影が ゆらりとゆれるまでは おっちゃんに異常はなかった。
その影から ゆっくりと波面を揺らがせさも水面の様に指が出て手が出て体が出て―出てきたその存在は
影が形を成した―何か―おっちゃんではなく、とてもよく目立つ色合いの女だった。

「…予定外でやった、わ…………」

気づいた そう 噴水公園というか とあるベンチに腰かけている貴方様の姿に今更気づいたような素振りを見せ
一部始終目撃されていれば逃れられないそんな心境。退屈を思いっきり壊すそんな存在。
噴水の清らかな音色を壊す 気持ちよさそうに寝ているおっちゃんのいびきが辺りに響こう。

マイヤ > 「お、おう…………?」
此処最近で一番間の抜けた声を出したかもしれない。
此処最近で一番笑顔が引き攣ったかもしれない。
顔見知りの一人が特殊な力を持っていて、出会いはとてもすごいものがあったが今宵のこの出会いはそれ以上にインパクトがあって衝撃があって、黒い瞳に映った月よりも噴水公園の街灯よりも何よりも鮮やかで艶やかな人影に、そんな声をあげながら、口元を隠し欠伸を押さえ込んでいたその手を軽く上げて、夜にも不思議な人影に勢いだけで手をひらひらと右に左に揺らした。

これ以上に無いインパクト、何とも想定と想像の外よりの出現、その上なんても艶やかな美人さんに危うく恋に落ちかけた……大変危険な状況下であった。未だに心臓はバクバクと早鐘を打つし、もう色々な意味合いを含めて、是はいったい……と小さく呟いて、呆けた表情を浮かべてしまうのだった。
王都には数多の能力者がいて、スゴイ術者がいて素晴らしい騎士がいて、色々と楽しいところだと孤児院のシスターは言ってたが、何度も思う、こればかりは想定外だと、こんなの予想もできないと……。

アッシェ > ……噴水の音と場違いだが、酔っぱらいおっちゃんのいびきをかく音が暫し続く。
此方は目撃された事で動きが阿呆の極みだが止まってしまった、あちらは笑顔が引き攣ってしまっている無理もない。

むにゃむにゃ もうのめねぇー と 酔っぱらいおっちゃんは酒瓶を抱き枕にごろごろ動き始め、
適当にゴロゴロした挙句噴水の淵にぶちあたり 再び そこでぐーこぐーこと寝始めた。

凄く間をおいて女は動き始めたが 如何せん 妙なダメージのせいか苦笑いと言うか
引き攣った顔で笑っていいのかどうか分からない顔で貴方様を見返すのだ。
此処は平民地区だ 間違っても 目撃者は即断殺がモットーだが、それをここでやるとあらぬ騎士、あらぬ賞金稼ぎが来るので
手を下す事もかなわずに…ものっそい考えた挙句。

「…忘れはって。目撃されはるって思っとなかっとぅ」

この近辺ではない、何処となく発音と言葉遣いが訛った言葉を喋り、
なんとなーく貴方様に頼み込むそんな素振りをしたいと。

マイヤ > 基本的に頼み事は断れない性格である、性格であるが……簡単にハイとはいえなかった。
まずきっとたぶん、目の前の艶やかで可憐なる女性は頼みごと、もしくは頼み込むような素振りを見せているのだろう、呆けた表情で呆気に取られた視線でも何となしに伝わってくるモノがある、だが……それであっているか全く自信がないためまずは呆けた笑みを浮かべる頬を両手でパンパンと包むように叩き気合を入れなおしてから、視線を改めて女性の方へと向け、続いて視線をもう一つの気になる存在へと向けて……直ぐにまた女性の方に戻そう、挙動不審かもしれない、でもそうなる理由が今宵の噴水広場には有りすぎるのだ。

「えっと、東方の訛り?いや悪い言ってる事半分くらいしかわからん、忘れる、目撃、つまりは見たこと忘れろって?」
何となく相手の紡ぐ言葉の中からわかる単語だけを引き抜いて結び直し、合ってる?と言わんばかりに尋ねて反し、かくっ、と小首を傾げて見せた。で、片手に握っていた皮袋の蓋を親指で捻り開け、小首を傾げたまま、少しだけ山羊の乳を発酵させた飲み物を口に含むのだった。広がるのは甘い香りと発酵した飲み物特有の酸味、それが喉を通ればそれとなく落ち着けるし……視線にも少しだけ好奇心の輝きを浮かべられた。

アッシェ > 頼んで彼が、かの男性が頷いてくれるかどうかは未知数だった。
難しいものがある 初対面の極みにして こちらは現れ方が既に不審者その物、
人の轍を超えてしまっている踏み入れ様。どう捉えてもありていに言えば、無理極まりないのだ。
彼の様子を具に見てはいたが―目を覚めさせる仕草と気づけば、一定に留まらない女の髪色の
色鮮やかな髪色がゆっくりとした色のグラデーションに留まろう。…いや一向に止まったりはしていない。

「ほなほな。そうそう。一時の夢って思っとうて堪忍な。」

…己でも発音と言葉遣い的に通じているか疑問すらあるが言葉遣いが直せそうにない。
こくこくと頷く様に首を動かして、とんとん、と女は足元の影を足で突っつくと、
ひゅっと音もなく素早く手にしたのは、一振りの拵。それを慣れた手つきで腰に差せば 此方で言う剣士の出来上がりと。

マイヤ > 「……ハハ、……ハー…………。」
笑い声もでないし、溜息など枯れそうである。
彼女の発した言葉を噛み砕いた言葉は正解だったらしいが、結果どんな正解のご褒美があるかと思えば、黒い瞳に映る姿は一振りの刃を携えた剣士である、つまりは敵対?か?とあくまでも想像でしかない、が相手が帯刀すればワーイ格好イイナーで済む筈もないだろう、と皮袋の蓋を親指で閉じてから、自分も木製のベンチより立ち上がり、大丈夫だとは思うけども、自慢の鋼のロングソードの柄に手を伸ばした。

「うーん、お願いするときって普通は何かと対価、とかエッチな事してあげるからーってのがお約束だと思うんだけどもね?」
艶やかなる剣士に品のない冗談を一つ交えて返答を返すと、返答の終りに片足を下げて半身を開くようにして、何時でも剣を抜けるように構えてみせる。もうちょっと自分に実力があれば相手の考えや気配くらいは読み取れるが、そこに至らない身としては構える事しか出ない。いつ、何が起きてもいいように、白刃が煌いても鋼で打ち勝てるようにと。

アッシェ > 腰に拵を下げている―剣士の出来上がりだが本当は何が得意かと言われれば、
刀ではなく飛び道具系か素手である。帯刀したからと言って刃が相棒…でもない。
大体 今現在 ヒトの姿をしているが、その正体は…ドラゴンだ。街中ではそっちの姿を取る事は無いに等しいが―

「何かと対価か。困とうな、 エロスは初対面でアレやろ…
 …まぁ、見られても 真似出来る奴は 知れて居るやろ…。
 うん、よくよく考えっとったら 見られても 別にやった、

 …                   ほな また会おな。」

この場で剣を混じる真似はしない、構えもせずに彼の方へと徐に歩き始めるのだ。
残り彼の握るロングソードの間合い的な距離にまで歩み寄ると―同時に女の姿が残像となり、姿が掻き消えて
別れの挨拶をしたかと思うと 声も 気配も 掻き消えてしまった―。

ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からアッシェさんが去りました。
マイヤ > 「………???…………。」
出会いも急であれば別れも急で、折角構えたのに腰の剣に手も手をかけたのに夢か幻か視線の先にはもう誰もいなくて、残り香の如く聞こえた言葉も記憶から意識から薄れて行くほどの本当に其処に誰か居たのかと、自分も自信がなくなってしまう。でもアレと言われても、相手の弱みを握ればそんな言葉が出てきて当たり前じゃないのかな?と心の中で一つだけ返答を返してから、再び木製のベンチにすとんっと腰を下ろして深く座りなおす。唐突なる出会いと分かれにすっかりと眼が冴えてしまい、眠気の寝の字もなくなって……さてどうしたものかと。

「……宿に戻る?それとも剣でふって鍛錬でもする?でもなぁ街中で振り回したら怒られそうだしなぁ…。」
と、さてどうしたものか……とベンチの背もたれにぐぃっと背中を押し付けるように預ければ、閉じたばかりの山羊乳の皮袋の蓋をあけ、ぐいっと一口中身を煽る……。ヨーグルトのような蜂蜜水のような、不思議と甘い香りが口の中一杯に広がるのは何度飲んでも変わらない美味しさ。しかし、一人になればそこはかとなく味気なく感じ、周囲の街灯の明かりすら少し寂しく感じてしまう。実際寂しい……余計に人肌恋しくなったではないか!と文句を言う相手なんてとうに消えていた。

マイヤ > 「……帰るか……」
仕方ない、と時間も時間であり人が出歩く時間ではないと考えついたか、木製のベンチより重い腰をあげ、宿の方に向けて歩いていくのだった。今宵は面白い出会いがあったなぁと反芻しつつに。

ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からマイヤさんが去りました。